にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

17/04/08 National Hunt Racing - Grand National Entries -

*Aintree

Randox Health Grand National Handicap Chase (Grade 3) (Class 1) (7YO plus) 4m2f74y

毎年恒例となったGrand Nationalの出走馬紹介。今年はちょっと余裕ない感じなので簡潔に。少しずつ追記していきます。昨年の一昨年の出走馬紹介、昨年の結果一昨年の結果。それから昨年書いたGrand National Guide。なお順番は斤量順。リンクを貼っといたのは面白いレース。

なお参考までに、英国障害シーズンは秋に始まり春に終わる。なので現在は2016-17シーズンという形になる。出走馬や正確な斤量はAt The Racesなどを参照してください。

 

・The Last Samuri 11st9lb (=73.9kg) David Bass

ザ・ラスト・サムライ。昨年の2着馬。Noviceクラスではさほど目立った成績を上げることは出来なかったが、2015-16シーズンにかけてC2を連勝して力をつけ、Softな馬場となった上に前半からAachenなどの体内時計が中距離(20f)仕様の馬がぶっ飛ばす壮絶な展開となった2016 Grand National (G3)では、最終障害の地点で先頭に立ちあわやというシーンまで作り出すという見せ場十分のレースを見せた。今シーズン初戦のJnwine.com Champion Chase (G1)こそスピードに違いで大敗したが、その後のNational Fenceを用いるBecher Chase (G3)ではトップハンデの11st12lbを背負いながらも安定した飛越で3着に入っている。もともとトップスピードの高い馬ではないためこの辺りは仕方ないだろう。距離適性、飛越技術、コース経験という点でも大きなアドバンテージがある一頭。課題は昨年の10st8lbから大きく増加する斤量だろうか。

 

・More of That 11st5lb (=72.1kg) Barry Geraghty

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元々は無敗で24f Hurdleの最高峰のレースである2014 World Hurdle (G1)を制した馬だったのだが、2014年の秋に復帰した際は大敗。その後はChaseに転向し、下級条件は2連勝を飾るも、2016 RSA Chase (G1)では飛越のミスもあり3着。2016-17シーズンはどうにも目立った成績を上げられていない。Chaseでは飛越の際にペースを上げきれないところでもあるのだろうか。元王者の復活となれば面白いが、初距離、初コース、厳しい斤量と課題は多い。

 

・Shantou Flyer 11st4lb (=71.7kg) Jonathan Moore

今年の元旦に行われたBetbright Best For Festival Betting Handicap Chase (G3)の勝ち馬。イギリスでは元旦から元気に競馬をやっている。どちらかというとSoft程度に重くなった馬場が得意な馬であり、実績も21fクラスに集中している。実績から考えればやや厳しいが、2016年の秋に転厩して馬が変わっている可能性もある。

 

・Perfect Candidate 11st4lb (=71.7kg) Paddy Brennan

2016年の12月に行われたUnicoin Group Handicap Chase (G3)では頭の高い走法のTheatre Guideの2着に入っているのが目立つ実績。C2の長距離戦の常連であり、そろそろC2では勝ち星を重ねたためにハンデを背負わされるようになっている。前走は10歳以上限定戦をトップハンデで勝利してここに挑んできた。ただしCotswold Chase (G2)では途中棄権に終わっており、序盤からペースが流れた際の対応には疑問が残る。

 

・Saphir Du Rheu 11st4lb (=71.7kg) Sam Twiston-Davies

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葦毛の子。なかなか白くならない。非常に期待されてChase入りした馬なのだが、Coneygreeが圧勝したKauto Star Novices' Chase (G1)では人気を背負って落馬。結局Noviceでは申し訳程度にMildmay Novices' Chase (G1)を勝ったのだが、その後も飛越のミスやノドの持病などがありListed勝ちのみに留まっている。ただし前走のCheltenham Gold Cup (G1)ではそれなりに見せ場を作った5着。もともとの能力の高さを考えればここで走っても不思議ではないが。

 

・Roi Des Francs 11st2lb Jack Kennedy

今年のGrand Nationalはハンデキャッパーがやたらとアイルランド馬に対して厳しい斤量を付けたのだが、それに怒ったGigginstownは一斉に馬を回避させるという対策を取った。そのGigginstownが送り込む一頭。勝ち星としては3頭立てとなったWoodlands Park 100 Club Novice Chase (G2)のみに留まる。また、もともとはWillie Mullins厩舎にいたのだが、2016年の秋に同厩舎が委託料の値上げをするとかでGigginstownは一斉に馬を転厩させている。この馬も漏れなくそのごたごたに巻き込まれてしまった。とりあえず前走は平場戦であるDaily Mirror Chaseを勝っているが、メンバーも手薄。アイルランドの新進気鋭の若手Jack Kennedyを背に挑むのだが、ここは厳しいか。

 

・Wounded Warrior 11st1lb (=70.3kg) Sean Flanagan

同じくGigginstownの馬だが、この馬はNoel Meade厩舎にいたため厩舎のごたごたには巻き込まれていない。2015年のWoodlands Park 100 Club Novice Chase (G2)にて、のちに2016 Grand National (G3)を勝利するRule The Worldを9馬身ぶっちぎる勝利を挙げているが、Rule The WorldはGrand National (G3)以外ではいまいちパッとしないレースを続けていた馬だったりする。Wouded Warrior自身はNovice卒業後は勝ち星はなし。2016-17シーズンは大敗続き。ややここでは押しづらい。

 

 ・Wonderful Charm 11st1lb (=70.3kg) Ms Katie Walsh

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写真の右の子。左が勝った馬なのだが、何か言いたげな感じ。Chaseでは重賞戦線で戦ってきた馬で、Novice時代には重賞勝ちもある。昨年のGrand National (G3)にも挑み、第21障害の手前で途中棄権に終わっている。今シーズンはアマチュア限定戦を使い、CheltenhamのSt. James's Place Foxhunter Challenge Cup (C2)では同厩舎のPacha Du Polderの2着。重賞クラスのペースにも対応ができる。どちらかというと良馬場の方が良い馬だろうが、コース経験や飛越の巧さの点では侮れない一頭。

 

・Tenor Nivernais 11st0lb (=69.9kg) Liam Treadwell →Aidan Coleman

21-24fにおけるハンデ戦の常連。今シーズンはかなり調子が良いようで、2月のSwinley Chase (Listed)では2着を30馬身ぶっちぎる勝利を挙げている。ListedからG3辺りで安定して走っている調子は評価でき、また21fでも前に行くスピードを持っている辺りは面白い。ただし良績はSoftからHeavyに偏っており、良馬場になった際の対応が課題だろう。

なおLiam Treadwellが落馬負傷のためAidan Colemanに乗り替わりの模様。

 

・Blaklion 11st0lb (=69.9kg) Noel Fehily

Novice長距離戦であるRSA Chase (G1)の勝ち馬。ただしこの際はNo More Heroesや大きくミスをしたMore of Thatなどの敵失で勝利した印象。今シーズンは早々にハンデ戦に路線を切り替えるもRowland Myrich Handicap Chase (G3)の3着が最高といまいち目立った結果を残せなかったが、前走のGrand National Trial Handicap Chase (G3)ではトップハンデを背負いながらも僅差の2着に入った。昨シーズンは一気にギアを上げきるスパートを特徴としていたが、ようやく前走では厳しいところを踏ん張れるような走法を見せていた。馬の成長という点でも面白い一頭。

 

Drop Out Joe 11st0lb (=69.9kg) Tom O'Brien

ガヴリールドロップアウトはオープニングがいいんですよね。なんだかいまいちつかみどころのない馬なのだが、勝つときはだいたい人気薄なのでそういう馬なのだろう。夏のUttoxeterで行われるJohn Smith's Summer Cup (Listed)の勝ち馬。シーズンオフの障害競馬ファンにとっては癒しのようなレース。実はこの年は、Ballynagour、Pacha Du Polder、Menorahなどシーズンオフにしては豪華な馬が出ている。良績は夏から秋にかけて集中しており、シーズン中は全く走らないようだ。暖かくなっているかが課題だろう。それから約10カ月ぶりとなる実戦にも不安が残る。

 

・Le Mercurey 10st13lb (=69.4kg) Sean Bowen

Novice ChaseではG2を2勝。2016-17シーズンにかけて20-24f重賞戦線に挑戦するも勝ち星は上げていない。Denman Chase (G2)では、Hennessy Gold Cup (G3)、Welsh Grand National (G3)と連勝し、一躍長距離Chaseの主役級に躍り出たNative Riverを追い詰める走りを見せているが、これはNative Riverがかなり大事に乗った結果。どちらかというとNoviceの上り勝負の方が得意なのかもしれない。持続的なペース配分になりがちなここではどうだろうか。

 

・The Young Master 10st12lb (=68.9kg) Mr Sam Waley-Cohen

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2014年の秋から冬にかけてListed2勝を含む謎の4連勝で一気に名前を上げた馬。2015-16シーズンは重賞戦線を戦い、Just A Parの猛烈な追い込みを凌いでbet365 Gold Cup (G3)を勝利。実力的にはここでも面白いのだが、今シーズン3走(うち1戦はHurdleなので度外視できる)はいずれも大敗している点が不安。とりあえずはBecher Chase (G3)にてNational Fenceは経験済みであることはプラス材料だろう。

 

・Cause of Causes 10st12lb (=68.9kg) Jamie Codd

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Cheltenham Festivalの32f Novice Chaseでアマチュア騎手限定戦という大変危なっかしいレースであるToby Balding National Hunt Chase (Listed)の勝ち馬。今シーズンはCross Countryを使い、初戦は大敗したものの2戦目となったGlenfarclas Cross Country Chaseを勝利。Grand National (G3)も2015年に8着と完走を果たしている。超長距離を走り切るスタミナ、飛越の巧さ、さらに障害に対する学習能力は非常に高い。ただし出来れば良馬場でやりたい馬か。

 

・Regal Encore 10st12lb (=68.9kg) Robbie Power

2015-16からChaseを使っているのだが、走るときは激走、それ以外は大体途中棄権という極端な馬。2016-17シーズンはAscotで行われたJolie Silver Handicap Chase (Listed)を勝利している。AP McCoyやBarry Geraghtyなどの名手が主戦を務めており、素質は評価されているのだろうか。今回乗ってもらえるかわからないが。

 

・Vieux Lion Rouge 10st11lb Tom Scudamore

おそらく今年人気の中心となるだろう一頭。Noviceの身ながら挑んだ昨年は完走を果たし7着。Grand Nationalと同じく、障害の上にトウヒの枝を積み上げたNational Fenceで行われるBecher Chase (G3)、Grand Nationalと繋がるのかいまいち疑問だけれどTrialと名前がついているGrand National Trial Handicap Chase (G3)を連勝してきた。とにかく惰性で走り切る大きなストライドとコース経験、飛越技術などはここでも大きな武器になる。

 

・Definitly Red 10st11lb Danny Cook

人気の中心となっている一頭。Rowland Meyrick Handicap Chase (G3)の勝ち馬。ListedからG3のように持続的なペースを刻むレースが合っているようで、その中から一気の機動力を生かすレースが持ち味。Grimthorpe Handicap Chase (C2)もそのような形で勝ってきた。2着のThe Last Samuriはさほど瞬発力のある馬ではなく、Softな馬場ということで着差もつきやすいのだが、勢いと機動力から考えればここでも面白い一頭。前に行ける戦術も魅力。

 

・Ucello Conti 10st11lb Daryl Jacob

なんとChase未勝利馬。どこかにそういう馬いたよね。そんな馬が勝った2016 Grand National (G3)でも完走を果たし、さりげなく6着に踏ん張っている。今シーズンも例によってGodds Thyestes Handicap Chase (Grade A)は2着、Leinster National (Grade A)は4着などと相変わらず勝てていない模様。ただし高い飛越技術やバテない追走能力はGrand National向きであることは間違いない。有力な一頭。ただしこの馬が勝ったらイギリス人が文句を言い出す気がする。

 

・Double Shuffle 10st11lb Adrian Heskin

C2からListed辺りのハンデ戦の常連で、BetBright Handicap Chase (G3)では11st7lbを背負って2着に入っている。ただしかなり道中から大きく外に開いて走っており、やや難しいところがあるようだ。ハンデ戦のような持続力が求められるレースは得意なのだろう。もともと21f戦を使っており、24f戦に距離を伸ばしてパフォーマンスを上げているようだが、いきなりここはハードルが高いかもしれない。

 

・Houblon Des Obeaux 10st11lb Charlie Deutsch

2011年にJCB Triumph Hurdle (G1)にも参戦し、4歳時から長く重賞戦線で戦っている馬。なんといっても印象的なパフォーマンスは、2016年のDenman Chase (G2)にて後続を28馬身突き放して快勝したレースだろう。2014 Henessy Gold Cup (G3)でものちにGrand National (G3)を制すMany Cloudsの2着に入っている。Midlands Grand National (Listed)でもトップハンデを背負って僅差の4着に入る辺り、古豪健在といったところだろうか。ただしNational Fenceは10歳にして初挑戦。馬場も渋った方が良い。

 

・Pleasant Company 10st12lb Ruby Walsh

アイルランドを代表する名伯楽Willie Mullinsが送り込む一頭。Chaseは6戦3勝とやや経験では少ないが、Bobbjyo Chase (G3)にて2015 Irish Grand National (Grade A)の勝ち馬Thunder And Rosesを下してきている。Noviceは早々に見切りをつけてハンデ戦に移行した辺り、Noviceではなくこちら向きと判断されているのだろうか。ただしHeavyにて良績が集中している点は気がかり。鞍上にはいつぞやの中山グランドジャンプをBlackstairmountainで制し、現在アイルランドでリーディングを爆走するRuby Walshを配してきた。

 

・One For Arthur 10st11lb Derek Fox

人気の中心となっている一頭。Novice時代は下級条件勝ちのみにとどまったが、ハンデ戦に移行した今シーズンはC3を快勝したのち、National Fenceを用いるBecher Chase (G3)にて僅差の5着。その後はClassic Handicap Chase (G3)を快勝してここに挑んできた。今シーズンに入って頭角を現してきた馬であることは間違いない。超長距離への適性、障害経験などからは有力な一頭。ただし馬場は少し渋った方がいいかもしれない。

 

・Ballynagour 10st11lb David Noonan

実績馬のわりに全く人気がないのだが、それもそのはず、今シーズン3戦は見どころなく途中棄権に終わっている。とはいえ遡れば2015 Bowl Chase (G1)にてSilviniaco Contiを追い詰めた実績があったりする。当時のSilviniaco Contiは長距離Chaseにて最有力候補となる馬であり、この走りは決してフロックで出来るものではないだろう。どうやら春先にかけて調子を上げてくるタイプの馬であり、ここ3戦の走りは致し方ないところもあるような気もするのだが。もっとも、昨年のGrand National (G3)にも一応は出走しており、特にいいところなく落馬に終わっている点は気がかり。

 

・O'faolains Boy 10st11lb Paul Townend

2014 RSA Chase (G1)にて葦毛のSmad Placeを下してきた馬。高い評価を受けた馬なのだが、その後は故障で長い休養に入り、復帰してからはC2勝ちのみ。昨シーズンこそかなり強力な相手に戦ってきた経緯もあるのだが、今シーズンに入っての2戦は全くいいところを見せることなく途中棄権に終わっている。現状のパフォーマンスからは押しづらい。

 

・Highland Lodge 10st11lb Henry Brook

2015 Becher Chase (G3)の勝ち馬。連覇を狙った2016年でも見せ場十分の2着。今年11歳になるベテランなのだが、どうやら2015年のJames Moffatt厩舎への転厩が非常に良い方向に向いた印象。National Courseはここまで3回走り、いずも完走。Grand National (G3)自体は初参戦となるが、コース経験では一歩リードしている馬だろう。

 

・Bishops Road 10st10lb Jamie Moore

 Heavyで行われた昨年のGrand National Trial (G3)の勝ち馬。8頭走って完走はたったの3頭という壮絶なレースとなっている。昨年のAintreeでは満を持してNational Fenceを用いるTopham Chase (G3)に出走したのだが、第一障害で早速落馬するという悲しい結果に終わった。今シーズンは3走して3戦目のPeter Marsh Handicap Chase (G2)の3着が最高。初戦はともかく、2戦目のWelsh Grand National (G3)は非常にハイレベルな一戦、3戦目はかなりハイテンポで引っ張るBristol De Maiがいたので仕方ないだろう。人気よりはチャンスのある馬だとは思うが、馬場はかなり渋る必要がありそうな感。

 

・Lord Windermere 10st10lb Leighton Aspell

泣く子も黙る長距離Chaseの最高峰2014 Cheltenham Gold Cup (G1)の勝ち馬。揃いも揃って有力馬が前へ前へと仕掛けた結果、結果的に最後に足が上がって後ろの方で頑張って追走していた組が追い付いてしまったというプログレッシヴなレース。実はこれの他に2013 RSA Chase (G1)の勝ち馬でもあるのだが、2014年の冬に復帰してからはほとんどいいところは見せられずに終わっている。1年半ぶりに復帰した2016-17シーズンの初戦こそ2着と頑張ったが、その後は走る気を見せず飛越にスムーズさを欠き大敗。良馬場は得意な馬であり、距離適性もあるとは思うのだが、いかんせんここのところの走りからは強調しにくい。ここで走ればドラマになるだろう。なおCheltenham Gold Cup (G1)とGrand National (G3)を制覇するとなるとL'Escargot以来となる偉業になる。

 

・Saint Are 10st10lb Davy Russell

 2015年のGrand National (G3)の2着馬。AP McCoyの最後のGrand Nationalであり、昨年の勝ち馬Pineau De Reがいたり、14歳馬Oscar Timeの引退レースであり、2014 Grand National (G3)でTidal Bayに大きな不利を受けたAcross The Bayが雪辱を期してきたレースであり、大勢決してからものすごい勢いで追い込んでくるAlvaradoがまたもやものすごい勢いで追い込んできたりと濃密極まりないレースであり、そして勝利したのは11st9lbという非常に厳しい斤量を背負っていたMany Cloudsである。昨年のGrand National (G3)こそハイペースに巻き込まれて大敗したが、本来であれば良馬場を淡々としたペースで追走する馬。今年こそはと期待がかかる。

 

・Vincente 10st10lb Brian Hughes

2016 Scottish Grand National (G3)の勝ち馬。Ayrで行われるこのレースも超長距離ハンデ戦の権威あるレース。National Courseを用いるBecher Chase (G3)でもとりあえずは完走を果たしている。24f越えの超長距離戦の経験は豊富であるが、馬場はやや渋った方がよさそう。またここ2戦はいまいちいいところなく敗れている。

 

・Just A Par 10st9lb Harry Cobden

 2015 bet365 Gold Cup Chase (G3)の勝ち馬。英国障害競馬シーズンの最後に行われるこのハンデ戦もまたシーズンを締めくくる重要なレースである。Sandown競馬場は2つの近接した障害があったりと特殊なコースなのだが、なぜかこの馬はこのレースに限って2年連続で後ろの方から忘れたころにものすごい勢いで追い込んできている。昨年のGrand National (G3)にも参戦したが特に見せ場なく15着。むしろこれは完走を果たしていることを評価すべきだろう。今シーズンは10歳以上限定戦を勝ってここに挑んできた。だいたい後ろの方にいるので忘れたころにやってくる。来ないかもしれない。

 

・Measureofmydreams 10st9lb Donag Meyler

Measure of my Dreamsと切る。なんかこの類のどこで切るのかわからない名前はアイルランドで多い。Navanで行われたTen Up Novice Chase (G2)の勝ち馬で、このレースではSub LieutenantやNoble Endeavorなどそれなりに重賞戦線の常連が名を連ねているのだが、どちらかというとこのレース自体はのちにJLT Novice's Chase (G1)を勝利するBlack Herculesが落馬したことによる棚ぼた感が強い。Measureofmydreamsの良績はHeavyに偏っており、今シーズン2戦は見せ場なく大敗。やや苦しいか。

 

・Raz De Maree 10st9lb Ger Fox

補欠一番手のBless The Wingsと並んで12歳の最年長。昨年3着の14歳馬Vics Canvasは残念ながら故障で回避したようだ。Raz De Mareeは2012, 2016のCork Grand National (Grade B)Munster National (Grade A) の勝ち馬。2016-17シーズンもそのCork Grand Nationalのほかに、Welsh Grand National (G3)でも最後まで猛然と追い込んで2着に来ている。2014年のGrand National (G3)ではPineau De Reの8着。超長距離戦の経験、コース経験という点では侮れない一頭。あと高齢馬はなんとなく頑張って欲しい。

 

・Stellar Notion 10st9lb David Mullins

もともとはイギリスで走っていた馬だが、2016年の春にアイルランドへ移籍。大きな勝ち鞍こそないものの、Munster National (Grade A)で後方からぶち抜いたTiger Rollの2着Leopardstown Handicap Chase (Grade A)でA Toi Philの2着などわりと頑張っている。人気は全くないようだが、調子の良さはひときわ目立つものがあるだろう。どちらかというと上記2戦の勝ち馬2頭は脚が早い馬であり、どちらかというと持久戦となりがちのハンデ戦も合っているようなイメージもある。

 

Rogue Angel 10st8lb Bryan Cooper

2016 Irish Grand National (Grade A)をハイテンポで引っ張って勝利した馬。ほかにもKerry National (Grade A)も同様のレースで勝利している。ただしどうにも脆いところがあるらしく、負けるときはだいたい派手に負けている模様。いちおうBecher Chase (G3)でNational Fenceの経験はあるのだが、ここでも例にもれず大敗。おそらくペースの鍵を握る馬だと思うのだが、全体的に前掛かりとなるこのレースで気分よく走れるかはかなり疑問。

 

・Cocktails At Dawn 10st8lb Nico de Boinville

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勝ち鞍はC2のNovice程度であり、2015-16、2016-17シーズンは大敗か落馬に終わっている。イギリスの名門Nicky Henderson厩舎と名手Nico De Boinvilleと布陣は豪華なのだが、普通に考えれば厳しい。なにか意図があって送り込んできたのだとは思うのだが。

 

・Thunder And Roses 10st7lb Mark Enright

名前はすごく格好いい。2015 Irish Grand National (Grade A)の勝ち馬であり、この2着にはRule The Worldがいたりする。ただしその後は勝ち星を上げることはできていない。好走するパターンがいまいちわからないのだが、おそらく超長距離の持久戦になるのはプラスだろう。ただしさほど足が早い馬ではないためペースに付いていけない可能性は考えられる。また今シーズン9戦目と数を使っている点も気がかり。アイルランドの馬はわりと詰めて使うことは多いのだが。

 

・Gas Line Boy 10st7lb Robbie Dunne

英国長距離ハンデ戦の常連で、C2からListed辺りを使っている。Heavyはだめなようだが、SoftからGoodくらいまではこなせるようだ。第一障害で早速落馬した2015年に続き2回目の参戦。今シーズンはKelsoのVeterans' Chaseを11馬身差で勝利するなどこの馬なりに調子はよさそうだが、前走のHaydockはVieaux Lion Rougeに完敗。ここのペースに付いていけるのかも疑問が残る。

 

・Goodtoknow 10st7lb Jake Greenall

目立つ実績としてはWarwickのBetfred Classic Handicap Chase (G3)でOne For Arthurの2着があるが、もともとはC3辺りの重馬場で勝ってきた馬。リンク先のHerefordは超絶重馬場となったところを勝利したレースなのだが、その後に挑んだHaydockのGrand National Trial (G3)はGood to Softという馬場もあったのか途中から遅れ棄権。そもそも良馬場でここに入るとスピード不足が露呈する感。

 

・La Vaticane 10st6lb Richie McLernan

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なんと牝馬牝馬限定戦のListedの2着が最高。DoncasterのC3は12st2lb(=77.1kg)を背負って勝っているのだが、C3とここではペースが違う。心情的には頑張って欲しいが、実績的にはかなり厳しい。

 

・Doctor Harper 10st6lb Conor O'Farrell

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めでたく出走順40番目に滑り込んだ馬。Hurdle時代にはDominican Republic Handicap Hurdle (G3)勝ちもあるのだが、Chaseではさほど実績はなし。アマチュア戦に狙って出てくるくらいなのでそれなりに飛越は上手いと思うのだが。