にげうまメモ

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16/06/12 日本酒

*日本酒

相変わらず飲んだ日本酒の雑感。一個人の感想なのであまりお気になさらず。

 

・埼玉県 南陽醸造株式会社 花陽浴 山田錦 純米大吟醸 おりがらみ

山田錦の40%磨き。相変わらず入手は困難で、わたしが購入した酒屋でも入荷した直後に売り切れていた。口当たりは比較的軽快な甘み。山田錦特有のクセを底に持ちつつ、ここにガッツリとした華やかな甘みが襲い掛かる。若干の苦味と渋みを感じるのは山田錦によるものだろう。山田錦は磨いてしまうと綺麗に過ぎるところがあるので、大吟醸レベルにしてはこのクセを残しているのは高評価。しかしこの甘みは花陽浴特有のものだろう。美山錦に比べると酒米特有の立体感が減少し、どちらかというと平面的な味わいになっている。このあたりは好き好きだと思われるが、個人的には一日置いて味をまろやかにさせた方が好みである。確かに完成度の高い酒でありこれはこれで非常に美味いが、この価格帯と入手難易度に見合うかと言われると微妙なところがある。美山錦との比較により現時点でのこの蔵の限界が見えた印象。個人的にリピートはないだろう。

 

滋賀県 笑四季酒造 笑四季 Sensation3 特別純米生 白ラベル

滋賀県産米の50%磨き。使用酒米は不明だが、その完成度の高さはその点を覆い尽くす程のもの。口辺りは比較的柔らかな酸であるが、ここにワンテンポ遅れて比較的しっかりとした辛味が襲い掛かる。そのまま辛口に斬れて行くかと思いきや、じわじわと米の旨味から来る渋味と甘味が口の中に残る。とはいえここには嫌味や雑味は全く感じられず、かつ爽やかに抜けていく。どちらかというとドライな夏酒という印象。しかし単なる端麗辛口ではなく、このしっかりとした移ろい行く味わいの旋律はまさに緻密なまでに設計された完成度の高い日本酒のそれである。

 

滋賀県 笑四季酒造 笑四季 Sensation3 特別純米黒ラベル

 同様に滋賀県産米の50%磨き。白ラベルとどう違うのかはよくわからない。口辺りは同様に比較的柔らかな酸であるが、ここからワンテンポ遅れてくる味が異なる。白ではかなりしっかりとした辛味であったが、黒ラベルでは辛味が主体でありながらも、ここに酸味や甘味、底の方に渋味や苦味が交じり合った複雑で繊細な味わいがやってくる。そのまま辛口に切れつつも底の方にある米の味を残して、白ラベルと同様に爽やかに抜けていく。白ラベルは比較的ドライな印象であったが、こちらの方が穏やかで柔らかな味わい。数日置くとより膨らみが出てきて、その柔らかさが際立ってくる。冷酒と常温の中間だと苦味が際立つので、そのどちらかで味わうべきだろう。いずれにせよ、コクや複雑で緻密な味わいを前面に出してきた印象。いずれにせよ白ラベルと同様に完成度は非常に高い。見つけたら白と黒と両方買って損はしない酒だろう。

 

滋賀県 笑四季酒造 モンスーン 玉栄 貴醸酒

玉栄の50%磨きの貴醸酒。諸星大二郎「塔に飛ぶ鳥」を思わせる不思議なラベル。冷酒であると口当たりには微かな酸味と同時にそのボディである米臭さがしっかりと出てくる。渋味と苦味の混ざった膨らみのある味わいである。これが後味になると妖しげな甘味へと変わり、玉栄の味であろう比較的爽やかな渋味と共に口の中にしっかりと残る。さらに常温へと変わると、この妖しげな甘味が前面に出てくる。玉栄の味であろう渋味と若干の苦味を背景にしつつ、立体的かつ緻密で妖しげな甘味が艶やかに醸しだされる。この甘味は背景である米臭さから自然と立ち昇ってくるものであり、かつふわりと軽やかでありながらどこか妖艶で女性的なものである。後味は比較的辛口に切れていく。この温度による顔つきの変化と味の複雑さは特筆に価すべきものがあろう。決して軽く飲みやすい酒ではなく、好き嫌いもはっきりと分かれるだろうが、プログレッシヴな味わいの変化を楽しめる人には間違いなく面白い酒だと思われる。

 

滋賀県 笑四季酒造 笑四季 Masterpiece #1

山田錦の45%磨き。口当たりは微かな酸を感じさせつつも主体は辛口に切れてくる。そのまま辛口が主となるが、そこを支えるのは山田錦らしい独特のクセと甘味。特によく味わうと甘味が底にあるのが面白い。後味はさすがは純米大吟醸といったところか、雑味や嫌味、米の臭みをまったく感じさせず、爽やかに抜けていく。ボディはかなり辛口が強く、かつそれを支える山田錦のクセも強いが、この印象以上に爽やかに飲めてしまう酒。山田錦というと削ると淡泊に過ぎ、かつクセを出そうとすると臭みが出てしまうという欠点があるが、この酒はそのクセを純米大吟醸という清純な世界の中にも一つの美しいメロディーとして落とし込んだ逸品。辛口が主体ながらも背景に多様な旋律が複雑に絡み合うその味はまさに傑作といってもよいだろう。

 

・栃木県 若駒酒造 若駒 愛山50 無濾過生原酒

愛山の50%磨き。東京優駿に合わせて買った酒。冷酒だと比較的軽やかな酸味を感じる飲み口から、愛山のポテンシャルを感じさせる甘味や渋みの混ざった複雑な味わいが引いていく。これが常温まで戻ると、口当たりからボディに関しては酸味から辛味が主体となり、これが愛山らしい奥深い膨らみを持ちつつゆっくりと引いていく。ここに雑味は一切感じられず、米の臭みもほとんどない点は高評価。緻密なまでに味を形成した逸品である。飲み口は軽やかであり、かつ食事を邪魔しないため、どのようなシチュエーションにも合う素晴らしい酒であろう。飲み口も軽く米の臭みも殆どないため、日本酒初心者にも勧められる酒だと思う。

 

秋田県 栗林酒造 春霞 瓶囲い 花ラベル

秋田酒こまちの60%磨き。冷酒では口当たりは軽やかな甘酸っぱさに少々意外なほどの米の膨らみが絡みついてくる。ここからふわりとバランスの取れた甘味と苦み、渋みが軽快に抜けていき、後味はほとんど残らない。雑味や臭みは全く感じられない。これが常温になるとやや酸味が引っ込み、米からくる自然な甘さや軽快な渋味が主体となってくる。米からくる立体感は非常に自然で女性的な軽やかさを持ったものであり、春の到来を告げる明るさと瑞々しさを感じさせる。とにかく料理を邪魔しないため、これも食中酒として最適。強烈な個性や主張を持った酒ではないが、飲めば飲むほどにその完成度の高さに感嘆せざるを得ないものだろう。なお3月に出た酒らしいが、開栓は6月であったため、やや味が開いていた可能性に注意。

 

・愛知県 萬乗醸造 醸し人九平次 彼の岸

山田錦の30%磨き。飲めばわかる、まさに高級酒である。口当たりはとにかくフルーティで甘酸っぱい。ここから甘味の中に山田錦の独特の臭みをふわりと感じさせつつ、苦みと渋みが程よく調和した味が来る。後味は非常にさっぱりと抜けていく。さすがに雑味や嫌味はほとんど感じられない。とにかく綺麗に山田錦を削った酒といった印象。この口当たりの軽やかさ、山田錦の柔らかさ膨らみ、後味の純粋さは高級酒のそれだろう。特別に奇をてらったような酒ではないが、王道路線を歩む非常に完成度の高い酒である。値段相応といったところか。

 

・石川県 福光屋 純米大吟醸 そして伝説へ… ドラクエ30周年記念日本酒

山田錦の50%磨き。ドラクエ30周年を記念して作られた日本酒らしい。先ほどの九平次とは対照的に、口当たりから山田錦の臭みとクセが強く前面に出てくる。苦み、渋みを感じさせながらアルコール臭さとともに口の中で広がり、後味は比較的辛口に抜けていく。どちらかというと米の旨味を前面に出した辛口酒を得意とする酒造らしく、かつ山田錦の50%程度のクセはあると考えた方がよい。米の旨味、苦み、若干の雑味を含んだ日本酒らしさを出しつつ、辛口のキレ。記念日本酒としては妥当な味の構成である。この類の記念酒はプレミアの方が重要で、だいたい日本酒としてはわりと残念なのだが、これは比較的飲める方、単体で勝負してもそれなりの水準にあるくらいには仕上がっているのではないだろうか。

 

・北海道 高砂酒造 国士無双 純米大吟醸 彗星

北海道で有名な高砂酒造の国士無双。彗星という瑞鳳が喜びそうな酒米の45%磨き。非常に強い辛味を伴う口当たりだが、予想外に臭みは抑えめで、苦みと渋みと旨味が調和してなかなかに野性的で力強い味わいとなっている。ここに若干の米の雑味が存在するが、むしろ嫌味ではなく、その力強さに拍車をかける形となっている。この米の雑味の生かし方は面白い。45%磨きのためかそこまで雑味は強くはなく、嫌味というほどのものでもなく、むしろその味わいに新たな旋律を加えることで酒全体を引き立てている辺りは高評価。さすがは有名酒造の純米大吟醸といったところだろう。

 
・栃木県 せんきん 仙禽 ナチュール・アン
亀の尾の90%以上磨き、酵母無添加、蔵付酵母、生もと酵母という超古代製法で作られた変態酒。しかしその完成度の高さは驚嘆すべきものがある。口当たりは仙禽らしい軽やかな甘酸っぱさ。しかしここから非常に自然で身体に染み渡るような柔らかい米の味の膨らみがやってくる。ミドルでは苦みと渋みをアルコールでふわりと広げてくるが、アルコール臭さや米臭さは全くなく、非常に自然な広がりであり、その要素は綺麗で雑味がない。90%以上という精米歩合でこの美しさは素晴らしいものがあるだろう。後味は爽やかに抜けていく。亀の尾の酒米としてのポテンシャルはもちろん、この蔵の持つ高いアーティストとしての資質を感じさせる逸品である。
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