にげうまメモ

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16/04/16 National Hunt Racing

*Ayr Good to Soft (Soft in Places)

競馬のことを考えると楽しくなるのは全ての競馬ファンにとって共通だと思うが、各レースを見てどのような感情を抱くかは千差万別である。昨日の中山GJには個人的に悲しみを抱いた。レースレベルとしては平場オープンクラスだろう。クソブログの主旨から外れるため詳しくは書かないが、あのような惨憺たる競馬を見せながら折り合いが付いた、マークがきつかったというコメントを出している誰かは大丈夫だろうか。

さて、Scottish Grand National Day。Ayr競馬場は最終コーナーを回り終える地点がLowest Pointになっており、そこからゴールに向かって上り坂になり、ゴール地点がHighest Pointとなっている。従ってレースとしてはコーナーの下りを利用して徐々に加速し、そこから上がり勝負になるというレース展開になりやすい。ただし、英国障害競馬場らしく、細かい起伏に富んだ非常にタフなコースである。(情報提供してくださった現地観戦暦のあるフォロワーさまに感謝を申し上げたい)

 

Novice Limited Handicap Chase (C2) 3m67y

逃げるのはSmooth Stepper。これを追いかけるのがトップハンデで人気を背負ったVivaldi Collonges。残り5障害から先頭に立ち、抵抗するSmooth Stepperを競り落とすと、あとは追ってきたKilbree Chiefの追撃を抑えて快勝。

Vivaldi Collingesは昨シーズンからChaseに転向している馬。昨シーズンはさほど結果が出なかったが、さすがは名伯楽Paul Nicholls師の管理馬、夏を越して成長が見られる。ややBetfred Classic Chase (G3)は荷が重かったようだが、自己条件に戻ってしっかりと結果を残した。ただし着地の後の2歩目で頭を下げるクセが見られたのが気がかり。

 

Future Champion Novices' Chase (G2) 2m4f110y

序盤でPain Au Chocolatが落馬するアクシデント。逃げるのは圧倒的人気を背負ったBristol De Maiだが、これにLe Mercureyが絡んでいき、向こう正面では先頭に代わる。第13障害辺りで再度Bristol De Maiが先頭を奪い返すも、残り4障害でLe Mercureyが先頭に。そのまま抵抗するBristol De Maiを競り落とし7馬身差で勝利した。後続は大きく離れた。

Le MercureyはMitie Novices' Chase (G2)の勝ち馬。その後は極端な重馬場に泣かされたり、24f戦に挑むも距離が原因で結果を残せずにいたが、20f戦の良馬場であれば自分の舞台であることを示した。Bristol De Maiのペースについていけたのは今後に向けて明るい材料か。Bristol De Maiは淡々とした一定のペースで走る馬だけに、途中で絡まれてリズムを崩したのは痛かっただろう。

 

Scottish Champion Hurdle (G2 Limited Handicap) 2m

Zamdy Man、Sternrubinなどが逃げる展開。John Constable、Always Resoluteなどが先頭集団。ペースは短距離Hurdleらしくミドルペースで流れる。残り3障害辺りから後続が殺到。その中から抜け出してきたCh'tibelloが大外を追い込んだCloudy Dreamの追撃を振り切り勝利。これに遅れてClondaw Warrior、Some Plan、Ivan Groznyが入った。

良馬場のハンデ戦らしい混戦となった。その中でスムーズに抜け出してきたCh'tibelloに騎乗したHarry Skeltonはお見事の一言。馬はこれが初勝利になるが、Altiorに1馬身まで迫ったほどの実力馬。11st1lbという軽量も効いただろう。勿体無かったのが2着のCloudy Dream。終始後方の内で、最終障害手前でようやく進路を確保し、絶望的な位置から2着まで追い上げてくるという衝撃の末脚を見せた。ただし引っ掛かるところがある馬だけに、やはり内々を立ち回らなければならないリスクは今後も考えておいたほうが良いか。Tayto Hurdle (G3)勝ちのあるIvan Groznyは最後遅れ5着まで。あくまでスピード負けといったところで、さほど気にする敗戦ではないだろう。

 

Scottish Grand National Handicap Chase (G3) 3m7f176y

本日のメインレース。Grand Nationalで除外を食らったPineau De Re、Alvaradoの参戦などが目を引くところであったが。

とりあえず逃げるのはMasters Hill。好位からHighland Lodge、Ballycula、Seeyouatmidnight、Alvaradoなど。Milborough、Vincente、Dulatulo、Top Wood、Emperor's Choice、Golden Chieftainなど。人気のCause of Causes、Pineau De Re、Shotgun Paddyなどは後方から。第3障害で人気の一角Measureofmydreamsが早々に落馬するアクシデント。大レースらしく1周目こそハイペースで流れるが、2周目辺りからはペースは落ちる。早々にCause of Causes、Heathfield、Emperor's Choice、Tour Des Champsなどは手ごたえが怪しくなりPU。第19障害辺りからVincenteが並びかける。好位で追うのはRoyale Knight、Alvarado、Seeyouatmidnightなど。最終障害でその中からVincenteが抜け出すと、最終障害を越えてから一気にギアを上げて追い込んできたAlvaradoの猛追を凌いで勝利。3着にはSeeyouatmidnight、4着にはRoyale Knightが入った。

VincenteはNoviceの馬ながら、Un Temps Pour Toutを下してきた実績、CheltenhamのNational Hunt Challenge Cup (Listed)にて5着に入ってきた距離実績がある。調子の良さと距離適性、序盤の速いペースにも対応できるスピードがモノを言った勝利だろう。Alvaradoはいつものように追い込むも2着まで。今回は好位で立ち回るも、やや勝負所で置かれるシーンがあり、おそらく障害飛越をスピードを持って行うことが出来ない馬なのだろう。11歳という年齢だがまだまだやれるはずである。SeeyouatmidnightはNovice馬ながら大健闘の3着。RSA Chase (G1)では結果が出なかったが、元々はWorld Hurdle (G1)にも駒を進めた馬。スピード能力と距離適性という点では優れたものを持っていたのだろう。Durham National (C3)の勝ち馬Royale Knightは見せ場たっぷりの4着。最後はスピードでこそ上位馬には見劣ったが、この馬も超長距離ならば面白い存在である。

その他負けた馬から何頭か。Shotgun Paddyは後方から押し上げるも最後は脚が上がり大敗。飛越をミスしてもリズムを崩さない点は進歩が見られるが、やや残念な結果に終わってしまった。馬場はもう少し渋った方がいいだろう。Welsh Grand National (G3)の勝ち馬Emperor's Choiceは良馬場とハイペースが全てだろう。Pineau De Reは勝負所から押し上げ、前を射程圏に入れる競馬をするも残り3障害で無念の落馬。13歳だが来シーズンも現役続行を期待したい。Cause of Causesは全く走る気を見せずPU。Sussex National (C3)の勝ち馬Tour Des Champsもペースに戸惑ったのか付いていけずPU。

なお残り3障害の手前で競争中止したGolden Chieftainは残念ながら予後不良とのこと。11歳となった今シーズンも超長距離戦で2勝を上げるなど、長きに渡って活躍してきた愛すべきベテラン。同馬のご冥福を祈る。