にげうまメモ

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17/12/09 National Hunt Racing

*Aintree Heavy

Becher Handicap Chase (G3) (National) 3m1f188y

雪が降ったらしくコース脇には雪が積まれていたAintree競馬場。Becher Chase Dayとしては久々にHeavyで行われることになった。一昨年の勝ち馬Highland Lodge、昨年の勝ち馬Vieux Lion Rouge、昨年のGrand National (G3) 2着馬The Las Samuri、今年のGrand National (G3) 4着のBlacklionなど、経験馬が多く集まっていた。

Rogue Angelが例によって前に行こうとするも飛越をミスして後退。Westerner Pointが逃げる展開。全馬ほぼミスなく進行するも、10thにてLord Windermereが落馬。11thからHighland Lodgeが逃げるも、残り2障害から先頭に立ったBlaklionがそのまま後続を突き放して勝利した。2着にはこれに食らいついていったThe Last Samuri。3着にHighland Lodge。

BlaklionはもともとRSA Chase (G1)を機動力を生かして勝ってきたタイプで、スローの中をピッチ走法で抜け出すレースが勝ちパターンだったのだが、その後は長距離ハンデ戦に移行、少しずつ持ち前の持久力に磨きをかけてここまで来た。今年のGrand National (G3)では一旦は後続に大きな差をつける見せ場十分の競馬をしたが、最終障害辺りで捕まってOne For Arthurの4着に敗れている。今回は無茶なペースで引っ張る馬は存在せず、National Fenceに対する慣れも大きかった。おそらくこのままだとトップハンデに近い斤量を背負うことになるだろうが、脚の使いどころさえ間違えなければ、来年のGrand National (G3)に向けて有力となる一頭。The Last Samuriはオーバーペースとなった今年のGrand National (G3)は大敗したのだが、やはりミドルペース程度であればこのくらいは走ることが出来る。勝ち馬とは機動力の差だろう。National FenceのベテランHighland Lodgeも見せ場は作ったが、30fを超えると良績がないのが気がかり。

そのほか。Vieux Lion Rougeは途中まで好位についていくも、残り3障害から遅れ7着。できれば馬場はもう少し良化した方がいいかもしれない。Lord Windermereは完全にミスだが、それまでの飛越は高く安定していた。成績的には残念だがまだやれるだろう。Viva Steveは15thのミスが全て。Rouge Angelは飛越にスムーズさを欠いた。

 

Many Clouds Chase (G2) 3m210y

Tribute for Many Cloudsということで。レースは軽快に逃げたDefinitly Redが快勝。2着には人気のCloudy Dreamが入った。Flying Angel、Alpha des Obeauxと続いた。

Definitly RedはFrimthorpe Handicap Chase (C2)、Meyrick Handicap Chase (G3)などを勝っている馬で、やや流れたペースの好位からパワフルに抜け出してくるロングスパートが持ち味である。今回は完全にこの馬のペースでレースが進行し、かつ不良馬場にも関わらず馬群が凝縮することで後続が動きにくい展開となった。ある程度締まったペースから機動力を生かしたスパートが出来ればこのくらいの相手は問題にしないということだが、さてこの競馬が一線級相手にできるかというとまだ疑問が残る。Cloudy Dreamは終始インにこだわっていた。これはこの馬の競馬だが、当日の馬場を考えれば早く外に出した方がよかっただろう。

 

Grand Sefton Chase (C2) (National) 2m5f19y

Arctic Goldの落馬の煽りを食ったGas Line Boyだが、そこから立て直してから抜け出すと4馬身差の快勝。2着にはUltragoldが入った。

Gas Line Boyは今年のGrand National (G3)の5着馬。Becher Chase (G3)に続き、National Courseの経験馬が上位に来たことになる。今年もGrand National (G3)を目指すことになるだろう。UltragoldもTopham Chase (G3)の勝ち馬。今年は11頭と頭数が少なかったためか、全体的に波乱の少ない競馬となった。

 

*Chepstow Heavy

Welsh Grand National Trial Handicap Chase (C2) 2m7f131y

Alfie Spinnerが逃げるも、残り4障害から抜けだしたWild West WindがAlfie Spinnerを抑えて勝利。Milansbar、Ballycross、Shotgun Paddyと続いた。Bob Fordは落馬。

Wild West WindはこれでChase4戦3勝。ただし最後は脚が上がって後続が再度盛り返してきているだけに、より距離の伸びる本番ではやや疑問が残る。Somerset National (C3)の勝ち馬Alfie Spinnerはさすがのしぶとさを見せた。ただしG3クラスではペース自体についていけるかが不安だろう。Milansbarは一時期PUが続いていたが調子を上げてきたようだ。このクラスの超長距離戦であれば面白い。Ballycross、Shotgun Paddyもまた超長距離戦であれば。Bob Fordは騎手が踏切地点の調節を間違えた格好での落馬。転厩してからは調子はいいようで、今回も残り4障害地点での落馬がなければ勝ち負けに加われていた。

 

*Sandown Good to Soft

Henry VIII Novices' Chase (G1) 1m7f119y

Brain Powerが軽快に逃げる展開も、Sceau Royal、North Hill Harveyがこれに絡んでいく。最終障害でNorth Hill Harveyを競り落としたSceau RoyalがNorth HIll Harveyに11馬身差をつけて快勝した。離れた3着にFinian's Oscar。Brain Powerは最終障害で落馬。

下級条件のNovice戦を勝ってきた馬が多かったのだが、その中でもスピードに任せて突っ切って勝ってきたBrain Powerのペースに付いていけるかというレースになった。Sceau Royalはまさかの最低人気なのだが、もともとChampion Hurdle (G1)まで駒を進めた馬で、ペースに対する耐性もあったのだろう。前評判は低かったものの、パフォーマンスとしては決して最低人気のそれではない。前走G2勝ちのあるNorth Hill Harveyもまたハイペース耐性を見せたが、勝ち馬とはやや機動力の点で見劣った。Brain Powerはスピードで突っ切る飛越を見せており、最後はやや苦しくなったところで躓いて落馬。Finian's Oscarはそもそもペースに付いていけていなかった。20fで勝ってきた馬で、まだ飛越もパーフェクトではない。現状16fのペースで流れると追走が苦しい。

 

Tingle Creek Chase (G1)1m7f119y

Douvanの参戦がうわさされていたが回避。人気はFox Nortonから売れていた。Ar Madが逃げるも向こう正面から制御を欠く。Fox NortonがPon Fenceからスパートを掛けるも動ききれず。スムーズに先頭に立ったPolitologueがそのまま先頭に立つと、Fox Nortonの追撃を凌いで勝利した。Ar Madが3着。

Politologueは前走のHaldon Gold Cup (G2)から連勝とした。やや緩慢な動きをする馬でNoviceでは機動力の違いで勝ち切ることが出来なかったのだが、やはりこういう馬はSenior Chaseに入って力を発揮する。距離を伸ばした方がよさを発揮する馬かもしれないが、16fのスピードに対応できることは今後に向けて大きな武器となるだろう。Fox Nortonはどうにも動ききれず。Railway FenceからPon Fenceにかけてスパートを掛けることが出来なかったが、この馬はより大雑把な競馬場の方が力を発揮するかもしれない。Ar Madは序盤から出していったが、向こう正面でやや制御を欠いた。昨年のHaldon Gold Cup (G2)の勝ち馬Sir Valentinoは残念ながら助からなかったとのこと。

 

London National Handicap Chase (C2) 3m6f144y

12歳の古豪Benbensが逃げ切り勝ち。牝馬Cresswell Breezeは最終障害をミスして3着。