にげうまメモ

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15/3/11 Glenfarclas Handicap Chase (Cross Country)

*Glenfarclas Handicap Chase (Cross Country) (C2) 3m7f Good-Good to soft in places

Cheltenham Festival唯一のCross Country戦。英愛合わせてもPunchestownと2箇所しかないのだろうか。フランスなどではわりと在りそうなのだが。かの有名なVelka PardubickaもCross Country。英国でもCross Countryが増えてくれれば嬉しい。単純なChaseとは異なりトリッキーな障害が多く、しかも種類も多様。コースも複雑でカーブが多いため、スピードではなくむしろ飛越とスタミナに優れた馬を探すべき。また、経験がものを言うので、未経験馬はそれだけで割引材料になる。レースは超ロングスパート合戦になりがちで見ごたえがある。今年も好勝負を期待したい。

この路線は昨年勝利したBalthazar Kingの一強状態。しかし同馬は今年のCheltenham FestivalをパスしてGrand Nationalを狙うようだ。従って、Balthazar Kingと接戦を演じていた馬を中心視していくことになる。

人気はこの路線の常連Any Currency。前走は11st0lbを背負ってQuantitativeeasingに12馬身差をつける圧勝。Grand Nationalでも完走暦のあるほどスタミナに優れた馬で、コース経験も豊富なのが強み。ただし今回は11lb斤量が増えるのが課題か。続くはDuke of Lucca。前走こそ落馬しているが同様にコース経験が豊富、昨年は4着の実績もある。Sire Collongesもこの路線の常連。前走はBalthazar Kingの3着、2013年には10lb差の斤量の不利がありながらAny Currencyを下している。やはりコース経験もスタミナも豊富で侮れない。

Toutancarmontはフランスから参戦してきた馬。フランスのCross Countryの経験は豊富のようだ。ただしコース経験がないのがどうか。Canal TurnのレプリカなどCheltenham特有の障害も多い。

Quantitativeeasingは前走こそ案外であったが、コース経験もありもともとはGalway Plate2着の実績もある馬。ただしCheltenham実績はいまいちで、Any Currencyに12馬身離された2着が最高。Grand Nationalなどに参戦暦のあるChicago Greyは経験豊富な馬だが、コース経験が1度しかなく、実績もないのが課題か。Uncle Juniorは人気になっていないが、この路線の常連、コース経験も実績も豊富。特に昨年の11月のCheltenhamでBalthazar Kingに1馬身差まで迫った実績は評価できる。14歳と高齢だががんばって欲しいところ。

トップハンデのHey Big Spenderはコース経験こそあるものの、Cross Countryは久しぶり、また11st12lbの酷量が課題。軽量馬はあまり人気になっていない。6歳のuage D'ainayはさすがに経験がなさ過ぎるか。10歳のRivage D'or、6歳のDogoraはCross Country初参戦。Ipsos Du Berlaisは前走初のCross Countryで5着と健闘。Cheltenhamのコース初経験なのが課題か。12歳のCharingworthもCross Countryは初めて。Grand National参戦暦もあるRose of the Moonは経験豊富な馬だがこれもCross Countryは初参戦。Are Ya Right Chief、Master RajeemはChaseの経験自体が乏しい。

 

スタート失敗からの再スタート。Nuage D'ainayとAny Currencyが先頭を切る展開。その後ろにSire Collonges、Duke of Lucca、Hey Big Spender、Toutancarmont。Quantitativeeasingは中団、Rivage D'Orは後方。Uncle Juniorも例によって後方に構えた。全馬大きなミスもなくレースは進行。第21障害で後方にいたCharinworthが落馬。第22障害あたりから2番手にいたAny Currencyが少しずつ先頭に並びかける。同馬はとにかくバテないのが強みなので例によってこの戦法。このあたりからDuke Of Lucca、Sire Collonges、Toutancarmontも先頭集団に。Nuage D'ainayは脱落。後方からはRivage D'orが押し上げる。2回目のSplit FenceではToutancarmontが一旦先頭に立つ。番手にAny Currency、その外にSire Collonges。Canal Turnでは空馬が他馬の前を横切る事象があったが大きな事故はなくレースは進行。このあたりからQuantitativeeasingが内から進出、その後ろにRivage D'or。大きな事故があったのは残り2障害のハードル。内に切れ込みながら飛越したToutancarmontがその内にいたQuantitativeeasingを巻き込み、ラチを壊してコース外へ。これで二頭は競争中止。先頭に立ったのはAny Currency。これをRivage D'or、Hey Big Spender、Sire Collonges、遅れてDuke of Lucca、Uncle Junior、Dogoraが追う。最終障害でAny Currencyを交わしてRivage D'orが先頭に。そのままAny Currency、Uncle Juniorに追撃を振り切り勝利した。

Rivage D'orはアイルランドで走っていた馬。コースこそ未経験ながらもさすがは経験豊富な馬、安定した飛越を見せた。10st10lbの軽量も生きたか。Any Currencyはこの路線の常連。いつもどおりの安定したパフォーマンスを見せたが、最後は1stの斤量差に泣いた。Uncle Juniorも14歳ながら気を吐き、古豪健在ぶりをアピール。Hey Big Spenderも初経験ながらも安定した飛越でさすがのベテランぶりを見せた。不幸だったのがQuantitativeeasingとToutancarmont。特に後者は折角のフランスからの参戦馬だけに残念である。フランスのクロスカントリーのレベルも高いだけに是非また来て欲しい。いずれにせよ、この路線は経験値がモノを言うだけにどうしてもメンバーが固定されてしまう。新たなスターホース誕生を祝いたい。

あとGlenfarclasはとても華やかで飲みやすいウイスキー。一度は飲むことをお勧めする。