にげうまメモ

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16/10/09 Czech Racing Velka Pardubicka / Crystal Cup Result

*Pardubice stav dráhy: 3.6 (pružná)

126. VELKÁ PARDUBICKÁ s Českou pojišťovnou (Stcc L)の結果。レース映像は以下のリンクを参照のこと。チェコ国営テレビのオンデマンド配信。Pardubice公式が仕事し次第映像は貼り付けておく予定。チェコ国営テレビとは異なる角度の映像になる。

Velka Pardubickaに関する解説と各馬の解説と称した駄文に関しては過去記事参照のこと。


126. VELKÁ PARDUBICKÁ s Českou pojišťovnou

Steeplechase crosscountry L - 6900 m, cena, 6letí a starší 5.000.000 Kč

前評判としては、昨年1位入線を果たすもその後禁止薬物が検出され失格となったNikasが1番人気、これを追って上がり馬Charme Look、実績馬ZarifとRabbit Wellといったものになっていたようだ。これを追ってAnge Guardian、Hegnus、Universe of Gracieなど。映像は388分辺りから。

レースは波乱のスタートを切る。人気の一角Rabbit Wellがスタート直後に自ら発馬拒否、競争中止。第一障害のRailed hedgeを飛んで早速出てくるのは、昨年果敢に逃げてハイペースを作り出したUniverse of Gracie。これを葦毛のTer Mill、復権を狙う悲運のチャンピオンNikas、上がり馬Charme Lookも好位置から追いかける。Railed hedge and ditch、Small Water Jumpも各馬続々と飛越。そして挑むはPardubice競馬場にて最難関、世界的に見ても3本の指に入る程の難易度を誇るTaxis Jump。大歓声の中、Universe of Gracieを先頭に次々と飛越に挑む。先頭から素晴らしい飛越を見せるが、最後方にいたReaperが落馬。また、悲願の戴冠を狙ったNikasもMarek Stromsky騎手がバランスを崩し無念の落馬。さらにIrish Bankに挑むが、ここの下りでやや手間取ったUniverse of Gracieは後方に下がってしまう。代わって先頭に立つのがCharme LookとTer Mill。ちょうどここからダートに入るのを利してペースを下げる。昨年は重複落馬のあったPopkovický skok (Railed hedge with ditch)は落馬なく全馬飛越。

ここで展開を一旦確認すると、先頭はCharme Lookと葦毛のTer Mill。これを追いかけてTemplář、Peintre Abstrait、Hegnus。序盤で先頭を切ったUniverse of GracieはParetoと並んでその後ろ。Amaragon、Zarif、Rendez Vousなどが中段に続き、Puntarenas、Ange Guardianは後方から。Universe of Gracieは外に持ち出して再度進出を試みるも、二連続障害で余計なステップを入れたりしてなかなかリズムに乗り切れない。その直後のEnglish Jump - ditch and hedgeでも着地でミス。ペースはかなり落ち着き、Charme LookとTer Millがゆっくりと引っ張る。Peintre Abstraitが第11障害(Prodloužený taxisův příkop / railed hedge and ditch)にて小さなミス。Timber Railの辺りで謎のコールが入ったりするが全馬無事飛越を見せる。

スタンド前に存在するDropも特にミスなくクリア。特にこの飛び降りる時の着地点とDropとの距離が小さく、ペースが遅いことは判別できるだろう。この後のBig Water Jumpも小さな水しぶきは上がるが無事飛越。この辺りからTer Millが先頭に代わる。これを追いかけるのがCharme Look、Templář、Peintre Abstraitなど。Hegnusは先頭集団から脱落。追ってAmaragon、Puntarenas。後方からUniverse of Gracie、Reaper、Rendez Bous。Ange Guardianはまだ後方に構える。この後のSmall Taxisの辺りからCharme Lookが再度Ter Millに並んでいく。Dry Ditchの辺りからAnge Guardianも外に出して進出を開始する。ペースとしてはまださほど上がらず、この距離でレースは中盤から終盤に差し掛かるにも関わらず馬群は密集して進行する。

ここからSteeplechaseを越えるが、この辺りから先頭に立ったCharme Lookが少しずつペースを上げる。Railed Hedgeで後方にいたUniverse of Gracieが落馬。ペースはBig English Jumpの辺りから一気に上がり、この辺りからTemplářが押してCharme Lookに絡んでいく。これを追うのがTer Mill、Zarif、Ange Guardian。HegnusやPareto、Pentre Abstraitは後退。TemplářはSteeplechaseの辺りから押してCharme Lookを追いかけるがCharme Lookは持ったままの手ごたえで快調に逃げる。代わって内からするすると追いかけてきたのがAnge Guardian。残り2障害でミスをしたCharme Lookに並びかける。やや遅れてTemplářとZarif。しかしここからCharme Lookが抵抗、最後はやや足が上がったAnge Guardianを突き放すと、Jan Faltejsekのガッツポーズとともに10馬身差の快勝。2着にはAnge Guardianが入った。Zarifは3着、追い込んだPuntarenas、Hegnusが4、5着。Ter Millはやや足が上がり6着。そのあとにTemplář、Pareto、Rendez Vous、Pentre Abstraitと入った。

Charme Lookは今シーズンの上がり馬。昨年Cena hejtmana Pardubického kraje - Cena Vltavy (Stcc NL)を勝ち名を上げると、今シーズンはCena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice, a.s. - III. kvalifikace na 126. Velkou pardubickou s Českou pojišťovnou (Stcc NL)にてRabbit WellやHegnus相手に堂々の逃げ切り勝ちを収め、有力馬の一頭として挙がっていた。今回は70kgへの斤量増で比較的慎重に騎手が乗る中、ハイペースで逃げると思われたUniverse of Gracieが序盤のIrish Bankで手間取り、結果としてマイペースで運ぶことが出来た。この馬の展開に嵌めたJan Faltejsekの手腕も見事であった。これで12戦8勝と比較的若い馬、特にマイペースで運んだ時の安定感は抜群である。以前は落馬も経験しているIrish Bankも綺麗な飛越でクリアしているように成長も感じられ、来年も楽しみな馬であることは間違いないだろう。

なおJan FaltejsekはOrphee des Blinsの3連覇に続き、4回目のVelka Pardubicka勝利となった。Orphee des Blinsの時と同様に今回も見事なまでのペース配分を見せ、馬にとって絶妙のペースを作り出し最後まで脚を使い切らすことが出来る騎手。特に逃げたい馬に乗ったときは怖い騎手として注目すべき一人だろう。

Lysá nad Labemで勝ち星を上げてきたAnge Guardianも見せ場を作った。最後方から乗る競馬であったが、特に飛越にミスも見られなかった。ただしどちらかというとここ2戦ともCharme Lookの展開に嵌って来ている面はあるため、ペースが変わったときの対応が課題だろう。もっとも、まだ8歳と若い馬であり、Pardubice自体はさほど経験がない。来年どこを目指すかはわからないが、再度のVelka Pardubicka挑戦を楽しみにしたい。

実績馬Zarifも見せ場を作った。今シーズンの前哨戦こそ着順を落としていたが、いずれもスローの上がり勝負に対応できなかったもの。やはり大舞台となると地力が光る。ややスピード能力で上位馬とは引き離されてしまった点が課題か。いずれにせよ、本番でこその馬ということで来年も注意したいところ。Puntarenasは全くの低評価であったが4着まで追い上げた。もっとも、Cena města Pardubic – II. kvalifikace na 126. Velkou pardubickou s Českou pojišťovnou - Memoriál Mjr. Miloše Svobody (Stcc NL)の上位馬はほぼ同様の着順のため、最上位に来たのは展開かもしれない。Hegnusは距離だろう。最後は差を詰めているだけに能力は高いものがあるはずだが。人気の一角Rabbit Wellはやや気難しさを出しての発走拒否。Charme Lookがスローペースで逃げた展開であり、稀代のハイペースとなった昨年よりもチャンスはあったはずだが、勿体ない敗戦となってしまった。悲願の戴冠を狙ったNikasはTaxisで落馬。元々飛越にポカのある馬なのでこういうリスクは仕方がない。来年の挑戦を楽しみにしたい。Universe of GracieはIrish Bankで先頭を譲って以降はミスを連発し落馬。もともとスローで飛越すること自体が苦手な馬。この馬の展開に持ち込んだ時は大仕事までやってのける能力は持つのだが、如何せん今年で11歳という年齢が課題だろう。