にげうまメモ

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20/06/28 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/06/22-06/28

いよいよ今週からアイルランド障害競馬も再開され、来週にはイギリス障害競馬も再開の見込みと、新型コロナウイルス感染症の影響で甚大な被害を被ったヨーロッパにも少しずつ障害競馬が戻ってきました。一方で、経済的な問題で存続が危ぶまれているMerano競馬場では、Grand Steeplechase D'Europa (G1)をメインレースとする上半期最大の開催が行われ、素晴らしい熱戦の数々が繰り広げられました。

 

6/26(金)

Tipperary (IRE) Good to Yielding

Grimes Hurdle (G3) 2m (Replay)

1. Aramon J: Paul Townend T: Willie Mullins

2. Petit Mouchoir T: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead

ようやく火曜日のRoscommon開催から再開されたアイルランドの障害競走。再開後初の重賞はこの時期としては珍しいほどの好メンバーを集めたが、レースは好位から抜け出したAramonが勝利した。Aramonはさかのぼれば2018年のFuture Champions Novice Hurdle (G1)の勝ち鞍がある馬で、Novice上りの昨シーズンはどうにもぱっとしなかったのだが、ややペースが落ち着いた上に馬場も良化したここではトップハンデの12st0lbを背負って強い競馬を見せた。障害馬としてはやや珍しく、良馬場における高い機動力を武器とした馬で、やはりこれくらいの距離で力を発揮するのだが、一方でやや道中ペースが流れると厳しくなるのが弱点でもある。良馬場でやりたいタイプなだけに、むしろ夏季における活躍を見てみたい。実績馬Petit Mouchoirは前に行ってさすがに格好はつけた。最低人気の5歳牝馬Effernock Fizzはここまで全く実績のない馬だが、逃げて4着に踏ん張った。今回はマイペースで運べた利があったとはいえ、飛越が向上すればもう少しはやれるだろう。実績馬Yanworth、Plinth、Ornua、Early Doors、A Wave of the Seaなども出ていたが、いずれも見せ場を作れず大敗に終わった。

 

6/27(土)

Merano (ITA) Tempo Bello - Terreno Morbido (Result)

〇 Avelengo

Euro 12.000 TRIO per cavalli di 4 anni ed oltre (Siepi - VENDERE - FANTINI) 3000m (Replay)

1. Chicago J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

途中から先頭に立ったChicagoがそのまま後続に11馬身差をつける圧勝。Chicagoは2015年のGran Corsa Siepi Di Milano (G1)の勝ち馬で、ここのところはSiepiのこのクラスばかり使っているのだが、11歳となった今年は特に調子がいいようで、ここに来て2連勝としている。さすがに相手関係がかなり微妙だったとはいえ、ここでは力が抜けていた。Capitoulなど同型馬はいたのだが、それでもこの内容であり、やはりもう少し上のクラスで見てみたいと思うところがある。

 

12 Gran Corsa Siepi D'Italia (G1)

Euro 60.000 TRIO per cavalli di 5 anni ed oltre (Siepi - GRUPPO I - FANTINI) 4000m (Replay)

1. Piton Des Neiges J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

2. Stuke J: Lukas Matusky T: Radek Holcak

3. Candide J: James Reveley T: Guillaume Macaire

4. Leierspielerin J: Jan Faltejsek T: Pavel Vovcenko

フランスからCandide、ドイツからLeierspielerinを迎えて行われた一戦。レースはPiton Des Neigesがするすると逃げる展開。勝負所から好位にいたBeau Saonoisが並びかけるも、最終障害でまさかの落馬。最後猛然と追い上げてきたStukeをPiton Des Neigesが退けて勝利した。Candideは3着。

Piton Des NeigesはここまでGran Corsa Siepi Di Merano (G1)のFlower of Loveの2着など実績はあるのだが、G1はこれが初勝利とした。Stukeとは実にいいライバル関係といったところだが、瞬発力で勝るStukeに対して先行力を生かしたJosef Bartos騎手の騎乗はこの馬の持ち味を最大限に引き出すものであった。一方連覇を狙ったStukeはどうにも道中のリズムが悪く、最後はさすがに猛然と追いこんでいるのだが、ややもったいない競馬であった。惜しかったのが最終障害で落馬に終わったBeau Saonois。今年の2月のGran Corsa Siepi Di Nazionale (G1)を買って勢いに乗ってここに挑んできた馬である。内容的には勝ち負けまであり得るものであり、次に期待したい。フランスのCandideは好位からスムーズに運ぶも、最後遅れて3着に終わった。2018年の5月のレースを最後に2年近い休養を挟んで、今年の3月に復帰した馬である。Meranoでは2017年のCorsa Siepi Dei 4 Anni (G2)の勝利もあるのだが、勝ち負けに加われなかったのはやや残念であった。ドイツのLeierspielerinはペースについて行くことが出来ず、大きく離れた4着に終わった。母国では昨年のGrosse Bad Harzburger Hürden Trophyの2着もある実績馬で、スウェーデンのSvenskt Champion Hurdleの勝利もあるのだが、Svenskt Champion Hurdleの際にも認められた飛越技術の問題がここでも散見された。さすがに身体能力の高い馬とはいえ、飛越技術がついてこなければここでは厳しいだろう。イタリア調教馬Leonardo Da Vinciはコース入りの辺りから気性の難しさを見せており、レースも発馬拒否に終わった。

 

LXV Premio Ezio Vanoni (G2)

Euro 40.000 TRIO per cavalli di 4 e 5 anni (Steeple-Chase - GRUPPO II - FANTINI) 3800m (Replay)

1. First of All J: Jan Faltejsek T: Pavel Tuma

途中からするすると逃げたFirst of Allがそのまま7馬身差の圧勝。First of Allはこれで今年に入ってPisaのSiepiから4連勝。ここまで唯一敗戦を喫したのが昨年のPardubiceのみで、他馬をスピードで圧倒するレース運びは高い能力を感じさせるものである。フランスのGalant Du Chenetが2着に入った。

 

Great Meadow (USA) Good (Result)

〇 David Semmes Memorial Stakes

$35,000 Hurdle Stakes. Two Miles and One Furlong over National Fences. (Replay)

1. Snap Decision J: Sean McDermott T: Jack Fisher

後方から進めたSnap Decisionが先に抜け出したCheif Justiceを捉えて勝利した。Snap Decisionは昨シーズンのNovice Championで、昨年はWilliam Entenmann Memorial Hurdle Stakes、Foxbrook Champion Hurdle Stakesと連勝しており、これでMaidenから5連勝とした。遡れば日本産馬のYoshidaも出走していたNational Museum of Racing Hall of Frame Stakes (G2)で4着に入った実績馬で、昨年のNew York Turf Writers Cup (G1)の2着馬Gibralfaroなどを相手にいきなりこれだけやれるのであればやはり楽しみは大きくなる。そのNovice路線で良績を収めてきたCheif Justiceが2着。2018年のMarion DuPont Scott Colonial Cup (G1)の勝ち馬Balance The Budgetは前半から積極的にレースを作ったが、早々に後退して途中棄権に終わった。

 

Virginia Gold Cup

$40.000 Timber Stakes. Four Miles (Replay)

1. Doc Cebu J: Michael Mitchell T: Jack Fisher

2. Codrington College J: Darren Nagle T: Jonathan Sheppeard

3. Super Saturday J: Gerard Galligan T: Katherine Neilson

本日のメインレース。元気よくStorm Teamが引っ張る展開も、途中でコースをミスしてそのまま棄権。釣られたAndi'amuも途中棄権。代わってCodrington Collegeが逃げるも、途中から抜け出したDoc Cebuがそのまま勝利した。Doc Cebuは昨年の4着馬だが、2017年から2018年にかけてInternational Gold Cup Timber Stakes、Genesee Valley Hunt Cup Timber Stakes 、Willowdale Steeplechase Stakesと連勝を決めており、やや順調さを欠いた感もある昨年の鬱憤を晴らす結果となった。前走はMiddleburgのAllowanceにおいてAndi'amuの2着に入っており、よい復帰戦となった感もある。Codrington Collegeはさほど実績のない馬だが見せ場を作った。ベテランSuper Saturdayはもともと反応の悪い馬なのだが、今回は勝負圏内に肉薄できず。

 

Casterton (AUS) Soft7

〇 E-Cycle Solutions Maiden Hurdle 3480m (Replay)

1. Stanley J: Dylan McDonagh T: Neil Dyer

じわじわと逃げた人気の一角Stanleyがそのまま勝利した。StanleyはHurdle4戦目での勝ち上がりとした。さすがに未勝利クラスで好走していた馬ということもあり、終始飛越も安定しておりここでは実力上位であることを見せてくれた。これが障害初戦のLittle Phoenixは人気を集めていたが、道中やや位置を下げ、最後追いこむも2着に終わった。

 

〇 E-Cycle Solutions Maiden Hurdle 3480m (Replay)

1. Britannicus J: Ronan Short T: Symon Wilde

前半から積極的に引っ張ったBritannicusがそのまま勝利した。Hurdleは3戦目での勝ち上がりで、第1レースに引き続きこのクラスでの実績馬がそのまま経験を活かしたという格好となった。

 

〇 E-Cycle Solutions BM120 Hurdle (Replay)

1. Woodsman J: Ronan Short T: Patrick Ryan Jnr

途中から逃げたColeridgeを競り落としたWoodsmanがそのまま勝利した。Woodsmanはこのクラスでは力上位の馬だが、前走はAustralian Hurdleに挑むも特に見せ場なくGobstopperの5着に敗れている。当面のライバルと思われたDiamond Star Haloが途中棄権したということもあり、内容的には実力通りといったところで、さほどここからどうこうというところはないだろう。後方から進めた未勝利馬のFirst Crushは前が苦しくなったことと、66kgの軽量を生かして2着まで浮上した。前走未勝利を勝ってきたColeridgeはWoodsmanに真っ向勝負を挑むも、最後苦しくなり3着に終わった。

 

〇 E-Cycle Solutions 1JW Steeplechase 3800m (Replay)

1. Mapping J: Ronan Short T: Steven Pateman

2. Referee J: Shane Jackson T: Jason Bridgeman

VIC州では唯一生垣障害を使用するCasterton競馬場。レースは好位から抜け出したMappingが勝利した。ここまでSteeplechaseは未勝利の馬だが、BM120 Chaseでも好成績を残しており、このクラスでも十分に戦える素養があったこと、Castertonでも好成績を残しており、この生垣障害にも対応可能であったことが勝因だろう。ただし、やや勝負所で反応が悪い部分が気になった。後方から追い上げたRefereeが2着。

 

〇 E-Cycle Solutions Two Rivers Steeplechase 3800m (Replay)

1. Shamal J: Lee Horner T: Amy McDonald

2. Zataglio J: Darryl Horner T: Eric Musgrove

積極的に前に行ったZataglioを巡る叩き合いは外のShamalに軍配が上がった。ShamalはもともとニュージーランドSteeplechaseで活躍した馬で、今シーズンはオーストラリアSteeplechaseに参戦している。前走はAustralian Steeplechaseの2着に入っていたが、ニュージーランドSteeplechaseに比較的形態の近い生垣障害を使用するCasterton競馬場に代わって勝利を挙げた。74kgのトップハンデを背負っての勝利はさすがとしか言いようがない結果だろう。Zataglioは積極的に逃げて見せ場を作った。やや飛越時の踏切地点の調整が甘いところがある馬だが、リズムに乗ればこれくらいはやれる。Course SpecialistのSpeedy Jaxが3着。人気のElvisionは前で運んだが最後はやや遅れての4着。

 

東京(日本)良

東京ジャンプステークス (JG3) 3100m (Result)

1. ラヴアンドポップ J: 草野太郎 T: 岩戸孝樹

2. フォワードカフェ J: 石神深一 T: 和田勇介

例によってプラチナアッシュがある程度後続を引き離して逃げる展開を作るも、2周目からトラストを筆頭に後続が殺到。最終コーナーを回って好位から捲ってきたフォワードカフェが先頭に立ちそのまま押し切りを図るも、最後後方から追いこんできたラヴアンドポップが差し切り勝利した。ラヴアンドポップはさかのぼれば2018年の阪神ジャンプステークス(JG3)において未勝利勝ちの身ながらアップトゥデイトの2着がある馬で、その後2年近い休養を経て今年の4月に復帰していた。その2走はいずれもパッとしなかったのだが、どうやら馬の状態がかなり上向いていたのだろう。トラストが人気を集めていたためどちらかというとノーマークに近い下馬評であったのだが、驚きの勝利となった。フォワードカフェは未勝利勝ちに時間の掛かった馬だが、こういう類の馬はかえって決め手がなく勝ち味に掛けるため、なにかと強気に立ち回った方が良い方向に出る。石神騎手らしい思い切りの良い騎乗であった。そのままゴールまで持たせるだけの腕力があればもはや日本障害競馬においては文句のつけようもないのだが。3着には後方にいたマンノグランプリが入った。トラストは例によって人気を集めていたが、2周目から逃げたプラチナアッシュを強引に潰しに行ってはさすがに最後まで脚が持たない。この馬自身、本質的なステイヤータイプではなくある程度持続性能を有するスピードに優れたタイプで、スピードの絶対値を活かして逃げ切ることは可能ではあるものの、必ずしも積極的に前に行くことで持久力勝負に持ち込んで良くなるタイプではないだろう。ここまで先行して勝ってきただけにそのイメージが先行しがちだが、残念ながら今回はその本質を見誤った騎乗であった。2連勝で挑んできたケイティクレバーは先行争いに巻き込まれ大敗。金子騎手が騎乗することもあって注目を集めたシングンオフビートはペースについて行けず最下位に敗れた。

 

6/28(日)

Merano (ITA) Tempo Bello - Terreno Morbido (Result)

Grande Steeplechase Di Roma - Memorial Paolo Meandri (G2)

Euro 30.000 TRIO per cavalli di 5 anni ed oltre (Cross-Country - GRUPPO III - G.R.-AMAZZONI-FANTINI) (Replay)

1. Broughton J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

2. Power Zar J: Jan Kratochvil T: Josef Vana

MeranoのCross Countryとしては現状の有力馬はほぼ勢揃いしたレースであったが、レースは逃げたPower Zarをゴール前でBroughtonが捉えて勝利した。Broughtonはこれでこのレースは連覇とした。2017年いにはGrande Steeplechase di Milano (G1)を制した馬が、Cross Countryの障害に対する適性も身につけることで、現時点でこのコースでは盤石の地位を築き上げている。同様にこのコースのSpecialistであるPower Zarが2着に入った。イタリアのSilver Tangoは後方から追い上げるも3着まで。この馬はやはりもっと距離が伸びた方がいいだろう。All About Cossioは前2頭について行くも、最後遅れて4着に入った。あまり平地の脚の早くない馬で、この馬もまた距離が伸びた方がいい印象がある。スイス調教馬のEt Quoiも参戦していたが、どうにも飛越にスムーズさを欠き6着に大敗。Velka Pardubickaではここのところ毎年先手を奪っては見せ場を作るBridgeurも出走しており、例によって先手を奪って運んだのだが、池を渡る箇所で躓いて落馬に終わった。フランスのCross Countryでこのような障害への経験もあるとは思うのだが、さすがに減速せずに池に突っ込んではあのような落馬は生じうるものである。

 

Dei Giovani (Listed)

Euro 23.100 TRIO per cavalli di 3 anni (Siepi - LISTED RACE - FANTINI) 3300m (Replay)

1. Airsive J: Raffaele Romano T: Raffaele Romano

後方から進めたAirsiveがSingapor Roseを捉えて勝利した。Airsiveはイタリア調教馬で、これでDebuttantiから3連勝とした。チェコのSingapor Roseは積極的に進めたが最後捕まり2着。とはいえこの辺りは何度か対戦したことのあるメンバーであり、さほど目新しい結果ではなさそうな印象である。

 

Criterium Di Primavera (G2)

Euro 50.050 TRIO per cavalli di 4 anni (Siepi - GRUPPO II - FANTINI) 3500m (Replay)

1. Pour Vous Et Nous J; Jan Kratochvil T: Josef Vana Jr

2. Kolsche Jung J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

Kolsche JungがSea Battleを引き連れて逃げる展開。そのままKolsche JungがSea Battleを振り切り逃げこみを図るも、ゴール直前でPour Vous Et Nousがこれを捉えて勝利した。Pour Vous Et Nous自身は元々フランスのDavid Cottin厩舎にいた馬で、昨年のGran Criterium D'Autunno (G1)にも参戦し4着に入っている。チェコ移籍後これがイタリア初戦であったのだが結果を残した。同厩舎のKolsche Jungは逃げて結果を残した。今年のNeni Da Zara (G3)の勝ち馬で、Steeplechaseを使う選択肢もあるかもしれない。地元のSky Constellationは後方から捲り上げるも3着。最終障害で大きく斜飛していたりと気性的に難しいところがありそうで、あえて道中ゆったりと構えたRaffaele Romano騎手の騎乗には意図がありそうだ。人気のNight Moonは中段から進めたが、終始飛越がいまいちで4着に終わった。

 

Grand Steeplechase D'Europa (G1)

Euro 65.000 TRIO per cavalli di 5 anni ed oltre (Steeple-Chase - GRUPPO I - FANTINI) 4600m (Replay)

1. Notti Magiche J: Jan Faltejsek T: Josef Vana Jr

2. L'Estran J: Josef Bartos T: Joser Vana Jr

3. Al Bustan J: Marek Stromsky T: Lubos Urbanek

Meranoの障害競馬シーズンの上半期としては最大のレース。実績馬Notti Magiche、L'Estranが人気を集めていたが、ドイツからSerienlohn、ポーランドSteeplechaseで活躍したRekiなど、やや目新しいメンバーを加えてレースは行われた。序盤からNotti Magicheが淡々と引っ張る展開だが、例によって馬群は密集して進行。序盤のMuroの手前でSerienlohnがコースを間違えかけた以外は大きなアクシデントなくレースは進む。途中の急カーブでSerienlohnが滑って転倒。そのままNotti Magicheは淡々と逃げ、一旦は絡んできたBabalshamsを振り切ると、最終障害辺りで迫ってきたL'Estranを退けて勝利した。

Notti Magicheはこのレースは連覇とした。遡れば2013年のイタリアダービー (G2)にも出走のある馬で、当時3着であったAncient Kingがその後オーストラリアのGrand National Hurdleを勝利していたりと、この辺りはなんとも不思議な縁である。もともと長くイタリア障害のトップクラスで戦ってきた馬だが、昨年辺りからは凄みと安定感を増しており、これがG1は3勝目となる。ゆったりと自分のペースで走ることが出来た利もあったのだが、それでも昨年のGran Premio Merano (G1)の勝ち馬L'Estranを完封するのだからその実力はこの路線では紛れもなくトップクラスであろう。そのL'EstranはGran Premio Merano (G1)以来のレースであったが格好をつけた。Gran Premio Merano (G1)自体、先頭を走っていたLe Costaudが大いにコースミスしたことで展開が大きく変わったということはあるのだが、当時の勝利はフロックではないことを見せてくれた。今回は久々のレースであったということもあり、これを叩いて良くなってくるだろう。

2018年頃まではこの路線で無敵を誇ったAl Bustanは伸びきれず3着。昨年の時点でややその勢いに陰りがあり、今回も本来この馬にとっては有利な展開であったのだが、途中でやや追走に苦労したりと、この馬本来の姿にはないように思える。地元のBabalshamsは前走Listedでも大敗していたりとさすがに力不足感は否めなかったのだが、積極的な競馬で見せ場を作った。ドイツのSerienlohnはもったいない落馬。ポーランドで実績のあるRekiはペースアップしてから追走に苦労し、残り2障害で落馬に終わった。

 

その他

Grand National-winning rider Liam Treadwell dies aged 34 (Racing post)

2009年のGrand NationalをMon Momeで制したLiam Treadwell騎手が34歳の若さで亡くなったそうだ。2018年に落馬の影響もあって一度現役を退くも、その後復帰し2019-20シーズンも騎手として活躍していた。

Liam Treadwell’s legacy is to talk about mental health, says Tom Scudamore (Yorkshire Post)

上記に関連して。落馬によるダメージがどこまで関与しているのかは不明だが、いわゆるメンタルヘルスの問題はこの業界ではかなり深刻である。

Merano: Inizia il Summer Meeting, porte aperte per l'accesso al pubblico. Scarica il programma in PDF (Mondoturf)

これ自体は単なる週末のMerano開催に関する紹介記事なのだが、最後にMerano競馬場の動向に関する現状について簡単に記載があるので。