にげうまメモ

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16/01/17 National Hunt Racing

*Leopardstown Soft to Heavy

Leopardstown Handicap Chase (Grade A) 2m5f

13歳馬Seabassがゆったりと逃げる展開。Los Amigos、Empire of Dirtが好位の内。大外を回るのがHeathfield。2周目辺りから少しずつペースは上がるが隊列は変わらず。第7障害で後方にいたRivage D'orが落馬。残り5障害ほどからペースは上がり、最終コーナーを内で立ち回ったEmpire of Dirtが先頭に。これを後方にいたKiller Crowが追ってくるも、Empire of Dirtがこれを2馬身ほど抑えて勝利した。Seabassは3着まで。

Empire of DirtはHurdleでListed勝ちのある馬。Chaseでは平場のハンデ戦を1勝とあまり成功していなかったが、ここで大きな勲章を手に入れる結果となった。ただしスローからの上がり勝負を好位の内で立ち回ったこと、及び9st11lbという軽ハンデが味方したことは否めない。2着のKiller Crowも内を立ち回った利と10st1lbの軽ハンデが効いたか。2012 Grand National (G3)で3着の実績のあるSeabassは最後はスピード負けしての3着。ただしここに来て調子を上げており、今回も飛越としては危なげのないものを見せていた。Aintreeに向かうのであれば要注意の一頭だろう。

 

'Money Back On Fallers' At Coral.ie Novice Chase (G2) 2m3f

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レースは一周目から圧倒的人気のKillultagh Vicが離し気味に逃げる展開。Lord Scoundrelが番手から。二周目からKillultagh Vicはさらにリードを広げて逃げる。第8障害で後方にいたCaptain Hoxが落馬。残り3障害辺りから後方にいたBlair Perroneが追ってくるも、残り2障害で同馬は小さなミス。ここで逃げるKillultagh Vicの鞍上Ruby Walshは後方を確認してスパート。事件があったのは最終障害。先頭のKillultagh Vicが着地からの二歩目に失敗する格好で膝を付いてしまう。さらに立ち上がろうとする形で前脚を上げ腰を落とす格好に。しかし鞍上のRuby Walshはここで落馬することなく馬を立て直し、一度は完全に交わされたBlair PerroneとLord Scoundrelを、鬼神のようにKillultagh Vicを追いまくることで、ゴール直前に前の2頭を交わし勝利。僅差の2着にはBlair Perroneが入った。

Killultagh VicはNovice Hurdle G1勝ちのある馬。Chaseはこれで2戦2勝とした。平地のスピードはさすがのものを見せていたが、踏み切り位置が安定せず、経験の浅さを覗かせていた。特にトップスピードに乗ってからの飛越のミスは今後を考える上では懸念材料だろう。

それにしても、落馬寸前のミスから馬を立て直したRuby Walshの手腕は見事である。馬が幸い前方向にバランスを崩し、横方向のブレが少なかったとはいえ、トップスピードから落馬した馬の上でバランスを取り、落馬しなかったバランス感覚は素晴らしい。さらに、右のアブミが外れた状態で重心が全くブレることなく馬を追いまくる技術は凄まじいの一言。障害馬は平地馬と異なり、瞬間的に加速できる馬は少ない。既にトップスピードに乗っており、バテてもいない2着馬を、あの不利から立て直しトップスピードまでもう一度乗せ、差し返す技術。これはもはや神業の域に達しているだろう。これが障害競馬の聖地、アイルランドにおける超一流ジョッキーRuby Walshの技術である。

なおこの神騎乗は世界各国で話題になっていたらしい。これにはRuby Walshの世界的な知名度の高さも覗える。