にげうまメモ

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18/09/15 Japanese Racing

*Hanshin Firm

Hanshin Jump Stakes (JG3) 3140m

連覇を狙うアップトゥデイトが圧倒的な人気になっていた。

好スタートからラヴアンドポップが出てくるも、これを制してアップトゥデイトがハナに。そのまま大きな差をつける逃げを打つ。しかし4コーナー前にラヴアンドポップが接近、最終障害では逃げるアップトゥデイトに並びかける。激しい2頭のたたき合いは内のアップトゥデイトに軍配が上がった。ラヴアンドポップは惜しい2着。後続は3秒以上離れた。

アップトゥデイト阪神ジャンプステークス自体はこれで連覇とした。本来ある程度慎重な飛越を見せる馬だが、やはりスピードに乗せた時の持久力に関しては歴代の名馬と比べて引けを取らないものを持っている馬であり、ここでもその実力をいかんなく発揮した。前走2着に敗れた小倉と比べて、やや大型の障害が存在する阪神のコースもこの馬には合っている。ただし、林騎手の引退に伴い前走から白浜騎手が手綱を取っているのだが、何回か踏切位置のミスが散見され、リズムに乗り切れない場面が存在した。HurdleやSteeplechaseに明確に分類される諸外国の障害競馬と異なり、日本障害競馬はヘテロな集団の障害馬が存在すること、飛越技術の正確性よりも平地のスピードを障害でも活かす側面があること、また騎手が馬を制御するというよりは馬とリズムを合わせることを重視することが原因となり、各馬における飛越技術にはかなりの差異が存在する。アップトゥデイトの飛越もまた特徴的であり、この飛越と合わせることはいくらベテランとは言えどなかなか容易いことではないのだろう。特にこの馬に関してはある程度オーバーペース気味で飛ばした方がよさを発揮するタイプであり、スピードに乗せた飛越は難易度が高いことは周知の事実だろう。

ラヴアンドポップは未勝利勝ちのみの実績ながら好走した。比較的短距離に出やすいアドマイヤムーンの産駒であり、この馬は機動力を必要とする2歳戦において実績を積んできた過去がある。障害飛越に関しては、ある程度アップトゥデイトのように飛ばす馬が存在した方が飛越のリズムをつかみやすいようで、低くスピードに乗せた飛越はむしろアップトゥデイトよりも安定していた。最後アップトゥデイトに追い負けたのは馬を追うというよりは馬上でダンスをしている鞍上の技術も一因であるが、いずれにせよアップトゥデイトのスピードにただ一頭ついて行ったパフォーマンスはそれなりに高く評価しなければいけない。

その他3着以下について。こういう馬に関しては、前で飛ばしたアップトゥデイトのペースについていけなかった時点で勝ち目はないのだが、無理をしてでもついて行くべきというのは馬を持続的に走らせた時のスピードがさほど変わらない平地の発想である。メイショウダッサイは名前からして復興支援ということで頑張ってほしいのだが、後続の中では一頭丁寧な飛越を見せていたことは特筆すべきである。飛越だけであればオセアニアにいってもやれるだろう。マイネルフィエスタは飛越の仕方を見る限りややオーバーペースだったようだ。シゲルクロカジキは後半から押し上げるも最後は脚が上がって5着。この辺りの着順は動く順番という部分もあるだろう。