にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

24/04/21 Weekly National Hunt / Jump Racing

4/16(火)

Auteuil (FR) Collant (4.3)

Prix William Et Alec Head (G3)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, les 5 ans, n'ayant, en steeple-chase, depuis le 1er septembre de l'année dernière inclus, ni été classés dans les deux premiers d'une course de Groupe I, ni, cette année, été classés dans les trois premiers d'une course de Groupe ; les 6 ans et au-dessus, n'ayant, en steeple-chase, ni, depuis le 1er octobre de l'année dernier inclus, gagné une course de Groupe, ni, cette année, été classés dans les trois premiers d'une course de Groupe. 4700m (Replay)

1. Imbatable Du Seuil (FR) J: Kevin Nabet T: Mickaël Seror

なにやらややこしい出走条件が付いたSteeplechaseのG3競走。レースは水壕障害でよい飛越を見せたImperilが途中から前に行くも、Double Barrièreから後続が殺到。馬群を縫って伸びてきたImbatable Du SeuilがJojo Kapinを抑えて勝利した。

Imbatable Du Seuilは前走のPrix Air Landais (Listed)にてAlcyone Rougeの2着に入った馬で、重賞は初勝利とした。ひとまず6歳馬ということで上がり目はありそうだが、一方でJojo Lapinに対して内を縫ってきた利はありそうで、Jojo Lapin自身もここまで重賞でどうこうという馬ではないだけにレース水準の点では慎重に見た方が良いだろう。Heloy Delabarriereは水壕障害地点でのミスが目立つようにもたもたとした飛越を見せていたが最後は追い込んでの3着で、飛越がしっかりして来ればもう少しやれるかもしれない。ただ、2020年からSteeplechaseを使っている馬が未だにこれというのも少々微妙である。昨年のGrand Steeplechase De Paris (G1)で4着のあるImperilは最後遅れての4着で、昨年のPrix Du President De La Republique (G3)の勝ち馬ではあるのだが、どうにもその後はいまいちである。人気を背負ったAlcyone Rougeは前半は前に行くもそこから遅れての大敗で、特に何も問題がなければよいのだが。

 

〇 Prix Arthur Veil-Picard (Classe 2)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas, depuis le 1er mars 2022 inclus, reçu une allocation de 14.000 en courses de haies 3900m (Replay)

1. Juntos Ganamos (FR) (AQPS) J: Felix De Giles T: David Cottin

前に行ったJuntos Ganamosがそのまま勝利した。Juntos Ganamosは昨年の4歳Steeplechase路線のチャンピオンで、今年はGrand Steeplechase De Paris (G1)を目指すことになる。Prix Troytown (G3)はGallipoli、Gold Tweet以下を寄せ付けない強い競馬を見せていたが、ステップレースとしてHaiesを使ってきたようだ。やや細かいミスはあったが許容範囲だろう。2022年の4歳SteeplechaseのG1戦線にも参戦したMagic Marvelが2着で、こちらは昨年3月のHaiesでの落馬のあとは1年程の休養に入っており、これが復帰2戦目であった。Haiesとはいえ69kgを背負って3kg差のあるJuntos Ganamosから3馬身半という結果は立派だろう。Tom Ellis厩舎から参戦したMy Reprieveはやや離れた5着に終わった。

 

4/17(水)

Cheltenham (UK) Good (Good to Soft in places)

Silver Trophy Handicap Chase (G2) 2m4f127y (Replay)

1. In Excelsis Deo (FR) J: Jonathan Burke T: Harry Fry

1カ月前とは異なり春の暖かい日差しの中でのんびりとしたCheltenhamの平日開催。レースはSail Awayが前に行くも、残り2障害辺りから出てきたIn Excelsiss DeoがHang In Thereを振り切って勝利した。

In Excelsis Deoは重賞競走は初勝利とした。今シーズンはClass2~Premier Handicapを使ってきた馬で、前走のTrustATrader Plate (Premier Handicap)では4馬身差の5着に入っている。とはいえ基本的には例年通りシーズン終盤のやや手薄なLimited Handicapといったメンバー構成で、この馬自身まだシーズンの終盤になってもお釣りを残していたという印象の方が強い。Joe Anderson騎手とのコンビとなったHang In Thereは勝ち馬とは異なり夏馬の類で、やや前半はのんびりと進めるところはあったが、そこから11st7lbを背負って2着まで来た。3月にSandownのBetfair Serial Winners Fund Novices' Handicap Chase (Premier Handicap)を含めて2連勝で挑んで来た上がり馬Scarfaceが3着に入った。

 

4/20(土)

Ayr (UK) Soft (Good to Soft in places)

Scotty Brand Handicap Chase (Premier Handicap) 2m110y (Replay)

1. Tommy's Oscar (IRE) J: Danny McMenamin T: Mrs Ann Hamilton

イギリス調教師リーディングのかかるPaul Nicholls、Dan Skelton、さらにはWillie Mullinsといった大厩舎から活発なエントリーのあったAyrのScottish Grand National Meeting。第1レースもそのPaul NichollsのSans Bruitが軽快に引っ張るも、これを好位で追いかけたTommy's Oscarが残り2障害地点で前に出ると、Traprain Lawを振り切って勝利した。

Tommy's OscarはHurdleでは2021年にNew One Hurdle (G2)を勝った馬で、Chaseでは昨年1月にLightning Novices' Chase (G2)を勝利している。ここのところはClass2でトップハンデを背負ってやや苦労していたようだが、今回は結果を残した。基本的には良馬場でスピードを生かしていくタイプの馬で、どうにもゴール手前で怪しい仕草を見せていたりと気性的にはだいぶずるいところが出てきている印象はあるが、とはいえAyrの開催で小規模な厩舎の馬が結果を残したことは喜ばしいことであろう。10st11lbの軽量馬Traprain Lawが2着に入った。Paul Nicholls厩舎のSans Bruitは今回も軽快に引っ張るも最後は捕まって3着。Ayrよりは平坦なAintreeの方がやりやすいように見える。Willie MullinsのUncle Phil、Dan SkeltonのPembrokeはいいところなく大敗に終わった。

 

〇 Spms Novices' Champion Handicap Chase (Class2) 3m20y (Replay)

1. Sharjah (FR) J: Paul Townend T: Willie Mullins

後方から進めたSharjahが最終コーナーから外を回って進出すると、そのままBallycoose以下を差し切って勝利した。SharjahはこれまでHurdleでは多数のG1勝ちを収めている馬であるが、Chaseではこれが3勝目とした。今シーズンはNoviceのG1戦線に参戦していたようだが、さすがに今年で11歳とG1戦線のペースではだいぶ追走に苦労していたようで、3マイル戦及びHandicap戦線のゆったりとしたペースがこの馬には向いたようだ。終いの伸び脚は12stのトップハンデを背負った11歳馬とは思えないほど鮮烈なもので、同時代にHoneysuckle、State Man、そしてConstitution Hillと目覚ましい活躍を見せた名馬が多数存在する中、G1戦線でそれらの馬たちに食い下がってきたこの馬の能力を改めて示すレースであった。

 

Scottish Grand National Handicap Chase (Premier Handicap) 3m7f176y ( Replay)

1. Macdermott (FR) J: Danny Mullins T: Willie Mullins

Willie Mullins厩舎から計6頭ものエントリーがあったScottish Grand Nationalで、一方のPaul Nicholls厩舎からは2頭、Dan Skelton厩舎からは1頭と、エントリー数にも層の厚さの違いを感じさせる下馬評となった。レースはいきなりMr Incredibleがほぼ発馬拒否、We'llhavemanとWillie Mullins陣営の2頭が脱落するスタート。Sara Bradstock陣営のMr Vangoが元気よく引っ張るも残り3障害辺りから脱落。代わって出てきたMacdermottとSurrey Questの叩き合いはMacdermottに軍配が上がった。

McdermottはFairyhouseのHandicap Chaseから連勝とした。HurdleではMaidenを勝ったのみの馬で、Chaseでも転向直後はさっぱり上手くいかなかったようだが、ようやくここに来て能力をつけてきたようだ。ここまで重馬場でのレースが殆どであったが今回はかなり早い馬場のレースで、加えて24fから32fへと一気の距離延長で対応してきたということは面白い材料だろう。10st7lbとかなり斤量的には楽であったが、とはいえMr IncredibleやStay Away Fayといった高いレーティングを有している馬がごく一部存在したのみであることを考えると、あまり斤量の恩恵自体は考えなくてよさそうだ。SurreyのTom Lawes厩舎のSurrey Questが惜しい2着。10st3lbと斤量的にはかなり楽な条件であったが、大厩舎揃いの中で存在感を示した。好位にいたGit Maker、Klarc Kentと続いた。後方でもたもたと飛越していたOntheropesが最後追い込んで5着。この中ではかなり高いレーティングを有していたStay Away Fayは好位の外から進めるも終盤脱落して途中棄権。ただしレースとしてはこの時期の早い馬場で軽量馬がそのスピードを生かして浮上するタイプのHandicap Chaseといったところで、実際にここまで重馬場の超長距離戦で崩れずに走っていたMy Silver Lining、Mr VangoといったHandicap路線の面々はいいところなく終わっていることを踏まえると、レースの評価としてはやや気を付けた方がいいだろう。注目されたWillie Mullins厩舎であるが、序盤に離脱した2頭がいたとはいえ、1着のMacdermottの他はそれぞれ4、5、及び6着に入り、リーディングトレーナー争いの焦点となったこの開催においてほぼ一人勝ちのような結果を残した。ここへの出走馬からもわかる通りその層の厚さは驚異的で、Paul Nicholls、Dan Skeltonといったイギリスの大厩舎と比べてもその差は余りにも歴然としていることはやはり考えさせる内容であった。

なお、この日の残り3レースはいずれもWillie Mullins及びGordon Elliottのアイルランド勢が勝利し、Scotty Brand Handicap Chase (Premier Handicap)やScottish Champion Chase (G2)、及びJordan Electrics Ltd Seafield Trophy Mares' Handicap Hurdleこそイギリス勢(Ann Hamilton、Alan King及びLucinda Russell)が勝利したものの、8レース中5レースがアイルランド勢、それも4レースをWillie Mullins陣営が勝利する結果となった。

 

Lyon Parilly (FR) Collant (4.4)

〇 Prix Du Bois Noir (Inédits)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 3 ans, n'ayant jamais couru. 3400m (Replay)

2. El Gavilan (FR) J: James Reveley T: Noel George & Amanda Zetterholm

途中からEl Gavilanが前に行くも、終盤になって出てきたSauvignonがこれを捉えて勝利した。El Gavilanはいつぞやのジャパンカップに参戦したGuignolの産駒である。Guignol自身は引退後はフランスで繋養されるもわずか2シーズンで亡くなっているようで、フランス障害競馬での出走はこのEl Gavilanが2頭目となる。勝ったSauvignonは半姉に平地G1勝ちのあるSauterneを有する良血馬で、全体的に飛越はもたもたとしていたようだがとりあえず最後は平地の脚で間に合わせてきたという印象が強い。ただ、この馬の父はInns Of Courtという短距離馬のようで、いまいちHaiesを使ってきた理由はよくわからないところである。Bandeの産駒Lady Lady Layはじわじわと位置を上げるも4着に終わった。

 

Grand National (USA) Good

Grand National Timber Stakes

Three Miles and One Quarter over Timber. $35,000 (Replay) (Facebook Live)

1. Awesome Adrian (USA) J: Teddy Davies T: Katherine Neilson

Facebook Liveは時々映像の乱れもあったりするようだが、一方でTimberにぶつかる音や歓声も拾っていたりとなかなか臨場感のある中継がされているようだ。レースはゆったりとしたペースでGreat Roadが引っ張るも、終盤になって前に出てきたAwesome AdrianがRoad To Ozを振り切ると、そのまま後続に4馬身差をつけて勝利した。

Awesome Adrianは2013年生まれのアメリカ生産馬で、このレースは昨年Road To Ozの2着に入っている。基本的にはTimberのAllowanceクラスで崩れずに走っている馬のようだが、今回はスムーズなレースを見せた。この中ではTimberにおける飛越面では最もスムーズなものを見せており、やや勝負所でもたもたとした飛越を見せる馬も存在する中、この馬の技術が生きるレースとなった。同じくアメリカ生産馬で連覇を狙ったRoad To Ozが2着。昨年のこのレースのあとはしばらく休養し、今年4月のMy Lady's Manor Stakesにて復帰していたようだ。Timber Stakesでは常連となったアメリカ生産馬Shootistが3着、前に行ったGreat Roadが4着と、アメリカ生産馬が1~4着を占める結果となった。

 

Middleburg (USA) Firm

〇 The Warrior Canine Connection. Allowance Hurdle.

Two And One Eighth Miles. (Hurdle) For Four Year Olds And Upward Which Have Never Won Two Races. $50,000 (Replay) (Facebook Live)

1. High Definition (IRE) J: Jamie Bargary T: Leslie Young

前に行ったOutperformにPress Pauseが絡んでいくも、先に抜けてきたHigh DefinitionがRampoldi Planを抑えて勝利した。High Definitionは元々アイルランドのex-flat horseで、2022~2023年頃にHurdleに転向して話題を集めた。昨年からアメリカに移籍しているようで、これがHurdleは初めての出走となる。昨年はBelmont Gold Cupなる平地のG2競走に出走して6着と敗れているが、ここではきっちりと結果を残した。アイルランド時代はやや乗り難しさのようなところも見せていた馬だが今回はそのような大きな問題は見られず、この馬のスピードを考えればここでの活躍も楽しみにしたい。

 

The Middleburg Hunt Cup Timber Stakes

Three And One Fourth Miles. (Timber) For Five Year Olds And Upward. $30,000 (Replay)
(Facebook Live)

1. Schoodic (USA) J: Graham Watters T: Jack Fisher

今年で14歳になったSchoodicが軽快に逃げると、ついてきたCracker Facotry以下を振り切って勝利した。2着には後方から追い上げたFamily Treeが入った。

SchoodicはTiznow産駒のアメリカ生産馬で、今年で14歳となる。もはやこの路線ではすっかりおなじみになった馬で、昨年もInternational Gold Cup Timber Stakes、National Sporting Library and Museum Cup Stakesと主要競走を勝利しており、これが今年の初戦であったが見事な勝利を見せた。全体的に馬が自信を持って障害に向かっていくような飛越が目立っており、14歳馬がこれだけレースへの熱意を持っていることは驚くべきことだろう。イギリス生産馬で上がり馬のFamily Treeが2着に入ったが、Cracker Factory、Lap of the Godsと比較してやや仕掛けを遅らせた利のようなところもあり、勝ち馬の強さが際立つ結果となった。

 

The Temple Gwathmey Stakes (G2)

Sport of Kings Hurdle Stakes. Two Miles and One Half over National Fences.  For Four Year Olds And Upward. $75,000 (Replay) (Facebook Live)

1. Snap Decision (USA) J: Graham Watters T: Jack Fisher

先ほどのGrand National Timber StakesとFacebook Liveのリンク先は同じだが、途中からMiddleburg Springの映像に切り替わる。レースはThe Hero Next Doorが軽快に逃げるも、終盤に入って好位にいたSnap Decisionが先頭に。そのままSnap DecisionがNoah And The Arkに8馬身差をつけて快勝した。

Snap Decisionはもはや言うまでもなくこの路線のチャンピオンだが、昨年はTemple Gwathmey (G2)とDavid L. Zeke Ferguson Memorial (G2)勝ちに留まり、G1ではIroquois Hurdle (G1)の2着が最高であった。ひとまず10歳となった今年も引き続き元気そうだが、今回もすでに162lbとNoah And The Arkの152lbと比べてかなり重い斤量を背負っており、引き続き斤量との闘いになりそうだ。昨年はGrand National Hurdle (G1)でMerry Maker以下を退けて強い競馬を見せたNoah And The Arkが2着で、この馬はどちらかというと展開待ちといったところもありそうだ。Awakened、Sebastopol、Zbeel Championと続いたが、いずれも斤量的には146~148lbと楽な内容で、上位馬との力量差を感じるレースであった。積極的に逃げたThe Hero Next Doorは終盤で落馬に終わり、そこまでは2着くらいはありそうであっただけに勿体ない結果となった。昨年Green Pastures StakesやAFLAC Supreme Hurdle Stakesを勝利しNovice戦線で活躍したCool Jetは早々に落馬に終わった。

 

4/21(日)

Auteuil (FR) Collant (4.4)

Prix Du President De La Republique (G3)

Steeplechase Handicap Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, ayant reçu une allocation en steeple-chase depuis le 1er janvier de l'année dernière inclus. 4700m (Replay)

1. Hasard De Brion (FR) J: James Reveley T: Mme Manon Scandella-Lacaille

伝統のハンデ戦。レースはMiralagoやSt Romain Du Derby、Fantastic Sivola等が前に行くも馬群は固まって進行。途中からBatame Du Bocageが抜け出しを図るも、じわじわと差を詰めていたHasard De Brionが抜け出すと、直線に入って追いかけてきたShowly以下を振り切って勝利した。さらに後方から追い上げたIndian De Gascogneが3着に入った。

Hasard De BrionはこれでLignieresのClasse3から3連勝とした。2021年にはGrand Prix De La Ville De Nice (G3)を勝っているのだが、そのまま転戦したAuteuilの重賞戦線はいいところなく終わっている。昨年のCagnes-Sur-Merで復帰していたが、ようやくここに来て調子を上げてきたようだ。22戦未勝利のShowlyが2着。3着のIndian De Gascogne、4着のLe Listracとさらに後方から追い込んだ馬が上位に食い込んだ。比較的積極的に運んだ63.5kgの軽量馬Harry Contiが5着に粘ったようで、特段オーバーペース気味には見えなかったのだが、後方から脚を伸ばした組が上位を占める結果となった。

 

Prix Leon Rambaud (G2)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 4300m (Replay)

1. Hooligan (IRE) J: Felix De Giles T: Noel George & Amanda Zetterholm

例によってKapteenが元気に引っ張るも、これにHooliganがついて行き、9歳馬2頭で後続を大きく引き離す格好となる。向こう正面から少しずつ脱落したKapteenを残してHoolinganが先頭を走ると、追いかけてきたZarakahnを5馬身ほど振り切って勝利した。July Flowerは3着まで。

Hooliganは昨年11月のGrande Course De Haies De Compiegne (G3)に続いての重賞勝利とした。CompiegneでもFelix De Giles騎手が上手く騎乗した印象のあるレースであったが、今回はこのようなペースで引っ張ることが予想できたKapteenのペースに上手く乗っての勝利であった。とはいえZarakhanを相手に9馬身差というレースは立派な内容で、展開的にだいぶうまく騎乗したとはいえ、やはり自由にさせてはいけない馬ということは間違いないのだろう。Prix Hubert D'Aillieres (Listed)を勝ってきたZarakhanが2着。July Flowerは後方から進めたが、またしても前には迫ることはできずの3着に終わった。

 

Prix Jean Stern (G2)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 4400m (Replay)

1. Kentucky Wood (FR) (AQPS) J: Angelo Zuliani T: Francois Nicolle

Meme Pas Kapが前に行くもGros Open Ditchでミスをして後退。代わってChanteur Du Bourg、さらにKentucky Woodが前に出ると、Kador De Ciergues以下を振り切って勝利した。

Angelo Zuliani騎手はゴールでは派手にガッツポーズ、入線後は雄叫びを上げている。大レースを勝ってもガッツポーズすらしない騎手もいるが、これくらい派手に喜びを露わにしてくれた方がやはり見ていて気持ちがいいものである。Kentucky Woodは前走のPrix Fleuret (G3)ではKarre D'Asに大きく敗れていたが今回は結果を残した。最終障害での飛越でKador De Cierguesに後れを取っていたが、そこからは脚力で2着馬を振り切るスプリントを見せており、着差以上に力量差のあった内容と言えよう。Steeplechaseは2戦目となるKador De Cierguesが2着に入った。勝ち馬とはまだ力量差はありそうだが、重賞戦線での経験のある馬に対して頑張った内容ではないだろうか。3月のPrix Duc D'Anjou (G3)ではKarrre D'Asを追い詰めたChanteur Du Bourgは終盤脱落して3着に終わった。

 

Merano (ITA) Tempo Coperto Terreno Buono

〇 Sergio Giorgi Euro 12,000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Cross Country - Condizionata - G.R.-Ammazoni-Fantini) 3500m (Replay)

1. Normandy Dela Vega (FR) J: Agus Gabriele T: Raffaele Romano

今年で11歳となったAlmost Humanが例によって後続を元気に引っ張るも、早々に後続が接近。ここから前に出てきたNormandy Dela VegaがSanta Klara以下を大きく突き放して勝利した。

Normandy Dela Vegaは昨年イタリア調教馬としてスイスGrosser Preis Des Cross Club Maienfeldを勝利した馬だが、TrevisoのCross CountryではWhite Woodから離れた4着、PisaではSteeplechase又はSiepiを使っていたようだ。MeranoのCross Countryはやや久しぶりのレースとなる。Almost Humanがかなり積極的に引っ張るところをチェコの強豪Santa Klara以下を圧倒したレースはなかなか今年の活躍に期待が持てる内容であったが、一方でAlmost Humanは既に11歳、Santa Klaraも今年で9歳と、やや世代交代が生じている可能性にも留意すべきであろう。MeranoのCross Countryは3000メートルクラスとそれ以上の長距離戦で大きく性質が異なり、今後の距離延長への対応にも注意しておきたい。そのSanta Klara、Almost Humanと、この路線の常連が2、3着に入った。

 

〇 Pietro Santoni Euro 16,000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Siepi - Condizionata - Fantini) 3300m (Replay)

1. Natam (GB) J: Jan Kratochvil T: Josef Vana

途中から先頭に立ったNatamがそのまま後続を大きく突き放して快勝した。NatamはSo You Thinkの産駒で、これでPisaのSteeplechase及びTrevisoのSteeplechase Di Treviso (Listed)を含め3連勝とした。昨年の段階ではClaimingを走っていたような馬だがそこからめっきりと力をつけており、G3以上での出走はないのだが楽しみな一頭だろう。PisaやTrevisoではSteeplechaseを勝利していたとはいえMeranoではSiepiの路線となる可能性もありそうで、その動向には注意したい。今年で5歳となる牝馬で、元々はフランスでデビューしたVezzanaが2着に入った。

 

Wroclaw (POL) płotowy - lekko elastyczny (3.1); przeszkodowy - elastyczny (3.7);

〇 Nagroda 20000 zł

Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 5-letnich i starszych koni. 3400m (Replay)

1. Ztracenka (CZE) J: Marcel Novák T: Stanislav Popelka 

この日から始まったポーランドWroclawの競馬シーズン。レースはJadmirが前に行くもどうにもロスが多く後退。代わって出てきたZtracenkaがFrench Chardonnayとの叩き合いを制して勝利した。

ZtracenkaはPop Rock産駒の8歳牝馬で、昨年10月にはCena Laty Brandisovéというkat. Iで1位入線も失格の憂き目にあっている。その後はWroclawのSteeplechaseに転戦しており、Nagroda MasiniegoではSophistやMinister Wojny以下を抑えて18馬身差の快勝劇を見せていた。本来であればここを走っているのが不思議なクラスの馬であるが、French Chardonnayに対して2kg差がありながら結果を残したことは大したものであろう。そのFrench Chardonnayは2022年にはこの路線で3連勝を飾った馬だが、昨年はPardubiceのCross Countryに参戦するも上手くは行かず、今年はこちらに回ってきたようだ。Pardubiceよりも小回りのコースで機動力を生かすタイプであればこちらでも期待したいところである。元々フランスでデビューしたチェコ生産馬My Wayがやや離れた3着。フランスでは結局DieppeのSteeplechaseのClasse4が2着と勝ち星を挙げることはできなかったが、どうやらこれが久々のレースであることを考えるとここを叩いた上積みに期待したいところである。Jadmirはいいスピードを見せていたが、どうにもコースロスが全体的に多く、終盤後退して4着に終わった。

 

Nagroda Otwarcia Sezonu Przeszkodowego 24000 zł

Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 5-letnich i starszych koni. 4300m (Replay)

1. Sophist (CZE) J: Marek Stromský T: Pavel Poles

前半からフランス生産馬Pretty Kingがやや飛ばし気味に出てくるも、途中からこれを追いかけてHaad Rinが先頭に代わる。そのままHaad Rinが元気よく引っ張るも、直線を向いて後続が殺到。この中からSophistがLianelを抑えて勝利した。

SophistはWroclawの常連で、Hurdle競走であれば2020年からこのコースを使っている。常に堅実に上位争いをする馬で、成績的には昨年11月の平場戦から2連勝とした。ただしレースとしてはオーバーペースで引っ張ったHaad Rinが最後苦しくなったところを後ろで頑張って走っていたこの馬が浮上してきたといった格好で、7歳とそろそろ円熟期に入ってきたとはいえ、今回は展開的な助けがあったことに留意しておきたい。WroclawのSteeplechaseは2021年以来の出走となるLianelが2着。昨年の時点でもPardubiceの3000メートルクラスのCross Countryで戦える力を持っていたのだが、とはいえそろそろこの馬も9歳と、距離延長を試しているのであればそちらで可能性を示すことを期待したい。飛ばし過ぎたHaad Rinが3着。Cosmic MagicはSophistらとともに前を追いかけるも、Haad Rinを捕まえきれず4着に終わった。Et Tu Brute、Ho My Godはさっぱりペースについて行けずに終わった。

 

Egmont RC @ Hawera (NZ) Good4

〇 Chillco RST OPN HDL SWP $30,000 2850m (Replay)

1. Harry Harrison (NZ) J: Portia Matthews T: Gail Temperton

この日から始まったニュージーランド障害競馬。レースは序盤から元気に逃げたHarry HarrisonがLochwinnoch以下を振り切って勝利した。Harry Harrisonはこれで昨年8月のMaidenから4連勝とした。ここまで逃げて結果を残してきた馬だが、一方で今回はGood4とかなりの良馬場でのレースで、馬場が重くなったり絡まれたりとより負荷がかかった状態でどこまで踏ん張ることができるかは注意しておきたい。Kevin Myers陣営は出走馬4頭中3頭を占めたが、Dean Parkerが騎乗したLochwinnochが最高となった。

 

〇 First Aluminium Hawera RST OPN STP SWP $30,000 3050m (Replay)

1. Afterallthistime (AUS) J: Portia Matthews T: Kevin Myers

Jo Rathbone陣営のTorque Timeが前に行くも馬群は固まって進行。内を立ち回って進出したAfterallthistimeが直線に入ってTorque Timeに並んでいくと最終障害前で先頭に出て勝利した。AfterallthistimeはFlatでは7戦未勝利に終わった馬で、Hurdleでは昨年8月にMaidenを勝ったのみであったが、その後早々にSteeplechaseに移行していたようだ。ひとまず今回は良馬場で行われたシーズン序盤の競争を上手く立ち回って勝利したが、とはいえ全体に固まって入線しているように、レースの性質的なところには注意したいところであろう。昨年Maidenを勝っているTorque Timeが2着。Hey Happy、Khafeef、Interllectusと差のない入線となった。ただしHurdleが4頭立て、Steeplechaseが5頭立てといずれも小頭数で、それもKevin Myers陣営がそれぞれ3/4頭、4/5頭を占めるという内容で、やや心配なシーズン最初の開催となった。