にげうまメモ

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16/12/03 National Hunt Racing

*Aintree Good to Soft (Good in Places)

Fillies' Juvenile Hurdle (Listed) 2m209y

Evening Hushが軽快に逃げる展開。これを追いかけてCastafiore、Daisy De Sivola。後続は大きく離れ隊列は長くなる。残り3障害辺りでDaisy De Sivolaは後退、Castafioreも手ごたえが悪くなる。そのまま差を広げたEvening Hushが21馬身差の快勝。2着にはCastafioreが入った。

Evening HushはHurdle2戦2勝とした。今回はほぼスピード能力で押し切るパフォーマンスであったが、一方で道中の飛越には粗が多く各動作に対する安定性の向上が必要だろう。もっとも、最終障害の飛越は非常に綺麗だっただけに余力十分の勝利であることが考えられる。

 

Becher Handicap Chase (G3) (National Course) 3m1f188y (GS Soft in places)

Standing Start。第1障害でSaint Areが落馬、これに躓いたZiga Boyも落馬。さらに第2障害でAlvarado、Cogryも落馬。とりあえず出てくるのはBeeves、Highland Lodge、The Last Samuri。これを追いかけてDare To Endevour、Silvergroveなど。Viconte Du Noyer、Rogue Angel、Bob Ford、Vieux Lion Rouge、Aachenは後方から。第4障害の辺りから空馬が先頭に絡んでくる。The Chair、Waterは全馬無事飛越。空馬は例の如くここで外へと回避。第8障害で後方のFinancial Climateがミス。第9障害でミスをしたMilbroughはそのまま騎手が落馬。第10障害のOpen Ditchの辺りから、外からRough Angel、中団からVieux Lion Rougeが上がってくる。Bechersは全馬無事飛越。第14障害でDare to Endeavourが落馬。第16障害のValantineにてSizing Coalが落馬。この辺りで逃げるのはHighland Lodge、これを僅差でBeeves、The Last Samuriが追いかける。続いてRouge Angel、Vieux Lion Rouge、Uvello Conti、Bob Ford。Melling Roadを抜けて逃げるHighland LodgeにThe Last Samuriが襲い掛かる。しかし残り2障害を越えたところでThe Last Samuriは手ごたえが怪しくなる。Highland Lodgeはそのまま逃げ込みを図るが、最後の直線で追い込んできたVieux Lion RougeがHIghland Lodgeを差し切ったところがゴール。The Last Samuriは盛り返して3着まで。Ucello Conti、One For Arthurが4、5着。

白熱したレースとなった。Vieux Lion RougeはこれがChase8戦目、Novice上がりの若い馬だが、昨シーズンはGrand National (G3)に参戦、7着と完走を果たしている。AscotのAppletiser 50 Year Celebration Chase (Listed)にて11st6lbで2着に入り、Hurdleでも重賞入着があるくらいには能力の高い馬。National Fenceの飛越の安定感、勝負所で馬群の中をスルスルと上がってくる器用さといい、レース運びの上手さが際立っていた。7歳とこれからの馬だけに今後の活躍が期待される。連覇を狙ったHighland Lodgeは最後の平地の脚でやや見劣った。10st4lbと軽い斤量であり、Grand Nationalに関しては出走できるかどうかが課題となるだろう。2016 Grand National (G3)2着馬のThe Last Samuriは11st12lbを背負いながら健闘した。飛越も安定しており、一旦はスピードで置かれるも最後までバテずに盛り返している。来年も同レースに向かうのであれば有力馬の一頭だろう。Ucello Contiは2016 Grand National (G3)の6着馬。このレースに関してはもう少し早く動ければとも思うのだが。しかし5着のOne For Arthurも併せて力をつけている。この辺りの馬はこれから超長距離ハンデ戦で楽しませてくれる馬たちだろう。Bob Fordは今回に関してはやはり馬場が良すぎる。馬場が悪くなればなるほど良い馬。Irish Grand National (Grade A)の勝ち馬Rogue Angelは勝負所から置かれ大敗。Aachenはやはり逃げた方がいい。Saint Are、Alvaradoは勿体ない落馬。

 

Betfred Lotto '100k Cash Giveaway' Chase (Listed) 3m210y (GS Soft in places)

Many Cloudsが淡々と逃げる展開。これを追いかけてLe Mercurey、Minella Rocco。Irish Cavalier、Cocktails at Dawnはその後ろから。2周目からLe Mercureyが逃げるMany Cloudsに絡んでいきペースが上がる。残り3障害辺りからMinella Roccoが前の二頭に迫るが最終障害で落馬。そのままMany Cloudsが逃げ切り勝利した。

Many Cloudsは淡々と自分のペースを刻み続けたときは無類のしぶとさを発揮する馬。今回はLe Mercureyに絡まれながらもペースを大きく乱されることもなく、そのまま逃げ切る結果となった。飛越も終始安定しており、Grand National (G3)に向けて視界良好といったところ。もったいなかったのがMinella Rocco。146th Year of the National Hunt Chase Challenge Cup (Listed)の勝ち馬であり、のちのHennessy Gold Cup Chase (G3)の勝ち馬Native Riverを下してきている。超長距離に関してはこれからが楽しみな馬。やや最終障害の飛越で勝ち馬とは差が付いてしまったが、ここでもやれるだけの能力を持った馬であることは間違いない。Irish Cavalierは好走条件がよくわからない。

 

Grand Sefton Handicap Chase (C2) (National Course) 2m5f19y (GS Soft in places)

Becher Chaseと比べるとやや短い。

とりあえず出てくるのはAs De Mee、Witness in Court、Valadomなど。第3障害のThe ChairにてValadomが後肢を引っ掛けるミス。Witness in Courtの単騎逃げの形になる。追いかけてAs De Mee、Bennys Mist、The Italian Yob。2周目に入ったところの障害でAs De Meeが大きなミスも立て直す。第9障害で逃げるWitness in Courtが着地に失敗し落馬。As De Meeが引っ張る形となる。追いかけてThe Italian Yob、Bennys Mist、上がってきたSeventh Sky。Bechersで後方にいたVoyage a New Yorkが落馬。FoinavonにてHenryvilleがミスも立て直す。Canal TurnではHowlongisafootが落馬。この辺りでSeventh Skyが果敢に先頭に。外からLa Vaticaneも上がってくる。残り3障害ではリードを開いたSeventh SkyだがここからAs De Meeが追いかける。さらにSeefood、Vintage Vinnie。残り2障害でAs De Meeが先頭に。そのまま追ってきたSeefoodを5馬身ほど突き放して勝利した。3着にはHenryville。

As De MeeはNovice馬であり、昨シーズンはcilly Isles Novices' Chase (G1)にて2着などの実績を残している。結局2015-16シーズンでは勝ちきれなかったが、今年の10月にBeginners' Chaseを快勝していた。BetVictor Gold Cup Handicap Chase (G3)ではやや荷が重かったようだが、ここでは力を見せた。元々のスピード能力は高い馬であり、最終障害の飛越も綺麗なように余力も十分であった。この馬もGrand Nationalという話が出るかもしれない。Seefoodは11stの斤量差も響いたか。また、出来れば良馬場でやりたかったタイプだろう。Henryvilleはもう少しスムーズに運べればと思うのだが。

 

*Sandown Good to Soft (Good in Places)

Henry VIII Novices' Chase (G1) 1m7f199y

Marracudjaが例によってやや引っ掛かり気味に逃げる展開。好位からCharbel、これを見ながらAltior、Max Ward。第4障害でAltiorの踏切が遠すぎるミス。この辺りからCharbelがMarracudjaに絡んでいきややペースが上がる。Altiorは次の障害、Open Ditchで立て直す。Railway Fenceでペースが落ちAltiorが前の2頭に接近。残り3障害辺りからMarracudjaを競り落としたCharbelが先頭に立つが、これに持ったままでAltiorが接近。最終障害でCharbelに並びかけると、ここでギアを上げAltiorが6馬身差の快勝。2着にはCharbelが入った。

AltiorはChase2戦2勝とした。前走の相手Black Cortonとは飛越能力の違いで快勝したが、今回は慎重なレース運びであった。大きい飛越を行う馬を3番手で宥め、やや勝負懸かりに前に行く2頭を見ながら進める。踏切でミスをした後は修正し、ギアを入れたのはほぼ最終障害を飛んでからというレース運びであった。今後を見据えたレースとして十二分の勝利だろう。障害馬を育てる上での強い信念を感じさせるものである。UttoxeterのBeginners’ ChaseでLe Prezienを下してきたCharbelは強敵相手に健闘したが、やはり最終障害の飛越を見ると勝ち馬とは相当の余力の違いがある。CheltenhamのC2を勝ってきたMarracudjaは力を出し切っての敗戦。同レースではかなりの若さを覗かせながらもスピードで押し切るという高い能力を感じさせるパフォーマンスを見せてくれた馬なのだが、この馬を物差しにするとAltiorのパフォーマンスは相当なもの。Max Wardは自分のレースに徹し3着に踏ん張ったが、単純なスピード能力で他の馬とは差がある。

 

Tingle Creek Chase (G1) 1m7f199y

Douvanの回避は残念だったが。

Ar Madが思い切って逃げる展開。これを追いかけてUn De Sceaux、Sire De Grugy。God's Own、Sir Valentino、Vibrato Valtatがこれを見ながら追走。God's Ownはやや序盤にミスが見られるが立て直す。Ar Madはかなりハイペースで引っ張るも、第8障害でミス、残り4障害でUn De Sceauxに先頭を譲る。これを追いかけてSire De Grugy。最終障害ではSire De GrugyがUn De Sceauxに並びかけ、内からGod's Ownがこれに迫るも、Un De Sceauxがこれらを凌ぎ切って勝利。2着にはSire De Grugyが入った。Ar Madは4着。

Un De Sceauxはハイペースで逃げてArkle Challenge Trophy (G1)を制すも、昨シーズンのQueen Mother Champion Chase (G1)ではSpecial Tiaraにハナを譲り2着、Celebration Chase (G1)では乗り替わりもあったのか、逃げるもリズムが安定せずSprinter Sacreの前に大敗していた。今回はAr Madが逃げる中、番手で我慢しての勝利となった。もともとハイテンポで引っ張る馬であり、トリッキーなSandownのコースは合わないのだが、Ar Madがややハイラップで引っ張りながらも早々に先頭に立てたことはこの馬にとって味方に働いただろう。また、Ruby Walshが細かく飛越を調整している場面も見受けられた。最終障害の飛越ではSire De Grugyが優っているのだが、そこから再加速してSire De Grugy、God's Ownを凌ぎ切るパフォーマンスは素晴らしいものがある。しかし、やはりCheltenhamのようなダイナミックなコースでこそハイテンポで引っ張るこの馬の持ち味が生きるだろう。Queen Mother Champion Chase (G1)で鞍上が誰になるかはわからないが、やはり楽しみな馬であることは間違いない。

Tingle Creek Chase (G1)を2勝しているSire De Grugyは惜しい2着。さほど飛越能力に優れた馬ではないのだが、Sandownのコースは得意としているようだ。最終障害で小さなミスをしたUn De Sceauxと異なり、最後までスピードに乗った綺麗な飛越を見せていた。前走久しぶりの勝利を上げ、馬も自信を取り戻したのかもしれない。ただし、全盛期のスピード能力が再度見られるのかはまだわからない。Melling Chase (G1)などG1を3勝している地味な名馬God's Ownは惜しい3着。序盤にリズムに乗り切れなかった点は勿体ない。この馬は自らレースを作りに行った方が良いのかもしれないが、やはりこの馬も頂点を狙える位置にいる。果敢な逃げで見せ場を作ったのがAr Mad。途中のRailway Fenceでミスをして一旦は前とは置かれてしまったが、最後までバテずに差を詰めている。Novice上がりの馬がこの相手でこれだけ見せ場を作れればシーズン初戦としては楽しみだろう。Special Tiaraなどとの兼ね合いがあるが、今シーズンの活躍が楽しみな馬。Haldon Gold Cup (G2)を勝ってきたSir Valentinoはここに入ると勝負所で動ききる機動力が足りない。Vibrato Valtatはハイペースでは辛い。

 

London National Handicap Chase (C2) 3m4f166y

昨年の勝ち馬Carole's Destrierは今年のHennessy Gold Cup Chase (G3)で2着に頑張っている。

Rocky Creekが逃げる展開だが、Morney Wing、Loose Chips、Court By Surprise、Five in a Row、Woodford Countryなど馬群は固まって進行。早々にMountainousは手ごたえが悪くなる。2周目辺りからLeg Iron、続いてMountaious、Five in a Row、Woodford Countyなどは遅れPU。第15障害辺りからLoose Chipsが先頭に。これを追いかけてMorny WIng、Conas Taoiなど。残り3障害辺りでMorney Wingが先頭に変わるが、ここから盛り返してきたRocky CreekがDoing Fineを差し切って勝利。Moyney Wingは3着まで。

Rocky CreekはかつてはJnwine.com Champion Chase (G1)で2着、Grand Nationalで5着などの実績がある馬。最近はスピード能力の衰えか、また飛越にも集中力を欠き大敗が続いていたが、ここでは前々で運び、持ち前の持久力を存分に生かし切った競馬をした。次々と他の馬を跳ね返し、一旦は下がりかけてもそこから盛り返してくる持久力と精神力は素晴らしいものがある。再度のGrand National参戦を楽しみにしたい。Doing FineはC2のハンデ戦で実績のある馬。ひたすら緩むところがなく淡々と進行するマラソンレースでここまで踏ん張ったのは今後の糧になるだろう。Mountainousは斤量が厳しく馬場も向かなかった。