にげうまメモ

障害競馬と艦隊これくしょんの個人用メモ ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

16/04/09 Crabbie's Grand National Chase (G3)

*Crabbie's Grand National Chase (G3) 4m2f74y

Grand National出走馬の短評。出来る限りレース映像もつけておいたので宜しければどうぞ。Grand National自体の解説は過去記事参照。馬は斤量順に羅列していく。なお馬番は斤量順についているが、ぶっちゃけ40頭もの多頭数で馬番をもって馬を識別するのはほぼ不可能に近いので、勝負服と帽子で見分けるのが良いと思う。Attheraces、Racingpostなどには勝負服つきの出馬表が載っているので、そちらを利用した方が良い。


・Many Clouds 11st10lb L P Aspell

泣く子も黙る昨年の勝ち馬。しかも11st9lbという厳しい斤量を背負っての勝利と、非常に強い内容を見せた馬である。当然のことながら今年は一番人気に推されている。元々はHennessy Gold Cup (G3)を勝って名前を上げた馬だが、やや長距離Chaseの一流馬を相手にするとスピードが足りないことが判明。こちらに矛先を向けてきた。その特徴は安定した飛越と一定のスピードで延々と走り続けることが出来る類稀なる持久力、そして並ばれてからも諦めない強靭な精神力である。今シーズンはすでに4戦を消化してきており、Cue Card、Don Poliなどにはスピード負けしたものの、前走のtotepoolliveinfo.com Premier Chase (Listed)では格下相手に10馬身差の圧勝と調子も良い。実はGrand Nationalを勝利した以降に勝ち星を上げているのは2002年のBindaree、2014年のPineau De Re以来という偉業だったりする。斤量はトップハンデと条件は厳しいが、同馬にとっては背負いなれたもの。このように、コース適性と経験、調子、能力ともに楽しみな一頭であることは間違いない。Red Rum以来のGrand National連覇という偉業に挑む同馬。目が離せない一頭だろう。なおL P Aspellは鞍上として2014年のPineau De ReからのGrand National3連覇に挑む。

2015 Grand National (G3) 1着 - Many Clouds

2014 Hennessy Gold Cup (G3) 1着 - Many Clouds

 

・Silviniaco Conti 11st8lb N D Fehily

参戦馬の中でもひときわ目を引くのが同馬である。長距離Chaseの一流レース、King George VI Chase (G1)を連覇した馬が、Bowl Chase (G1)、Cheltenham Gold Cup (G1)を無視してこちらに矛先を向けてきた。今シーズンはBetfair Chase (G1)では復活した強豪Cue Cardに敗れ、3連覇を狙ったKing George VI Chase (G1)では苦手なペースを怪物Vautourに作り出され途中棄権と冴えなかったが、前走のAscot Chase (G1)ではDynasteに20馬身差の圧勝とその実力を遺憾なく見せ付けた。ただし、どちらかというと持久力に優れたタイプではなく、自らスローペースを作り出してからの上がり勝負に強い馬であり、やや距離には不安が残る。また、National Fenceは未経験であり、ここのところは飛越能力に向上は見られるものの、やや経験という点でも不安が残る。

2014 King George VI Chase (G1) 1着 - Silviniaco Conti

 

・First Lieutenant 11st4lb D J Mullins

G1勝利としては2013年のBowl Chase (G1)のみにとどまるが、長距離ChaseのG1路線で惜敗を繰り返してきた馬。G1では2着8回、3着4回と、その惜敗については枚挙に暇がない。長距離Chaseにおけるかつての一流馬と言って間違いないだろう。14/15シーズンはやや調子を落とし、Grand National (G3)に挑むも16着と大敗していた。しかし今シーズンはHennessy Gold Cup (G3)でSmad Placeの3着、Lexus Chase (G1)でDon Poliの2着と調子を戻してきている。Irish Gold Cup (G1)こそ途中棄権という結果に終わっているが、これは急激にペースアップする展開が合わなかったもの。かつてのスピード能力こそ衰えているものの、その高い飛越能力と持久力、バテてからも走りぬく精神力は健在である。渋った馬場もこの馬にとっては追い風だろう。長らくG1路線で惜しいレースを続けてきた愛すべき名馬が、ここにきて大きなタイトルを取ることが出来るか、要注目である。

2013 Bowl Chase (G1) 1着 - First Lieutenant

 

・Wonderful Charm 11st3lb Sam Twiston-Davies

 中長距離重賞戦線の常連。かわいい名前だがセン馬である。英国の名手Sam Twiston-Daviesを背に挑んできた。13/14シーズンからChaseに挑み、重賞を2勝、JLT Novices' Chase (G1)5着などの実績を残す。その後はC2勝ちのみに留まり、G1戦線に挑むも大敗、ここ3戦はハンデ戦に矛先を向けてきたという経緯がある。今シーズンはRyman Stationery Handicap Chase (G3)をトップハンデを背負って2着。そこから直接こちらに向かってきた。レースを使っていない分元気はあるだろうし、調子という点でもそれなりのものがあるとは思うが、やや斤量は見込まれた印象。また、National Fenceへの経験がないことも不安材料。落馬が一度もない実績は強調してよいとは思うが、あまり特別飛越の上手いイメージもない。超長距離戦への経験、その実力、また飛越能力というと若干の不安が残る。

2014 JLT Novices' Chase (G1) 5着 - Wonderful Charm

 

・Ballynagour 11st2lb T Scudamore

こちらも名手Tom Scudamoreを背に挑んできた。元々は短中距離で活躍しており、Byrne Group Plate (G3)勝利、Melling Chase (G1)にてBoston Bobの2着などの実績があった。14/15シーズンからは長距離に転向し、Hennessy Gold Cup (G3)こそPUに終わるも、Bowl Chase (G1)ではSilviniaco Contiを追い詰める見事な走りを見せ、一躍名前を上げる。しかし15/16シーズンでは長距離Chase重賞に挑むも、全てが大敗もしくはPUという結果に終わっている。昨シーズンの終わりに見せた見事な走りからはやや物足りない結果である。ただし、良積が春先にかけて集中していることから、暖かくなって調子を上げている可能性があることには注意したい。当然National Fenceへの経験、超長距離戦への適性という点では疑問が残るが。

2014 Bowl Chase (G1) 2着 - Ballynagour (1着 - Silviniaco Conti)

 

・O'faolains Boy 11st1lb B Hughes

2014年RSA Chase (G1)の勝ち馬である。その際の2着はその後Hennessy Gold Cup (G3)を勝利することになるSmad Place。13/14シーズンの終わりに故障が発覚し、2年近く休んでいた。15/16シーズンから復帰し、C2ではSausalito Sunriseに対してスピードの違いを見せ付ける見事な走りを見せるも、その後挑んだ重賞戦線では大敗続きである。もっとも、Betbright Trial Chase (G2)ではHeavyという不良馬場の中、厳しいペースを刻んだSmad Placeが相手、Cheltenham Gold Cup (G1)は言わずもがなと言ったところだが。この馬自身重賞戦線でやれるだけのスピードの持ち主ではあるが、やや厳しいレースになった際の持久力、苦しくなったところから我慢する精神力というと物足りないものがある。飛越能力は高い馬だがNational Fenceは初。その実力は侮れないものがあるが、今回はやや不安材料の方が多い。

2014 RSA Chase (G1) 1着 - O'Faolains Boy

 

・Gilgamboa 11st1lb R M Power

Ryanair Gold Cup Novice Chase (G1)の勝ち馬。14/15シーズンからChaseに転向し、Chaseは2シーズン目となる。今シーズンは中長距離Chase重賞に挑戦するも、いずれもが勝ち馬からかなり離された敗戦となっている。Ryanair Gold Cup Novice Chase (G1)も相手関係としてはかなり楽であり、有力馬と目されたApache Strongholdの落馬に助けられた感もある。上位馬とはかなり実力差があるだろう。ハンデ戦への参戦自体が初であり、距離、National Fenceも未知数。

2015 Ryanair Gold Cup Novice Chase (G1) 1着 - Gilgamboa

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・On His Own 11st1lb

2014年Cheltenham Gold Cup (G1)でLord Windermereの2着に惜敗した馬。「有力馬がこぞって殺す気満々で早々からスパートを開始したら最後みんな脚が上がって、うごうご走ってたわりと脚は遅いけれど持久力だけはある組がきちゃったてへぺろ」というわりとロックなレースである。元々は長距離ハンデ戦を主に使っていた馬であり、2012年、2013年Grand Nationalへの参戦暦もある。2014年もGrand Nationalを目指していたが、まさかのCheltenham Gold Cupでの好走で予定が変更になってしまい、長距離重賞戦線の常連への矛先を変えてきたという経歴がある。その後は勝ち星としてはImperial Call Chase (G3)程度に留まり、長距離Chase最高峰のCheltenham Gold Cup (G1)の2着馬としての活躍はさほど見せられていない。今シーズンはCross Countryに挑戦するなど苦労しており、Bobbyjo Chase (G2)2着程度の実績に留まっている。トップスピードよりもスピードの持続力で勝負するタイプの馬であり、ペースが早くなると飛越が安定しなくなるという欠点がある。重賞戦線でさほど結果を残せていないのはこの悪癖もあるだろう。今回は久々のGrand National参戦となった。過去2回は落馬という結果に終わっているが、いずれも終盤での落馬。さらに馬場が悪くなる今回はスピードのない同馬にとってはプラス。超長距離戦、National Fenceへの経験という面では面白いだろう。

2014 Cheltenham Gold Cup (G1) 2着 - On His Own

 

・The Druids Nephew 11st0lb D F O'Regan

長距離ハンデ戦の常連。Ultima Business Solutions Handicap Chase (G3)というなんかコンサル的な名前の重賞の勝ち馬である。昨年もGrand Nationalに挑み、2周目からは果敢に先頭集団に取り付くも、残り5障害で無念の落馬となった馬。上のMany Cloudsの参考レースの中で、先頭集団にいる赤い勝負服の馬がそれである。今シーズンはGrimthorpe Chase (C2 Handicap)2着が最高とあまり調子を上げていない。G3を勝利して挑んだ昨シーズンの出来にあるかと考えるとやや微妙である。また、昨年の落馬の仕方も前脚での着地において踏ん張りきれず落馬するという、かなり余力をなくしての落馬に見えた点は懸念材料。

 

・Triolo D'alene 11st0lb J McGrath

2013年のTopham Chase (G3, National Course)、2013 Hennessy Gold Cup (G3)の勝ち馬である。その後はListed勝ち程度の実績に留まっており、2014年Grand NationalもPUという結果に終わっている。National Fenceの実績、超長距離での実績を考えればもう少しやれてよさそうだったのだが。今シーズンは1月にListedを勝利。その後のAscot Chase (G1)は自分の形に持ち込んだSilviniaco Contiに大敗を喫しているが、決して調子が悪いということはないだろう。英国を代表するNicky Henderson師が送り込む刺客。ここで見直すというのも一考である。

2013 Hennessy Gold Cup (G3) 1着 - Triolo D'Alene

 

・Rocky Creek  10st13lb A Thornton

Betbright Chase (G3)の勝ち馬。2014年Grand Nationalの5着馬である。元々はJnwine.com Champion Chase (G1)でもRoad To Richesの2着、Hennessy Gold Cup (G3)でもTriolo D'Aleneの2着に入るなど長距離重賞戦線でもやれる馬であったが、15/16シーズンは初戦のJnwine.com Champion Chase (G1)では後にCheltenham Gold Cup (G1)を制すDon Cossackの2着に踏ん張った以降は、Grand Sefton Chase (G3 National Course)はPU、その後重賞2走は大敗とやや低迷している。超長距離やNational Fenceの経験は豊かなだけに調子さえ戻っていればといったところだろう。

2015 Jnwine.com Champion Chase (G1) 2着 - Rocky Creek

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・Sir Des Champs 10st13lb

アイルランドの強豪。G1を3勝の実績がある。11/12シーズンからChaseに転向すると、同シーズンは5戦無敗、12/13シーズンこそ土が付いたが、Cheltenham Gold Cup (G1)ではBobs Worthの2着、Punchestown Gold Cup (G1)でCheltenham Gold Cup (G1)の勝ち馬Long Runを下すなどとその実力を見せ付ける。まさに当時のアイルランド長距離Chaseにおける一流馬と言っていいだろう。しかし13年の冬に故障が判明、その後は長い休養に入っていた。15/16シーズンはようやく復帰が叶い、初戦こそ格下のRubi Lightをあっさり捕らえて勝利するも、その後のG1ではかつての姿を取り戻すことなく、いずれも大敗という結果に終わっている。元々のポテンシャルこそ高い馬だが、やや調子という面では不安が残るだろう。

2013 Punchestown Gold Cup (G1) 1着 - Sir Des Champs

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・Holywell 10st12lb R P McLernon

Mildway Novices' Chase (G1)を圧勝し、13/14シーズンのNovice馬の中で最も高いレーティングを獲得した馬。その後はCheltenham Gold Cup (G1)にてConeygreeの4着など、その素質の片鱗は見せているものの勝ち星としてはC2のみに留まっている。今シーズンはCharlie Hall Chase (G2)から始動するもCue Card相手に大敗。ようやく前走のUltima Handicap Chase (G3)にて11st12lbを背負いながらUn Temps Pour Toutの2着と調子を戻してきた。いまいちその適性が掴みにくい馬だが、そのポテンシャルの高さははっきりしている。課題はさほど飛越が安定している馬ではないだけに、初のNational Fenceへの対応といったところだろう。

2014 Mildmay Novices' Chase (G1) 1着 - Holywell

 

・Shutthefrontdoor 10st11lb B J Geraghty

Irish Grand National (Grade A)の勝ち馬。昨年は伝説的障害騎手A P McCoyが最後のGrand Nationalに共に挑む馬として1番人気を集めた。結果は果敢に先行するも最後は脚が上がり、Many Cloudsからは12馬身差の5着と敗れた。その昨年から比べ斤量が軽くなる点はプラスだろう。ただし、C2を勝って挑んだ昨年と異なり、今年はGreatwood Gold Cup Handicap Chase (G3)ではPUとさほど調子を上げていない。斤量こそ11st12lbと厳しかったが、さほど斤量を苦にするタイプでもないだけにややこの敗戦は心配である。鞍上は英国を代表する障害騎手の一人、B Geraghtyと心強い味方であるが。

2014 Irish Grand National (Grade A) 1着 - Shutthefrontdoor

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・Soll 10st11lb C O'Farrell

C2長距離ハンデ戦の常連。重賞勝ち鞍こそないが、今シーズンはBecher Chase (G3 National Course)で4着、Final of The 2015 Veterans' Chase Series (C2)を勝利などとそれなりに調子が良い。昨年もGrand Nationalに挑み、9着と敗れたものの2周目のCanal Turnを先頭で駆け抜けるなど見せ場を作った。National Courseに関しては4回走って全て完走、Grand Nationalも13年は7着、15年は9着と経験豊富である。ただし斤量は昨年よりも9lb重くなる点が懸念材料。確かに調子、経験ともに心配のない馬だが、実力面と斤量面では若干の疑問符が付くだろう。

 

・Buywise 10st10lb Paul Moloney

2014 Wooden Spoon Charity Silver Trophy Chase (G2)の勝ち馬。今シーズンは中距離重賞戦線に参戦するも目立った勝ち星を挙げられていないが、いずれも勝ち馬から僅差の敗戦と決して調子落ちがあるわけではない。ただし、24f超えの実績となるとやや怪しく、基本的には20f戦を使っている馬である。また、National Fenceの経験もない。実績面から考えるとやや距離、障害には不安材料が残るだろう。飛越に関しては可もなく不可もなくといったところ。戦術的には後方からレースを進め、徐々に脚を伸ばしていくタイプ。スムーズな競馬が出来ればよいのだが、多頭数でありCanal Turnのような重複落馬が起こりやすいGrand nationalではややこの点はマイナスだろう。

 

・Boston Bob 10st10lb P Townend

元々は中長距離Chaseを使っていたが、14年の春にMelling Chase (G1)、Punchestown Gold Cup (G1)を連勝し頭角を現す。しかしその後は精彩を欠き、14/15シーズンはJohn Durkan Memorial Punchestown Chase (G1)でDon Cossackの2着以外はさほど実績を残していない。今シーズン初戦もPUと冴えなかったが、Bobbyjo Chase (G2)にて勝利とようやく調子を上げてきた。確かに実績と斤量を照らし合わせると、斤量は楽な部類に入る。しかしこの馬自身後方から鋭い脚を武器にして戦う馬であり、スローからの上がり勝負でこそといったところがある。中距離Chaseから長距離に移行して結果が出たのはそのせいもある。さほど持久力に秀でた馬ではないことには注意した方が良いだろう。また、最近こそ飛越能力に向上が見られるが、元々はRSA Chase (G1)にて先頭に立ったところで落馬するなど、さほど飛越の安定性に優れた馬ではない。初のNational Fenceということでやや心配である。

2014 Punchestown Gold Cup (G1) 1着 - Boston Bob

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・Aachen 10st10lb Henry Brooke

C2からC3あたりの長距離Chaseの常連。今シーズンはRyman Stationery Handicap Chase (G3)を9st9lbを背負って勝利し、一躍重賞勝ちを収めるも、その後はListed、C2で大敗と結果を残せていない。ここ数戦手綱を取ってきたCharlie Deutschはかなり積極的な競馬をする騎手であり、前述のG3では軽ハンデと積極的な競馬が功を奏したといえるだろう。やや実績に対してこの斤量は見込まれたか。おそらく前に行きたい馬だと思うが、実績面、斤量面から強調できる材料は少ない。

 

・Morning Assembly 10st9lb D N Russell

Chaseは8戦2勝と経験こそ浅いが、HurdleではIrish Daily Mirro Novice Hurdle (G1)を勝利し、Florida Pearl Novice Chase (G2)ではDon Cossackを下してきた実力馬である。RSA Chase (G1)でも上述のO'faolains Boyの3着に入るなど奮闘。2014の春から2年近い休養に入り、2016年の初めに復帰。Red Mills Chase (G2)で2着、Ultima Handicap Chase (G3)では4着とそれなりに頑張ってきている。元々は能力の高い馬であり、10st9lbは比較的恵まれた部類だろう。しかしどこまでその実力が戻っているか、また経験の浅さが懸念材料。

 

・Double Ross 10st9lb Ryan Hatch

13/14シーズンにおける中距離Novice Chaseの有力馬。JLT Novices' Chase (G1)にてTaquin Du Seuilの3着もある(Wonderful Charmの参考映像参照)。しかしその後は精彩を欠き、Sodexo Gold Cup Handicap Chase (G3)における2着が最高。特に24f戦は長いようで、そのいずれもで大敗に終わっている。その持久力にはやや疑問符が付くだろう。また、National Course自体は2回走っていずれも完走を果たしているが、いずれも勝ち馬から大きく離されたもの。やや躊躇いつつ飛越している感もあり、その対応力という点で疑問。経験自体はある馬だが、National Courseへの適性というとやや怪しい部分があるだろう。

 

・Goonyella 10st8lb J J Burke

2015 Midlands Grand National (Listed)の勝ち馬。障害競馬専門競馬場であるUttoxeterの一大レースである。その後のScottish Grand National (G3)でもWayward Princeの2着に入っている。さほど目立った成績のある馬でこそないが、超長距離戦への対応力という点では特筆すべきものがあるだろう。今シーズンもLeinster National (Grade B)を2着と調子も良い。National Courseには2回挑んで、1回は落馬に終わっているが今年のBecher Chase (G3)では完走を果たしている。課題は一流馬が集まったことによりそれなりに流れるであろうペースへの対応だろう。超長距離ハンデ戦はとにかく持久力勝負になり、あまりスピード能力は要求されないという背景がある。馬場が渋ればチャンスはあると思うが。

2015 Midlands Grand National (Listed) 1着 - Goonyella

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・Ucello Conti 10st8lb D A Jacob

今シーズンからフランスからアイルランドに移籍した馬である。フランスではPrix du Duc D'anjou (G3)でSaint Paloisの2着はあるが、アイルランドでの勝ち星はない。3戦してMinella Foruの2着が最高というやや物足りない実績である。フランスから移籍した馬は最初こそ経験による飛越能力の高さで勝つことが多いが、さすがにGrand Nationalで同様のパターンは通用しないだろう。また、アイルランドのHeavyな馬場での競馬しか経験していない点はマイナス。比較的アイルランドの障害競馬の方が道中スローで流れる場合が多く、特に馬場が重くなった場合はその傾向が顕著である。一流馬が揃い、それなりにペースも厳しくなるだろう同レースにおいてはややこの経験の浅さは割り引かざるを得ない。

2016 Godds Thyestes Handicap Chase (Grade A) 3着 - Ucello Conti

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・Unioniste 10st8lb Nick Scholfield

実績としてはPaul Stewart Ironspine Charity Challange Gold Cup (G3)を9st9lbで勝利した程度のもの。長く長距離戦で活躍している葦毛の古豪である。昨年はGrand Nationalに挑むも、第5障害で落馬と残念な結果に終わってしまった。今シーズンはBechar Chase (G3 National Course)を完走、Ivan Straker Memorial Chase (C2)を完勝したのち、Many Cloudsの2着とそれなりに調子が良い。昨年の11st6lbから10st8lbとぐっと斤量が楽になるのは歓迎材料。また、National fenceに関しても2回の経験があり、Bechar Chase (G3 National Course)ではその飛越に向上が見られた点は強調できるだろう。さらに、長距離戦の経験も豊富である。前走こそMany Cloudsに完敗しているが、今回は大きなハンデ差がついた。侮れない一頭だろう。

 

・Le Reve 10st8lb Harry Skelton

C2からC1にかけての長距離戦の常連である。特に重賞勝ちこそないが、Betbright Chase (G3)にてRocky Creekの2着がある。ここにはBetfred Masters Handicap Chase (C2)を勝利した後、BetBright Chase (G3)にてTheatre Guideの5着に入り、ここに挑んできた。Theatre Guideはかなりスピード能力に長けた馬なので、この敗戦は特に気にする必要はないだろう。心配なのが距離適性。24f戦の経験こそ豊富だが、これを超えた距離ではさほど好走暦がない。bet365 Gold Cup Chase (G3)でJust A Parの3着はあるが、良馬場でかなり走りやすい条件であったことは気をつけたほうが良いだろう。National Fenceの経験もなく、どこまでやれるかは未知数である。

 

・Gallant Oscar 10st8lb M P Walsh

重賞勝ちとしてはPalmerstown House Pat Taaffe Handicap Chase (Grade B)、Leinster National (Grade B)勝ちがある。アイルランド長距離Chaseの常連。ただし、今シーズンは落馬、大敗と精彩を欠いている点が気がかり。馬場は基本的になんでもこなせる馬だとは思うが、一流レースへの出走経験がなく、ペースにどこまで対応できるかは未知数といったところだろう。馬場が渋ってどこまでといったところ。そもそも英国遠征自体が数えるほどしかない。一応2015 Ultima Business Solutions Handicap Chase (G3)ではThe Druids Nephewの3着と健闘してはいるが。

 

・Onenightinvienna 10st8lb T J O'Brien

まさかのNovice馬である。ChaseはC3勝ちのみ。その後RSA Chase (G1)を勝つことになるBlaklionの2着と頑張ってはいるが、前走のSodexo Reynoldstown Novices' Chase (G2)では大敗。常識的に考えれば厳しい。飛越の安定味という点ではそれなりのものがあるが、Hurdleでもさほど実績のある馬ではないだけに、この斤量はかなり見込まれたと考えてよいだろう。

 

・The Last Samuri  10st8lb D Bass

ザ・ラスト・サムライ。現在Many Cloudsに続いて2番人気の馬である。去年の今頃はC2のハンデ戦をウロウロしていた馬だが、今シーズンに入って調子を上げてきた。初戦のListedこそWakandaの2着に敗れたが、続くC2ではViva Steveを破り勝利、BetBright Grimthorpe Chase (C2)では11st6lbを背負いながらThe Druids Nephewを10馬身突き放す快勝劇を見せた。Chaseは8戦5勝と、比較的経験こそ浅いがその勢いを買われての人気だろう。確かにその飛越は経験の浅い馬とは思えないほど非常に安定しており、長距離に対しても26fのSoftで勝利があるなど距離適性にも不安はない。馬場が渋る可能性がある今回、比較的10st8lbと楽なハンデで出走できるのは確かにチャンスだろう。もっとも、距離やNational Fenceなど未知数な部分は大きく、厳しいレースの経験がない点も不安材料ではあるが。

 

・Kruzhlinin 10st7lb R Johnson

元々長距離Chaseハンデ戦の常連である。勝ち鞍としてはC2がある程度で目立ったところはない。今シーズンは初戦のKemptonのC2を快勝、Ultima Handicap Chase (G3)こそUn Temps Pour Toutの5着に敗れたが、それなりに調子は良い馬だろう。また、Grand Nationalに関しては2014年に参戦し、10着と完走を果たしている。National Fenceに関する心配はないだろう。やや懸念されるのが前走の負け方。残り4障害での飛越をミスし、そこからリズムを崩しての敗戦。難易度の高いNational Fenceでは若干のミスでも気にしない強い精神力と飛越能力が求められ、実際に2014年のPineau De Reも途中で大きなミスをしながら立て直している。KemptonのC2では終始見事な飛越を見せていたが、ややミスからの立て直しという点では疑問が残る。

2014 Grand National (G3) 10着 - Kruzhlinin

 

・Rule The World 10st7lb D J Mullins

似たような名前の馬がどっかのダービーを勝っていたが気にしてはいけない。なんと、Novice馬、というかChase未勝利馬である。とはいえ実績は中々のものがあり、2015 Irish Grand National (Grade A)ではThunder And Rosesの2着、Kerry National (Grade A)ではRogue Angelの3着、Neville Hotels Novice Chase (G1)では悲運の名馬No More Heroesの2着と実績は十分である。何で勝てないのか良く分からない。World Hurdle (G1)に駒を進めたほどに能力の高い馬なのだが。まさに「最強の未勝利馬」だろう。当然National Fenceへの経験はないが、悲願のChase初勝利をこの大舞台で成し遂げることができるのか、期待が掛かる。

2015 Irish Grand National (Grade A) 2着 - Rule The World

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・Just A Par Sean Bowen 10st6lb

新進気鋭の若手騎手Sean Bowenとともに挑むのはJust A Parである。13/14 長距離Novice Chase路線では王道街道を進むもいずれもが大敗、その後もC2辺りのハンデ戦でさほど目立たないレースを続けていたが、14/15シーズンの最後になったbet365 Gold Cup Chase (G3)では後方から目が覚めるような追い込みを見せ、見事重賞勝利を成し遂げた馬である。あの瞬間は何が起こったのかわからなかった英国障害競馬ファンも多いことだろう。今シーズンは初戦、2戦目ともに長距離ハンデ戦を使うも全く冴えず、ようやく前走のHigos Insurance Services Handicap Chase (C2)にてThree Faces Westの2着に入った。好走条件が全く分からないが、とりあえず良馬場が良い馬なのだろう。距離という点では比較的心配はないと思われるし、National fenceの経験がないのは仕方がないが、この馬に関してはよくわからないというほうが正直なところである。

 

・Ketenko 10st6lb W Kennedy

元々はフランスで走っていた馬だが、2012年から英国に移籍。Murphy Group Chase (G3)にてFruity O'Rooneyを12馬身突き放す強い競馬を見せる。しかしその後はさほど調子が上がらず、今シーズンもPU、大敗と来ている。ややここに入ると調子という点で見劣るだろう。長距離を中心に使っている馬だが、26f戦までの経験までしかない点はマイナス。National Fenceも未経験であり、強調できる材料は少ない。

 

Vics Canvas 10st6lb R T Dunne

Chaseに関しては平場を1勝しかしていない馬。bet365 Gold Cup Chase (G3)ではJust A Parの末脚にこそ屈したものの、2着に踏ん張っている。今シーズンはBecher Chase (G3 National Course)で5着に入るも、その後のThyestes Handicap Chase (Grade A)ではPU、Bobbyjo Chase (G2)では大敗。さすがに一流どころと比べるとやや見劣るようだ。National Fenceの経験があることはプラス材料だが、さほどハンデ差が開かなかった今回は実力という点でやや疑問が残る。

 

 ・Black Thunder 10st6lb Mr S Waley-Cohen

某お菓子ではない。ナスが嫌いなぷらずまでもない。なお騎手の冒頭についているMr.とはアマチュア騎手であることを示すもの。とはいえSam Waley-CohenはかつてCheltenham Gold Cup (G1)を制したLong Runの鞍上としても有名であり、アマチュア騎手の代表格とも言える騎手である。馬自身の実績としてはRSA Novices' Trial Chase (G2)勝ちがある程度。長距離Chaseハンデ戦の常連だが、今シーズンは3戦していずれも落馬か大敗と冴えない成績を残している。鞍上が安定せず、今回も乗り代わりという点もマイナス材料だろう。なお同馬はGrand National Meetingにあわせて行われるセリに出され、馬主が変わったとのこと。同馬の過去レースを見る場合は勝負服が異なることに注意。以前の勝負服は青い帽子に青と黄色の胴体、袖は青地に黄色の点々が入ったものである。とはいえ下の参考レースは超絶不良馬場で行われたものなので、泥んこまみれになってよくわからないかもしれないが。

2015 Welsh Grand National (G3) U - Black Thunder

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・Ballycasey 10st6lb Ms K Walsh

Dr. P.J. Moriarty Novice Chase (G1)の勝ち馬。良積があるのは主に中距離であり、長距離戦ではChampion Novice Chase (G1)でCarlingford Loughの2着がある程度である。昨年もGrand Nationalに挑み、途中までは綺麗な飛越を見せるもCanal Turnで落馬したBalthazar Kingに躓き、騎手が落馬、無念の競争中止となってしまった。今シーズンは3戦を消化するもいずれも大敗。そのいずれもが中距離戦を使っているということで、やや距離適性には疑問が残る。もっとも、National Fenceに関しては昨年の飛越を見る限り問題はないと思うが。

2014 Champion Novice Chase (G1) 2着 - Ballycasey

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・Hadrian's Approach 10st6lb Nico de Boinville

勝ち鞍としては2014 bet365 Gold Cup Chase (G3)がある。長距離Chaseの常連だが、14/15シーズン以降はどこか問題があるのか、いまいち順調に使えていない。今シーズンも2月に復帰し、1戦を消化したのみ。内容も大敗と少々順調さに欠く。元々はRSA Chase (G1)でLord Windermereの3着があるように、なかなかのポテンシャルを持っている馬だとは思うのだが。National Fenceへの経験もなく、やや不安材料の方が大きい。

2013 RSA CHase (G1) 3着 - Hadrian's Approach

 

・Vieux Lion Rouge 10st5lb J Reveley

Novice馬である。2015年のオフシーズンに下級条件戦を2勝しているが、オフシーズンでの勝利は翌シーズンのNovice卒業判定には入らないため、今シーズンもNovice馬として走っている。実績としてはC2を10st6lbを背負って勝ったもの。その後のCheltenhamの32f戦でも6着に入るように、距離適性という点では不安はない。ただしAppletiser 50 Year Celebration Chase (Listed)にてSausalito Sunriseに12馬身負けているように、ややその実力には疑問符が付く。やや飛越能力という点でもここまでのレースを見る限り怪しいものがある。今後の長距離戦線にて楽しみな一頭であることは間違いないが、ここでどこまでやれるかというと疑問である。

 

・Pendra 10st5lb Aidan Coleman

Sodexo Gold Cup (G3)の勝ち馬。元々はHeavyにて行われた32Red Hurdle (G1 Novice)にて、Heavyの鬼Melodic Rendezvousの2着に入るくらいには能力の高い馬である。Chase転向後最初のシーズンにいきなりIrish Grand Nationalに挑むなど、なかなか強気なレース選択を行ってきた。そこでは大敗したが、完走を果たしている。その後は徐々に力をつけ、今シーズンは上述のSodexo Gold Cup (G3)勝ちに至った。その後のListedでは上がり馬Wakandaに大敗したが、これは勝ち馬の調子が良すぎたという面もあるだろう。鞍上も名手Aidan Colemanを配してきた。元々は短距離戦でも勝ち鞍がある程度にはスピードのある馬。Irish Grand Nationalを完走する持久力。課題はNational Fenceと相手関係と言ったところだろう。

 

・Saint Are 10st5lb P J Brennan

昨年のGrand Nationalの2着馬。粘り込みを図るMany Cloudsを最後まで追い詰めた馬である。Grand Nationalには過去2回挑み、いずれも完走を果たしている。今年は昨年の10st6lbから1lb落としての参戦となった。元々は超長距離Chaseハンデ戦の常連。目立った勝ち鞍は2012年のListed勝ち程度である。今シーズンはCross Countryに参戦したりしていたが、前走のC2を11st11lbを背負って勝利。調子を上げての参戦となる。National Fenceには過去4回挑んでいずれも完走、この距離もお手の物。鞍上も昨年と同じP J Brennan。怖い存在であることは間違いない。

 

・Home Farm 10st4lb A E Lynch

実績としてはJohn Meagher Memorial Chase (Listed)でFoildubhを下した程度の馬。その後は長距離ChaseのG1戦線に挑むも、悉く大敗している。今シーズンはHurdleを2回叩いてここに備えてきた。2013年Irish Grand National (Grade A)3着がある馬であり、距離という点では問題はないと思うが、調子という点ではやや疑問符が付く。

2013 Irish Grand National (Grade A) 3着 - Home Farm

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・The Romford Pele 10st4lb Trevor Whelan

めでたく滑り込みの出走となった馬。実はGrand Nationalは毎年一次登録の段階では100頭近い馬を集め、今年は最後まで80頭近い馬が登録していた。その中からレーティング順に40頭選ぶのだが、その40番目となった馬である。元々は中距離Chaseを主に走っていた馬だが、2014年の夏に調子を上げ、Summer Cup (Listed)では2着に14馬身差をつける圧勝。その後も無敗で挑んできたLamb or Codを相手にしない勝利を上げるなどその実力を見せ付けるが、15/16シーズンはいまいち大敗続きと精彩を欠いている。鞍上も始めてコンビを組むTrevor Whelan。やや不安材料の方が多いか。

 

以上。出走馬40頭について解説した。このクソ記事がきっかけでお気に入りの馬が見つかれば幸いである。気にいった馬を応援するのもよし、勝ち馬を考えるのもよし、いずれもGrand Nationalの楽しみ方である。Grand Nationalは決してたくさんの馬がわらわら走ってわらわら落ちるだけのエクストリームスポーツではない。全ての馬がここに向けて準備し、たくさんの人の想いを背負って走る。英愛障害競馬の最高峰に位置する名誉あるレースである。今年も素晴らしい熱戦が繰り広げられることを期待すると共に、全ての人馬が無事に戻ってくることを願ってやまない。