にげうまメモ

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17/12/26 National Hunt Racing

*Kempton Soft (Good to Soft in places)

Kauto Star Novices' Chase (G1) 3m

一団となってレースは進行するも、途中からFountains Windfall、Black Cortonが抜け出す。残り4障害地点でFountains Windfallが落馬、追いかけてきたElegant EscapeをBlack Cortonがしのぎ切って勝利した。West Approachが3着、離れた4着にBallyoptic。Mia's Stormは落馬。

チャンスのある馬はかなり多かったのだが、飛越のミスや落馬等のアクシデントで結果的に最も安定したレースをした馬が勝利したという印象。Kemptonは単純でフラットな競馬場だが、その分ある程度のスピードとテンポが求められる。Black CortonはこれでChase7勝目と経験は豊富であり、重賞は初勝利となる。終始安定したロスのない飛越を見せており、完成度としてはここでは抜けていた。面白いレースをしたのがElegant Escapeで、走法としてはかなり見場は悪いのだが、最終障害で大きな飛越を見せており全く脚は上がっていない。しぶといステイヤーとして今後も注意が必要か。West ApproachはThistlecrackの弟らしい身体能力の高さは見せていたが、相変わらず気性的にかなり難しいようだ。Ballyopticはどうにも飛越のリズムが悪い。Fountains Windfallは単純に飛越が低く、落馬はそのまま突っかけた印象。Mia's Stormも同様。この辺りは落馬さえなければ少なくとも3着くらいまでは突っ込んできたかもしれない。

 

Chiristmas Hurdle (G1) 2m

例によってThe New Oneが逃げるも、残り2障害から仕掛けたBuveur D'airがそのまま快勝。2着にはThe New Oneが入った。Mohaayed、Chesterfieldと続いた。

Fighting Fifth Hurdle (G1)に続き、昨シーズンのChampion Hurdle (G1)の勝ち馬Buveur D'airが圧倒的なパフォーマンスを見せた。Economicalな飛越は16fのHurdlerのそれであり、その瞬発力はやはり抜けている。相手筆頭としては昨シーズン不在だったFaugheenが挙げられるが、現状では連覇に向けて順調にレースを消化しているといったところか。

 

King George VI Chase (G1) 3m

2015年の勝ち馬Cue CardはAscot Chase (G1)に向かうとかで回避。"King of Haydock"のBristol De Maiをはじめ、上がり馬Might Bite、連覇を狙うThistlecrackなど比較的目新しいメンバーがそろっていた。

例によってBristol De Maiが逃げる展開だが、第10障害にてミス。代わってMight Biteが先頭に立つと、食い下がるBristol De Maiを振り切り、さらに追いかけてきたDouble Shuffle、Tea For Two辺りを凌ぎ切って勝利した。Thistlecrackが差のない4着。Whisper、Bristol De Mai辺りはその後ろ。Fox NortonはPU。

Might Biteは完全に抜け出したと思ったKauto Star Novices' Chase (G1)では最終障害で落馬したりと色々とお騒がせな馬。昨シーズンの24f Novice ChaseはThistlecrackが抜ける穴を埋める形の構成になっていたのだが、ここではその実力の高さを証明した。どうにも全体のパーツが妙に長いせいであまり格好良く見えないのだが、Double Shuffleが追いかけて来てからもう一伸びしたりと余力は十分にあったように見える。あまり自分からペースを刻んでいくタイプではなく、誰かの作り出すペースに乗っていく懸念はあるのだが、それでも前々で張り続けるしぶとさは随一のものがあるだろう。
Double Shuffleは全く人気がなかったが見せ場を作った。20fを追走するスピードもあり、なんだかんだでGrand National (G3)でも残り2障害地点まで踏ん張るパワーもあり。今回はBristol De MaiとMight Biteが緩やかなロングスパートを作り出す展開の中、外々でスムーズに飛越が出来たこと、これがこの馬にとってはプラスに働いたのかもしれない。あまり自分から動けるタイプではないのだが、案外これくらいのペースの持久戦の方があっているのかもしれない。Bowl Chase (G1)を勝ったTea For Twoも力を見せた。この馬はミドルペースであれば持ち前の機動力で前に来ることが出来る。さらに持久戦となると厳しいので、この辺りは展開が向いたといえるだろう。

昨年の勝ち馬Thistlecrackは4着まで。Long Distance Hurdle (G2)では別馬のように全く走らなったのだが、今回はさすがに仕上げてきたようだ。故障が競争能力に及ぼす影響は未知数だが、順調であれば再度の天下取りまであり得る。Whisperは飛越をミスして万事休す。低く抑えた飛越が持ち味の馬だが、その分このようなリスクは付きまとう。HaydockのBetfair Chase (G1)で50馬身くらいつけて勝ってきたBristol De Maiは、途中からこの馬にとってはオーバーペースとなり、最後は完全に脚が上がっていた。脚は早くないので馬場が悪くなった際にマイペースで走れれば異様なしぶとさを発揮する馬だが、オーバーペースとなると脆いのは相変わらずのようだ。Fox Nortonは全く走らなかったのだが、これは集中力の問題かもしれない。エンジンのかかり方としては24fをこなしてもおかしくないのだが、16fか20fかそのくらいの距離で、ある程度誰かが引っ張ってくれた方が良さを発揮するのだろう。

 

*Market Rasen Soft

Lincolnshire National (C3) 3m3f123y

障害競馬全10場開催(AWも入れると11場開催)の日にLincolnshire Nationalを突っ込んでくるMarket Rasen競馬場。当然のように中継が二画面分割になるのでなんとかしてほしいんだけれども。勝ったのはCyclop。Southern National (C3)やCambridgeshire National (C3)で2着に入っている馬だが、Chaseの勝ち鞍としてはC4に続いて2勝目となる。Good to Softくらいではかなり安定した成績を残しているようだが、小脚を利かせるタイプなだけにこれ以上ペースがあがるとどうか。Norfolk National (C3)の勝ち馬Amiral Collongesは勝ち馬の一瞬の機動力にやられた印象。

 

*Wetherby Soft

Rowland Merick Handicap Chase (G3) 3m45y

Delusionofgrandeurが逃げる展開。これにWakandaがぴったりとついていきゴール前でこれを捕まえるも、さらに外から伸びてきたGet on the Yagerがこれを捉えて勝利した。Wakanda、Delusionofgrandeur、Actinpiecesと続いた。

飛越としてはDelusionofgrandeurが最もスムーズであり、Wakandaはより障害に近い場所で踏切を行っている。DelusionofgrangeurはC3を勝ってきた馬でペースとしてはあまり早くはなく、中盤からのロングスパート戦となった。Get on the Yagerはこれで4戦2勝としたが、どうやら重馬場でのゆったりとしたロングスパート戦があっているようだ。なんどか大きなミスがあったが立て直すことができたのは今後に向けて明るい材料。WakandaはListedクラスであれば十分に主役を張れる馬だが、もう少し飛越に前進が見られれば。

 

*Leopardstown Yielding (Soft in places)

Knight Frank Juvenile Hurdle (G2) 2m

好位から抜け出してきたEspoir D'Allenが快勝。2着にはFarclasが入った。Mitchoukaはその後ろ。

Espoir D'Allenはこれで4戦4勝とした。前走下してきたMitchouka辺りが相手筆頭であり、パフォーマンス自体は下馬評の通りのものである。ゆったりとしたペースからの機動力は高いものがあり、飛越自体も問題はなかった。このようなレースになりがちなJuvenile路線では安定格だろう。Farclasは最後まで差を詰めているだけに勿体ない2着。これがHurdle初参戦であり、次のレースが楽しみになる一頭。

 

Racing Post Novice Chase (G1) 2m1f

Death DutyとFootpadの2頭の参戦が話題になっていた。

Avenir D'Une Vieが逃げるも第5障害で落馬。JettとFootpadが代わって先頭に立つも、Footpadがそのまま後続を軽く突き放して勝利した。2着にAny Second Now。Death Dutyは最終障害で落馬。

FootpadはこれでChase2戦2勝とした。HurdleではGain Spring Juvenile Hurdle (G1)、Alain Du Breil Grade 1 Hurdle (G1)勝ちのある馬であり、16fから24fのHurdle G1戦線でも好勝負をしていた。もともとHaiesをこなせる飛越能力の高さもあり、スピード能力が純粋にここでは抜けていた。距離適性は不明だが、いずれにせよ16fから20fのNovice Chase路線では中心視される一頭。Death Dutyは馬場が良すぎた印象だが、どうにも付いていけなくなると途端に落馬するのはどうにかならないものか。