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にげうまメモ

障害競馬と艦隊これくしょんの個人用メモ ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

16/03/16 National Hunt Racing - Cheltenham Festival -

*Cheltenham Good (Good to Soft in Places)

Cheltenham Festivalの2日目、Ladies Day。馬場は前日から比べるとやや乾いてきたようで、Good表示で行われた。場所によっては若干掘れていたようで、昨年ほどの超良馬場と言った印象ではない。

 

Neptune Investment Management Novices' Hurdle (G1) 2m5f26y

逃げると思われたYala Enkiが出足が付かず、代わりにやや引っ掛かり気味にThomas Hobsonが逃げる展開。Ghost River、A Toi Phil、Its'afreebee、O O Seven辺りが好位。人気を背負ったYorkhillは後方の内、Yanworthは中段の外から構える。ペースは行きたがったThomas Hobsonが引っ張ったため序盤こそ流れるも、2周目に入った辺りからペースは落ち着く。第4障害で中段に居たYala Enkiが後肢での着地を失敗し、すぐにPU。第6障害の前辺りで先頭集団の内にいたIts'afreebeeとO O Sevenが接触し、Its'afreebeeはコース外に出そうなほど不利を受ける。残り4障害辺りから後続が殺到、Thomas Hobsonは全く抵抗できず後退。O O Seven、Bello Conti、Its'afreebee、Yanworthなど一団で直線に。しかしこの狭い馬群を抜け出してきたのがYorkhill。抵抗する人気のYanworthを抑え切り勝利。離れた3着にはIts'afreebeeが入った。

YorkhillはこれでHurdle3戦3勝。Heavyでの実績しか無いため一番人気こそYanworthに譲っていたが、狭い内を潜り抜けてくる器用さ、卓越したトップスピード、さらにぶつけられても怯まない精神力を見せ付けた。外を不利無く回ってきたYanworthと比べると着差以上に差はあるだろう。下り坂から一気にペースが上がるCheltenham Old Courseらしい展開だが、上のクラスに上がっても楽しみな一頭だろう。

4戦4勝、前走はShantou Villageを7馬身千切る快勝を見せてきたYanworthは2着。良馬場での実績があるため人気を背負っていたが、どちらかというと重馬場の方が得意な馬かもしれない。ただしかなり厳しいレースをしてきた勝ち馬と比べると、スムーズに立ち回ったアドバンテージを活かしきれなかったこの敗戦は大きい。

実は3戦3勝で挑んできたIts'afreebeeは戦前の低評価を覆す3着。やはりトップスピードで置いていかれたように馬場は渋ったほうが良さそうだが、道中の不利を覆す見事な走りを見せた。A Toi Phil、Bello Conti、O O Sevenなどは直線での伸びを欠いた。上位と比べると格下だろう。Novice G2を勝って挑んだThomas Hobsonは引っ掛かり最後はバテてPU。さすがに気性面での進歩が見られないとこのクラスでは厳しい。

 

RSA Chase (G1) 3m80y

長距離Novice Chaseの最高峰。Seeyouatmidnightがスローで逃げる展開。Le Mercurey、Roi Des Francesがこれを追う。Blaklion、Shaneshill、人気のMore of That、No More Heroesは後方から。ペースは一向に上がらず、淡々とレースは進行。More of Thatはやや途中で押して行かれたり、飛越にミスが見られたりとスムーズさを欠く。残り4障害辺りから例によって例の如くペースが一気に上がり、Seeyouatmidnightは後退。替わってRoi Des Francsが先頭に立つも、内からBlaklion、Shaneshill、More of That、No More Heroesらが一気に殺到し、これらが先頭集団に。ここから抜け出してきたのがBlaklion。Shaneshillとの内外を分けた激しい叩き合いはBlaklionに軍配が上がった。離れた3着にMore of That、4着にNo More Heroes

BlaklionはNovice HurdleではDoom Bar Sefton Novices' Hurdle (G1)にてThistlecrackの4着がある馬。前走Towton Novices' Chase (G2)にてDefinitly Redを8馬身下してここに挑んできた。障害馬には珍しくピッチを上げるタイプのスパートをする馬で、残り3障害辺りからの究極の上がり勝負はこの馬に向いたのだろう。ロングスパート合戦や持久力勝負への適正は分からないが、少なくともこのような展開になれば大仕事をやってのけるだけの馬だと評価しておいた方がよいかもしれない。

2着のShaneshillは16f戦を使ってきた馬。Chaseでは平場戦しか勝ち星はないが、Irish Daily Mirro Novice Hurdle (G1)にてKillultagh Vicの3着はある。この馬もどちらかというと24f戦で陥りがちな超スローからの上がり勝負に適応した馬だろう。最後の決め手比べでは勝ち馬に劣ったが、着差はわずかであり勝ち馬とは殆ど遜色ないと言っていいだろう。

期待されたWorld Hurdle (G1)の勝ち馬More Of Thatは最後遅れ3着。鼻出血を発症していたらしく、やや心配である。飛越にもスムーズさを欠き、今後に向けて不安の残るレース内容となってしまった。Seeyouatmidnightは飛越が全体的に低く、何度も脚をぶつけていた。後続が殺到したときに全く抵抗できなかったのは実力だろう。Roi Des Francsは良馬場は合わない。Doom Bar Sefton Novices' Hurdle (G1)にてThistlecrackの2着があるVyta Du Rocは伸び切れず。

なお4着に入ったNo More Heroesはレース後左前脚に故障が判明したとのこと。現役続行は絶望的な重傷で、懸命な治療がなされたが残念ながら予後不良と診断されたとのこと。Novice G1を2勝するなど、アイルランド長距離Chaseで非常に高いポテンシャルを見せてきた馬。同馬のご冥福を祈る。

 

Coral Cup (Grade 3 Handicap Hurdle) 2m5f26y

わけのわからん26頭立てのハンデ戦

Baron Alcoが逃げる展開。Ubak、Hunters Hoof、Qewy、Theinval、Rock The Kasbahなどが先頭集団。Three Kingdoms、Diamond King、Long House Hall、Brother Teddなどが中段。レースは例によってさほど流れず、残り4障害辺りから一気にペースが上がり、後続が殺到する展開。その中から内を掬って伸びてきたDiamond KingがLong House Hallの追撃を1馬身ほど押さえ勝利。3着にはUbak、4着にはBlazer、5着にはBaoulet Delaroque、6着にはWaxies Dargleが入った。この辺りまで殆ど差はない。

当然レース適性や能力の問題はあるが、こうなったら殆ど騎手の腕で決まるようなものである。Cheltenham Old Courseの最終コーナーは比較的急カーブできつく、内側が空きやすい。その内を付いてきたDiamond KingのD N Russel騎手の騎乗は見事であった。勝ち鞍としてはNoviceの下級条件戦とアイルランドの平場戦程度だが、前走Jennies Jewelを下してきた実力は確かなものだったということだろう。

むしろ勿体無かったのが2着のLong House Hall。外をスムーズに回るかと思いきや、進路が空かず結局は内を掬って伸びてくる展開。昨シーズンからChaseに転向していたが、元々はC2の良馬場で圧勝するくらいスピードのある馬。スムーズであれば勝ちまであった内容だろう。

外を比較的スムーズに回れたUbakは惜しい3着。勝ち鞍としてはNovice G2程度のものだが、前走Lil Rockerfellerの2着と調子を上げてきていた。勝ち馬とはコース取りの差だろう。好位から立ち回ったBlazerは4着。重馬場では大敗している馬だけにやはり良馬場の方が良い。未勝利から3連勝で挑んできたBaoulet Delaroqueは残り2障害辺りでやや遅れるところがあり、最後こそ伸びているだけに勝負どころでの遅れが悔やまれる。下級条件から勝ちあがってきた馬はこのような重賞では勝負どころでの急激なスピード変化に対応できない場合があることは注意しておいた方が良いだろう。Old Guardの3着のあるWaxies Dargleは後方から追い上げるも6着まで。さすがにこの展開で後方に構えると厳しいものがある。

 

Queen Mother Champion Chase (G1) 1m7f199y

Sprinter Sacre、Sire de Grugy、Dodging Bulletsと歴代のチャンピオンが勢ぞろいしたレース。しかし人気は新星Un De Scauxが被っていたようだ。

レースは昨年の3着馬Special Tiaraが猛然と逃げる展開。スピードを殺さないための踏み切りの遠い飛越を前半から見せており、相当なハイペースを作り出していたようだ。これについていけず第一障害でミスをしたSizing Granite、第二障害でミスをしたFelix Yongerは早々に遅れPU。Un De Sceauxは無理に競りかけていかずに番手で構える。これを好位で追うのがSprinter Sacre、Just Cameron。Somersby、God's Ownらは中段から。Dodging Bullets、Sire De Grugyはペースについていけず後方から。残り4障害辺りで一旦ペースを落としたSpecial Tiaraの隙を突いて、Un De Sceauxが先頭に立つ。しかしここからSpecial Tiaraが抵抗、さらに外からSprinter Sacreが猛然と追い、残り2障害で先頭に立つ。そのまま叩き合うUn De Sceuaxと反撃を試みるSpecial Tiaraを尻目に3馬身差の快勝。2着には何とかSpecial Tiaraを凌ぎきったUn De Sceauxが入った。離れた4着にはGod's Own、5着にはSomersby。Sire de Grugy、Dodging Bulletsは大敗。

かつては連戦連勝、向かうところ敵なしであったSprinter Sacre。しかし2013年Desert Orchid Chase (G2)にて心房細動を発症し、13/14シーズンは全休、14/15シーズンは復帰するも精神的なものか、元のパフォーマンスを取り戻せずにいた。しかし15/16シーズンはShloer Chase (G2)での圧勝を皮切りに、2年ぶりの再戦となったSire De GrugyをDesert Orchid Chase (G2)にて雪辱を果たすなど、復活振りをアピールしていた。しかし、ここ2戦はいずれもスローの上がり勝負、前走もSire De Grugyの最終障害飛越の拙さに助けられた部分もあり、ハイペースで飛ばす馬が出てくるここは比較的懐疑的な見方が強かった。その前評判を覆す圧勝である。短距離Chaseにて超一流馬しか付いていけないほどの圧倒的なハイペースを作り出すSpecial Tiaraを追走し、勝負どころで満を持して仕掛けたUn De Sceauxを交わし去るトップスピード、そして最後まで我慢する精神力と持久力。どれをとっても短距離Chaseの超一流馬のそれだろう。

Un De Sceauxは積極的な競馬で2着。この馬自身ピッチ走法であり、前脚での着地が怪しい代わりに小足を使うことで誤魔化しているという部分がある。そのため馬が行きたがる休み明け初戦では落馬、前走のAscotでは相当慎重に乗っての勝利と来ていた。しかし、今回は第4障害でややミスをした以外は危なげのない飛越、内容もSpecial Tiaraのペースを追走して最後まで脚を使うという非常にレベルの高いもの。着地にこそ難はあるが、そのスピードと持続力、持久力、精神力はこれも超一流馬のそれである。一方でこの激戦の立役者Special Tiara。14/15シーズンからこの形を見出し、積極的な競馬でAP McCoy Celebration Chase (G1)も制覇するなど結果を残してきた。今シーズンは極端な不良馬場に泣いたり、Tingle Creek Chase (G1)ではSire De Grugyによる最終障害での不利によって勝ちを逃したりと悔しい競馬が続いていた。ここでも残り4障害辺りからUn De Sceauxが来たところで一旦先頭を許してしまったのは痛恨の極みであろう。最後までバテずに脚を伸ばしているだけに、このミスは非常に悔やまれる。もしかすると途中にトリッキーな障害のあるSandown競馬場のイメージで乗ってしまったのかもしれない。圧倒的なスピードを持つことはもちろんだが、どちらかというと玉砕的な逃げで後続を潰すタイプの逃げ馬。そのトップスピードはもちろん、スピードの持続力と踏み切りの遠いリスクの高い飛越を繰り返すことに長けた馬。何かとヒール役になってしまっている馬だが、乗り方一つでタイトルを取れる馬だろう。

その他。God's Ownは離れた5着。この馬はとにかくハイペースになればなるほど力を発揮する馬だが、やや今回は上位馬とは力差があるように感じられた。どちらかというと自ら厳しいラップを刻んだほうが良いかもしれない。昨年の2着馬で12歳の大ベテランSomersbyは5着。ここ最近は飛越も安定してきているが、やや力落ちがあるかもしれない。昨年の勝ち馬Dodging Bulletsはさっぱりな大敗。この馬は調子落ちだろう。Sire De Grugyはペースに全く付いていけず大敗。この馬も骨折を乗り越えて復活してきた馬だが、Tingle Creek Chase (G1)ではSandownの特殊な障害配置と最終障害のハプニングに助けられた部分が大きかった。Special Tiaraが伸び伸びと逃げるこの舞台では荷が重かっただろう。2m5f戦に転向した方がよいかもしれない。中山GJに登録のあったFelix YongerはペースについていけずPU。このような超のつくハイペースは未経験な馬だけに厳しい。もっとも、この大敗で中山GJに来ても勝負にならなかったと判断するのは短絡的に過ぎると思うが。このようなChaseをハイペースで飛ぶ能力と中山のHurdleをハイペースで飛ぶ能力は違うでしょう。

それにしても、あのSprinter Sacreが心房細動で競争中止した日、待ち望まれた復帰戦でかつてとは程遠いSprinter Sacreの姿を見た日、再び短距離Chaseにおける伝説的な最強馬Sprinter Sacreの姿をCheltenhamの地で見ることが出来るとは思わなかった。アイルランドの名伯楽Mullins師はこの勝利を祝福しこう述べている。"It's a winner for Racing"。そう、これはSprinter Sacreの、Sprinter Sacreに関わった全ての人の、獣医医療の、そして競馬全てのための勝利である。最後に同馬を管理するNicky Henderson師の言葉を紹介してこのレース短評を終わりたい。

"Dreams do happen, It's unbelievable."

 

Glenfarclas Cross Country Chase (C2) 3m6f37y

フランスからはUtah de la Coquaisを迎えて行われた今年のCross Country。なおGlenfarclasとはウィスキーの銘柄である。中々華やかな風味で美味いので是非(宣伝)。

レースはValadomが逃げる展開。Love Rory、Ballyboker Bridge、Any Currency、Sire Collongesらが好位から。昨年は勝負どころでコース外に押し出されてしまい無念の競争中止となったQuantitativeeasing、上がり馬Josies Orders、Third Intention、Bless the Wingsは中段から。昨年のGrand Nationalの1周目のCanal Turnで落馬し、その際にBallycaseyに蹴られて肋骨を骨折したBalthazar King、昨年の勝ち馬Rivage D'orは後方から。例によって15歳馬Uncle Juniorは最後方から。復帰戦となったBalthazar Kingはどうにも飛越が終始安定せず、第16障害Cheeze Wedgeで落馬。残り6障害辺りからValadomの余力がなくなり、替わって好位にいたAny Currencyが先頭に。Sire Collongesはこの辺りで遅れる。これを追うのがQuantitativeeasing、Bless The Wings。最終コーナーを回って粘りこみを図るAny Currencyを外からBless The Wings、内からJosies Ordersが強襲するも、これをAny Currencyが1馬身ほど凌ぎきり勝利。

13歳馬Any Currencyは英国Cross Country路線の常連。昨年はRivage D'orの惜しい2着、その前はBalthazar Kingの2着と来ており、ここでようやく嬉しい戴冠となった。前走は徐々にペースが上がる展開で付いていけず大敗したが、今回はValadomが淡々と引っ張り、さらに極端にペースの変動がなく早々に先頭に立てる展開はこの馬に向いただろう。トップスピードこそ見劣るが、とにかくスピードの持続力と飛越能力に優れた馬。既にかなりの高齢だが、まだまだこの路線では活躍が見込まれる。

今シーズンに入ってCheltenhamのCross Countryを2連勝してきたJosies Ordersは惜しい2着。最後の伸び脚は目立っていただけに、今回に限っては勝ち馬の形に持ち込まれてしまったことが悔やまれる。今シーズンからCross Countryを使ってきていたBless The Wingsは惜しい3着。直線で勝ち馬が外に寄ってきており、進路をふさがれてしまった不利もあった。元々はNational Fenceをこなせるほど飛越能力の高い馬で、今回も安定した飛越を見せていた。経験がモノを言うレースなだけに、11歳と障害馬としては熟練の域に達している同馬は、これからの活躍も期待できるだろう。

昨年は残念な競争中止に終わったQuantitativeeasingは最後遅れ4着。どちらかというとアイルランドでパフォーマンスを発揮してきた馬だけに、この良馬場は厳しかったのかもしれない。いまいち何処を使うのか分からないThird Intentionは意外と健闘した5着。最後こそ遅れてしまったが、ここをこなせるということは今後に向けて明るい材料だろう。前走Josies Ordersの2着に入っているSire Collongesは大敗。Any Currencyが動いたところでこの馬は動けず、いまいち原因がわからない。Uncle Juniorはペース的に後方から押し上げるチャンスがなかった。これは仕方がないものだろう。Grand National2着もあるBalthazar Kingはやや飛越にスムーズさを欠き落馬。どこかHurdle戦などを使ってくればまた違ったと思うのだが。