にげうまメモ

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16/10/29 National Hunt Racing

*Ascot Good (Good to Firm in places)

Byrne Group Handicap Chase (Listed) 2m192y

今年はまだ雨が少ないのか比較的馬場が乾いていることが多い。

Lord Benが逃げる展開。Germany Calling、Croco Bay、Quite by Chanceが追いかける。人気のYorkistは中団から。Lord Benは残り4障害をミスをして後退、代わってGermany Callingが先頭に立つも早々にQuite by Chanceがこれに代わる。そのまま後続を突き放し、追いかけてきたNoche de Reyesに6馬身差をつける快勝。3着にはFestive Affairが入った。

Quite by Chanceは昨シーズンまではC3からC2辺りを走っている馬であり、さほど目立った成績は残していなかった。この馬場で6馬身差は決定的だろう。ただしどうも使い込むとダメな馬だしく、成績は秋から春にかけてだいたい右肩下がりを辿っている。AscotのOpen Ditchは器用にこなしていたが調子の維持が課題か。

 

William Hill Handicap Hurdle (Listed) 1m7f152y

Sternrubinが軽快に逃げる展開。大きなシャドーロールが特徴的なDiego Du Charmil、Hint of Mintがこれを追いかける。Diego du Charmilは残り2障害辺りから手ごたえが怪しくなり後退。代わってInstant Karma、Modus、Fergallなどが逃げるSternrubinを追いかけるも、Sternrubinがこれらを半馬身ほどしのぎ切って勝利した。

SternrubinはLadbroke (Grade 3 Handicap Hurdle)の勝ち馬。Lil Rockerfellerとは僅差の勝負を演じたこともあり、11st10lbのハンデを背負っていたようにここでは実績上位であった。馬場がいいのでさほど着差はつかなかったが、斤量を背負って勝ち切ったことは評価すべきだろう。Diego du Chamilは前半から気性的な難しさを覗かせていた。

 

Sodexo Gold Cup Handicap Chase (G3) 2m7f180y

Killala Quey、Junction Forteenが先頭を伺う構えも、Killala Quayは早々に飛越をミスして後退、Junction Forteenがスローで引っ張る。好位からTea For Two、Saphir du Rheu。Antony、Fourth Actなどが中団から。Saphir Du Rheuはやや途中で置かれていく場面があるも残り2障害辺りから盛り返す。しかし残り2障害で先頭に立ったAntonyが一気に後続を突き放すと、反撃を試みるJunction Fourteenなどを4馬身ほど突き放して勝利した。

AntonyはC3のハンデ戦を勝ってきた馬だが、今回は調子の良さと10st1lbの軽ハンデもあったようだ。今回は比較的ペースが緩む中、一瞬の機動力を生かし切った勝利だろう。Junction FourteenはWincanton Rising Stars Novices' Chase (G2)勝ちのある馬だが、どちらかというと持続的な脚を使うことに長けた馬。Mildmay Novices' Chase (G1)勝ちのあるSaphir Du Rheuは喉の持病の状態次第ではこの辺りが原価かもしれない。Tea For Twoは前半からかなり行きたがっていた。

 

*Wetherby Good

West Yorkshire Hurdle (G2) 3m26y

Native Riverが逃げる展開。好位置からThe Romford Pele、Silsol。Lil Rockerfeller、If In Doubtは中団の内、Ballyopticは後方から。Native Riverは淡々と逃げ、残り4障害程からペースアップ。唯一おいて行かれたIf In Doubtを残して4頭の叩き合いとなったが、この中から抜け出してきたSilsolがNative Riverを抑えて勝利した。Ballyopticは残り2障害で落馬。

レースとしては残り3障害くらいからのスピード比べと言ったところだろう。SilsolはHurdleでC2勝ちのある馬。一度はChaseに転向しているが結果を出せずHurdleに戻っている。重賞クラス相手となるとやや分が悪いのだが、今回はBallyopticの落馬や一瞬のスピード能力で一枚劣るメンバー相手に結果を出した。Mildmay Novices' Chase (G1)勝ちのあるNative Riverとしては十分なシーズン初戦だろう。Lil Rockerfellerは初めての24f戦であったがとりあえずは対応できることを示した。この馬の場合はもう少し馬場が渋り、かつ一瞬の脚がないため持久戦になった方がよいのだが、今回のレースを見る限りでは24f戦でペースが上がったときの持久力としては未知数と言ったところ。The Romford Peleも僅差の4着であれば十分。もったいなかったのがDoom Bar Sefton Novices' Hurdle (G1)を含む4連勝で挑んできたBallyoptic。なぜかひたすら馬群に突っ込んでいっては前が詰まり、挙句の果てには脚が上がっての落馬であった。騎乗ミスが招いた人災だろう。普通に走っていればチャンスは大きかった。幸い馬は無事に立ち上がることが出来たが、落馬後はしばらく動けずに心配されたとのこと。

 

bet365 Charlie Hall Chase (G2) 3m45y

Wakandaが先頭を伺う構えを見せるも、これをDynasteが押してハナを叩いていく。Menorahは好位の内、これを追いかけてVirak。中段から人気のCue Cardをはじめ、Blaklion、Irish Cavalierなど。Dynasteはやや踏切位置が遠い飛越を連発していたように、ペースとしてはかなり上がっていたようだ。早々にWakandaは後方に下がる。DynasteにCue Cardが第11障害辺りから並びかけ、14障害辺りでは先頭に。Dynasteは後退。これをBlaklionが追いかけるも、一旦はCue Cardがこれを振り切る。しかし残り3障害辺りからIrish Cavalierが外から並びかけると、内から差し込んできたMenorahを抑えきって勝利した。Cue Cardは脚が上がり3着まで。

これは驚いた。Irish Cavalierは勝ち鞍としてはGuiness Handicap Chase (Grade A)がある程度であり、昨シーズンはKing George VI Chase (G1)、Cheltenham Gold Cup (G1)に挑むもいずれも勝ち馬からは大きく離された5着に終わっている。どちらかというと一線級にはいまいち足りない馬という評価であり、今回も当然の如くブービー人気であった。しかし、Dynasteがシーズン初戦とは思えないようなペースで果敢に引っ張り、かつCue Cardがこれを早々に潰しに行く激しいレース展開の中、後方からCue Cardの動きを追尾し、最後まで脚を伸ばしきる強い競馬を見せた。これは十分に新たなスターの誕生と言っていいだろう。今シーズンの活躍が楽しみな馬である。

古豪Menorahも見せ場を作った。この馬の場合bet365 Oaksey Chase (G2)を3連覇など、春から秋にかけて調子を上げてくる馬。調子のよい時期であれば一線級とも戦えるだけの実力を持っている。今年は夏も使ってみたが、夏はいまいちのようだ。11月くらいまでは調子を維持していることが多いため、Betfair Chase (G1)でも面白い存在になるだろう。人気を背負ったCue Cardは強気の競馬を見せるも3着まで。ハイペース耐性は高く、かつスピード能力にも長けている馬。一時は骨盤骨折の影響で飛越に粗さが見られたが、今回はそういう部分も見られなくなっていた。素直に勝ち馬を褒めるべきだろう。ただしシーズン初戦でさほど重要度の高くないレースということで仕上げが緩かった可能性はある。

RSA Chase (G1)の勝ち馬BlaklionはCue Cardを追いかけるレースをしたが最後は離され4着。元々スローの上がり勝負において、減衰性の高いピッチ走法の末脚を繰り出す馬なのでこのようなペースは厳しい。昨シーズンの長距離Novice Chaseは大レースで有力馬のトラブルが相次いだため、水準としてはやや怪しいところがある。この馬にとって今シーズンは正念場になるだろう。古豪Dynasteは積極的な競馬を見せるも早々に遅れ大敗。Cue Cardが早々に動いたため展開としても厳しかったが、本来24f戦の馬ではない。この辺りに入るとそろそろ厳しいかもしれない。