にげうまメモ

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18/12/26 National Hunt Racing

*Kempton Good to Soft (Good in places)

Kauto Star Novices' Chase (G1) 3m

https://www.sportinglife.com/racing/results/2018-12-26/kempton/503645/32red-kauto-star-novices-chase-grade-1

Boxing Dayということで、例年通りイギリス・アイルランド合わせて全10場の障害開催となった。レースはRed IndianとLa Bague Au Roiが引っ張る展開も、途中からRed Indianは脱落。Topofthegameが逃げるLa Bague Au Roiを捉えて最終障害手前で先頭に立つも、再度抵抗したLa Bague Au Roiがこれをゴール前で差し返して勝利した。

La Bague Au RoiはこれでChaseは3戦無敗とした。Hurdleでは牝馬限定戦で結果を残してきた馬で、かといってG1競走のスピードに対応できず、あくまで牝馬限定戦の比較的緩いペースに適応した馬という印象であったのだが、かえってChaseに転向することでペースが落ち、さらにペースが緩みがちな長距離戦ということで、この馬にとっては適した条件であったようだ。飛越を見る限りでは身体がしなやかに動く運動神経のよいタイプだろう。今後ペースが上がった際の対応にはまだ課題が残るが、少なくともNovice戦線では再度のG1制覇もあり得る馬だろう。Wind Surgery明けのTopofthegameはChase2戦目ながら健闘した。ややフラットの部分でふらふらと走る部分があり、これが惜敗の多さに繋がっている可能性がある。人気を背負ったSantiniは最後追い上げて3着。走法を見る限りでは馬場はもっと渋った方がいい。対抗角と目されていたBags Grooveは途中から脱落し後退。この馬はもう少し気分よく走らないといけないのだろう。The Worlds Endは全く走らなかったのだが、おそらく飛越の問題だろう。このような飛越はCheltenhamでは見せていなかったのだが、右回りがダメなのだろうか。

 

Christmas Hurdle (G1) 2m

https://www.sportinglife.com/racing/results/2018-12-26/kempton/503646/unibet-christmas-hurdle-grade-1

例によってGlobal Citizenがハイペースで引っ張る展開。持ったままで追いかけたBuveur D'Airだが、これに忍び寄っていたVerdana Blueがゴール前でこれを差し切り勝利した。

Verdana Blueは牝馬で、今シーズンから調子を上げてWincantonのElite Hurdle (G2)を勝利している。その後はKemptonのAWのListed競走も走り、2着と健闘していた。WincantonのElite Hurdle (G2)の勝ち方は評価できる内容であったが、いくらなんでも相手が相手なだけに大きな波乱だろう。なぜか平地も使っている馬だが、これだけの瞬発力を繰り出せる馬はChampion Hurdleで見てみたい。Buveur D'Airははるか昔にAltiorの3着に敗れた以来の敗戦となった。最終障害は目いっぱい飛越しているのだが、残り3障害地点で大きなミスがある辺り、さほど飛越のリズムが良かったようには思えない。もともと跨ぐような飛越を見せる馬だけにこのようなリスクは付きものなのだが、あまりメンタル面で引きずらないで欲しいところ。

 

King George VI Chase (G1) 3m

https://www.sportinglife.com/racing/results/2018-12-26/kempton/499491/32red-king-george-vi-chase-grade-1

例によってConeygreeが飛ばしていく展開。好位からMight Bite、Thistlecrackなど。Bristol De Maiはやや出遅れ、馬群の中を進むも第9障害で落馬。さらにこれに躓いたWaiting Patientlyも落馬。Coneygreeは軽快に逃げるも第14障害辺りからThistlecrackが先頭に。しかしこれに忍び寄っていたClan Des Obeauxがこれを最終障害で捉えて勝利した。Native Riverは離れた3着。

Coneygreeは出足の早さはもちろんのこと、強引にスタートを切ってそのままペースで引っ張るタイプの逃げ馬で、道中も飛越においてある程度無理をしてでもペースを上げていくような逃げ方をする。これがハマったのがNovice時代のCheltenham Gold Cupなのだが、一方でリズムを崩すとそのままあっさりと後退するリスクがある上に、ノドの持病、腱周りの不安による調教量の不足等の様々な問題を抱えており、やはり全盛期のようなパフォーマンスは望めないのが現状である。一方で、この馬の不在によって逃げることが出来たのがSilviniaco Contiであり、Thistlecrackであり、Native Riverであり、さほど無理をするようなペースを作らない馬であった。

Clan Des Obeauxは昨シーズンGraduation Chaseを勝利しているくらいの馬で、AintreeのMelling Chase (G1)ではMight Biteとは力差を感じさせる3着、さらにHaydockではBristol De Maiの4着と、いまいちG1路線においては勝負圏内に加わることはできていなかったのだが、比較的スピードが要求されるKemptonコースにおいて、これまでとは条件が異なるレースにおいて力を発揮した。特にThistlecrackがConeygreeを制して前に行ったところを一頭付いて行き、最後は脚が上がったThistlecrackを競り落としたスピードの持続力は素晴らしいものがある。単勝13倍と明らかに低評価であったが、レースとしては決してフロックではないだろう。

10歳のベテランThistlecrackも見せ場を作った。この馬は腱の故障の影響が非常に大きく、もともとは柔らかくダイナミックに動くことが出来る馬であったのだが、やはり以前のような大きな動きはできていない。しかし持っていた潜在能力は間違いなく一級品であった。タフなロングスパート能力よりも機動力とスピードを生かすタイプなだけに、Haydockは明らかに合わずCheltenhamのChase Courseも現状は微妙なのだが、条件次第ではまだ再度のG1制覇の可能性は残されている。

Cheltenham Gold Cupの勝ち馬Native Riverは3着まで。バネのある飛越が特色の馬だが、案外ワンペース型のようで、Thistlecrackが動いた場面でついて行けないところが目立った。最後は差を詰めているだけに展開次第ではもう少しやれるだろう。初の24f戦のPolitologueは4着。この馬もワンペース型なだけに仕方がないのだが、いずれにせよやはり24f戦の方がよいだろう。連覇を狙ったMight Biteは大敗したが、どうやら鼻出血があったとのこと。Bristol De MaiとWaiting Patientlyはもったいない落馬。特にBristol De Maiは自分のペースを乱されると脆い面がある。

 

*Sedgefield Soft

Maiden Hurdle (C4) 2m178y

https://www.attheraces.com/racecard/Sedgefield/26-December-2018/1330

好位から進めたLord Yeatsが後続を大きく突き放し勝利。2着にはConstancioが入った。

Lord Yeatsは平地ではListed勝ちのある馬で、Irish St. Leger (G1)ではOrder of St Georgeの5着もある。Hurdleはこれが2戦目にして初勝利。序盤に飛越でややもたつく面があったが許容範囲だろう。馬体としてはやはり平地で活躍してきた馬らしく、走らせると前への駆動力に優れた部分があるので、この辺りが障害馬仕様に代わってくればもう少し上に行けるだろう。まだ5歳と若く、去勢もされているため、障害馬としてのキャリアを構築することも可能である。

 

*Leopardstown Good to Yielding

Racing Post Novice Chase (G1) 2m1f

https://www.attheraces.com/racecard/Leopardstown/26-December-2018/1420

Mengli Khanが人気になっていた。Voix Du ReveとUs And Themが逃げる展開だが、途中からUs And Themが前に。しかし残り2障害辺りから接近したLe Richebourgがこれらを交わして勝利した。2着にはUs And Themが残った。Mengli Khanは4着。

Le Richebourgは色々あった昨年のLeopardstown Christmas FestivalのPaddy Power Future Champions Novice Hurdle (G1)で2着に入っている馬。Chaseはこれが4戦目となる。前走は20fを使っていたが、Us And Themがある程度主張して引っ張る中から抜け出してくるパフォーマンスは、どちらかというと16f戦に適性を感じさせるものだろう。飛越もさすがにミスがなく、加速した際も安定していた。同厩舎のUs And Themは人気がなかったが好走した。どうやら多少なりとも出していった方がいいようで、これがこの馬の形になるだろう。Voix Du Reveは前走のような楽な競馬はできず。Mengli Khanは案外だが、Chase2戦目でいきなり厳しい競馬はややしんどかったのかもしれない。

 

*Limerick Soft (Yielding to Soft in places)

Matchbook Betting Exchange Novice Chase (G1) 2m3f

https://www.attheraces.com/racecard/Limerick/26-December-2018/1400

人気を背負ったGetabirdが中盤から先頭に立ち、そのまま押し切りを図る展開も、最終障害でまさかのミス。これに乗じて前にでたHardlineがGetabirdの反撃を抑えて勝利した。

HardlineはChaseは4戦3勝とした。もともと16fを使っていたが、ある程度気分よく逃げるVoix Du Reveを捕まえきれなかった経歴を考えると、やや距離を伸ばした方がいいようだ。Getabirdはもったいない敗戦だが、完全に一度ブレーキをかける大きなミスから再度加速してHardlineを追いかけていたことを考えれば、どちらかというとこちらを上に取るべきだろう。