*Nakayama Firm
Pegasus Jump Stakes 3350m
中山グランドジャンプを見据えた前哨戦だが、どちらかというと現状では二番手といったところの立ち位置の馬が主に出走していた。人気はタマモプラネットから。
例によってそのタマモプラネットが逃げる展開。これを追いかけてマイネルクロップ、クランモンタナ。クランモンタナは徐々に後退し、代わってニホンピロバロンが進出。内をすくってニホンピロバロンが先頭に立つも、これとの叩き合いをマイネルクロップが制して勝利した。タマモプラネットは3着。後続は遅れた。
タマモプラネットは早いペースを刻んでいく馬で、本来逃げ馬の特徴である惰性で走り切るような特性は持っていないのだが、それでもこの距離であればある程度は最後まで格好はつけられるようだ。こうなると、タマモプラネットのペースについていくか、もしくは途中から押し上げていくスピードを持った馬でない限りは台頭が難しくなる。マイネルクロップはこれが障害3戦目。ダートの中距離で活躍してきた馬で、2015年にはマーチS (G3)の勝利もあるように、パワーと惰性で走り切るストライドを兼ね備えており、比較的フラットのストライドで押し切ることが必要な日本の障害競馬への適性は高いようだ。芝長距離のような緩慢で持続的なスピードよりは、ダートのパワーの方がかえって適性を発揮するのは日本障害競馬の特色。この馬自身はハードル障害で着地地点のミスはあったが、やや遠い位置から安定した飛越を見せていた。今回タマモプラネットのペースにある程度ついて行ったことは、おそらくアップトゥデイトが厳しいペースを刻むであろう本番に向けて大きなプラス材料だろう。経験こそ浅いが、可能性を秘めた障害馬であることは間違いない。
1年半ぶりのレースとなったニホンピロバロンは見せ場を作った。勝ち馬との差は斤量差だけであり、最終障害の飛越位置を見る限りでは遠い位置からスピードを殺さずに無理を効かせた飛越が出来ていた。このような飛越ができることはイギリス・アイルランド障害においては必須のスキルになるのだが、現状日本ではそこまでは要求されていない。この馬自身の飛越の技術はやはり高いようだが、ただしこの馬の場合は、本番を見据えるのであればもう少し積極的にレースを運ぶ必要があり、前を追走させた場合に同じようなレースができるかどうかはわからない。
タマモプラネットは自分のレースをしたが、フラット部分で前とは離されてしまったあたり中山は合わないようだ。ピッチ型のパワーのある走りはあまり逃げ馬の特性ではないのだが、気性的に仕方のない部分がある。今回こそやや抑えを効かせて逃げようと試みたようだが、同型馬がいる上に、この馬にとってのレース条件も悪化する中山グランドジャンプはスキップした方がよいだろう。上り馬マイネルプロンプトは人気を集めたが、さすがにフラットのスピード不足が目立った。
最終障害。わたしのカメラでスタンドからだとこのくらい。