にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

18/12/27 National Hunt Racing

*Chepstow Soft

Coral Final Juvenile Hurdle (G1) 2m11y

https://www.attheraces.com/racecard/Chepstow/27-December-2018/1335

Welsh National Dayだが、今年はめでたく延期にはならず、馬場状態はSoftでの開催が行われるようになった。レースはQuel Destinが逃げる展開を、Adjaliが追いかけるが、2頭の激しいたたき合いはQuel Destinがハナ差前に出て勝利した。後続は大きく遅れた。

3歳戦なのだが5頭中3頭がフランス障害の経験馬というレース。フランス障害は英国よりも早くから障害競走を使うことが多く、かつHaiesは英国よりもしっかりとした飛越を要求される障害に設定されているため、特に若い馬における完成度はフランス障害競走の方が上であることが多い。Quel Destinはこれで4連勝とした。フランスでは2着のAdjaliとも走っており、因縁の相手であった。さすがにイギリスでG2をすでに2勝している馬であり、完成度は高いものがあった。Adjaliとの差はあくまでイギリス障害に対する慣れといったところだろうか。いずれにせよ大きな差はないだろう。Adjaliはイギリス2戦目ながら完成度の高いレースを見せた。

 

Welsh Grand National Handicap Chase (G3) 3m5f110y

https://www.attheraces.com/racecard/Chepstow/27-December-2018/1450

序盤からVieux Lion Rougeが飛ばす展開。これを追いかけてYala Enki、Vintage Cloudsなど。第16障害でミスをしたVieux Lion Rougeは後退し、そこからYala Enkiが逃げる。しかし好位にいたElegant EscapeとRamses De Teilleeがこれに迫ると、Elegant Escapeが食らいついてきたRamses De Teilleeを振り切り勝利した。3着にはYala Enki。

Colin Tizzard先生が優勝カップを表彰式で落っことしたらしい。Elegant Escapeは2017-18のNovice上りの馬で、John Francome Novices' Chase (G2)勝ちがある。前走はLadbrokes Trophy Chase (G3)に参戦し、Sizing Tennesseeの2着に入っていた。Ladbrokes Trophy Chase (G3)における激しい流れを追いかけた上、9stほどのハンデ差があったSizing Tennesseeの2着に入った実力は相当に高く、ここでも同様に重馬場で激しい流れとなるレースを11st8lbを背負って勝ち切ったパフォーマンスは高く評価していいだろう。Sizing TennesseeもまたColin Tizzard厩舎の馬であり、この2頭で激しく引っ張るレースを再度見てみたいところである。

2着のRamses De TeilleeもまたNovice上りの馬であり、今シーズン開始前にWind Surgeryを行っていることもElegant Escapeと類似している。さすがにハンデ差があったため一概に評価することは難しいのだが、この馬もまた同様の流れで浮上してくる馬という位置づけだろうか。少なくともChepstowのコースはかなり得意としているようだ。11st11lbを背負っていたYala Enkiもまた勝ちに等しいパフォーマンス。小柄な馬だがハイペースに対する耐性は非常に高く、強靭な持久力も兼ね備えたマラソンランナーである。

その他。連覇を狙ったRaz De Mareeはさすがに位置取りが後ろ過ぎた。このようなハイペースと重馬場のレースにおいては、あまり馬群に入れるよりも、車間距離を取って走らせた方がかえって走りやすく、結果的に最後まで脚が持つという側面もある。Vieux Lion Rougeはこのようなレースをするような馬ではないのだが、ブリンカーが効きすぎたのか暴走に近いペースを作り出してしまった。Vintage Cloudsもややオーバーペースであったようで、2周目から脱落してPUに終わった。

 

*Kempton Good to Soft (Good in places)

Wayward Lad Novices' Chase (G2)

https://www.sportinglife.com/racing/results/2018-12-27/kempton/506027/32redcom-wayward-lad-novices-chase-grade-2

Highway One O Oneが逃げる展開も、残り4障害辺りからおそらく先頭に立っていたと思われるDynamite DollarsがKalashnikovを抑えて勝利した。

霧でレースがよく見えない。Dynamite DollarsはこれでChaseは4戦3勝とした。Henry VIII Novices' Chase (G1)勝ちはあるのだが、いまいち人気のLalorが重馬場を苦にして走らなかったという側面もあり、今回のレースの方が内容としては上だろう。Warwick、Plumptonと勝ってきたKalashnikovはさすがに相手が今回は数段違っており、これまでのように性能の違いだけで勝てるようなレースではないということだろう。5stの斤量差があったことも考えると、勝ち馬との差は使ってきたレースの違いによるものと考えていいだろう。

 

Desert Orchid Chase (G2) 2m

https://www.sportinglife.com/racing/results/2018-12-27/kempton/506029/unibet-desert-orchid-chase-grade-2

例によってSpecial Tiaraが逃げるも、残り3障害辺りから進出したAltiorが後続を軽く突き放して勝利した。Diego Du Charmilが2着。

Altiorに関してはもはや何も言うことはございません。もう数段ギアを上げることが出来るような走りであり、飛越に関しても危ないところはなかった。今シーズンは16f Chaseに専念するとのことで、この馬を負かす可能性があるのはスローペースで進行した場合の機動力に優れたタイプだろう。Diego Du Charmilはさすがに格好はつけたが、Doom Bar Maghull Novices' Chase (G1)の勝ち馬としては期待されるほどの走りはできていない。Special Tiaraも自身のレースはしており、条件としてはこの馬の守備範囲であったのだが、さすがに相手が悪すぎるのと、少々年齢による衰えもあるようだ。Speredekは相手関係を見て控えたようだが、やはり逃げた方がよさそうな印象。NoviceのDiakaliはペースについて行けず。

 

*Leopardstown Good to Yielding

Paddy's Rewards Club Chase (G1) 2m1f

https://www.attheraces.com/racecard/Leopardstown/27-December-2018/1315

例によってGreat Fieldが飛ばす展開。残り3障害辺りから前に迫ったFootpadが抜け出しを図るが、これを追いかけてきたSimply Nedが前を捉えて勝利した。3着にはOrdinary World。

Simply Nedは昨年はMinの降着に助けられた格好の1着であったが、今年は何事もなく同レースを制覇するに至った。今年で11歳、大きな勝利としてはこのレース連覇くらいなのだが、それ以上にSprinter Sacre、Flemenstar、Don Cossackといった、数々の歴代の名馬と共に走り続けてきた生き証人である。それにしてもどこで走るのかいまいち予想がつかない。Great Fieldはある程度早いペースを作り出していく馬であり、前掛かりになった馬は悉く沈んでいるのだが。今シーズン初戦のKelsoのハンデ戦ではさっぱり走る気がなかったようだが、いずれにせよさほどエンジンの掛かりが早いタイプではないだろう。昨シーズンのNovice戦で暴れまわったFootpadは巻き返しを図ったが、最後脚が上がっての2着。謎の手ごたえで猛然と上がってくるOrdinary worldが3着で、この辺りは脚の使いどころの差だろう。Great Fieldは最終障害で落馬に終わった。

 

Paddy Power Future Champions Novice Hurdle (G1) 2m

https://www.attheraces.com/racecard/Leopardstown/27-December-2018/1350

人気のTriplicateが逃げるも、馬群を縫うように上がってきたAramonが抜け出すと、そのまま後続を一気に突き放して勝利した。2着にはSancta Simonaが上がった。

Aramonはドイツ産馬で、Hurdleは5戦3勝とした。やや馬群が密集する中を抜けてくるのはたやすいことではないのが、それにしても強烈なスピードを見せつけた。騎手がRuby Walshに代わってパフォーマンスを上げた可能性があり、次走は鞍上の選択も併せて気をつけておきたいところ。