にげうまメモ

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16/10/22 National Hunt Racing

*Cheltenham Good

Handicap Chase (C2) 3m1f

第一障害で人気の一角Cogryが落馬するアクシデント。Theatrical Star、Empresario、Fear Glicなどが固まって先行する展開。Keltus、Coologue、Silver Manなどが中団から。早々に足が上がった先行集団を交わして残り4障害地点からCoologueが先頭に。これを追いかけるのがSilver Man、Alternatif。さらにKeltusが最終障害を越えてこれに並びかけるも、Richard Johnsonの剛腕に応えてCoologueが勝利した。

日本よ、これが障害騎手だ。Coologueは踏切位置と前脚での着地に難があり、踏切地点をミスしそのたびに着地を失敗していたが、鞍上のRichard Johnsonは自ら押して踏切位置を調整しつつ、体重を後方にかけることで馬の着地を手助けしていた。さらに最終障害の時点では勢いで勝ったKeltusに対して、馬を叱咤激励してもうひと踏ん張りを促していた。CoologueはChase2勝目。もともとは良馬場は得意でありSky Bet Chase (Listed)にて2着する程度には能力の高い馬だが、いかんせん今回は飛越の怪しさが目立っていた。Richard Johnsonはこれが騎乗2回目。馬の性質を見抜いた完璧な騎乗である。Keltusは夏にC3を勝ってきた馬。今回は調子のよさも目立っていたが、実力馬が戻ってくるここからが正念場だろう。

 

Masterton Holdings Hurdle (C2) 2m87y

スタート前から散々気性の悪さを見せていたCeporineが発馬拒否。逃げるのはAdrien du Pont、これを追いかけてWolf of Windlesham。Leoncavallo、Gibralfaro、Sceua Royalがこれを追いかける。残り4障害辺りからスムーズに進出したSceau Royalが最終障害で先頭に立つと、追いすがるLeoncavalloを振り切って11馬身差の圧勝。Gibralfaroは3着まで。Adrien du Pontは4着。

Sceau RoyalはHurdle4勝目。もともと後方に構える馬だけにJBC Triumph Hurdle (G1)では馬群の中でもみくちゃにされて全くいいところを見せられなかったが、スムーズな競馬であればこれくらいやれることを示した。特に最後の伸び足は目立っており、この中では実力は一枚抜けているだろう。Leoncavalloは昨年の夏に破竹の5連勝を飾った馬。その後J P Ferguson厩舎の解散に伴いややバタバタしていたが、同世代相手であれば実力上位であることは見せてくれた。Future Champions Finale Juvenile Hurdle (G1)の勝ち馬Adrien Du Pontは見せ場を作れず。夏を越しての成長度合いの差か。

 

Novices' Chase (C2) 2m3f166y

Mick Thonicが逃げる展開。これを追いかけてShantou Village、続いてQualando、Brother Tedd。Shantou Villageは残り4障害でミスをし一時は後退するも、残り3障害辺りからMick Thonicを交わして先頭に。そのまま後続の追い上げをしのぎ切って勝利した。Brother Teddは見せ場を作れず。

Shantou VillageはHyde Novices' Hurdle (G2)の勝ち馬。今年の夏からChaseに転向し2戦2勝とした。今回は前回と異なり、比較的ペースが緩んだ道中は踏切が近くセーフティな飛越を見せていた。ただし、ペースが上がったところで踏切位置を遠くした際、調整を間違えて前脚を引っ掛けてしまうミス。この辺りの調整能力にはまだ課題が残るが、とりあえず今回はミスをしながら馬自身立て直し、そこからは綺麗な飛越を見せていたことを評価するべきだろう。Mick Thonicは未勝利馬ながら高いスピード持続力を見せた。一瞬のスピードには見劣るため今後も先行する競馬を続ければ面白い存在。Coral Hurdle (G2)3着のあるBrother TeddはChase転向後2戦はいいところを見せられず。これで見限るのは早計だが。

 

*Punchestown Yielding

Beginners Chase 2m

圧倒的人気のIdentity Thiefが逃げる展開。早々に各馬ついていけなくなり隊列は長くなるが、唯一追いかけてきたのはO Ceallaigh。残り2障害まではこの2頭で後続を突き放すも、この辺りから手ごたえの悪くなったO CeallaighをIdentity Thiefが軽く気合を入れて突き放すと最後は14馬身差の圧勝。

着差がひどい。Identity ThiefはFighting Fifth Hurdle (G1)の勝ち馬。Punchestown Champion Hurdle (G1)にてVroum Vroum Magの2着もあるが、基本的には短距離Hurdle路線の一線級に対してはやや分が悪いといったところの馬である。今回はChase転向初戦であったが、なかなか鮮烈なデビューを飾ることが出来た。ギアを入れて飛んだのは最終障害だけだが、そこでも比較的綺麗な飛越を見せていただけに今後が楽しみになる勝ち方。アイルランド短距離Novice Chaseでは中心的な馬になるだろう。O Ceallaighは全く実績のない馬だが、唯一Identity Thiefに食らいついてく走りを見せた。さすがに最後は苦しくなったが、十分健闘の内容といえるだろう。