にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

18/02/04 National Hunt Racing / French Racing

*Leopardstown Soft (Soft to Heavy in places)

Ireland Spring Juvenile Hurdle (G1) 2m

http://www.attheraces.com/racecard/Leopardstown/4-February-2018/1315

人気を背負ったEspoir D'Allenが逃げるも、残り2障害を越えたあたりから後続が殺到。Farclasが逃げ込みを図るが、後方にいたMr Adjudicatorがこれを差し切り勝利した。Grey Watersが離れた3着。

今シーズンのJuvenile HurdleはイギリスのApples' Shakera、アイルランドのEspoir D'Allenといった構図だったのだが、これでアイルランドの方はわからなくなってしまったという印象。Mr Adjucatorはもともと平地を走っていた馬で、これでHurdleは2戦2勝としたが、レースとしてはあくまで人気どころが崩れたところを出し抜けを食らわせたという印象。Paul Townendは今シーズンはWillie Mullins厩舎の主戦として乗っているが、圧倒的な技術を持つRuby Walshとは異なり、本来はこのようにアイデアを生かして乗った方が自身の強さを発揮できるような感もある。相手もEspoir D'Allenに前走惜敗していたFarclasであり、Triumph Hurdle (G1)の有力視できるかといえば微妙なところ。Espoir D'Allenは今回はやや引っかかって行く部分もあり、ここまでレースの上手さを生かして勝ってきた馬だけに、どちらかといえば自滅といった感のある敗戦。最後は諦めて追っていないので着差は度外視できるのだが。

 

Deloitte Novice Hurdle (G1) 2m

http://www.attheraces.com/racecard/Leopardstown/04-February-2018/1350/

好位を追走したSamcroがあっさり抜け出すとDuc Des Genievresに5馬身をつける快勝。Paloma Blue、Whiskey Sourと続いた。

SamcroはPTP、NHFを含めて6戦6勝とした。道中から非常に余裕をもって飛んでおり、抜け出すときの加速力、トップスピード、飛越技術と、ここでは性能が数段上であった。この馬にとって全く厳しいレースをしていないだけに、苦しくなった際の対応はどこまで可能なのかは未知数だが、少なくとも今シーズンの16f Novice Hurdleでは間違いなく中心的な存在。一説にはChampion Hurdle (G1)という話もあるようだが、これだけの馬は着実にステップアップさせていく方がよいだろう。Duc Des Genievresはよく追いこんで2着。Lawlor's of Naas Novice Hurdle (G1)でも好走しており、Novice重賞くらいなら手が届く器。なにやら色々とあったFuture Champions Novice Hurdle (G1)の組ではWhiskey Sourが再先着を果たした。わりと絶望的な位置から諦めずに追い込んでおり、飛越さえ問題ないのであれば距離を伸ばすのも一案。アイルランドのReal Steelはさすがに前に行くと早々にSamcroに来られて苦しくなった。Real Steelという障害馬は他にもいる。対抗角と目されていたSharjahは全く走らなかったが、外々を立ち回った挙句あっさりレースをやめており、これは気性的な部分もあるかもしれない。

 

Flogas Novice Chase (G1) 2m5f

http://www.attheraces.com/racecard/Leopardstown/04-February-2018/1500/

前々で運んだMonaleeがAl Boum Photo、Invitation Onlyなどの追い上げを凌いで勝利した。4着以下にはDounikos、Snow Falconと続いた。

MonaleeはHurdleではNovice G3がある馬で、Albert Bartlett Novices' Hurdle (G1)ではPenhillの2着もある。Neville Hotels Novice Chase (G1)では落馬に終わっていたが、今回は人気にこたえる結果となった。さすがにレースとしてはSoftでのフラットのスピードで決まった感もあるが、能力的にはJLT Novice Chase (G1)でも面白い存在になるだろう。Al Boum Photo、Invitation Onlyはもう少し馬場が悪くなったほうがよさそう。Hurdleでの実績を考えればSnow Falconはもう少し走れてもおかしくはないのだが、最後まで勝負に加わることはできず。Rathvindenは苦しくなってからの落馬。人気のSutton Placeは飛越が冴えなかった。

 

Irish Gold Cup (G1) 3m

http://www.attheraces.com/racecard/Leopardstown/04-February-2018/1535/

Djakadamが例によって引っ張る展開も、最終障害を越えてOutlanderが先頭に。そのまま逃げ込みを図るが、ゴール前で最後方にいたEdwulfがこれをとらえて勝利した。Killultagh Vicは最終障害で落馬。

正直何があったのかよくわからない。全体的にフレッシュな馬が多く、そのフレッシュな馬が総じて落馬したというのはあるのだが。Edwulfは実績的にはWoodlands 100 Club Nas Na Riogh Novice Handicap Chase (Grade B)勝ちがある程度の馬。Grade B勝ちの後に挑んだCheltenhamの32f戦であるJT McNamara National Hunt Challenge Cup (G2)では最終障害手前で故障を発症し競争中止していた。Joseph O'Brien調教師が開業早々にFestival Winnerになるかと思われた矢先の出来事であった。その当時は次のレースが始まる頃になってもシートに覆われ治療が継続され、そのまま90分近く起き上がることが出来ず安否が心配されたが、昨年暮れのLeopardstown Christmas Chase (G1)で見事復帰という経緯を辿っていた。そもそもレースに復帰できたこと自体が驚きのような馬で、実績から考えればここに入ると数段格下。Leopardstown Christmas Chase (G1)を復帰戦に選んだ意味がわからないし、今回ここに使ってくる意味が全くわからないのだが、競馬というのは時に奇跡のような出来事が起きるものである。どちらかというとスピードを生かして唸るような手ごたえで進出していく類の馬で、気性的にも飛越からしてもどうにも信頼が置きづらい部分はあるのだが、馬場やコースへの適性、Cheltenhamでのパフォーマンスや今回の走りを見る限りでは、少なくともGold Cup Contenderとして無視できない存在となるだろう。

Outlanderは何かとトラブルの多かった有力馬と比較するとさすがに安定した走りを見せた。この馬はLeopardstown競馬場であると非常に安定して走る。他に遠征するとどうにも一線級相手だと分が悪いのだが、この競馬場であれば再度のG1制覇もありうる話だろう。Djakadamはどうにも取りこぼしが多い馬で、最終障害のみ直線に設置されているLeopardstown競馬場はあっているようには見えない。フラットのスピードよりも持続力を武器にする馬で、残り3障害地点が下り坂になっているCheltenham競馬場や、Haydock競馬場などの方が適性があるように思われる。Irish Grand National (Grade A)を圧勝したOur Dukeは残り2障害で大きなミス。比較的若くてフレッシュな馬だけに、このようなアクシデントはつきものといったところ。特に悲観する負けでもないだろう。Anibale Flyは残り2障害で落馬。Killultagh Vicは勝ちまであったのだが、最終障害で落馬。能力的にはGold Cup (G1)でDark Horseとしてマークしておくべき存在。Minella Roccoも落馬に終わったが、こちらは良馬場に代わってどこまでといったところ。

 

*Pau Terrain Lourd (4.9)

Grand Cross De Pau Reverdy (Listed) Cross Country 6200m

http://www.france-galop.com/fr/course/detail/2018/O/eVNSWU96Y1dURWNlTWc0anNZUFJNZz09

途中から先頭に立ったDisco D'Authieだったが、ゴール前で盛り返してきたUroquoisがこれを下して勝利した。3着にはBucefal。

Uroquoisは昨年は4着、2014年は5着に入っている。Pauでの勝ち星はもちろん、Durtal、Lion-D'Angersでも勝ち星を挙げているCross Country Specialistで、終始安定した飛越を見せていた。馬場としてはそれなりに渋った方がよさそうで、Crystal Cupを使うとしたら今後春に入って馬場が良化した際にどこまで対応できるかは微妙なところ。連覇を狙ったDisco D'Authieは力を見せたが、最後は根負けする形の2着。使い方を見るとPauのSpecialistといったところで、Crystal Cupを戦うかどうかは微妙かもしれない。Bucefalは比較的経験の浅い馬だが収穫のある3着。Chicname De Cotte、Alpha Riskは少し距離が長いかもしれない。