にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

15/11/7 National Hunt Racing

*その前に①

競馬法第3条の2第1項の海外競馬の競走を指定する告示についての意見・情報の募集

かなりキレてる。候補レースのリストはリンク内のPDFに載っているので参照して欲しいが、わたしはこの選定された候補レースのクソっぷりに唖然とした。どう考えても「最近日本馬が遠征したレース」と「誰でも知ってる有名レース」を機械的に選んだとしか思えない。例えば豪Cuafield Cup (G1)は昨年アドマイヤラクティが制したレースとして日本でも有名かと思うが、その実Melbourne Cup (G1)への単なるPrep Raceであり、その重要性など押して知るべしである。ほかにも文句を付けたい部分は大いにあるが、この選定に当たっては最低限「スーパーG1」を巡る議論を参照すべきであろう。

加えて、障害競馬からの選出は皆無であったことに関しては大いに問題である。障害競馬の振興は日本競馬界において喫緊の課題であり、現存する問題点としては様々なものが考えられるが、例えば事故率の高さに起因するファン離れ、障害馬への相対的な「蔑視」、またファン離れに起因する賭博としての魅力の低減などが挙げられる。世界的にも有名な英Grand National (G3)はその落馬率に対する事故の少なさは特筆に値し、また動物福祉への配慮、Aintree競馬場の獣医師の対応など見習うべき点は多い。加えて「スポーツ」としての魅力はその世界的人気と売り上げが示すとおり明らかであり、日本国内にもファンは多い。各国にこのレースに範を取った大レースが存在することは、Grand Nationalの障害競馬における重要性を端的に示すと言っていいだろう。このレースの馬券を売り出すことは日本国内における障害競馬全体に対する認識の向上にもつながり、ひいては日本障害競馬の復興にも一役買うのではないだろうか。日本障害競馬の賞金の高さは世界的に有名であり、英愛など障害競馬が盛んな国においても日本への関心は高い。日本障害競馬のレベルと国際的地位の向上は世界的に見ても障害競馬全体の振興にも繋がるだろう。わたし個人としては、日本障害競馬は世界各国の障害馬を一同に会させるポテンシャルがあると考えている。このような障害ワールドカップのようなレースが行われることになればそれは素晴らしいことだろう。

もっとも、海外競馬馬券の発売は心から歓迎すべきものである。しかし、対象となるレースは日本競馬ファンにとって海外競馬に対する関心の「取っ掛り」となるものであり、これは対象となる国の競馬に対する関心の高まりによる日本競馬へのフィードバックを考慮した、未来志向型のものでなければならない。今回のレース選定はそのような視点が欠落している。対象レースの選定にはそのような角度からの再考がなされることを願ってやまない。

 

あと、個人的にはVelká pardubická s Českou pojišťovnou (Stcc L)を入れて欲しいんだが...

 

*その前に②

www.stable-stars.com

Attheracesが主催する英愛障害競馬版POGっぽいのに参加してみた。10頭好きな馬を選んで、その競争成績によるポイントを競うらしい。POGっぽいものといってもこれからデビューする馬ではなく、既にある程度実績のある現役馬から選ぶことになっているので、あまり英愛障害競馬に詳しくない人でもご安心を。これを期に英愛障害競馬をちょっと詳しく追いかけてみるのもいいかもしれない。詳しいルールはリンク先を参照。わたしはフォロワーさんのPrivate Leagueに参加させていただいている。もしよければ是非。わたしは振り回してボロ負けする未来しか見えないが、こんなクソブログにいらっしゃる奇特な方ならば余裕だろう。

 

*Aintree Soft

Handicap Hurdle (C2) 3m149y

なかなかタフな馬場での長距離戦。昨シーズンのGrand Nationalで1番人気を背負った2014 Irish Grand Nationalの勝ち馬Shutthefrontdoorの復帰戦。好位から追走し、勝負どころから手ごたえが悪くなるも最後盛り返して3着。勝ったのは逃げたBroxbourne。

勝ち馬はかなりのスローペースからの逃げ切りであり、さほど強調は出来ないだろう。Shutthefrontdoorはさすがに一時はスピードの違いで置かれるも、最後までしっかりとバテずに脚を伸ばしており、復帰戦としてはこのくらいで良いのではないだろうか。

 

Betfred Hurdle (C2) 2m4f

2013 Cheltenham Gold Cup (G1)を制したBobs Worthの今期初戦。また、2013 Arkle Challenge Trophy (G1)を制したSimonsigが久しぶりに出走するレースとしても注目を集めていた。

レースはBobs Worthが軽快に逃げる展開。番手からSimonsigが追うも、道中かなり行きたがる素振りを見せる。残り2障害からBobs Worthの手ごたえが悪くなり、これに対してSimonsigは手綱を持ったまま追う。Simonsigの楽勝かと思われたが、追い出されると案外。そのままBobs Worthが逃げ切って勝利した。Simonsigは2着。

Bobs Worthは昨シーズンは精彩を欠いていたが、今シーズンは中々素晴らしいスタートを切った。調子が戻ってくれば長距離Chaseでは確実に面白い一頭だろう。Simonsigはやはり引っ掛かる面があるので、逃げの手に出るか、距離を短縮したほうが良いのではないだろうか。最も、その素質を高く評価されながらも怪我で長く休んでいた馬。とりあえずは無事に復帰してくれたことを喜びたい。

 

Handicap Chase (C2) 2m3f200y

人気はUpepitoからであったが、第12障害で落馬。勝ったのはトップハンデの牝馬Pepite Rose。絶好調時のSire De Grugyの2着もある実力馬であり、昨シーズンはさほど良いところが無かったが、ここは力を見せた。ある程度渋った馬場も良かったかもしれない。

 

*Kelso Soft

Novices' Handicap Chase (C4) 2m1f14y

逃げの手に出たThrothethatchが8馬身差の快勝。11st10lbを背負ってこのパフォーマンスは立派だろう。やや右に斜飛する点が気になったか。

 

Handicap Hurdle (C3) 3m1f170y

残り2障害から先頭に立ったIsaacstown Ladが7馬身差の快勝。

勝ち馬はここに来て3連勝。力をつけているようだ。ただしこの場場だと着差が付きやすいこと、また2着の馬はさほどスピードのある馬ではないだけにそのまま評価するのは禁物か。むしろ特筆すべきは2着のNeptune Equester。かつてはGrand Nationalにも挑戦したことのある12歳の古豪である。昨シーズンこそC3勝ちのみに留まったが、今シーズン初戦はなかなかの走りを見せた。長距離Chaseで期待したい馬の一頭である。

 

*Wincanton Soft

Rising Stars Novices' Chase (G2) 2m4f35y

ぼちぼち始まったNoviceの重賞。とりあえずここはJunction Fourteenが4馬身差の快勝。Chaseでは2戦2勝、トップハンデを背負っての勝利は立派だが、さほどHurdleで実績がない点、また相手にも恵まれた感があり、あくまでこれからが正念場だろう。

 

Elite Hurdle (G2) 1m7f65y

人気薄のByron Blueが大逃げを打つ展開も、後続は落ち着いて構える。残り3障害辺りでリードはなくなり、IrvingとMelodic Rendezvousの一騎打ちに。この勝負はIrvingがスピードの違いで7馬身差の勝利。

Irvingは昨年のこのレースでは最終障害で落馬するという不運があったが、今年はその鬱憤を晴らすような勝利を上げた。Fighting Fifth Hurdle (G1)勝ちのある馬であり、ここでは順当な勝利と言っていいだろう。ただしFaugheenには手も足もでない負け方をしているだけに、今後どのような路線を歩むかには注意が必要だろう。Melodic Rendezvousは重馬場でしか走らないことで有名な馬。今回はスピード負けだろう。