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にげうまメモ

障害競馬と艦隊これくしょんの個人用メモ ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

16/01/01 日本酒

*日本酒

相変わらず溜まってきたら適当に上げる方針。あくまでも一個人の感想なのであしからず。

 

秋田県 新政酒造 新政 純米90% (酒こまち)

某所にて試飲させて頂いた感想。ちなみに一瞬で売り切れたらしい。

まさかの磨き90%という食用米レベルの精米歩合。にも関わらず、以前書いたような秋田酒こまちという酒米のポテンシャル、そして新政酒造というブランドもあって非常に興味深い酒に仕上がっていることは間違いないだろうと思っていた。口当たりは90%磨きとは思えない清冽さだが、これが常温に戻ってくると米の甘み、柔らかさを醸し出して優しい世界を作り出してくれる。渋みや苦味が僅かに混じった複雑な味だが、やはり米の自然な甘みが前面に出ている。酒こまち60%磨きは頒布会でも飲んだが、こちらはより米の旨みと甘味を強く、奥深くしたイメージ。しかし一種の飲みにくさを誘引する米臭さを一切感じないのはさすがといったところだろう。後味としてはびっくりするくらい綺麗に抜けていくが、口の端の方に若干の甘みが残るといった印象。全体としては90%磨きとは思えないほどの酒。純米吟醸と言って飲まされたら騙される酒だろう。

 

秋田県 新政酒造 秋櫻(コスモス) 生酛木桶仕込

改良信交を40%まで磨いた酒。感想は一言。これは反則である。

香りは木桶仕込みらしく、木の香りがほんのりと漂ってくる。口当たりは改良信交らしい清冽な酸味。ここに米由来の自然で仄かな甘みが微かに、しかししっかりと絡み付いてくる。主旋律もまた改良信交らしい清純な甘酸っぱさが基調であるが、それを底から支えるようにじんわりと優しい米の甘みが口の中に広がっていく。これが予想以上に後味まで残るが、さすがは新政酒造といったところか、嫌味のある雑味が全く残らず、むしろ米の余韻を残して抜けていくというイメージ。40%という精米歩合にしてはしっかりと改良信交の味が生かされている。60%のものに比べると角が取れて丸みがあり、より清純なイメージだろうか。とにかく、完成度としては同系種の酒の中ではトップクラスだろう。これと同じ土俵で勝負を掛ける酒を一緒に飲んではいけない。これは単品で、良質な料理と一緒のその完成度の高さを味わうべき酒である。

 

新潟県 朝日酒造 洗心

「久保田」で有名な朝日酒造の季節限定商品。比較的古くから使われているたかね錦なる酒米を28%まで磨いた純米大吟醸。口に含むんだときの第一印象は淡麗な辛口だが、その後は28%磨きとは思えないほど野生的で力強い米の旨みが広がる。しかしここに飲みにくさを誘引するような一種の米臭さや嫌味を一切感じさせず、辛味を基調とした立体的な米の旨味を前面に出しているところはさすが朝日酒造のフラッグシップと言っていいだろう。後味はボディとなる力強い米の味が僅かに残るが、あくまで強烈なボディの自然な残影と言った印象で、全体としては辛口で米の旨味を前に出す酒でありながら非常に飲みやすいものであろう。個人的には久保田 万寿よりも好印象。日本酒に慣れていない人でも飲みやすいものであり、その名前の由来も良いため、おめでたい席の贈答品などには適した日本酒であろう。

 

・栃木県 小林酒造 鳳凰美田 純米吟醸 愛山 Black Phoenix

愛山を55%まで磨いた酒。口当たりはほとんどクセがなく、軽やかで微かな甘みが舌の上で踊る。次に来るのはふわりとした女性的で華やかな、それでいて濃厚な辛味。しかしこれは単純な辛味ではなく、渋味や苦味、酸味や甘味が重層的に折り重なった、それでいて角が取れてまろやかな優しく、複雑な味わいである。まさにナタの切れ味とはこのことだろう。後味は愛山の旨み、すなわち渋味と苦味がかなり重厚に残る。どちらかというとトップよりはミドル、ボトムで味わう酒だろう。この複雑かつ女性的な、それでいて力強い切れ味は愛山という酒米のポテンシャルと蔵元の底力を感じさせるものである。これは美味い。この蔵元はワイン酵母を使った酒なども出しているが、個人的にはこちらの愛山を使った酒の方にその高いポテンシャルを感じさせられた。

 

・栃木県 せんきん 仙禽 生酛 亀ノ尾

スペックとしては火入れのものと同じく、掛米35%、麹米50%というものである。独特なのはその口当たりだろう。火入れのものとは異なり、びっくりするくらいあっさりとした口当たり。僅かに酸味と甘みが感じられる程度か。常温に戻すとさらに酸味と甘みはバックへと引き、その清冽な爽やかさのみが前面に出てくる。酒として特徴的なのはそのボディであり、亀ノ尾という酒米のポテンシャルを感じさせる濃厚で緻密な旨み。微かな甘みと渋み、苦味を含んだ複雑な味。これがしっかりと後味まで残る味構造は上記の鳳凰美田 純米吟醸 愛山 Black Phoenixと類似しているだろう。ただし、こちらの方が米の旨みがより軽やかで華やかな印象。あちらは鉈の切れ味だが、こちらは短刀の切れ味とでも喩えるべきか。ちなみにこの製造方法は26BYまでで終了とのこと。この完成度の高さを鑑みると非常に惜しまれるが、仙禽の新たな成功の始まりを願ってやまない。

 

・栃木県 せんきん 仙禽 雪だるま しぼりたて活性 にごり酒

澱の量がかなり多いが、開栓時に炭酸が出るのと同時に混ざるので問題ない。蔵人の涙ぐましい努力を感じさせるまるでシルクのようにまろやかで緻密な澱の口当たりから、微炭酸と共にやってくる柔らかい酸味。ボディは仙禽らしい酸味を基調とした米から来る自然な甘みが前面に出てくる。後味は優しい米の甘みが自然に残るといったところ。まるで甘酒サイダーと表現したほうがいいだろう。びっくりするほど酒の進みが早いので飲みすぎに注意。澱の量がかなり多い割に米臭さや雑味を全く感じないのは50%磨きのせいか、この蔵の持つポテンシャルのせいか。にごり酒ということでやや好みはあるだろうが、このカテゴリーの中では間違いなく上位に入る酒だろう。

 

・栃木県 せんきん 仙禽  Dolce Rosso 2015

ボルドー産赤ワイン酵母で醸された純米大吟醸クラスの酒。お世話になっている酒屋さんからは「比較的ドライな味わい」とのご感想を頂いたが、今回わたしが購入したのが新酒ということもあるのか、非常に果実感溢れた新鮮でジューシーな印象を抱いた。口当たりはワインと見紛うほどの爽やかな甘酸っぱさ。ボディもこの日本酒らしからぬエレガントで爽やかな甘酸っぱい主旋律が駆け抜けていく。後味はわずかにこの甘みが残るといったところだろうか。まさにワイングラスに注がれて、ワインと言って飲まされたら騙されるくらいの味わいだろう。ワイン酵母で醸された日本酒は幾つか飲んだが、ここまでワインに近い風味を出しているものは珍しい。しかし、ただワインに類似させるだけではなく、日本酒として緻密で可憐な一つの世界観を作り上げているのはこの蔵のなせる業といったところだろうか。

 

秋田県 新政酒造 瑠璃(ラピス) 生酛木桶仕込 2014

美山錦を用いたラピスの木桶仕込みバージョン。飲んだのが2014年の年末なので若干熟成が進んでいた可能性があることに注意。ほんのりと木桶の香りが漂ってくるのはコスモスと同じ。口に含むとラピスらしい辛味にも似た強烈な酸味が印象的である。しかし美山錦の成せる技か、この辛味にも似た酸味に遅れてやってくるのが渋味や苦味の混ざった奥深く、緻密な米の味。後味までこの米の味はそれなりに残る。後味に若干塩味のようなものを感じるが、これは木桶仕込みのせいだろうか。いずれにせよ、強烈な切れ味が印象的なノーマルラピスよりもこれを支える米の味がしっかりと出ているように感じた。ラピス中取りにイメージとしては近いだろうか。ラピスよりも自己主張は強いので、クセの強い料理とも合わせやすいだろう。

 

秋田県 新政酒造 生成(エクリュ) 生酛木桶仕込 2014

酒こまちを用いたエクリュの木桶仕込みバージョン。木桶仕込みらしく、ほんのりと木桶の香りが漂ってくる。エクリュということで軽く甘酸っぱい味わいを想像していたが、これが全く違う。確かに甘みの勝った味わいが主体だが、酸味は比較的抑えられ、ここに渋味、苦味、若干の塩味など様々な感覚が複雑に絡み合った味わいが特徴的である。加えて、そのそれぞれが混ざり合うことなく、一つの味としてはっきりと独立して知覚出来るのにも関わらず、全体として緻密な調和を保っていることは特筆に価するだろう。後味は新政としては比較的苦味と渋味が残る。これは木桶仕込みのせいかもしれない。ノーマルのエクリュは比較的軽やかな酒だが、これは全くの別物と思った方が良いだろう。

 

秋田県 新政酒造 平成26酒造年度 全国新酒鑑評会 金賞受賞酒

美郷錦30%磨き、6号酵母にて醸した酒。曰く、全国新酒鑑評会にて「山田錦」以外の酒米に加え、6号酵母を用いて金賞を受賞するということは大変な快挙とのことである。これはそのタンクの酒を市場にも流通して頂いたもの。

感想は、まさに「芳醇にて瑞々しく、そして清純」。冷酒であれば比較的酸味と辛味の勝った味わい。常温に戻してくると米から来る自然な甘味が主体となる。そしてここに、なんとも形容し難い、渋味、辛味、酸味、苦味、塩味... 様々な味覚が複雑に絡まりあい、一つの調和を成した世界が形成される。辛いと思えば辛い、甘いと思えば甘い、酸っぱいといえば酸っぱい。そのような非常に奥深く、多様な文脈を持つ世界観である。これはもはや「芳醇」と形容するしかないだろう。そしてこの味わいの一つ一つがが瑞々しく、全体として生き生きとした世界観を成しているのだ。30%磨きにてここまで立体的で、色鮮やかな世界を形成できると誰が想像しただろうか? さらに、これ程までの複雑な味わいにも関わらず、米の嫌味を感じさせるような雑味が一切存在せず、緻密で繊細な調和を保っていることは特筆すべきことであろう。これは旨い。四合瓶で8000円ほど取られた上に、贔屓の酒屋に値札すら付けずに一本だけ(しかもラベルの破損あり)置いてあったのを迷うことなく買ってきたが、正直8000円が安いと思える程の完成度である。同蔵が高級路線に突き進んでくれないことを祈る。わたしは破産する自信がある。

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