にげうまメモ

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17/10/08 Czech Racing - Velká Pardubická - / Crystal Cup

*Pardubice

127. Velká pardubická s Českou pojišťovnou

Stcc - cena L - 6+ - 6900 m - 5 000 000 Kč

Velká Pardubickáの全般的な話はこちら参照のこと。

 

1 TER MILL, 11 Jan Odložil 70,0 DS Malá Morávka
2 NIKAS, 12 ž. Lukáš Matuský 70,0 Castor
3 PARETO, 10 Pavel Složil ml. 70,0 EŽ Praha a.s.
4 NO TIME TO LOSE(GB), 8 ž. Jan Kratochvíl 70,0 DS Paragan
5 ANGE GUARDIAN(GER), 9 ž. Josef Váňa ml. 70,0 Stáj Anděl strážný
6 VAL DE GUYE(FR), 8 Jan Derych 70,0 Lokotrans
7 SONGE D`ESTRUVAL(FR), 11 ž. Colm McCormack 70,0 Mme Bernard Le Gentil
8 KASIM, 12 ž. Marcel Novák 70,0 Stáj Kejzlar
9 TEMPLÁŘ, 10 ž. Kevin Guignon 70,0 Stáj Luka-trdelnik.com
10 BRIDGEUR(FR), 6 ž. Jaroslav Myška 70,0 VaZi
11 ZARIF(IRE), 10 ž. Josef Bartoš 70,0 Köi Dent
12 VIRTUS D`ESTRUVAL(FR), 8 ž. Jan Faltejsek 70,0 Mme Bernard Le Gentil
13 UNIVERSE OF GRACIE(GER), 12 ž. Jiří Kousek 70,0 BORS Břeclav a.s.
14 ELDORADO(GER), 10 Rostislav Benš 70,0 Dostihová stáj Zhoř
15 DELIGHT MY FIRE(FR), 7 ž. Niklas Lovén 68,0 DS Pod Buchlovem
16 MAUGLÍ, 11 ž. Martin Liška 70,0 M+T Kliky - Slabý
17 POWER ZAR(GER), 8 Sertash Ferhanov 70,0 Chládek&Tintěra-Váňa
18 SIXTYSEVEN, 8 Lukáš Sloup 70,0 Buc-Film
19 CHARME LOOK, 10 ž. Marek Stromský 70,0 Orling
20 URGENT DE GREGAINE(FR), 9 ž. Felix de Giles 70,0 Rasquier Arnaud

 

出走馬は全部で20頭。うちフランスからの参戦馬3頭を含む。去年から斤量がセン馬70kg、牝馬68kgに変更された。

 

1. Ter Mill / Jan Odložil

葦毛の馬体がひときわ目立つ馬。実績的にはkat. II勝ちがある程度だが、kvalifikace (Stcc NL)に入っても好走できる実力は持っている。どちらかというと前に行ってワンペースをひたすら刻んでいくタイプの馬で、瞬間的なスピードに長けているわけではないため惜敗が多い。同じく引っ張りたいCharme LookやDelight My Fireとの兼ね合いもあるが、Charme LookやDelight My Fireはさほど早く引っ張る馬ではないので、さほど大きな懸念ではないか。むしろやや緩慢に動くタイプの馬であり、ポカのある飛越の方が懸念材料。飛越さえ上手くいけば勝負圏内まで入ってくる可能性はあるが、勝ち切るまではどうか。

参考:2016 Cena města Pardubic (Stcc kat. II) 1着

 

2. Nikas / Lukáš Matuský

2015年のVelká Pardubická (Stcc L)にて1位入線を果たしながらも、その後禁止薬物が見つかったとして失格になった馬。もともと速いペースを耐えながら最後まで強靭に脚を伸ばし切る類まれな精神力と持久力が持ち味の馬であったが、近走は年齢のせいか低迷。前走ではもともとの主戦Marek Stromskýを替えてよりアグレッシブな騎乗で知られるLukáš Matuskýを配してきたが、残念ながら結果は伴わなかったようだ。Velká Pardubickáには5月の時点で登録はなく、9月になって権利を得られたため追加登録してきたという経緯は不気味だが、近走の成績からはやや押しずらい。唯一ハイペースで流れたときに浮上する可能性はある。ここで勝てばドラマになるだろう。

参考:2015 Velká pardubická s Českou pojišťovnou (Stcc L) 1位入線失格

 

3. Pareto / Pavel Složil ml.

チェコ調教馬にはPardubiceのCross Countryを主に走る馬のほか、イタリアやポーランドチェコの他の競馬場を回るタイプの馬がいるのだが、この馬は後者。飛越はかなり上手いようで、昨年のVelká Pardubickáに加えて、イタリアMerano競馬場のGrand Steeplechase d'Italia (G1)、さらにMerano競馬場のCross Country Courseを最大限に使用したPremio Delle Nationi (G2)の完走歴もある。今年はポーランド最大のSteeplechaseであるWielka Wrocławskaを2着に入ってここに挑んできた。調子はいいようだが、どちらかというと飛越の巧さや器用さを武器にしている馬であり、Pardubiceの広いコースが合う印象はない。

参考:2017 Wielka Wrocławska 2着 (1着Delight My Fire)

 

4. No Time To Lose / Jan Kratochvíl

もともとはKarlovy Vary競馬場で勝ち星を上げてきた馬だったのだが、去年の秋にCena Vltavy (Stcc NL)を勝利。その際は人気どころに重複落馬があり、ややAccidentalな勝利という印象が強かったのだが、今年のKvalifikaceを2戦続けて2着に入り、力をつけていることを見せつけた。勢いの点では有力候補の一頭。ここまで落馬がない安定したレース振りも魅力。課題は初距離。

参考:2016 Cena hejtmana Pardubického kraje - Cena Vltavy (Stcc NL) 1着

 

5. Ange Guardian / Josef Váňa ml.

昨年の2着馬。Lysá nad Labemで頭角を現してきた昨年は、III. kvalifikace (Stcc NL)にて人気薄ながらもCharme Look、Rabbit Well、Rebelino、Zarifら強豪を相手に2着と奮闘、本番でも見せ場十分の2着に入った。しかし残念ながら今年はLysá nad Labemでは落馬、III. kvalifikace (Stcc NL)ではなんとか完走して権利は取ったのだが、前とは大きく離された結果。昨年の勢いを考えればどうにもいまいちな成績。昨年の出来にあれば勝ち負けになる馬なのだが。

参考:2016 Memoriál Evy Palyzové (Stcc I. kat) 1着

 

6. Val De Guye / Jan Derych

Steeplechase Cross Countryは未勝利ながらも、今年のII. kvalifikaceにて6着に入ることで権利を取った馬。ただし6着といっても先頭からは25秒近く離されたものであり、全く勝負に加わることは出来ていない。続いて参戦したIV. kvalifikaceでも途中棄権という結果に終わっている。成績的にはCena Dne vítězství (hdcp) (Stcc III. kat)の4着が最高であり、さすがにここに入ると荷が重い。

参考:Cena Dne vítězství (hdcp) (Stcc III. kat) 4着

 

7. Songe d'Estruval / Colm McCormack

フランスからの参戦馬。フランスでは主にVichy、Pompadour、Strasbourgを走り、Cross Countryだけで6勝を上げている古豪。飛越としてはフランスCross Countryの常連らしく、力を抜きつつも器用で安定した飛越が持ち味。勝負所からの飛越で力を入れてスパートできることもこの馬の高い飛越技術を裏付けている。Countre-Hautの飛越も見事であり、Irish Bankに対する不安もないだろう。課題は未経験の距離か。

参考:Prix Jivago De Neuvy 1着

 

8. Kasim / Marcel Novák

この路線の常連で、12歳はUniverse of Gracieと並んで出走馬最年長。毎年精力的にKvalifikaceに出走し、これで4度目のVelká Pardubická参戦となる。勝ち星は4500~6000mクラスに集中しており、どのレースでもさほど崩れず走っている点は高い実力の証か。ただしVelká Pardubická自体ではいずれもやや前とは離された着差に終わっており、どちらかというとKvalifikaceの距離の方が良いのだろう。前々の好位置で運ぶことが出来る安定したレース振りは魅力の一つだが、今年の2走は大きく崩れてこそいないものの、勝ち負けには加われていない点は気がかり。

参考:2016 I. kvalifikace (Stcc NL) 1着

 

9. Templář / Kevin Guignon

昨年のII. kvalifikaceは人気となっていたHegnusがまさかの落馬、そこで穴をあけたのがこのTemplářであった。2014年のCena Labe (Stcc L)にて4着の実績はあったのだが、そこまでStcc未勝利であったこの馬の好走は驚きであった。ただしその後のVelká Pardubickáは大敗、Charme Lookの勝利したIII. kvalifikaceも7着という成績を見ると、上位とはやや差があると考えるのが妥当か。

参考:2016 II. kvalifikace (Stcc NL) 1着

 

10. Bridgeur / Jaroslav Myška

元々はフランスで走っていた馬。未だにStcc未勝利馬だが、Dostih Východočeské televizeを除けば比較的確実に走っている。どちらかというと手薄なメンバーとなった今年のIV. Kvalifikaceで2着に入ってここに挑んできた。距離を伸ばして成績を上げてきたことから考えると、おそらく更なる距離延長はこの馬にとって歓迎だろう。前回のIV. Kvalifikaceはさほど本番を見据えてどうこうという馬が少なく、全体的に勝負掛かりとなり、比較的ペースが流れた中で2着まで踏ん張ったのは評価できる内容。課題は当然相手関係。

参考:2017 IV. kvalifikace (Stcc NL) 2着

 

11. Zarif / Josef Bartoš 

この路線の古豪。Velká Pardubickáはこれで4回目の出走となる。2015年は3位入線、2016年は3着と堅実なレースを続けている。今年に入ってもI. kvalifikaceを快勝するなど古豪健在といったところ。2012年以降、大レースの数々を使いながらも落馬がない安定したレース振りも魅力。文句なしに最有力候補の一頭だろう。騎手にもチェコを代表する名手Josef Bartoš を配してきた。

参考:2017 I. kvalifikace (Stcc NL) 1着

 

12. Virtus d'Estruval / Jan Faltejsek

フランスからの参戦馬で、フランスではCross Countryだけで7勝を上げている。Vichy、Fontainebleau、Pompadour、Dax、Senonnesなど、多様な競馬場で勝ち星を上げている。今年のGrand Steeplechase Cross Country de Fontainebleauの勝ち馬で、前走はGrand Cross de Craon (Listed)で3着と好走。いずれもCrystal Cupの一環として行われるフランストップクラスのCross Countryであり、この馬自身もフランスを代表するCross Country馬の一頭といってよいだろう。ややテンポの速い完歩から繰り出される器用な飛越は非常に安定しており、かつ障害への対応力も高い。チェコの名手Jan Faltejsekを配しており、勝負気配が高いことも魅力の一つ。

参考:Grand Steeplechase Cross Country de Fontainebleau 1着

 

13. Universe of Gracie / Jiří Kousek

Kasimと並んで出走馬中最年長(12歳)。2015年にI. Kvalifikaceを勝って名を上げると、その年のVelká Pardubickáでは速いペースを刻んで4位入線まで踏ん張った。勝負所で一瞬息を入れた隙にNikasに前に入られた格好であったが、それがなければさらに上の着順を目指せたのではと思わせるレースであった。その後は長く低迷していたのだが、前走のCena společnosti SEKO AEROSPACE (Stcc II. kat)にて久しぶりの勝利を上げた。この馬が引っ張るとするとレース展開が大きく変わる可能性がある。自分のリズムで行けないと脆いところがあるのか、はたまた気性的な問題があるのか、どうにも定かではないのだが、まともならここでも好勝負は期待できる馬。前走の勝利で少しでも戻っていれば。

参考:2015 I. kvalifikace (Stcc NL) 1着

 

14. Eldorado / Rostislav Benš

今年のI. kvalifikaceで5着に入ることで出走権利を得た。ただし勝ち鞍としてはIII. katにあるのみで、上のクラスでは基本的に勝ち負けに加わることは出来ていない。距離が伸びて成績が向上したということもなく、良績は4000メートル級に集中している。ここで好勝負を期待するのはやや厳しい。

参考:2014 Nagroda Toru Wyscigowego Partynice - Wroclaw (Stcc III. kat) 1着

 

15. Delight My Fire / Niklas Lovén

出走馬中唯一の牝馬。もともとはポーランドで頭角を現してきたのだが、昨年のCena Labe (Stcc L)にてArcioneを下してきた馬で、今年はポーランド最大のSteeplechaseであるWielka Wrocławskaを勝ってここに挑んできた。やや低い飛越から繰り出されるロングスパートが最大の武器であり、どうにも高い障害が設置されているイタリアでは障害が合わなかったのか勝ち星を上げることは出来なかったが、Pardubiceのコースであればこの馬の飛越は一つの武器になるだろう。なおCheltenhamにも挑んでいるが、相変わらず飛越が低いのでAintree Canal Turnで引っ掛けている。この馬の主戦であるスウェーデンの名手Niklas Lovénを確保できたのもプラス材料。課題は距離。

参考:2016 Cena Labe (Stcc L) 1着

 

16. Mauglí / Martin Liška

I. kvalifikaceにて7着に入って出走権利を得た。チェコ国内では様々な競馬場を転々と走っている馬で、その中ではNetoliceを得意としているらしく2勝を上げている。ただし上のクラスでは基本的に勝ち負けに加わるには至っておらず、相手関係に課題がある。この馬にとってこのような大舞台を走るのは11歳になって初となる。11歳にしてようやく掴んだチャンス、なんとか頑張って欲しいところだが。

参考:2017 VELKÁ CENA GALOPP NEWS - VELKÁ CENA NETOLIC (Stcc III. kat) 1着

 

17. Power Zar / Sertash Ferhanov

2014年にMostで3連勝して頭角を現した馬。その後もCena města Pardubic - Úvodní Cross Country Koroka (Stcc I. kat)を勝利し着実に力をつけていたが、前走のIV. kvalifikaceを勝利して一挙に有力馬の一頭に躍り出た。kvalifikaceは本番を目指す馬にとっては完走することが基本的な目的であり、そのため慎重なレースになることがあるのだが、IV. kvalifikaceはさほどそのような馬がいなかったため、やや道中からペースが流れていた。そこを勝ち切ったことは評価できる内容だが、IV. kvalifikaceはさほどメンバー的に強力ではなく、実績馬は全く出走していなかった。2016年の春まで遡ればCharme Lookに勝利した実績もあるのだが、やはり相手関係が一番の課題。相手が一気に強力になる今回はこの馬にとっての正念場となる。

参考:2016 Cena města Pardubic - Úvodní Cross Country Koroka (Stcc I. kat) 1着

 

18. Sixteen / Lukáš Sloup

Cross Countryでの勝利は2013年にKolesaで挙げたもののみ。IV. kvalifikaceで4着に入って出走権利を得たが、そのレースでも前からは大きく離されている。実績的にはIII. kat辺りでようやく勝負になるかといったところで、常識的に考えればここはやや厳しいか。鞍上が一定しないこともマイナス。

参考:Cena Deníků (Stch IV. kat) 1着

 

19. Charme Look / Marek Stromský

連覇を狙って出走してきた昨年の勝ち馬。過剰に慎重なレースとなることでまさかの落馬に終わったI. kvalifikaceはともかく、その後のIII. kvalifikaceでは貫禄の勝利を挙げてここに挑んできた。苦手にしていたIrish Bankにも慣れ、調子、経験、やはり最有力の一頭だろう。前々でペースを握ることが予想され、自分のペースで走ることが出来れば好勝負が期待できる。ただし前走まで手綱を握っていたJan Faltejsekではなく、Marek Stromskýに乗り替わったことは懸念材料。Jan FaltejsekはOrphee des Blinsでこのレースを3度逃げ切っているように、ペース配分の点では素晴らしいものを持っていただけに、この乗り替わりがどう出るかはわからない。Marek Stromskýも上手い人なのだが、Velká Pardubickáに関しては1位入線かと思いきや走路を間違えたとして失格になったり、乗っていた馬から禁止薬物が検出されたりしてなかなか縁がない。なんとかここらで決めて欲しいところだが。

参考:2016 Velká Pardubická (Stcc L) 1着

 

20. Urgent de Gragaine / Felix de Giles

フランスからの参戦馬。母国ではCluny、Nimes辺りでSteeplechase勝利があるが、目立った実績としては今年の1月にCheltenhamに遠征した際のGlenfarclas Cross Country Handicap Chaseの勝利が挙げられるだろう。10st3lbの軽量を生かしたと言えばそれまでだが、Cantlow、Cause of Causesなどのイギリス・アイルランドCross Countryの強豪を退けた走りは無視できない。小さな馬で定量戦(約75kg)となるCheltenham FestivalのGlenfarclas Cross Country Handicap Chaseはスキップしたという経緯があるのだが、70kgはこなせるという判断なのだろう。当然1月以来の復帰戦、初コース、初距離など課題がは多いが、なかなか興味深い存在。

参考:2017 Glenfarclas Cross Country Handicap Chase 1着