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にげうまメモ

障害競馬と艦隊これくしょんの個人用メモ ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

17/03/02 日本酒

*日本酒

1週間4合瓶1本縛りを始めてみた。

 

・長野県 高沢酒造 豊賀 純米吟醸 中取り無濾過生原酒

美山錦の59%磨き。長野C酵母使用。口当たりは非常に柔らかな甘味が印象的だが、この味わいを強く主張するのではなく、むしろ落ち着きと丸みを伴った端正さが特徴的である。その次にやってくるのが丸みのある柑橘系の酸味であり、途中から辛味を若干響かせつつ味わいを変化させる。後味にはこの酸味がそのままに残り、美山錦の独特の渋味が長く尾を引く。とにかくこの口当たりのふわりとした甘味には、軽やかさと飲むものを安心させるような優しさが同居しており、味わい全体の透明感は穏やかながらも芯の強さを感じさせる。一見華やかな酒ではないが、その味わいは非常にモダンテイストなもの。やや後味が長く残るため食中酒向きといったところだろうか。

 

・栃木県 せんきん 仙禽 無垢 28BY

山田錦の40%/50%磨き。口当たりは柔らかみのあるクリアな酸味。ここには甘味がしっとりと絡み付き、滑らかかつ優しげにこの甘味を膨らませながら抜けていく。この酸味は優しげなものでありながら、ここに山田錦の独特のクセを併せ持った重層的なもの。甘酸っぱさを前面に押し出しながら、幾重にも重なった透明感を織りなしている矛盾を成し遂げているのは特徴的な味わいだろう。一見シンプルで素朴な味わいだが、その繊細なハーモニーには驚かされる。山田錦のクセを同居させつつこの瑞々しさを達成した一種の芸術の域に達している。山田錦は個人的には飲みにくいものが多いが、これは山田錦を使った中でも傑作酒の域に達しているだろう。

 

京都府 白杉酒造 白木久 純米 無濾過生原酒

コシヒカリの60%磨き。非常に硬質でクリアな白ワインの如き口当たり。若干の甘味を感じさせながらも酸味を強調しつつ、比較的ドライで辛口な味わいが特徴的。温度を上げていくとここに酒米らしからぬ有機的な米の味を感じさせ、これが食用米由来ならでわの技と言ったところか。ここには米の臭みやコクではなく、むしろ辛口白ワインの輪郭をなぞりつつも、その中にコシヒカリの力強くも優しげな味わいを感じさせる米ならではの甘さを感じさせる。ワインボトルとガラス栓を使用し、一見白ワインのような味わいを作り出すが、その風味は非常に果実感豊かな日本酒の新境地を切り開くもの。やや主体となる酸味が最後まで残るため、洋食と合わせることで食中酒として使うのが最適だと思われる。

 

・栃木県 小林酒造 鳳凰美田 剣 辛口純米

山田錦・五百万石の55%/55%。酸味の強い口当たりだが、少し温度を上げてくるとこの横に寄り添う甘味が際立ってくる。口当たりのフルーティーさは非常にジューシーなものであり、ここから五百万石のコクを膨らませながら抜けていく。口当たりの甘酸っぱさがかなり明瞭なものである一方で、そのあとからやってくる米の主張の強さはそれなりにある。少し感覚がおぼろげになってくる2杯目以降向きだろうか。酒としてはさすがの完成度を誇っている。また、どのような料理にも比較的合わせやすいだろう。

 

三重県 瀧自慢酒造株式会社 瀧自慢 滝水流 無濾過生原酒

山田錦・五百万石の60%磨き。口当たりには非常にまろやかな辛味が主体であり、これは柔らかく米の膨らみを主張しながら抜けていく。杯を重ねるとこの穏やかな辛味が次第に蓄積し、非常にスムーズかつ滑らかな辛味から米の旨味が流れるように移り変わっていく。とにかくこの一連の味の移ろいは綺麗なメロディーとして完成され、飲み飽きしないことは勿論のこと、思わず杯を重ねてしまうところがある。強い主張を持たないためどのような料理にも合わせやすい逸品。

 

秋田県 新政酒造株式会社 新政 平成29年立春朝搾り

あきた酒こまちの40%/60%。2017年3月に飲食店で飲ませていただいたもの。フレッシュで果実感溢れる華やかな口当たりだが、意外にもここに新政特有の軽やかな酸味が少なく、比較的重めの甘味が強く主張する。全体としてはトップの甘味に重心を置きつつ、ここから若干の酸味を膨らませつつ苦味として斬れていく。常温まで戻すとセカンドの硬質な辛味が大きくなるが、やはりトップに存在する膨らみの大きい甘味が強く存在する。華やかだが軽くない。軽くはないが杯を重ねられる。そんな不思議な感覚。この矛盾を両立させている辺りが蔵元の実力と言ったところか。

 

島根県 王祿酒造 王祿 丈径 ブルー 直汲 2015

山田錦の55%。非常に迫力のある辛味をトップにしながら、ここに存在感のある山田錦の旨味を凝縮させた濃厚な味わいがやってくる。この旨味は温度が上がるにつれてその味わいを大きく膨らませ、パワフルで強烈なインパクトを残す。後味はかなり辛口に斬れていく。華やかさやフェミニンな繊細さとは遠く離れた野性味のあるジューシーな味わいだが、ここにどこか風格というか、貫禄のようなものを感じさせるのは面白い。とにかく中心にある米の旨味が強烈な作品。

 

山口県 村重酒造株式会社 日下無双 純米80協会八號酵母 25BY

協会八號酵母を用いて醸された酒は非常に珍しいそうだ。25BYであるためやや熟成感が強くなっていた。グラスに注ぐと綺麗な琥珀色。濃厚な酸味と紹興酒を思わせるような独特の甘味。どこかヨーグルトのような酸味を感じさせる。とにかく重厚で複雑な酸と熟成感が素晴らしい。蔵元の紹介によれば肉料理に合う酒を目指したとのことだが、まさにその通りだろう。個人的には燗にして単独でちびりちびりとやるのも良いように感じた。協会八號酵母の持つ高いポテンシャルを示す作品。

 

福島県 廣木酒造 飛露喜 純米大吟醸 山田錦

山田錦の40%/50%。飲食店に行かないと飲めないパターン。上品な酸味と辛味を穏やかに感じさせつつ、ここに山田錦の旨味を軽やかに響かせる。透明感のある硬質な味わいだが、ここにフェミニンな気品を持つのは流石といったところか。端正で王道の山田錦を使ったバランスの良い純米大吟醸として見事に仕上がっている。ただ磨きを強くした酒ではなく、山田錦の味わいを残しつつ、これを穏やかな旨味へと昇華している点は素晴らしい。派手な味わいやただ綺麗な酒ではなく、その完成度そのものに感動出来る酒といった印象。

 

秋田県 新政酒造 佐藤卯兵衛 生酛純米

秋田県酒米の30%磨き。秋田県内限定流通らしい。新政らしい軽やかな酸味と甘味がトップから華麗に踊り、ふわりとした旨味を漂わせながらそのまま綺麗に抜けていく。果実感溢れる酸味とフェミニンな甘味のバランスが非常に良く、これがフレッシュで活き活きとした味わいを作り出している。かなり磨きが強いが、酒米の複雑な味わいを味の主旋律の裏側に存在させているのは面白い。ややトップの酸味が強かった金賞受賞酒よりも個人的には好きな作品。

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