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にげうまメモ

障害競馬と艦隊これくしょんの個人用メモ ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

17/03/17 National Hunt Racing - Cheltenham Festival - Cheltenham Gold Cup (G1)

*Cheltenham Good

Cheltenham Gold Cup (G1) 3m2f70y

結果:http://www.attheraces.com/racecard/Cheltenham/17-March-2017/1530

映像:http://www.thejockeyclub.co.uk/video/20170317/2672189/15994285

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(写真:ちょうどパドックから本馬場へ向かう花道)

本日のメインレース。そしてCheltenham Festivalの中のメインレース。長距離Chaseの最高峰であり、Grand National (G3)と並んで英国障害競馬の中で最も権威のあるレース。当然競馬場の盛り上がりも最高潮に達する。なお当日はけっこう寒かった。ビールを飲むイギリス人の集団に揉まれて、中の人はお腹を下していた。イギリス飯は胃腸に悪い。

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(写真:2011年の勝ち馬Long Run)

2016年のWorld Hurdle (G1)を圧勝したThistlecrackが2016-17シーズンからChaseに転進。Novice馬でありながらもKing George VI Chase (G1)にて並み居る強豪を下す歴史的な勝利を挙げ、ここでも本命視されていたが、残念ながら直前に故障が判明して離脱。昨シーズンの勝ち馬Don Cossackはシーズン初めで引退、2015年にNovice馬ながらここを勝利したConeygreeも故障で離脱。やや有力馬の離脱が相次いだ年であったが、それでもさすが層の厚い路線だけあってメンバーは揃った。一番人気はRuby WalshとWillie Mullinsの送り込むDjakadam。2015年、2016年と連続でこのレースは2着に入っている。G1は2勝のみに留まるが惜敗が多く、馬場やペース不問で確実に勝負圏内に入ってくる実力は高いものがある。対するはHennessy Gold Cup (G3)、Welsh Grand National (G3)と連勝してきたNative River。G1は9勝、骨盤の骨折を乗り越えて復活した古豪Cue Card、Irish Gold Cup (G1)を制した上がり馬Sizing John、Lexus Chase (G1)を制してきたOutlanderなどが続いていた。

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(写真:人気になっていたDjakadam)

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(写真:大きなシャドーロールが目立つSaphir Du Rheu)

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(写真:Minella Rocco)

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(写真:Smad Place。後ろにBristol De Mai)

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(写真:Cue Card)

Bristol De Maiが先頭を伺う構えも、これを制してNative Riverがハナへ。途中からやや行きたがったChampagne Westが先頭に立つ。Smad PlaceやBristol De Mai、Djakadamは好位、Cue Card、More of That、Sizing Johnは後ろから。残り6障害辺りからNative Riverが押して前に行き、Champagne Westは後退。残り3障害地点でCue Cardが落馬、Djakadamが持ったままでハナに立つも、残り2障害地点でミス。これに外から襲い掛かったSizing Johnが抜け出して勝利した。2着には後方から追い上げたMinella Rocco。Native Riverが3着、Djakadamは4着まで。

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(写真:Sizing Johnの凱旋)

序盤はスローで流れる一方で、残り6障害辺りからペースが上がる、と思いきやNative Riverが残り4障害地点と残り3障害でミスをしたりしてペースが上がり切れていない。良馬場でどの馬にとっても走りやすいため残り3障害辺りの坂では動くに動けず、結果的にはどちらかというと持続的なスピードを使うDjakadamが引っ張っていく展開になっている。Sizing JohnはIrish Gold Cup (G1)からG1を2連勝とした。もともとNovice Hurdle、Novice Chaseでは16fを使い、そのたびに何故かやたらとDouvanと当たってはあっさり負けていた馬なのだが、今年の初めから距離を延長。どうやらこれが当たったようだ。Douvanは卓越した運動能力を持ち、高いトップスピードと飛越能力を兼ね備えている馬。比較的スローで流れるレースを、機動力の違いを生かして圧勝に次ぐ圧勝を続けてきた。Sizing JohnはDouvanほどの瞬間的な運動神経はない一方で、24f向きの持続的な機動力を持っているのだろう。下り坂で最も手ごたえで勝るDjakadamの後ろに付けることで最大限に加速し、コーナーで外を回すことでスピードを殺さずに来ている。この馬の持続的な機動力を生かし切る鞍上の好判断であった。ただし、16fで走っていた馬が距離を延長し、体内リズムの違いであっさりと大きいところまで突破するのはしばしばあることであり、課題はフルに24fを走り切るような持久戦になった際の対応といったところだろうか。

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(写真:2着に入ったMinella Rocco)

Minella RoccoはChase1勝馬だが健闘した。32fのNational Hunt Chase Challenge Cup (Listed)を勝利する距離適性があり、良馬場も良かったのだろう。ここ2戦は落馬に終わっているが、今回の飛越は安定していた。残り3障害地点ではDjakadam、Sizing John、Minella Roccoと縦に並んでおり、スムーズに加速のついたSizing Johnとは異なり、Minella RoccoはChampagne WestやBristol De Maiに前に入られたりと不利が大きかった。ようやく加速のついた最終障害では、Bristol De Mai、Saphir Du Rheuと同時に飛んでいるのだが、この馬は最も遠い地点から飛越を試みたにも関わらず綺麗な飛越を見せている。相当余力が残っていた証拠だろう。最後まで勝ち馬を追い詰めるスピードと、最終障害の大きな飛越は目立っていた。おそらくスムーズな競馬さえできれば勝利まであり得た馬だろう。飛越とハイペースへの耐性さえクリアできれば、Grand National (G3)でも面白い。

Native Riverはここまで連勝した際と同様の戦法となった。ハナに行く構えを見せたBristol De Maiが良馬場でペースを上げきれず、結果として飛越の際の加速に秀でる同馬がハナに行くことになったが、もともとハイペースで引っ張るタイプの馬ではないうえにRichard Johnsonがこの馬のトップスピードに賭けたのか、慎重な立ち上がりとなった。残り6障害辺りから前に行っているところまでは良かったのだが、残り4障害で踏切地点をミス、加速が必要な残り3障害でも踏切をミスしている。結果としてDjakadam、さらにSizing Johnに前に入られてしまった。最後まで差は詰めているが、早々からペースを上げきれなかったことがこの馬にとっては致命的なミスだろう。Djakadamは逃げるNative Riverを残り3障害から持ったままで潰しに行ったが、結果的にDon Cossackの機動力にやられた昨年と同様の負け方となった。機動力は素晴らしいものがあるのだが、やはり持続的なスピード能力こそがこの馬の持ち味だろう。序盤から積極果敢に引っ張るConeygreeがいた方がこの辺りの馬にとっては自身の能力を出し切れる展開になったのではないだろうか。もしかするとRuby WalshよりもJamie Mooreなど積極的に馬を動かしていく騎手の方が合っているかもしれない。

Mildmay Novices' Chase (G1)の勝ち馬Saphir du Rheuは人気がなかったが好走した。以前は怪しかった飛越も向上し、ノドの調子も良いのかもしれない。World Hurdle (G1)の勝ち馬More of ThatはChaseに転向してから期待されたほどの結果を残せていない。どうにもChaseの飛越でペースを上げきれない部分があるのだろうか。Bristol De Maiは残り3障害、最終障害でミスをして万事休す。惰性で走り切るタイプなだけにこのミスは致命的。重馬場でワンペースで引っ張る方が良いだろう。Smad Placeは大きなストライドを使って引っ張るこの馬の本来の形ではなかった。度外視してよい敗戦だが、今シーズンはどうにもぱっとしない。Cue Cardは去年と同じところでの落馬となった。道中から前に馬に入られる場面が多く、残り3障害地点でも何頭か前にもたつく馬がいた。手ごたえはどうにも悪かったが、落馬がなければもう少しやれただろう。今シーズン最初のCharlie Hall Chase (G2)で驚きの勝利を挙げたIrish Cavalierはどうも走る気を見せず。おそらく良馬場の方がよいとは思うのだが、この馬の走る条件は謎。ちなみにTea For Twoに騎乗して早々に落馬したLizzie Kellyは2周目に馬が来る頃にはしょんぼりモニターを見ていたのだが、しばらくはものすごく悔しがっていた。

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(写真:Winners Enclosureの雰囲気)