にげうまメモ

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18/02/17 National Hunt Racing

*Ascot Soft

Reynoldstown Novices' Chase (G2) 2m7f180y

人気を背負ったBlack Cortonが軽快に逃げると、追いかけてきたMs Parfoisを突き放して快勝。Mount Mews、Crystal Ladと続いた。

Black CortonはこれでChase11戦8勝とした。一昨年の11月からChaseに参戦しており、昨年の夏場も走っていたためキャリアが豊富となっている。Kauto Star Novices' Chase (G1)を勝ったあとここに出てきた理由がよくわからないのだが、少なくともここでは馬の完成度自体が違っていた。圧倒的な運動能力こそ持たないのだが、馬が障害飛越というものをよく理解しており、スピードを上下させても飛越の各動作が安定しているのが最大の長所だろう。今回は自分のペースでゆったりと運べた利もあるのだが、少なくともRSA Chase (G1)に向けては本命視できる一頭。Listedを連勝してきたMs Parfoisはさすがに力を見せたが、Novice離れした飛越技術を持つBlack Cortonと比べるとやや飛越の面で見劣った。経験を積めば重賞くらいは狙える器。

 

Keltbray Swinley Chase (Limited Handicap) (Listed) 2m7f180y

好位から抜け出したRegal EncoreがMinella Daddyとのたたき合いを制して勝利。Another Ventureは3着まで。

Regal Encoreは走るのか大敗かという成績が極端な馬で、少なくとも今回は走る方向に向いたようだ。どうにもレース中から飛越が安定しなかったり、途中で集中力を欠く場面があったりと難しいところがあるようだが、まともに走ればこれくらいのパフォーマンスは見せるということだろう。Minella Daddyは最終障害でRegal Encoreと並んで飛越を行ったのだが、Minella Daddyは飛越位置がやや近く、結果としてスピードを殺す形になってしまったのが悔やまれるところ。Vieux Lion Rougeは道中から馬群に入って飛びにくそうにしている場面があった。スピードがあるタイプではないので最後突き放されるのは仕方がない。多少渋った馬場のNational Fenceが一番良いのだが。

 

Ascot Chase (G1) 2m5f8y

2013年、2017年の勝ち馬で、今年12歳、今シーズンを限りに引退を表明しているCue Cardの参戦が一番の話題となっていた。人気は無敗の上り馬Waiting Patientlyから。

Frodon、Speredek辺りが前に行くも、Cue Cardがやや主張してハナに行く展開。これを追いかけてFrodon、Speredek。Top Notch、Waiting Patientlyなどは後方から。ややペースの落ち着いた第6障害辺りからSperedekが先頭に行き馬群を引っ張るが、第11障害辺りからCue Cardが再度先頭に代わりペースを上げにかかる。これに残り3障害辺りからFrodon、Waiting Patientlyが接近し、ここから脱落したFrodonを除いたCue CardとWaiting Patientlyのたたき合いはWaiting Patientlyに軍配が上がった。Frodonは3着、Top Notchが4着。Coney Islandは途中でミスをしてPU。

Cue CardはもともとNHFでChampion Bumper (G1)を制しているほどにスピード能力の高い馬で、Arkle Challenge Trophy (G1)でSprinter Sacreの2着に入るような経歴もある。さすがに年齢を重ねてトップスピードの衰えはあるものの、そのスピード能力と持久力は健在であり、20fに入ったここで積極的に運んだ場合にそれら大きな武器となる。さらに今回は通常つけていたシャドーロールを外し、より攻撃的な競馬を試みてきた。展開を動かしたSperedekは実績的には格下感が否めないのだが、Clarence House Chase (G1)を使ってきた16f仕様の馬。こうなると純粋な24fタイプの馬には厳しいペースとなり、逆に16f仕様の馬には距離が長すぎるというレースになる。勝ったWaiting Patientlyはこれで6戦6勝とした。実績としてはListedやNoviceのG2程度なのだが、今回ここで本格的な20fのレースに対応したことは今後の展望が大きく開けるパフォーマンス。飛越には特に乱れはなく、このような厳しくペースが流れる中で安定したレース運びができたことがやはり一番の強調材料だろう。Ryanair Chase (G1)はどうにも出走馬が読めない部分があり、出走馬によってはレースのタイプが大きく変わるのだが、この路線で頂点を取る可能性がある器だろう。ベテランのCue Cardは積極的なレース運びで見せ場を作った。今シーズンはBristol De Maiが君臨するHaydock Parkの魔界に飲み込まれたり、Charlie Hall Chase (G2)では落馬に終わったりといまいち不運なのだが、まだ有終の美を飾ることが出来る可能性を残している。主戦騎手Paddy Brennanは前半からこの馬を積極的に動かしていく勝ちにこだわった騎乗を見せており、直線でも強引に外に切り替えるなど、最後まで勝利に対する気迫が伺えた。Frodonはできれば自分のペースで逃げたかったのだが、それでも展開次第ではここでもやれることを示した。もう少しペースが落ちれば好勝負が出来ただろう。Scilly Isles Novices' Chase (G1)勝ちのあるTop Notchは途中からついていけず。鐙が外れる場面もあったようだが、それ以上に展開が厳しかった。Coney Islandはそもそも飛越のリズムが悪く、ペースについていけていなかった。

 

*Haydock Heavy

Rendlesham Hurdle (G2) 2m6f177y

Boiteが逃げるも残り3障害で落馬。Agrapartの追い上げをDonna's Diamondが凌いで勝利した。No Hassle Hoff、Zarkandarと続いた。

Donna's DiamondはこれでC3から連勝とした。どうにもHaydockのHeavyが合っている馬のようで、前走も37馬身差の圧勝を決めている。休養前の成績から考えるとある程度渋った馬場で、単調に走らせることで力を発揮するタイプなだけに、さて競馬場が変わった時にどこまでというと微妙なところ。Agrapartはさすがに自力が上だが、HeavyのHaydockはかなり特殊な環境なので仕方がない。Boiteはもったいないミス。なおZarkandarはこれで引退とのこと。良血馬ながら長くHurdle戦線で活躍した馬で、フランスでの勝ち鞍もある。さすがに今シーズンはかつての走りを見せることは出来なかったが、2010年辺りからのHurdle路線を彩る馬であったことは間違いない。

 

Grand National Trial Handicap Chase (G3) 3m4f97y

残り6障害辺りからWild West Windが抜け出すも、残り2障害手前から急に減速して馬が飛越拒否。代わって好位で頑張っていたYala Enkiが先頭に立ち、そのままBlaklionに54馬身をつけて勝利した。はるか後方に離れた3着にはMystereeが入った。

馬場が悪いうえにひたすら直線が長いので途中で嫌になる馬が続出している。Wild West WindはWelsh Grand National Trialを勝ってきた馬で、Heavyな馬場はかなり得意なようなのだが、今回は抜け出したところで馬が嫌になってしまったようだ。Yala Enkiはもともとある程度動かしていったときに力を発揮する馬で、今回はひたすらだらだらと走り続ける能力が功を奏したといったところだろうか。落馬したSilsolが前をふらふらと走っており、前に行きたいタイプにはやや面倒なレースとなったのだが、今回の勝利にはこの馬の精神的な強さもあるのだろう。ただしさすがにWild West Windがレースをやめてしまったところが大きいので、ここからどうこうということは難しい。Grand Nationalではおそらく本命視されるであろうBlaklionは大きく遅れたが、重馬場でこのくらい差がつくことはよくあるのでさほど気にする敗戦ではない。National Fenceへの強さは特筆すべきものがあり、本番では巻き返す可能性は十分にある。Mystereeは早々に脱落したのでPUかと思ったのだが、よく見たら頑張って最後まで走っていたようだ。