にげうまメモ

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15/7/19 POG

*2015/16 POG

ここまでの短評。溜まって来たらダービーまでちょくちょく上げていく予定。当初の指名理由などは過去記事参照のこと。

 

・アストラエンブレム

POG関連でメディアにも多く取り上げられ話題になっているようだ。調教の動きが素軽く、また瞬発力に秀でているようだとのこと。良血馬だけに話題になるのは仕方ないか。

[15/7/5 中京新馬 芝1600m重 秋山 470kg 1人気 2着] 

残念ながら重馬場となった新馬戦。勝ったのはキングカメハメハ産駒のロスカボス。スタートで後手を踏む展開から大外を回して上がり3f34.5で追い込むも、内を掬った勝ち馬にやられるといった展開であった。

レースに関しては勝ち馬とはコース取りと馬場の影響だろう。ロスカボスはミルコが内を少々気合をつけながら追走し、直線では前が空くとしっかりと伸びるというレース運び。対してアストラエンブレムは騎手も代打ということもあり(元々は田辺騎手を予定していたようだ)、大事をとってスローの後方を追走し、直線も最後方から外を回す展開。さらに、ロスカボスはキンカメらしい筋肉量に秀でた体つき。重馬場も合っていたということだろう。

同馬に関してはこの負けは悲観するものではないと思う。ダイワメジャーらしくない全身を使った柔らかい走りを披露し、また中京の重馬場をこなす程度のパワーも持ち合わせていることを示した。トップスピードに乗ってからの脚は新馬・未勝利クラスでは抜けている。機動力に関しては、ステッキを入れられてから即座に反応していたものの、あくまで外を伸び伸びと走らせた場合の反応なので未知数といったところか。いずれにせよ勝ち上がりは早いだろう。ただし、前肢の筋肉やトモのあたりはダイワメジャーの仔にしては貧弱なので、これからの成長が期待される。全身運動で走るタイプなので、この辺りが改善してくれば間違いなくスケールは一枚上のものになる。その場合は大きいところを狙えるだろう。

なお、次走は新潟を予定しているとのこと。

 

・リオンディーズ

DDSP(軟口蓋背方変位;Dorsal Displacement of Soft Palate)を発症してしまったようだ。グレードは不明だが、競争時のパフォーマンスとの相関は無いことが判明しているのでさほど心配はしていない。同馬は2歳ということもあり手術の適用にもならないだろう。ただしデビューまでは時間がかかることは間違いない。クラシックに間に合えばよいのだが。いずれにせよ、この馬はとにかく大事に使って欲しい。

 

 

・ダービーフィズ

思いいれのある元POG馬さんということで。函館記念での初重賞制覇を祝して。

元々から関節の稼働域が広く、フットワークの大きい走りをするので何とか筋肉が付いてくれば... と思っていたが、残念ながら開幕週の前残りのレベルの低いレースになってしまった何時ぞやの青葉賞をやる気なく後方から追走し、結果当然のことながら惨敗してダービー出走の夢は断たれた。その後4角捲り先頭で見せ場を作ったセントライト記念でユールシンギングの2着、菊花賞に挑むも残念ながら長距離とコースを2周あたりに戸惑ったのか惨敗。その後の成長を見守ってきた。

この馬自体、先にも書いた通り関節の稼働域が広く、かつ筋肉も柔らかい。従って馬格に比して一完歩の大きい雄大な走りをするのだが、残念ながらそれを支える筋肉量が十分でないため、結果として四肢から繰り出される前への推進力が弱く、一完歩によって進む距離が稼げない。加えてフットワークが大きいにも関わらず筋肉量が足りないため、瞬間的な加速が出来ないという弱点がある。この2つの弱点により、府中のような広いコースではより瞬発力で勝る馬にキレ負けする、小回りコースでは瞬間的な機動力で劣るためどうしても後手に回ってしまう。要するに決して瞬発力と機動力にこそ秀でてはいないものの、トップスピードを持続的に使えるタイプである。このように、同馬の勝ちパターンとしては、セントライト記念のようにある程度スローの流れを外から捲って押し切るか、もしくは府中で運よく雪崩れ込めれば、という勝ちパターンしかないと考えていた。しかし、歳を重ねるごとに少しずつ筋肉量も増えてきて、またある程度ハイペースを追走する体力もついてきたようなので、なんとかオープン勝ちくらいは... と期待していたところの重賞制覇である。

レースはマイネルミラノがある程度のハイペースを作る展開。同馬は中団の内から。岩田さんがスタート直後に押して出していき、かつ内を取りにいった。これは好騎乗だったと思う。後方からのレースだったら確実に届かなかった。さらにありがたかったのがマイネルミラノが玉砕的に3角あたりからスパートしてくれたこと。これによってレースはロングスパート合戦となった。かつ後ろの瞬間的な瞬発力に優れる馬に出番はなくなり、マイルに類似したペースを追走できない中距離馬は苦しくなった。現にヤマカツエースが残っているのはその証左だろう。こうなるとロングスパートに一日の長がある同馬にはもってこいの展開。岩田さんが早々に前を捕まえに行ったのも好騎乗である。あとは先に抜け出したハギノハイブリッドを捕まえるだけ。キレ負けしないか最後まで心配だったが、ここはさすが岩田さんの豪腕といったところだろう。

もっとも、洋芝や内を取りに行ったことが同馬にとって有利に働いた点も否めない。しかし、ある程度のペースで流れた上に、ロングスパート合戦になったこと、この2つが同馬にとって最大の勝因だろう。まずある程度のハイペースを追走できたこと、これはスローペースを追走した上で瞬発力を武器とする馬にとっては苦しい展開となった。同馬にはこれを追走する体力がついていたのは嬉しい限り。そして何よりも上記のようなロングスパート合戦である。

今後に関しては、いずれにせよ勝ちパターンとしてはこのようなロングスパートという形があっているだろう。このクラスで府中のようなコースで運よく雪崩れ込むのを狙うのはちとつらい。目黒記念で明らかなように、この馬の瞬発力自体は重賞で勝ちきるほどの武器ではない。個人的には小回りでそれなりに力の要る馬場のレースを選択的に使うのが良いと思うのだが、さて。あと気負わずに追走するタイプなのでそれなりに距離は持つと思う。