にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

16/08/27 Japanese Racing

*新潟 良

不定期で日本障害競馬の気になったレースの回顧でも書いてみようテスト。基本はレースに関してぐだぐだとまとまりもなく書いていくスタイル。文句はtwitter (@_virgos2g)まで。

 

新潟ジャンプステークス (J.GIII) 3250m

2015年中山グランドジャンプ (J.GI)・中山大障害 (J.GI)を制覇したアップトゥデイトが出走したことで注目を集めたレースだが、アップトゥデイトは全く動けずに8着と惨敗、上がり馬のタイセイドリームが前々で運び、そのまま後方から進出したアロヒラニの追撃を抑えて勝利するという結果。

ペースはかなりのスロー。これは全馬が余裕を持って飛越していること、馬群が比較的凝縮していることからもわかるだろう。2周目からラステラが逃げるコスモパルダに競りかけていくのだが、結局障害の前で手綱を引っ張って完歩を合わせているので大してペースは上がっていない。さらにこの2頭で後続を引き離しているため、後続のペースは1周目から変わらないまま進行している。

この中でアップトゥデイトは中団の内に入ってしまい、動くに動けないという状態。スピードを出して飛越する日本障害競馬、飛越に必要な車間距離はそれなりに必要である。加えてそのような競馬に慣れた馬にとって、狭いところを突いて飛越するという動作は物理的にも精神的にも難しいだろう。鞍上の林騎手は押していこうと試みているが、馬にとってそれは困難な要求である。ましてや難易度の低い新潟のハードル障害、全馬が余裕を持って飛んでいる上に後半からペースも少しずつ上がっている。そもそもがスピードの持続能力や冷静な障害の見極めを含めた総合的な飛越技術と言った部分で勝負する馬。トップスピードに秀でたわけでない同馬にとっては難しいレースになってしまった。残念ながらこの舞台は不適であったとしか言いようがないだろう。Ellerslie競馬場のGreat Northern Steeplechase (PJR)に行った方が良かったのではないか。

勝ったタイセイドリームは巨漢のディープ産駒。このような馬はトップスピードこそさほど早くはないのだが、筋肉の柔らかさとストライドの大きさで持続的な脚を使える馬。このように完歩の大きい馬は障害を使った際は踏切位置が不安定になること、また踏切位置の調節のため飛越にスピードロスが生じることが多いのだが、今回は比較的幅の小さい新潟のハードル障害ということで誤魔化しが効いていた。筋肉が比較的強い馬だけに障害の難易度が上がってもそれなりにやれると思うが、今回のスローペースの中でも踏み切り位置の不安定さを露呈していただけに障害の難易度やペースが上がった際の対応には不安が残る。適性はあくまでこのような小型障害で先行することだろう。中山よりもフランスのHurdle (Haies)の方が適性があるかもしれない。2着のアロヒラニは飛越が非常に低い。飛越動作としては跨ぐといったものに近く、かつ各ステップに雑な面も見られた。このような飛越で誤魔化しの効くここでは勝負になったが、障害の難易度が上がった場合の対応には非常に不安が大きい。馬群を抜けてくる器用さは見せていたため、この馬の適性としてはオーストラリアのHurdleが挙げられるだろう。

 

それにしても「新潟ジャンプステークス」というよりも「新潟サマーハードル」とでも改名した方がファンにとって優しいのではないだろうか。障害はわからんとはよく言われるが、通常Hurdle / Steeplechaseなど細かく分類されるレースのカテゴリーが全て一緒くたであり、ファンにとって「分析しやすい」構図になっていないように思う。