にげうまメモ

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15/5/30 National Hunt Racing

*2 1/2miles Plus Hurdle

中長距離Hurdleの総括。これで総括関連も一段落。Cross CountryやMares' Hurdleあたりは気が向いたら... やらないと思う。

混迷を極めたシーズンであった。前評判としては昨年のWorld HurdleでAnnie Powerとの無敗馬対決を制したMore of Thatが頭1つ抜けた評価。英雄Big Buck'sの引退もあり、新たなチャンピオンの誕生かと目されていた。

とりあえずRating150以上の馬から列挙していく。

 

169 Jezki

167 Whisper

164 Cole Harden

160 Reve de Sivola, Rock on Ruby, Saphir Du Rheu, Zarkandar

159 Kilcooley

158 Silsol, Un temps Pour Tout, Volnay de Thaix, Zabana

157 At Fishers Cross, Dedigout

156 Henryville

155 Lieutenant Colonel, Nichols Canyon (Novice), Thousand Stars

154 Jetson, Medinas, Taglietelle

153 Actival, Call the Cops, Glends Melody, Windsor Park (Novice)

152 Aqalim (Novice), Aux Ptits Soins, Polly Peachum, Zaidpour

151 Aubusson, Killutagh Vic (Novice), Seeyouatmidnight, Theinval (Novice)

150 Arbre de Vie (Novice), Bear's Affair, Martello Tower (Novice), Monksland, Thistlecrack (Novice)

 

最高評価を獲得したのはJezkiの169... なのだがちょっと待って欲しい。Jezkiは2m路線で今期Hurricane Flyに3戦3敗。続くChampion Hurdleも人気のFaugheenを潰しにいくも逆に振り切られ完敗。ようやく2m4fのAintree Hurdleで(Arctic Fireの落馬もあり)勝利を挙げ、3mに転向したPunchestownのWorld Series Hurdleで勝利を挙げた馬である。ちなみにWorld Series Hurdle (G1)には3mの一線級と目された馬は出ていない。2着は2m路線を長く使ってきたHurricane Flyである。

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ここにこの路線の混迷具合が良く分かる。要するに主役不在である。では昨年の主役More of Thatはどうしたのかというと、11月のLong Distance Hurdle (G2)で復帰するも大敗。その後休養している。また、昨年のWorld Hurdle2着のAnnie Powerはというと牝馬Hurdle路線に転向している。

肝心のWorld Hurdleを制したのは人気薄のCole Harden。非常に良い馬場の元、気分良く逃げてそのまま残ってしまうという内容であった。しかしながらそれまでのレース振りは主役と目されるには程遠く、World Hurdleの前走のCleeve Hurdleはsoftな馬場もあっただろうがSaphir Du Rheuに完敗、それまでも決して安定したレース振りではない。164というRatingはむしろ高評価とすら言えるかもしれない。いずれにせよ、来シーズンの主役と考えるには早急だろう。

そのCole Hardenを上回るRatingを獲得したのがWhisper。The Liverpool Hurdle (G1)でCole Hardenを下してきた馬であり、World Hurdleでは5着に入っている。ただしこのRatingもLiverpool Hurdleのそれが評価された感があり、過信は禁物だろう。特にこの馬、今期はHurdleに関しては2戦しかしておらず、その実力の程は不明な部分が多い。とはいえ一応Liverpool Hurdleに関しては同馬はこれで2連覇。それなりの有力馬であることは間違いないだろう。

Rating160は混戦である。3m路線の常連Zarkander、Long Walk Hurdle3連覇のReve De Sivola、かつてのChampion Hurdleの覇者Rock On Ruby、及びWorld Hurdle2着のSaphir Du Rheuである。

Reve De Sivolaは暮れのAscotであるLong Walk Hurdleを3連覇。Zarkanderの勝ちパターンかと思ったところを尋常ならざる粘り腰を発揮し、ゴール前さし返して勝利するという味のあるレースを見せた。しかしながらCheltenhamではそこまでのパフォーマンスを見せておらず、おそらくAscotのコースが合っていると思われる。Zarkanderも3m路線の常連であるが、いまいちG1となると決め手を欠く。World Hurdleでも勝負どころで飛越をミスするという不運があった。同馬はこれで8歳。これ以上の上積みという点ではどうだろうか。

Rock On Rubyは2012 Champion Hurdleの勝ち馬である。一度はChaseに転向するも、あまりに飛越が安定せずHurdleに再転向。今期もOsborne House Relkeel Hurdle (G2)を制覇するなど気を吐いているが、AintreeではJezkiに力の差を感じさせる敗戦。飛越こそ非常に上手い馬だが、一線級とはどちらかというとスピード負けしている感も否めない。年齢的にもこれ以上の上積みは厳しいだろう。

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World Hurdle2着のSaphir Du Rheuも今期Chaseに転向するも、やはり飛越が安定せずHurdleに再転向。G2勝ちを収めたあと、World Hurdle2着とさすがに力のあるところを見せた。しかしながら、Aintreeでは再度Chaseに転向。Mildmay Novices' Chase (G1)では怪しい飛越を見せながらも15馬身差の圧勝劇。今後はChaseに行くとのこと。

 

NoviceからはNichols CanyonとWindsor Parkがエントリー。とはいえ歴代のNovice馬の中でもさほど評価が高いわけではないことに注意したい。Nichols CanyonはNeptune Investment Management Novices' Hurdle (G1)こそWindsor Parkに敗れたが、その後のAintreeとPunchestownでは完勝。むしろWindsor Parkよりも高い評価を得た。この路線の中では力は上位と見て間違いないだろう。ただしこの路線自体今年は非常に混戦であり、抜きん出た馬がいるわけでもない。これらの馬は来シーズンが正念場だろう。

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いずれにせよ、元々3mを使っていた馬の中では、More of ThatとAnnie Powerの離脱もあり、抜きん出た馬がいないというのが今シーズンの感想である。むしろPunchestownで3mへの適性を見せたJezkiとHurricane Flyに期待したいと言ったところだろうか。