にげうまメモ

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17/01/28 National Hunt Racing

*Cheltenham Soft (Good to Soft in places)

Cheltenham Festival Trials Day。先日延期となったClarence House Chase (G1)もあり、1日9レースとややレース数の多い一日となった。

 

JCB Triumph Trial Juvenile Hurdle (G2) 2m179y

Rainbow Dreamerが逃げる展開も、これをスムーズに追走したDefi Du Seuilが残り2障害で先頭に立つとそのままあっさりと快勝。9馬身ほど離れた2着にはRainbow Dreamerが逃げ粘った。

Defi Du SeuilはHurdleは5戦5勝と無敗記録を伸ばした。重賞はFuture Champions Finale Juvenile Hurdle (G1)に続いて3勝目となる。Rainbow Dreamerは前走Fontwellで楽勝してきた馬であり、これを物差しにするとDefi Du Seuilのパフォーマンスは非常に素晴らしいものがあるだろう。ただし飛越はまだ粗さが残っていたので向上が必要か。

 

Hugo's Restaurant Barbados Trophy Handicap Chase (G3) 2m4f166y

思い切って先頭を奪ったFoxtail Hillが軽快に逃げ、最後まで差を詰めてきたSaphir Du Rheuを凌いで勝利。Tenor Nivenaisが3着。人気のAsoは見せ場を作れず。

Foxtail HillはKemptonのC3ハンデ戦から2連勝。ハンデ重賞らしい締まったペースを作り出すことで飛越にリズムを生んだJamie Bagary騎手の好騎乗は大きかった。また、ハンデも10st0lbとかなり恵まれていた。Mildmay Novice Chase (G1)を勝利しているSaphir Du Rheuはもともと能力の高い馬だが、飛越のポカやノドの持病など課題の多い馬。20f戦に移行したのはこの馬にとって良かったかもしれない。11st9lbを背負っての2着は勝ちに等しい内容だろう。好位を追走したTenor Nivernaisは最後は勝ち馬に遅れる形。とはいえこの馬も11st8lbをもらっており決して悲観する内容ではないだろう。Annacottyは第2障害で早々の落馬。Ballynagour、Regal Encore、Buywiseはペースについていけず。

 

Clarence House Chase (G1) 2m62y

Special Tiaraがハナを伺う構えもRoyal Regattaが執拗に絡んでくる。これを好位で追走するのがUn De Sceaux。少し遅れてUxizandre、Dodging Bullets、Top Gamble。早々にRoyal Regattaは余力を失い後退。Special Tiaraを第9障害辺りでUn De Sceauxが交わすと、追ってきたUxizandreを軽く突き放し5馬身差の快勝。3着には残り2障害までは先頭集団に食らいついたTop Gambleが入った。Dodging Bulletsが離れた4着。Eastlake、Royal Regattaは途中棄権。

Un De SceauxはこれでTingle Creek Chase (G1)に続き連勝となった。落馬と何故か25f戦を使ったAuteuil以外では比較的安定した成績を残しており、現状では16fChase路線において最有力となる馬だろう。ただしやはり飛越時において上半身を使った動作には不安が残り、この辺りが前脚の持ち上げと着地時における不安定感に繋がっている。DouvanにもRuby Walshが主戦として騎乗しているため、鞍上の動向も含めて注意する必要があるだろう。2015 Ryanair Chase (G1)の勝ち馬Uxizandreは約2年ぶりのレースながら健闘した。もともと自ら主導権を握り、リズムを作り出してテンポの良い飛越を繰り出す馬。今回はやや前半飛越にスムーズさを欠き、また気性的にも行きたがる面を見せていた。平地のスピードはない馬なので、最終障害を飛んでからUn De Sceauxに突き放されたのは仕方のないところだろう。面白い馬が帰ってきた素晴らしい復帰戦だった。Top Gambleは強敵相手に健闘し3着。ただしSoftな馬場が味方した可能性は否めない。Dodging BulletsはやはりSpecial Tiara、Un De Sceauxのペースにはついていけない。Special TiaraはSoftな馬場は苦にするスタミナのないタイプなので仕方がないが、今シーズンはややパフォーマンスを落としているのが気になる。

 

Betbright Trial Cotswold Chase (G2) 3m1f56y

Smad Placeが逃げる展開も、残り4障害からMany Cloudsが先頭に。この後ろに忍び寄ったThistlecrackが一旦はそこから前に出るも、ここからMany Cloudsが反撃。最後は僅差Many Cloudsが前に出て勝利した。Thistlecrackが2着。Smad Placeは離れた3着。

素晴らしいレースを見せてくれたMany Cloudsであるが、残念ながらその直後に亡くなったとのこと。Smad Placeがハイペースで逃げる中、これをいつも通りの安定した飛越で追走し、切れる脚こそないものの、相手が根負けするまで脚を伸ばし切るという、まさに強力なステイヤーそのもののレース運び。身体能力とスピードで勝るThistlecrackを競り落としたパフォーマンスは、この馬のペースであればどこまでも走り続けることが出来るのではないかと思わせるほど卓越した持久力を持つこの馬の真髄を見せてくれるものだった。今シーズンのCheltenham Gold CupとGrand Nationalが一層楽しみになるレースであっただけに、今回の事故は残念でならない。

ThistlecrackはChaseでは初の黒星となった。今回は先を見越してか馬群の中に入れるレース運び。課題のOpen Ditchではミスが見られなかったが、やや飛越動作に躊躇いが見られた。本番もSmad Placeのペースとなることが予想されるため、外に出して追走するなどレース運びには注文が付くだろう。Smad Placeは自分のレースをしての3着。もう少し馬場は渋った方が良いかもしれない。Silviniaco ContiはどうもCheltenhamでは走らない。Ascot Chaseを大目標にした方が良いだろう。フランスから遠征したVezelayは2周目からはペースに付いていけてなかった。

 

Glenfarclas Cross Country Handicap Chase (C2) 3m6f87y Good to Soft (Good in places)

Valadomがやや飛ばす流れ。これを追いかけて人気のCantlow、Auvergnat、Any Currencyなど。フランスから参戦したUrgent de Gregaineはその後ろ。Rocky Creek、Alelchi Inoisはこれを見る形。Fago、Cause of Causes、The Job is Rightは遅れる。Valadomは軽快に逃げるが、2回目のAintree Fenceの辺りからCantlowが先頭に。これをAny Currencyが追いかけるが差はつまらない。しかし逃げるCantlowに忍び寄ったUrgent De Gragaineが最終障害でこれに並びかけると、ここから一気のスパートでCantlowを交わし切り快勝。3着にはAny Currencyが入った。

これは驚いた。Urgent De Gragaineはフランスからの参戦馬だが、フランスでは平場戦のSteeplechaseで勝ち鞍がある程度。Cross Countryにも参戦していたが、目立った勝ち星は上げていなかった。ほぼ無名の挑戦者と言ったところか。しかし1周目こそ英国式の障害でミスが見られたが、2周目はきっちり修正し、自国にもあるような障害では高い飛越能力を見せていた。10st3lbの軽量が大いに味方した部分はあるが、それでも軽視してよいパフォーマンスではないだろう。Cross Country2連勝で挑んできたCantlowは自分の競馬をしての2着。勝ち馬はピッチ走法で加速する馬であり、最後の平地部分で一気に突き放されてしまったのは加速方法の違いか。古豪Any Currencyは出来ればハナを切りたかった。14歳となった今年もこの舞台であればまだまだ走れることを示した。Cause of Causesは最後差は詰めていたが、やはり道中かなり後ろにいたのは苦しい。非常に持久力に優れた馬だけに、飛越能力の向上があればここでもやれるだろう。Rocky Creek、Alelchi Inoisはこのような器用な飛越が要求される舞台は合わない。Risk of Thunder Chaseにて3着に入ったAuvergnatはもったいない落馬。このハンデであればチャンスは大いにあるだろう。

 

Cleeve Hurdle (G2) 2m7f213y

Cole Hardenが軽快に逃げる展開も、直線で先頭に立ったUnowhatimeanharryがそのまま押し切り勝ち。Cole Hardenが2着、後方から追い上げたWest Approachが3着に入った。Ballyopticは見せ場を作るも最後遅れて4着。

日照不足でスタンド前の障害が2つほど迂回されていた。Unowhatimeanharryはこれで8連勝。決して大きな馬ではないが、比較的外を自由に走ったここでも非常に器用な飛越を見せており、Softな馬場も苦にしていなかった。着差は1馬身ほどとなっているが、最後は脚が上がっていた後ろ2頭と比べると余力はやや違っていたか。障害の迂回があったため着差はつかなかったが、障害があればもう少し変わっていた可能性もある。Cole Hardenはどちらかというと良馬場の方が良いタイプだが、自らの形に持ち込み見せ場を作った。Novice馬West Approachは後方から追い上げて3着まで。Stayers' Hurdleに向かうのかはわからないが、いずれにせよ今後が楽しみな一頭だろう。Ballyopticは見せ場を作ったが、最後はやや根負けする形の4着。本来は20fの方がよいかもしれない。