にげうまメモ

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16/08/21 Australian Racing

*Sportsbet-Ballarat Heavy10

Grand National Steeplechase DayのBallarat競馬場。しかし朝から強い雨が降り続き、Heavy10という非常に重い馬場での開催となった。ちなみにニュージーランドと違いオーストラリアの馬場は10段階で表示される。Heavy10とはその中で最も重い馬場。ニュージーランドもいずれオーストラリアに統一されると思うが。

 

QLS Maiden Hurdle MDN HDLE-SW 3400m

Hartが逃げる展開。これをぴったりとマークするのが人気のKamtain。Giant Circus、Entirely Perfectはその後ろ。Black Tieは後方から。レースは淡々と流れるも、途中からKemtainが逃げるHartにプレッシャーをかけていき、残り800m地点ではこれを競り落とす。最終コーナーからEntirely Perfectが捲ってくるも、最後はKemtainがこの猛追を凌ぎ切り勝利。大きく離れた3着にはBlack Rushin'が入った。

KemtainはHDLE4戦目にして初勝利。BM120 HDLEにて3着のある馬であり、Entirely Perfectが追ってきてから再度突き放す内容は見所があった。ただしEntirely Perfect自身はHDLEを使うもここまで良いところがなかった馬。人気となっていたGiant CircusもTrial勝ちのみであり、やや相手関係としては微妙なところがあるだろう。

 

Hygain Maiden Hurdle MDN HDLE-SW 3200m

Milkwoodが先頭を伺う構えも、スタンド前からBardellが捲ってくる。さらにWhincupが外からこれを交わし先頭に。Huffanpuffは好位に付ける。2周目に入るところから好位のTough Vintageが先頭にとりつく。残り800m地点あたりからMilkwoodが先頭のWhincupを競り落とし、さらにこれにTough Vintageが追ってくる。外から捲るのがJilly Blu、さらに後ろからHollow Log。最終コーナーを先頭で回ったTough Vintageはそのまま差を広げるも、ここからHollow Logが大外から急追。何とかTough Vintageがしのぎ切ったところがゴール。

やや出入りの多い展開になった。Tough Vintageは2014年から長くHDLEを使うも、なかなか勝ちきれないレースを続けていた。Heavyは得意な馬のようで、今回は経験と馬場状態が味方したのだろう。2着のHollow Logはあまり実績のない馬だがここでは好走した。Milkwoodは次々と外から来られる展開が厳しかったのか大敗。馬場はこなせる馬のようだが。

 

City of Ballarat Marathon Hurdle HDLE 4000m

Trinidadianが逃げる展開も、積極的にハナを奪いに行ったShearerが絡んでいきやや序盤は流れる。Shearerは1周目のスタンド前では先頭に立ち、ここでようやくペースは落ち着く。Deliberate、Glorious Sinndarは好位から。2周目の向こう正面からShearerは少しずつペースを上げ、これにDeliberateがついていく。ややスパートまでにもたついたGlorious Sinndarだが、ようやくエンジンが掛かると最終コーナーでShearerに並びかけ、最終障害でこれを競り落とし4馬身ほどの勝利。離れた3着にはOregon's Girlが入った。

Glorious SinndarはHDLEはMDN勝ちのみであるが、Trialでの経験が比較的多い。比較的長い距離で結果を残している馬であり、今回は4000mと言う距離もよかったのだろう。MJ Bourke Rokie Jumpers Series Final Hurdle (HDLE)の勝ち馬Shearerは自分の競馬をするも2着まで。

 

JJ Houlahan Hurdle JJ HDLE 3200m

相変わらず実況がアツい。人気薄のMonte Carloが逃げる展開。Gingerboy、Tremecがその後ろ。Gold Medalsと人気を背負ったZantecoは並走。Monte Carloは軽快に逃げ、やや手ごたえの悪くなったTremec、Gingerboyを尻目に一時はリードを広げる。しかし残り600m辺りからZantecoが一気にスパートを開始、最終コーナーでは先頭に躍り出る。Monte Carloは後退。そのままZantecoがTremecの抵抗を凌ぎ切り勝利した。

ZantecoはここにきてGrand National Hurdles (GN HDLE)を含む3連勝。今回は70.5kgという斤量が懸念されたが、それを払拭する見事な走りを見せた。その2着馬Tremecは今回6kg差という大きなアドバンテージをもらうも残念ながら力差を感じさせる敗戦。Australian Hurdleの2着馬Gingerboyはいいところなし。

 

Hygain Steeplechase STPLE 3200m

Danzadoozieが先頭を伺う構えも、早々に着地をミスし騎手が落馬、競争中止。代わってUniversal Soundが先頭に代わるも、外からMannertoneがこれを交わしていく。2周目に入ったところの障害で人気のFledgedが後肢の着地にミス、騎手が落馬。Mannertoneが軽快に引っ張り、絡んできたUniversal Sound、King Tritonなどを振り切りリードを広げる。最終コーナーから一気に捲ってきたAbout the Journeyがやや手ごたえの悪くなってきたMannertoneを交わしそのまま先頭に。しかしAbout the Journeyは最終障害でミス、Mannertoneが再度二枚腰を使ってこれを追い、僅差で交わし切ったところがゴール。3着にはKing Tritonが入った。

実況が一番脚が上がっているような気がする。Mannertoneは昨年の段階ではJames Kent Open Steeplechase勝ちなど力をつけてきた馬だが、今シーズンはやや精彩を欠いていた。About the Journeyをはじめ他馬のミスに助けられた感があり、やや一線級相手であると分が悪いようだが、いずれにせよ嬉しい勝利だろう。About the JourneyはどちらかというとHDLEの方が経験が長い馬。STPLEでも多少は走っているが、苦しくなったところの飛越という点でやや課題が出てしまった。

 

QLS Grand National Steeplechase GN STPLE 4500m

本日のメインレース。Heavy10に大雨と非常に厳しいコンディションで迎えることになった。ただし一番スタミナに不安があるのは実況だったりする。

Nishiazabuが例によって飛ばす展開。I'll'ava'alfは好位置から。それを追うのがZed Em、Wells。Lucky Tonight、No Song No Supper、Slowpoke Rodriguezなどは中団。Undergroundfighterは後方から。Nisihazabuは1周目こそそれなりに引っ張りペースは流れるが、スタンド前からペースを落とす。これに乗じてI'll'ava'alfが先頭のNishiazabuに絡んでいく。Zed Em、Wellsも差を詰めてくる。残り1000mくらいからNishiazabuは後退、代わってI'll'ava'alfが先頭に。これをZed Em、Wellsなどが追う。Lucky Tonightも後方から差を詰めてくる。I'll'ava'alfは最終コーナーで手ごたえが悪くなり、代わって内からWellsが先頭に。そのまま差を広げると、2着のLucky Tonightに10馬身差をつけて勝利した。3着にはUndergroundfighter。Slowpole Rodriguezは完全に脚が上がっての落馬。これに躓いたI'll'ava'alfも落馬。

Wellsは2014 Grand National Steeplechaseの勝ち馬。2015年は怪我で休養し、今シーズン復帰するも勝ち星はTrialのみとやや恵まれずにいた。しかしAustralian Steeplechaseにて2着と力は見せていた。厳しい競馬となった今回、まさに貫禄の勝利だろう。69kgを背負っての勝利はその高い能力を改めて認識させるものである。Lucky Tonightは勝ち星こそMDN HDLEのみであるが、とにかく勝ち味に遅い馬でCrisp Steeplechaseも2着に入っている。能力は高い馬だけになんとかタイトルをと思うのだが。圧倒的最低人気のUndergroundfighterは3着と健闘した。BM125 STPLEを軽量で勝利程度の実績であり、その上のクラスではほとんど太刀打ちが出来ていなかったのだが。ただしほかの実力馬が次々と脱落する展開を無欲の騎乗で追い上げた感は否めず、この3着で評価を上げられるかというと微妙なところがあるだろう。Grand Annual Steeplechaseの勝ち馬No Song No Supperは早々にPU。ムラ駆けタイプのようにも見えるが、TRIAL含め8月だけで4走とこれはやや使いすぎだろう。Nishiazabuは早々に人気馬に来られる展開は厳しかったか。I'll'ava'alfはSlowpoke Rodriguezのあおりを食らっての落馬だが、それ以前に完全に脚が上がっていた。Crisp Steeplechaseは敵失で勝った感もあり、またこのような厳しいレースの経験も乏しく、苦しくなってからのもうひと踏ん張りが出来なかった印象。