にげうまメモ

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16/02/06 National Hunt Racing

*Sandown Park Soft

ちょいとややこしかったSandown Parkの馬場。HurdleはHeavy寄りのSoft、ChaseはGood to Softといったところだろうか。HurdleはHome StraightはHeavy in Places、Back StraightはGood to Soft in Placesとの表記になっている。

 

Juvenile Hurdle (C3) 1m7f216y

Akavitが逃げる展開。好位からSearching、Fingertips。人気のSeven Kingdomsは後方から。残り2障害辺りから人気の2頭、Seven KingdomsとFingertipsが追ってくるも、最終障害でFingertipsは落馬。Seven Kingdomsも脚色が一杯になり、Akavitが8馬身差の快勝。

AkavitはAWを使ってきた馬。HurdleはHeavyでの未勝利勝ちがある程度だが、ここでは強い競馬を見せた。C4 Noviceを完勝して挑んだSeven Kingdomsは完敗の内容。Soft (Heavy)で勝ってきた馬だけに馬場は言い訳にはならない。Fingertipsは余力をなくしての落馬だが、この馬自身Juvenile G2に挑んだくらいの馬であり、レースとしてはそれなりの水準にあると考えてよいだろう。

 

Contenders Hurdle (Listed) 1m7f216y

Rayvin Blackが例によって飛ばす展開。人気のPeace And Coは相変わらず頭の高い走法ながら3番手から。残り3障害辺りから逃げるRayvin Blackに並びかけるも、そこから伸びず。むしろ番手にいたConnetableがRayvin Blackとの叩き合いを制して勝利した。

Connetableはフランスからの移籍馬で、今回は英国二戦目。初戦はC3で2着といった程度だが、今回は自分の形に持ち込んだRayvin Blackを競り落とす競馬を見せた。10st4lbという斤量が味方した部分はあれど、今後侮れない一頭だろう。Rayvin Blackは重馬場、単騎逃げと展開は味方したが、最後は斤量の差もあるのか僅差の惜敗。重馬場でThe New Oneを苦しめたくらいの馬なのでこれくらい走っていい。それにしてもPeace And Coはどうしたのだろうか。相手関係から考えればここは勝たなければいけないレース。本来重馬場は得意な馬なのだが。

 

Handicap Chase (C2) 1m7f119y

HandicapとはいえMr Moleなどの回避によって、残った4頭はほぼ同じような斤量で走ることになってしまったレース。Arthur's Oakが軽快に飛ばし、Ulck Du Linが2番手から。Chirs Pea Green、Bold Henryは飛越にミスを連発し、ペースに戸惑っているように見えた。Ulck Du LinとArthur's Oakの競り合いは、ゴール前Arthur's Oakが差し返し勝利。

Arthur's OakはHeavyからGood To Softくらいまではこなせる馬。Heavyでも勝ち星はあるが、スピードを生かすという意味ではこれくらいの馬場の方が合っている。対してUlck Du Linは良馬場の方が良い馬。ブリンカー効果もあったのか、今回は最後まで集中して走っていた。前走Arthur's Oakを下してきたBold Henryはやはり極端な重馬場の方が良い感。今回はスピード負けか。

 

Isles Novices' Chase (G1) 2m4f10y

人気のBristol De Maiが軽快に逃げるレース。As De Mee、Tea For Twoがこれを追う展開。残り3障害辺りから後続の手ごたえが怪しくなるのを尻目に、Bristol De Maiがこれらを突き放し6馬身差の圧勝。2着にはAs De Meeが入った。

Bristol De MaiはHurdleではJuvenile G1勝ちのある馬。やはり中距離が合っている。やや渋った馬場も良かったか。どちらかというと一定のテンポで引っ張るマラソンランナーであり、相手がペースについて来れない場合は強い競馬を見せる一方で、ペースについて来られたり、それ以上のペースを繰り出されると脆いという面がある。今後の課題はそのあたりだろう。Kauto Star Novices' Chase (G1)では余力をなくして落馬したAs De Meeは2着。やはり中距離の方が良い。同レースを快勝したTea For Twoは残念な敗戦。どちらかというとスローの上がり勝負の方が合っているということだろう。

 

Heroes Handicap Hurdle (G3) 2m7f98y

Yala Enkiが例によって軽快に飛ばす展開。番手にいたSaddlers Encore、Join The Clanが残り2障害辺りからこれに取り付くと、後は3頭の叩き合いに。この中から抜け出してきたSaddlers Encoreが勝利。後続は相変わらず出番なし。

この中で評価しなければならないのはやはり11st0lbを背負って3着まで粘ったYala Enkiだろう。前走こそ出し抜けを食らわせたような逃げ切り勝ちであったが、今回は自らペースを作り出し、最後までその脚色は衰えていない。どちらかというとミドルペースで引っ張るマラソンランナーということだろう。どうやらSoft程度の馬場がよい馬のようだ。ただし、Saddlers EncoreはNovice勝ちがある程度の馬だがここでは好走した。Join The ClanもC2勝ちがある程度の馬。ややレースレベルには疑問が残る。

 

*Wetherby Soft (Heavy In Places)

Mares' Novices' Hurdle (C4) 2m

こちらはがっつりHeavy寄りのSoft。レースは気性の悪さを露呈するTurtleplexが外をふらふら走る中、とりあえず先頭を切るのがSecret Door。これを残り2障害から人気のPink Playがきっちり差し切り勝利。後続は大きく離された。

Pink Playは前走未勝利戦で同じ相手を下してきた馬。今回は6stのペナルティがあったが同じ結果となった。ただしいずれも重馬場でスローのレース。上に行ってどこまでやれるかはかなり疑問だろう。

 

Handicap Chase (C2) 2m3f85y

Sew On Targetが逃げる展開。好位置からRenard、Rathlin、後方からトップハンデのKatkeauなど。レースは手ごたえが怪しくなった後続を尻目に、残り4障害からリードを広げたSew On Targetが32馬身差の圧勝。

Sew On Targetは11歳、ここのところは全くいいところがなかったのだが、ここでは驚きの劇走を見せた。かなり渋った馬場をこなせる馬がいなかったということも大きかったのだろうか。

 

Towton Novices' Chase (G2) 3m45y

下級条件からの上がり馬Kingswell Theatreが引っ張る展開も、第9障害から後退。替わってBitofapuzzle、Definitly Redなどが先頭集団に。ここから抜け出してきたDefinitly Redに残り2障害から並びかけたBlaklionが8馬身差の完勝。

BlaklionはChase2勝目。前走こそSeeyouatmidnightの2着に敗れたが、やはり3m戦の方が良いようだ。渋った馬場も得意な馬。HeavyのListedでBlack Herculesの2着に入っていたDefinitly Redは条件こそ向いたが、今回は相手が悪かったか。Native River、Bitofapuzzleは馬場が良くなかった印象。特に後者は牝馬限定戦ばかりで勝ってきた馬であり、見た目の成績こそ綺麗だがセン馬相手の重馬場という条件では厳しかったということだろう。

 

Open Hunter's Chase (C6) 3m45y

ベテラン揃いの一戦。レースはMister Philsonがスローで逃げる展開。残り2障害辺りから先頭に立ったPalypso De CreekがBig Fella Thanksの追撃を振り切ると、あとは21馬身差の圧勝。

Palypso De Creekはこの路線の常連。2010 Grand National (G3)への参戦暦もある大ベテランの13歳馬である。1年近い休養明けとなった今回も、道中安定した飛越を見せさすがのパフォーマンスである。2009-11、2013 Grand National (G3)参戦暦のある偉大なベテラン14歳馬Big Fella Thanksは完敗の内容。かつてはGrand National (G3)を3回も完走しているほどの馬であるが、現状では3mはやや長いようだ。

 

*Leoparstown Soft

Gain Spring Juvenile Hurdle (G1) 2m

Let's DanceとJer's Girlが並んで逃げる展開。圧倒的人気を集めたIvanovich Gorbatovは好位から。残り2障害から後方のFootpadが外から進出。好位のAllblak Des Placesもこれに取り付く。Let's DanceとFootpad、Allblak Des Placesの叩き合いは外から伸びたFootpadが2馬身差の快勝。3着までをMullins師の管理馬が占める結果となった。Ivanovich Gorbatovは伸びず4着まで。

Footpadはフランスからの移籍馬で、愛国では4戦3勝とした。Leoparstownは残り2障害がカーブの手前に設置されており、比較的短い最後の直線に最終障害があるという構造。レースとしては残り2障害前くらいから動くため、比較的平地のスピードを活かしやすい構造となっている。外から進出したFootpadは平地のスピードで一枚上手であったと考えてよいだろう。未勝利を勝ってきたIvanovich Gorbatovは最後の直線で伸びず4着まで。前が飛ばしたのも厳しかったのだろうか。

 

Deloitte Novice Hurdle (G1) 2m2f

圧倒的人気のBellshillが逃げる展開も、残り3障害辺りから後続が殺到。Bleu et RougeとTombstoneのレースは前者に軍配が上がった。Bellshillは全く抵抗できず離れた3着まで。

Bleu et Rougeは未勝利勝ちがある程度の馬であり、前走はLong Dogに完敗している。2着のTombstoneはLong Dogに僅差で負けている馬だけに、これは驚きの結果だろう。3連勝で挑んだBellshillは並ばれてから抵抗できず。ここまでの相手が弱かったのか、それとも並ばれると脆いところがあるのかは分からないが、いずれにせよ馬場は関係ないだろう。

 

Flogas Novice Chase (G1) 2m5f60y

OutlanderとPont Alexandreが引っ張る展開。2周目から徐々にペースが上がり、一時は2頭で後続を引き離す。最終障害までほぼ2頭のマッチレースかと思いきや、最終障害でPont Alexandreがまさかのミス。これを利してOutlanderが後続に2馬身ほどの差をつけて快勝。2着には後方から追い上げたMonkslandが入った。Pont Alexandreは3着まで。

Pont Alexandreのミスが勝敗を分けた結果となった。これも残り2障害から最終障害までかなりの距離があるLeopardstown競馬場の特性だろう。OutlanderはChaseはこれで3戦3勝。ただしいずれもが僅差の勝利であり、Hurdle G2勝ちのある同馬のスピードで勝ってきたという印象は否めない。MonkslandもやはりHurdleに実績のある馬。Pont Alexandreは最終障害で勿体無いミス。この馬もHurdle実績がある馬だが、復帰後はChase1勝のみでRoi Des Francesに完敗といまいち。

 

Irish Gold Cup (G1) 3m60y

去年まではHennessy Gold Cup (G1)という名前だったレース。On His Ownがやや離し気味に逃げる展開。Road To Riches、Foxrockが番手から。Valseur Lidoは好位。Carlingford Lough、Sir Des Champs、First Lieutenantなどは後方から。On His Ownは相変わらず右に斜飛するクセを見せていた。第10障害、残り2障害でOn His Ownはミスをし後退。替わってValseur Lido、Road To Riches、Carlingford Loughらが進出するも、最終障害手前で先頭に立ったValseur Lidoがまさかの落馬。そのまま平地の脚でCarlingford LoughがRoad To Richesを突き放し、最後は12馬身差の圧勝。

Carlingford Loughは最低人気の馬だが、実は昨年の勝ち馬。On His Ownが逃げた展開であったが、同馬自身はスピードには難のある馬であり、かつある程度離して逃げており、後続は実質スローであったということだろう。Carlingford Loughはとにかくスローからの上がり勝負に強い馬で、昨年も同様の形で勝ってきていた。その後は精彩を欠いていたが、今シーズン2回使われてようやく調子を上げてきたのだろうか。Road To Richesは2015 Cheltenham Gold Cup (G1)の3着馬。Lexus Chase (G1)などG1は2勝している馬であり、今シーズンのCheltenham Gold Cup (G1)に向けてもここは勝っておきたかったが、残念な敗戦。どちらかというとこの馬はミドルからハイペースで引っ張るマラソンランナーであるだけに、自身でペースを作ったほうが良いと思う。勿体無かったのがValseur Lido。ただしこの馬もスローからの上がり勝負に強い馬であることは注意しておいた方が良いと思う。On His Ownは2回の大きなミスが響いた。戦法としてはこれでよいと思う。First Lieutenantはトップスピードには難があるため、このような消極的な競馬はやや残念である。Sir Des Champsも復帰後はいまいち。