にげうまメモ

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16/04/26 National Hunt Racing - Punchestown Festival -

*Punchestown Good to Yielding (Yielding in Places)

先週のSandown開催を最後にイギリス障害競馬シーズンも終わりを告げ、アイルランドでも15/16障害競馬シーズンのラストを飾るPunchestown Festivalが始まった。これが終わると英愛障害競馬はシーズンオフとなってしまうため精一杯楽しみたいところだが、如何せんイギリスと比べて発走時刻がやたらと遅いのでしんどい。ちなみに中の人は意志薄弱なので気がついたらお布団の中だった模様。

 

Champion Novice Hurdle (G1) 2m

4戦4勝、うちNovice G1を3勝とここまで圧倒的な成績を残してきたYorkhillが断然人気を背負っていたレース。逃げるのは英国のDavid Bass師が送り込んできたCharbell。番手のPetit Mouchoir、Brain Powerを引きつれ軽快に逃げる。離れた4番手にYorkhill、その後ろにDon't Touch It、Ball D'arc。序盤からYorkhillは左に斜飛するクセを見せる。レースが動いたのは残り4障害。先頭にいたCharbelが大きなミス、ここでPetit Mouchoirが先頭に並びかける。残り2障害では完全にPetit Mouchoirが前に出るが、ここで同馬の手ごたえは悪くなり、これを追いかけてきたBrain Powerが先頭に。YorkhillはRuby Walshが必死に馬を動かすも前との差は縮まらない。逆にスムーズに上がってきたDon't Touch Itが最終障害で先頭に立つと、盛り返してきたPetit Mouchoirを最後の直線で突き放し半馬身差の勝利。Yorkhillは離れた4着に敗れた。

そういや似たような名前のGrand National勝ち馬いたよね。Don't Touch Itはこれが未勝利戦に続くHurdle2勝目。重馬場ではBall D'arcに完敗している馬だけに、Good to Yieldingとそれなりに馬場も良かったのが味方したかもしれない。AintreeのTop Novices' Hurdle (G1)2着のPetit Mouchoirは惜しい2着。勝ち馬とは平地のスピードの違いだろう。無敗で挑んだYorkhillはやや残念な敗戦。16fが駄目ということはないと思うが、Charbelがややハイペースで飛ばしたのに戸惑ったのだろうか。いずれにせよこの路線はAltiorの一強状態だろう。

 

Champion Chase (G1) 2m

Ryanair Chase (G1)の勝ち馬Vautour、Cellebration Chase (G1)の連覇を捨ててこちらに照準を合わせてきたQMCCの3着馬Special Tiara、Arkle Challenge Trophy (G1)を衝撃的なレースで勝ったもののその後は怪我に泣かされてきた葦毛の怪物Simonsigの復帰など、様々な話題を集めたレース。

例によってSpecial Tiaraがぶっ飛ばす展開。序盤から踏み切りの遠い飛越を繰り返しており、かなりのペースで引っ張っていたようだ。早々にClarcam、Twinlight、Baily Greenなどは追走に手間取る。好位からGod's Own、Vautour。後方からSimonsig。Special Tiaraは軽快に飛ばすも、残り3障害辺りからVautourがこれに並びかける。Special Tiaraの手ごたえは悪くなり、残り2障害から後退。代わってVautourが抜け出しを図るも、これと一緒に抜け出してきたのはGod's Own。外から追うのはSimonsig。この中から一瞬の脚で一気に抜けてきたのはGod's Own。2着のVautourに2馬身差をつけ快勝した。3着にはSimonsig。

God's OwnはMelling Chase (G1)の勝ち馬で、QMCC (G1)では4着に入っている。PunchestownはRyanair Novice Chase (G1)勝ちがあるように得意としており、ハイペースになればなるほど力を発揮する馬。Special Tiaraの作り出したペース、Punchestownというコース、そして20f戦を勝ってきた持久力はこのレースへの高い適正を示していたのだろう。ただし、QMCC (G1)ではSprinter Sacre、Un De Sceaux、Special Tiaraなどの上位勢とはかなり水を空けられた敗戦を喫しており、今後どこまでといわれると微妙なところがある。VautourはSpecial Tiaraのペースにも付いていくさすがのスピード能力を見せ付けたが、勝ち馬とはトップスピードの差だろう。King George VI Chase (G1)でもCue Cardに同様の展開でやられている。やや今後に不安の残る敗戦となってしまった。距離適性としても20f戦が合っているだろう。Simonsigは久しぶりのFenceであったが、それでもこれだけやれるのは高い能力の証。やや追い出してからのトップスピードという点では不安が残るが、とにかく無事で行ってくれれば大きいところを取れる馬であることは間違いない。Special Tiaraは坂の多いPunchestownのコースとやや渋った馬場が合わなかった。大半の馬が付いていけないようなハイペースで飛ばす能力を持った馬だが、好走には比較的平坦なコースと良馬場という条件が付くようだ。

 

Growise Champion Novice Chase (G1) 3m1f

2016 Grand National (G3)をChase未勝利ながら非常に強い勝ち方で勝利したRule The Worldの参戦で話題を集めたレース。しかしこのローテーションには懐疑的な見方がかなり強かったようだ。

Zabanaが先頭をうかがう構えも、第一障害の着地でミスをし一旦は後退。しかしその後先頭を取り戻し、レースをスローで引っ張る。好位からBallychorus、Shantou Flyer、Sub Lieutenantなど。Rule The Worldは後方に構える。第9障害でそこまでやや怪しい飛越を繰り返してきたBallychorusが落馬。残り6障害辺りからSub Lieutenantが先頭に並びかけるも、残り5障害の手前で馬群の前を横切った空馬の影響を大きく受けてしまう。残り4障害辺りから馬群は凝縮。逃げるZabana、これを追うOutlander、Sub Lieutenant、そして外から進出したRule The World。しかしこれらを残り2障害辺りから突き放したZabanaがOutlanderの追撃を振り切って勝利。Rule The Worldは最後遅れ6着まで。

ZabanaはWorld Series Hurdle (G1)にてJezkiの3着がある馬。これでChaseは2勝目。やや飛越にミスがみられたりと若さを覗かせていた。最後のトップスピードは一枚抜けていたが、相手関係を考えるとさほど強調できる勝利でもないだろう。Rule The Worldは相変わらず勝負弱さを見せての敗戦。飛越能力は卓越したものを見せていたが、スローの上がり勝負は合わない。