にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

17/02/18 National Hunt Racing

*Ascot Soft (Good to Soft in places)

Sodexo Reynoldstown Novices' Chase (G2) 2m7f180y

やや注文を付けて逃げたFlinthamをゴール前でBigbadjohnが交わし切り勝利。Fletchers Flyerが3着。人気のArpege d'Aleneは離れた4着に敗れた。

AscotのNovice 24f戦ということでなかなか厳しい条件のレースとなった。BigbadjohnはChaseはBeginners' Chaseに続く2勝目。世紀の名馬となったThistlecrack相手にはさすがに歯が立たなかったようだが、この馬もこの馬なりに進捗が見込める。Coneygreeの弟であるFlinthamは自身の形を作るも2着まで。やや小柄で完歩が小さい分、勝ち馬にはストライド負けした印象だが、ここでこれだけ走れたことは今後に向けた収穫だろう。2015-16シーズンからNovice Chaseを使っているFlechers Flyerはこの相手であれば勝ちたいところであった。Arpege d'AleneはどうにもNovice馬という印象はないのだが、比較的良績を残したC2のハンデ戦とはややレースの性質が異なるかもしれない。

 

Keltbray Swinley Chase (Limited Handicap) (Listed) 2m7f180y

序盤からハイラップで飛ばしたTenor Nivernaisがそのまま逃げ切り勝ち。30馬身ほど離れた2着にはGo Conquerが入った。Sausalito Sunriseは3着まで。

Tenor NivernaisはGrand Nationalにも登録がある馬で、現在ハンデ10st10lbと出走可能な水準に達している。ここまで20f戦で先行する競馬が主であり、重賞でも良績のある馬。今回はそのスピード能力を存分に見せつける結果となった。Grand Nationalでも展開の鍵を握る可能性のある馬だが、やや飛越にはスピードの任せた部分があること、今回はミスがなく立て直す必要がなかったところは注意した方が良いだろう。Ascotのコースでこれだけのパフォーマンスを見せたことは今後に向けて面白い材料だが、あくまで今回は20fのスピードに対応できる馬がいなかったと考えるのが妥当か。Go Conquerは健闘したが、勝ち馬とは1st近い斤量差がある。昨年の勝ち馬Sausalito Sunriseはやや序盤の障害でペースに戸惑っているように見えた。O'faolains Boyは残念な敗戦。ハンデも11st0lbと恵まれただけにここは格好をつけたかったのだが。

 

Ascot Chase (G1) 2m5f8y

Cheltenham Gold Cup (G1)に向けた有力馬の一頭Cue Cardが出走したことで話題になっていた。Cue Cardは同レースを2013年に勝利している。

レースはRoyal Regattaが飛ばす展開。これを追いかけてCue Card。少し離れてShantou Flyer、Taquin Du Seuil、Irish Cavarierなど。第9障害から後続の中からTraffic Fluideが抜け出して前を追うが、前の2頭との差はなかなかつまらない。Cue Cardが逃げるRoyal Regattaを残り2障害で競り落とすと、そのまま差を広げて15馬身差の快勝。2着には追い上げたShantou Flyerが入った。Royal Regattaが3着。

前評判通りの決着となった。Cue CardはG1をこれで8勝目。もともとは16f戦から20f戦に対応できるスピードを持った馬であり、飛越能力の向上とともに距離を伸ばし、現在は24f戦を主戦としている。今年のCheltenhamでも20f戦であるRyanair Chase (G1)を目指すという話も出ており、ここではその能力と適性を見せる結果となった。16fを使ってきたRoyal Regattaがやや20f戦としては早いペースで引っ張る中、ロスの少ない飛越でスムーズに追走し、最後まで足を伸ばし切るパフォーマンスは立派なものだろう。24f戦ではここまでペースは上がらないことが予想されるが、いずれにせよCheltenham Gold Cup (G1)に向けて良いパフォーマンスを見せたといったところだろうか。Royal Regattaは自身のレースをしての3着。Stella Artois 1965 Chase (G2)のように20f戦で良績を残してきていたが、前走はClarence House Chase (G1)に挑戦していた。そのためやや体内リズムは16f戦仕様になっていた可能性がある。残り2障害の飛越でCue Cardに前に入られる場面があり、そこでブレーキをかけてしまったことが悔やまれる。最後は完全に脚が上がって入線しているだけに、残り2障害の不利がなければもう少し着差は詰められたかもしれない。20f戦の常連Shantou Flyerは最後追い上げての2着だが、やや前とはスピード差があるか。Taquin Du Seuilももともと20fで実績を残してきた馬だが、さすがにこのペースはつらかった。Irish Cavalierは良馬場の方が良い。Traffic Fluideは積極的に動くも最後足が上がり大敗。初の20f戦だがさすがに条件が厳しかった。かなり行きたがっていた前走を叩いて状態は上がっていたように見える。

 

*Haydock Good to Soft

Rendlesham Hurdle (G2) 2m6f177y

残り2障害で先頭に立ったZarkanderが最終障害のミスにも関わらずAux Ptit Soinsを競り落として勝利。人気のAgrapartは3着まで。

ZarkanderはもともとAintree Hurdle (G1)などの勝利のある24f Hurdleの一流馬だが、2015年の春にAuteuilに遠征して以来長い休養に入っていた。2016年の11月に復帰するも、そこから3戦は全くいいところなく敗れていた。今回は久々の勝利となる。今回はC2辺りで後方からレースを進めていたAnterosがスローで逃げるというかなりゆったりしたレースであったが、ひとまず勝ち切ったことは今後に向けて収穫だろう。Stayers' Hurdle (G1)に向けて面白い馬が戻ってきた。Coral Cup (G3)の勝ち馬Aux Ptit Soinsは走りなれたHurdleで格好はつけたが、やはり上を目指すとなると厳しいかもしれない。

 

Grand National Trial Handicap Chase (G3) 3m4f97y

Gas Line Boyが積極果敢に逃げる展開。残り3障害から抜け出したVieux Lion RougeとBlaklionの叩き合いはゴール前でVieux Lion RougeがBlaklionを競り落として勝利した。3着にはVintage Clouds。

Vieux Lion Rougeは昨年のBecher Chase (G3)の勝ち馬。Grand National (G3)でも7着と完走を果たしており、今年のGrand National (G3)に向けた有力馬だろう。今回はGas Line Boyが締まったペースを作り出したが、これにも対応した。Grand Nationalでは超長距離戦とは思えないハイペースとなることがあるが、それにも対応できる能力を示した素晴らしいパフォーマンスだろう。残り3障害辺りからストライドを伸ばし切り、飛越を綺麗にこなすことで惰性で走り切ってしまうフォームはしぶといステイヤーそのもの。Blaklionはやや勝ち馬とはストライドの大きさで負けた印象。RSA Chase (G1)はピッチ走法の一瞬の脚で制したが、この馬も夏を越して24fランナーとして力をつけている。Vintage Cloudsは勿体ない3着。後方の内に構えるレースをしたが、馬群の中で飛越するほどの器用さはまだないだろう。比較的緩慢な動きをする馬だけに、ロスの多い飛越が目立った。それでも3着まで踏ん張った辺りは今後が楽しみな馬である。

 

Albert Bartlett Prestige Novices' Hurdle (G2) 2m6f177y

残り3障害辺りから先頭に立ったThe Worlds Endがそのまま押し切り勝利。人気のNo Hassle Hoffが2着。

名前が格好良くないですか。The Worlds Endはこれで3連勝。比較的瞬間的な筋肉の収縮力に長けた馬であり、やや首の高い場面はあるものの安定した器用な飛越を見せていた。一方のNo Hassle Hoffは途中でThe Worlds Endに前に入られる場面があった。もったいなかったのはBallyarthur。やや緩慢な動きをする馬だが、残り数障害の飛越にロスが多く再加速が必要な場面が多く見られた。この辺りが解消すればもう一段階上に行ける馬だろう。

 

*Wincanton Soft

Kingwell Hurdle (G2) 1m7f65y

Rayvin Blackが逃げる展開も早々にMelodic Rendezvousがこれに絡んでいく。残り4障害辺りから先頭に立つも、ここに一気にYanworth、Ch'tibello、Sceau Royalが接近。この3頭の激しいたたき合いはYanworthが制した。2着にはCh'tibello。Irvingは大敗。

YanworthはこれでHurdle8戦7勝。昨シーズンにNeptune Investment Novices' Hurdle (G1)を制し、今シーズンは3戦3勝とした。11st10lbを背負っていたが、ひとまずハンデ差を考えるとここは完勝だろう。Faugheen、Annie Power不在のChampion Hurdleに向けてよい前哨戦だったのではないだろうか。Ch'tibelloはさほど実績はない馬だが健闘した。Sceau Royalも含めてさほど差はないだろう。Rayvin Blackは途中からMelodic Rendezvousに絡まれたのが苦しかった。Melodic Rendezvousは自分の競馬をしたが、やはりこの辺りに入ると馬場がさらに悪くなった方がいい。