にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

18/04/14 National Hunt Racing - Grand National Entries -

*Aintree (仮)

Randox Health Grand National (G3) 4m2f74y (National)

取り急ぎ。あまり時間がないので今年は前々から書いておくテスト。出走馬はレーティング上位40頭となるので、適宜変更予定。基本的な話はこちらで。

 

・Minella Rocco | Jonjo O'Neill 11st10lb

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2017年Cheltenham Gold Cup (G1)の2着馬。2016年には32f戦であるNational Hunt Chase Challenge Cupを勝利しており、良馬場の超長距離戦を得意としている。Shirocco産駒ということで日本にも多少馴染みがあるのではないだろうか。今シーズンは期待されていたが、残念ながら4戦して結果を残すことはできていない。前走のIrish Gold Cup (G1)は最終障害で落馬し、雪の影響で馬場も心配されていたCheltenham Festivalはスキップしてここに挑んできた。あくまで良馬場専門という部分もあり、馬場さえよくなれば巻き返す可能性は残されている。ただし初のNational Courseということで、さほど飛越に安定感のある馬ではない辺りが気がかり。

 

・Blaklion | Nigel Twiston-Davies 11st9lb

昨年の4着馬。残り3障害地点から一気のスパートで後続を引き離すも、最終障害辺りで苦しくなり4着に終わっていた。今シーズンはNational Courseで行われるBecher Chase (G3)を圧勝。The Last Samuri、Highland Lodge、Vieux Lion Rougeなど並居るNational Specialistを退けての勝利であり価値がある。超絶不良馬場になっていたHaydockのGrand National Trial (G3)は勝ち馬から54馬身離れた2着に終わっているが、さすがに異次元の不良馬場なので度外視してよいだろう。このコースはやたらと直線が長いためにペースが乱れ、ゴール直前に来ると大体馬が諦めているということもあり、やたらと着差が付きやすいという背景もある。もともと小柄な馬体から繰り出されるピッチ走法で加速力と機動力を生かしてきた馬だが、近年は飛越の上手さと持久力を身につけてきた。National Fenceへの適性もある。おそらく最有力の一頭。課題は斤量。

 

・Anibale Fly | Tony Martin 11st7lb

アイルランドからの参戦馬。Novice上りの今シーズンは長距離Chaseに参戦している。Irish Gold Cup (G1)では派手に落馬していたが、前走のCheltenham Gold Cup (G1)はNative River、Might Biteの2頭の勝ち負けにこそ加われなかったものの、最後まで善戦し3着。飛越にこそ若さはあるが、高いポテンシャルを秘めた馬であることは間違いない。ただし飛越をミスするとそこからリズムを崩す傾向もあり、どうにもアテにしにくいところもある。初のNational Fenceということで課題は多い。

 

・The Last Samuri | Kim Bailey 11st7lb

一昨年の2着馬。"Samuri"だがサムライである。トップハンデで挑んだ去年はハイペースに巻き込まれて大敗したが、16着といちおう完走は果たしている。これでGrand Nationalは3年連続の出走。どちらかというとワンペースで淡々と走り続けることが出来るタイプの馬で、あまりスピードのある方ではないため馬場はある程度渋った方がよいだろう。今年はGlenfarclas Cross Countryで3着に入ってここに挑んできた。初のCross Countryであったが飛越は終始安定しており、同馬の飛越技術の高さが伺える内容。National Fenceや距離への適性といった意味では高い評価ができる一頭。問題は馬場とペース。

 

・Valseur Lido | Henry de Bromhead 11st6lb

2016年にアイルランドのWillie Mullins厩舎の委託料値上げに伴い、一斉にGigginstownの馬が転厩した事件があったのだが、それに巻き込まれた馬。Drinmore Novice Chase (G1)Champion Novice Chase (G1)Jnwine.com Champion Chase (G1)勝ちがあるのだが、2017年の12月に1年ほどの休養から復帰してからは結果を残せていない。馬場はある程度よくなったほうがいいようで、ここ数戦は馬場が悪かったうえに相手も強かったという理由付けはできるのだが、本来の走りをどこまで戻すことが出来ているのかはやや疑問符が付く。もともとの能力自体はここでも最上位のものがあるはずなのだが。

 

・Total Recall | Willie Mullins 11st4lb

アイルランドのトップトレーナーであり、Blackstairmountainでもお馴染みのWillie Mullins厩舎が送り込む一頭。今シーズンはMunster National (Grade A)Ladbrokes Trophy Chase (G3)を勝利と調子もよい。Cheltenham Gold Cup (G1)は落馬に終わったが、落馬した残り3障害地点は急な下り坂の途中に設置されており非常に難易度が高いため、初コースということもあり仕方のない部分があるだろう。やや小柄ながらも、ハイペースを追走し、最後までファイトすることのできる強い精神力を持った馬。課題は斤量だろうか。

 

・Alpha des Obeaux | Mouse Morris 11st3lb

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アイルランド20~24f Chase重賞における常連で、Clonmel Oil Chase (G2)勝ちが目立った成績。World Hurdle (G1)にてThistlecrackの2着に入った実績もあるが、Hurdleの成績から期待されるほどの活躍はどうにもできていないようだ。20~24fを中心に使っており、基本的にChaseでの良績は20fで挙げている。距離適性という意味では微妙だろう。馬場も渋った方がよさそうで、むしろ良馬場はマイナス材料。また、ここ数戦は勝ち馬からはだいぶ離された結果に終わっている。ここ2か月は休養に充てており、その期間にてリフレッシュできていればよいのだが。

 

・Gold Present | Nicky Henderson 11st3lb

勝ち鞍としてはLavazza Silver Cup (Listed)がある。その後CheltenhamのCrest Nicholson Handicap Chase (G3)にて17馬身差の圧勝を飾ったFrodon相手には完勝の内容だが、Frodon自身24fは微妙な馬だけに、このレースがどこまで価値があるのかはやや微妙なところ。昨年はNational Courseで行われるTopham Chase (G3)に参戦し、Canal Turnで落馬に終わっている。年齢を重ねつつ少しずつ距離を伸ばしてきたタイプの馬だが、24fを越える距離に経験がないのはマイナスだろう。馬場はどちらかというと良馬場でやりたいようだ。ある程度前々で運ぶ馬であり、激しく引っ張る馬がいた際にはペースへの対応が課題となる。ひとまずNational Fenceの経験があるのはプラス材料。とはいえ11st3lbの斤量はやや見込まれたように思える。

 

・Perfect Candidate | Fergal O'Brien 11st2lb

昨年11月のBetVictor Handicap Chase (G3)の勝ち馬。Three Faces Westが平均的ではあるものの緩まないペースを刻む中で、積極的な競馬をして勝利を掴んできた。Good~Soft程度の馬場の長距離戦において、ある程度緩まないペースを持続的に追走する能力を持った11歳のベテラン。昨年もGrand National (G3)に挑戦しているが、第26障害の辺りでミス、そのまま途中棄権している。National Fenceへの経験が一度あるという点ではプラスだが、どうにも勝負圏内に入ることが出来なかった昨年と比べて何かが大きく変わっているような印象はない。むしろFergal O'Brien調教師の顔芸に期待。

 

・Shantou Flyer | Richard Hobson 11st1lb

勝ち鞍としては2017年の元旦に行われたBetBright Handicap Chase (G3)がある。その後のAscot Chase (G1)ではCue Cardの2着に入り、そのまま2017年のGrand National (G3)に挑むというローテーションであった。さすがに21fから34fへの一気の距離延長はしんどかったようで、途中で空馬にも絡まれたりして途中棄権という結果に終わったが、今シーズンは重賞3戦を含むここ4戦ほど連続で2着に入り、ここに挑んできた。距離的には微妙なところがある馬だっただけに、前走のCheltenhamで25f戦であるUltima Handicap Chase (G3)にて2着に入ったことは評価できる。馬場、距離、コース経験ともに強調材料がなかった昨年よりも前進が見込めるだろう。ただし馬場はある程度渋った方がいいようで、今シーズンはすでに休みなく7戦も走っているあたりはマイナス材料。

 

・Tenor Nivernais | Venetia Williams 11st0lb

昨年(17着)に続き2年連続の出走となった。21~24f Chase重賞の常連で、勝ち鞍としてはSwinley Chase (Listed)が挙げられる。前々である程度積極的な競馬をする馬だが、どうにも気性的に難しいところがあるため騎手は乗りなれた人を確保する必要がある。また、できれば馬場は渋った方がよいだろう。ハマったときの破壊力は素晴らしいものを持っている馬だが、もっとも、今シーズン2戦は全くいいところがない辺り、どうにも強調材料には乏しい。

 

・Carlingford Lough | John Kiely 11st0lb

この中ではトップクラスの実績を持つ馬。2013 Topaz Novice Chase (G1)2014 Growise Champion Novice Chase (G1)2015 Hennessy Gold Cup (G1)2016 Irish Gold Cup (G1)(前年までHennessy Gold Cupとして行われていた)、2016 Punchestown Gold Cup (G1)と、アイルランドにおける主要競争を総なめにしている生きる伝説。もともとはある程度緩い流れからの上り勝負において、後方ポツンから機動力を生かして捲り上げるレースで勝利を掴んできた。展開がハマればといったところのある馬なのだが、ただしさすがにここ1年ほどは全盛期の勢いはないようで、2017年はほとんど勝ち負けに加わることなく大敗している。イギリスではそもそも実績はなく、元々の特性から見てもここに適性があるとは考えにくい。ここのところのパフォーマンスを踏まえれば常識的に厳しいのだが、この馬に関しては無事に走るだけでも価値があるというものだろう。

 

・Vicente | Paul Nicholls 10st13lb

昨年は第一障害で早々に落馬した馬。しかし続いて挑んだScottish Grand National (G3)では11st10lbを背負って同レースの連覇を達成している。当然今シーズンも期待されたのだが、BetVictor Handicap Chase (G3)で2着に入っただけで、ここ2走ほどは全くいいところなく競争中止となっている。今シーズンの走りを見る限りでは飛越もパッとせず、どうにもアテにしにくい部分があるのだが、ある程度暖かくなった時期の方がよいのだろうか。ここ2戦のしょんぼりなパフォーマンスが時期的なものであれば侮れない一頭であり、今シーズンは4戦目と比較的馬がフレッシュな状態であることや距離適性はプラス材料だろう。ただし重馬場になった際にどこまで対応できるのかはよくわからない。

 

Tiger Roll | Gordon Elliott 10st12lb

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4歳馬限定戦であるJCB Triumph Hurdle (G1)の勝ち馬で、その後試行錯誤したのちに超長距離Chaseに活路を見出し、Munster National (Grade A)JT McNamara National Hunt Challenge Cup Amateur Riders' Novices' Chase (G2)を勝利。今シーズンはCheltenhamのGlenfarclas Cross Countryを勝利してここに挑んできた。Triumph Hurdle (G1)を勝利した際から考えれば想像もつかないようなキャリアを歩んできている。集中力に難のある馬だが、ハイペースを持続的に追走させた際には非常にタフな脚を使える馬であり、飛越技術も高いものを持っている。ある程度馬場もこなせることを考えると、ここでも非常に興味深い一頭。あとはNational Fenceへの対応が課題。

 

・Vieux Lion Rouge | David Pipe 10st12lb

Grand Nationalにはこれで3年連続の出走となるNational Specialist。2016年のBecher Chase (G3)の勝利もあり、当然National Fenceに不安はない。さほど脚は早くないものの、淡々と持続的に走ることが出来る典型的なマラソンランナー。ただし2016年は7着、2017年は6着と、さほど勝負に加わることはできていない。どうもレース振りを見る限りでは34fは長すぎるか、もしくは勝負所で動ききるだけの機動力に欠けるようで、ここ2年から比べて何か大きな前進があるわけでもない辺りはマイナス材料。入着までだろうか。

 

・Chase The Spad | Fergal O'Brien 10st11lb

C2辺りのハンデ戦を主に使っている馬だが、勝ち星としては33f戦であるMidlands Grand National (Listed)が目立つ。ただし走らないときはさっぱりのようで、どうにも信頼が置きにくい部分が残る。C3からListed辺りのペースに対応している馬で、ここでのペースに対応できるかどうかは微妙なところだろう。National Fenceは初の挑戦。それよりも顔芸Fergal O'Brien師のところの馬。大事なことなので2回言いました。

 

・Warriors Tale | Paul Nicholls 10st11lb

C2からListedクラスにおける20~24fハンデ戦の常連。今シーズンはDoncasterのSky Bet Handicap Chase (Listed)で2着に入りここに挑んできた。2着とはいえ、勝ったWakandaとは全く差はなく、Wakandaはこの類のハンデ戦で異様なまでの勝負強さを発揮する馬であることから、ほぼ勝ちに等しい内容といっていいだろう。ただし24fまでの経験しかなく、せいぜいListedの経験に留まり重賞クラスで戦っていない辺り、ここでいきなり対応できるかどうかはわからない。ひとまず馬場はGood~Soft程度の方がよさそうだが。

 

・Seeyouatmidnight | Sandy Thomson 10st11lb

Wind Surgeryをはさんだ364日の休み明けのC2にて2着に入り、ぎりぎりで出走権を掴んできた馬。勝ち鞍としてはRealfansonly Novices' Chase (G2)、Betfred Mobile Hurdle (G2)がある。ある程度ペースを刻んでいけばそれだけで武器となるNoviceと異なり、重賞クラスの機動力を要求されると厳しいようだが、ミドルペースながらも淡々とラップを刻んでいくタイプのようだ。Scottish Grand National (G3)にてVicenteの3着に入ったことからも、おそらく距離は問題ないだろう。問題はWind Surgery明けということで、ノドの影響がどこまで残っているのか不安。こればかりはやってみないとわからない部分が残る。スコットランド調教馬として、昨年のOne For Arthurに続く史上3頭目の勝利を目指す。

 

・Gas Line Boy | Ian Williams 10st10lb

昨年の5着馬。今シーズンはGrand Sefton Chaseを11st10lbを背負って勝利し、ここに挑んでくることになる。Grand National (G3)はこれが3回目の挑戦となる12歳のベテラン。Veterans' Handicap Chase Finalにて4着、Grand National Tiral (G3)にて5着に入った昨年と比較して、さほど年齢的な衰えはなさそうだ。National Fenceの経験、距離適性からは侮れない一頭だろう。ちなみにHaydockとは往々にしてこういうレースになるという一例。2着はEmperors' Choiceという実はすごい馬

 

・The Dutchman | Colin Tizzard 10st10lb

おそらくペースを握るであろう一頭で、今年のHaydockで行われたPeter Marsh Handicap Chase (G2)の勝ち馬。ある程度リズムを作って前々で運んだ方がよさそうなタイプで、リズムを崩したGrand National Trial (G3)ではあっさり途中棄権している。ハマった時の破壊力は未知の魅力にあふれているが、どうにも信頼しにくい部分が残る。Novice卒業後、Chaseは2走しかしていないというのはマイナス材料だろう。それから馬場もかなり渋った方がよさそう。

 

・Pleasant Company | Willie Mullins 10st10lb

昨年のBobbyjo Chase (G3)の勝ち馬で、昨年のGrand National (G3)はValentines Brookにて大きなミスをするもRuby Walshの超人的な技術で立て直し、なんとか9着に入線していた。昨年から比較してハンデが2lb軽くなるのはプラス材料であり、昨年はミスがなければ勝負に加わることが出来ていた可能性が高いだけに、実力的には侮れない一頭。しかし、今シーズンは2走して全く結果を残すことが出来ていないのは不安材料だろう。また、Ruby Walshが落馬負傷のため、乗り替わりは免れない点はマイナス。

 

・Ucello Conti | Gordon Elliot 10st9lb

フランスからの移籍馬で、Grand National (G3)は2016年の6着、2017年の落馬に続き、3回目の挑戦となる。どうにも脚の遅い馬のようで、Goffs Thyestes Handicap Chase (Grade A)2着、Leinster National (Grade A)4着、Becher Chase (G3)を4着と、どうにもアイルランド・イギリスでは勝ち切れていない。National Fenceへの適性、距離経験辺りから考えれば非常に興味深い一頭だが、勝つまでとなるとどうだろうか。Chase未勝利馬が勝利するとなると2016年のRule The World以来となる。フランスではSteeplechase2勝を挙げているので、それを算入するかどうかはさておき。ちなみに同馬はAQPS(Autre Que Pur-Sang)と呼ばれ、フランス障害にはたくさんいるのだが、いわゆる非サラブレッド。Orphee des BlinsとかAl Capone IIが有名ですね。

 

・Saint Are | Tom George 10st9lb

Many Cloudsが勝利した2015年の2着馬。今年で12歳になるベテラン。あまり馬場が悪くなると良くないタイプのようで、Rule The Worldが勝利した2016年は期待されたが2周目から遅れて途中棄権している。一方で馬場がよくなった2017年は残り3障害辺りでBlaklionにはおいて行かれるも、そこからしぶとく前を追いかけて3着まで来た。Grand Nationalに関してはこれが4年連続の出走、Auroras Encoreが勝利した2013年も含めれば5回目の出走となる。National FenceについてはBecher Chaseも含めれば8回目の出走であり、経験という点では随一だろう。この馬もまたワンペースでひたすら走り続けることのできるマラソンランナー。馬場さえよくなればある程度のペースであれば耐えきることが出来る。今シーズンは2走とも途中棄権に終わっているが、初戦はHeavyのCleeve Hurdle (G2)2走目はSoftかつ初のCross Countryということで度外視できるだろう。Crossの障害は特殊であり、特に初参戦の馬は慣れないと全く走れないので仕方がない。

 

・Beeves | Jennie Candlish 10st9lb

11歳のベテラン。C3からC2辺りのハンデ戦の常連で、昨年は5月からC3からC2にて3連勝を決めている。ただし実績としては主にオフシーズンのハンデ戦に偏っており、重賞クラスでの良績はない。Edinburgh Nationalで5着の実績はあり、距離的には問題なさそうであり、Becher Chase (G3)や初のCross CountryとなったGlenfarclas Crossは完走と、飛越の面では高い技術を持っている馬なのだが、相手関係の面でやや疑問が残る。

 

・Raz De Maree | Gavin Cromwell 10st8lb

今年13歳であり、出走馬中最高齢となる。さかのぼればMunster National (Grade A)20122016のCork Grand National (Grade B)の勝ち鞍がある馬だが、今年に入ってもWelsh Grand National (G3)を勝利し、古豪健在ぶりをアピールした。その際の騎手James Bowenは16歳であり、もはやどちらが年上なんだかわからない。Grand Nationalに関してはPineau De Reの勝利した2014年(8着)、One For Arthurの勝利した2017年(Bechersにて落馬)に続き、3度目の挑戦となる。馬場は不問で強靭なスピードと持久力を持っている馬だが、どうにも13歳となった今年も飛越には粗さが残っているのが不安材料。

 

・I Just Know | Sue Smith 10st7lb

2013年のGrand NationalをAuroras Encoreで勝利したSue Smith師が送り込む馬。当時は実況にHuge Shock in the Nationalとか言われている。I Just Know自身は今年のNorth Yorkshire Grand Nationalを11st10lbを背負って勝利した馬。今シーズンは調子がいいようだが、あくまでC3辺りのハンデ戦で結果を残してきたタイプであり、Colin Parker Memorial Intermediate Chase (C1)では20f戦ということもあり大敗している。相手関係一つだろう。馬場はできれば若干渋った方がよさそうな印象。

 

・Virgilio | Dan Skelton 10st7lb

勝ち鞍としてはC2があるのみで、Novice時代にはKauto Star Novices' Chase (G1)にて2着があるのだが、これ自体は先頭を走っていたMight Biteが最終障害で落馬した棚ぼたであり、あまり評価ができる内容ではない。少なくとも良馬場で21~25fで勝利があることは、ある程度のスピードと良馬場適性があることでありそれなりにプラス材料ではあるのだが、今シーズンは2走して全くいいところなく終わっている点は気がかり。ここまで主に20fを使ってきた馬で、その延長戦上として24fに挑戦しており、一気の距離延長という意味でも不安が残る。

 

・Baie Des Iles | Ross O'Sullivan 10st7lb

葦毛の牝馬。名前から想像できるようにもともとはフランスで走っていた馬。2015年からアイルランドに移籍し、2017 Grand National Trial (Grade B)勝ちを挙げている。これのどこがGrand Nationalに結び付くのかは微妙なのだが、どちらかというとアイルランドの不良馬場の超長距離ハンデ戦で結果を残してきた馬。Welsh Grand National (G3)にて5着があるなど、とにかくパワーと持久力という点では強靭なものを持っているようだ。今シーズンも3戦して大きく負けているわけでもなく、それなりに調子はよさそうだが、あくまで不良馬場ばかりを走ってきた馬と言うことで、スピード能力には疑問が残る。

 

・Maggio | Patrick Griffin 10st7lb

Raz De Mareeと並んで出走馬中最高齢の13歳。これが障害52戦目という大ベテランで、主にC2からListedクラスを主に戦ってきた。大きいところではBetfred Handicap Chase (Listed)単勝50倍で勝利したりと、どちらかというといきなり大穴をあけるタイプの馬。ただし2016年秋からは全て大敗続き、前走のDaily Mirror Chaseもいいところなしと、どうにも近走の成績は冴えない。

 

・Pendra | Charlie Longsdon 10st7lb

2015 Sodexo Gold Cup (G3)の勝ち馬。ListedからG3のハンデ戦を主に使ってきた馬で、2016年のGrand National (G3)にも参戦、13着と完走を果たしている。かつてはTolworth Hurdle (G1)にて2着もある馬なのだが、どうにもその後は2~3走して長期休養というローテーションを繰り返しており、順調に使えているのかという点ではやや疑問符。ひとまず今シーズンはFulke Walwyn Kim Muir Challenge Cupを走ってからここに挑んできたが、その前走も残り3障害辺りから遅れ大敗。もともと持っているポテンシャルは大きいだけに侮れない部分はあるのだが。

 

・Buywise | Evan Williams 10st7lb

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2017 Veterans' Chase Series Finalの勝ち馬。10歳以上のベテランに限ったこのシリーズは近年イギリスで創設され、なかなかの人気を博している。14歳馬Pete The Feteが必死の逃げ込みを図るところ、その夢を猛烈な脚で粉砕したのがこのBuywise。Grand Nationalには2016年に参戦しており、12着という結果に終わっている。もともと20fを主に走っていた馬だけに一気の距離延長は厳しかったようだ。今年はVeterans' Chase FinalのあとにHurdleを叩いて調子はよさそうだが、さすがに2016年からの上積みとなるとやや疑問符が付く。後ろから追走する脚質だけに、他馬の影響を受ける可能性が高い点もややマイナス。

 

・Childrens List | Willie Mullins 10st7lb

Chaseは合計4戦、勝ち星はBeginners Chaseのみ。前走のGrand National Trial Handicap Chase (Grade B)はミスをして途中棄権と、経験の面から考えれば常識的には厳しい。アイルランドのトップトレーナーWillie Mullinsは何かしらの意図があって登録しているはずなのだが。

 

・Houblons Des Obeaux | Venetia Williams 10st6lb

2011年にJCB Triumph Hurdle (G1)にも参戦し、4歳時から長く走ってきたベテラン。勝ち鞍としては2012 Rising Stars Novices' Chase (G2)、2013 United House Gold Cup (G3)、2016 Denman Chase (G2)があり、2014 Henessy Gold Cup (G3)でものちにGrand National (G3)を勝利するMany Cloudsの2着に入っている。Cheltenham Gold Cup (G1)への参戦歴もあり、Grand Nationalに関しては2017年の10着に続いて2回目の参戦となる。さほどスピードはないためやや馬場が悪くなったほうが良いタイプで、特にだらだらとした持久戦にて強さを発揮する。ある程度行きたがるくらいの気性を持っていた全盛期から比べるとスピード能力はだいぶ落ちてきているようだが、今シーズンも12st4lbを背負ってDarren Linn Memorial Chase (C3)を3着と、飛越技術の成熟を持ったタフなベテランの域に達している。ただし2017年から比較して大きな前進があるわけではなく、現時点でペース自体に対応できるかはかなり疑問符が付く。

 

・Lord Windermere | Jim Culloty 10st6lb

長距離Chaseの最高峰2014 Cheltenham Gold Cup (G1)の勝ち馬。もともとスピード能力自体は高くないものの、強靭な持久力を持った馬であり、Cheltenham Golc Cup (G1)も最後まで諦めずに走った結果、勝利が付いてきたといった内容。ただし、その後は長期の休養や気性的な部分もあるのか、長く勝ち星から見放されている。Grand National (G3)は2015年、2017年に続けて3度目の挑戦。National Fenceの経験自体はあるのだが、前走のBecher Chase (G3)ではあっさりと落馬していたりと、経験がプラスになっているのかどうかはやや怪しい。本来の能力を考えれば10st6lbはかなり恵まれた斤量なのだが、やはりいまいち信頼の置きにくい部分は残っている。なおCheltenham Gold Cup (G1)とGrand National (G3)を制覇するとなるとL'Escargot以来となる偉業になる。

 

・Captain Redbeard | Stuart Coltherd 10st6lb

C3からC2における長距離Chaseを走ってきた馬で、今シーズンはNational FenceであるGrand Sefton Chaseを6着ののち、Tommy Whittle Handicap Chase (C2)を勝利している。Peter Marsh Handicap Chase (G2)はThe Dutchmanから13馬身離れた2着だが、初の25f戦でこれだけ走れたことは前進の見込める材料。ただし良績はHeavyに偏っている辺り、馬場が課題になるだろう。

 

・Bless The Wings | Gordon Elliot 10st5lb

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 CheltenhamのCross Country Specialist。もともとは超長距離Chaseを走っていた馬で、Irish Grand National (Grade A)にて2着もある。その後はCross Countryの参戦し、なかなか勝てずにいたのだが、2017年にGlenfarclas Cross Country Chaseをついに制覇。その前の2走は全く走る気を見せずにあっさり途中棄権していたのだが、同じ馬とは思えないほど元気いっぱいに走っていた。3月のCheltenhamは珍しく落馬に終わったが、超長距離戦への適性や飛越技術の高さを考えればここでも侮れない一頭。ただし鼻出血歴がある辺りは不安材料。前走のIrish Grand National (Grade A)は相変わらずあっさり途中棄権しており、そもそもここで走る気になるのかがよくわからない。

 

Milansbar | Neil King 10st5lb

新進気鋭の女性騎手Bryony Frostを背に挑むことが明言されている馬。かなり気性的には難しい馬なのだが、Bryony Frostと初めてコンビを組んだClassic Chase (G3)は気分よく逃げて11馬身差の圧勝を決めている。Bryony Frostはどうにもこのような癖のある馬を気分よく走らせる技術に長けており、腕力と馬を制御する技術に優れた英国障害騎手の中では特異な長所を持っている印象。その後はEider Chaseを5着、Midlands Grand National (Listed)を2着とそれなりに調子はいいようだ。ただしこの馬自身、フラットでスプリントできるタイプではなく、究極のバテ合いになった際に歩いてでもゴールまでたどり着くことに長けたタイプの馬。馬場はSoftくらいでやりたいところ。Bryony Frostへの乗り替わり自体はプラス材料だが、本人Cheltenham Festivalではやや気負った騎乗でリズムを崩していただけに、本人のメンタル面も課題となるだろう。

 

Final Nudge | David Dennis 10st5lb

大きな勝ち鞍はないのだが、目立つ実績としてはWelsh Grand National (G3)にてRaz De Mareeの3着がある。さかのぼればNHFのListedでもそれなりの実績を残している馬なのだが、どうやら瞬発力よりもだらだらと走り続けるタイプの馬のようで、だいたい勝負所で置いて行かれてそのまま入着といったレースが目立つ。一気の距離延長自体は歓迎であり、馬場はSoftくらいでやりたいといった印象。比較的恵まれた斤量も魅力。課題は初のNational Fence。

 

Double Ross |  Nigel Twiston-Davies 10st5lb

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愛すべきベテラン。HurdleからNovice ChaseとG1戦線で戦ってきた馬で、さかのぼればStewart Family Thank You Gold Cup (G3)Fairlawne Handicap Chase (G3)勝ちもある。National Fenceではこれまでに3回出走。もともと20fで淡々としたペースを刻んでいく馬で、ある程度のパワーも持っているため、下り坂で加速をつけてそのままパワーで直線の坂を上り切るCheltenhamのコースを得意としている。ただしAintreeは平坦であり、あまりこの特性が生きるコースではないのはマイナス。飛越はどうにもポカが多く信用できない部分が残っており、距離的にもやや長い印象。

 

(4/9時点で補欠)

Road to Riches |  Noel Meade 10st4lb

2014年のGalway Plate (Grade A)の勝ち馬なのだが、Jnwine.com Champion Chase (G1)Lexus Chase (G1)と連勝し一気に長距離Chaseの有力馬へと躍り出た。スピード能力と持久力の双方に優れた馬で、その後のCheltenham Gold Cup (G1)、Punchestown Gold Cup (G1)でも前々で運んで3着に好走している。しかし2015 Clonmel Oil Chase (G2)の勝利を最後に勝ち星からは遠ざかっており、特に2016年からはもたもたと飛越してそのまま大敗というレースを繰り返している。もともと持っている能力はここでも最上位なのだが、近走の冴えない走りからはどうにも化けるとは考えにくい。

 

Delusionofgrandeur | Sue Smith 10st4lb

Delusion of Grandeur。Huge Shock in the National (Auroras Encore)のSue Smith師らしい名前。C3からC2辺りのハンデ戦を走ってきた馬で、Durham Nationalはトップハンデを背負って3着、Edinburgh Nationalもトップハンデで5着と超長距離戦には適性があるようだ。今シーズンはWetherbyのRowland Meyrick Handicap Chase (G3)にてGet On The Yagerから僅差の3着と好調。ここまで11st台でのみ走ってきた馬だけに、一気の斤量減で大仕事をやってのける素地はある。課題はやはりペースへの対応と相手関係。落馬のない馬であり、National Fenceをこなす技術はありそうだが。

 

Thunder And Roses |  Mouse Morris 10st4lb

2015年のIrish Grand National (Grade A)の勝ち馬だが、Chaseの勝ち鞍としてはBeginners ChaseとIrish Grand Nationalの2勝に留まる。とにかく長い距離をひたすらだらだらと走り続けることに長けたマラソンランナーで、馬場はSoftくらいの方がよいのだろう。なんだかんだでいつもハードなレーススケジュールをこなしていくタフな馬。いつも詰めて使ってくるだけにどうにも調子の波がわからないのだが、valentinesでの落馬に終わった昨年と比較すると、今年はどうにも結果を出せていないあたりは気がかりな内容。National Fenceは2回挑んでいずれも途中落馬に終わっているのもマイナス。

 

Walk in the Mill |  Robert Walford 10st3lb

元々はフランスで走っていた馬だが、2015年にイギリスに移籍。C3からC2辺りのハンデ戦を戦ってきた。C3辺りではだいぶ実績を積んでおり、ハンデを課されるようになってきたため、ここのところはListedからG2辺りに挑戦。Lavazza Silver Cup (Listed)ではGold Presentの3着に入っている。ただし馬場はSoftくらいまでの方がいいようで、HeavyとなったPeter Marsh Handicap Chase (G2)は途中棄権。距離的には20~24fくらいまでが守備範囲で、一気の距離延長となるとやや不安が残る。

 

(4/9時点で以下は除外対象)

Vintage Clouds | Sue Smith 10st3lb

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勝ち鞍としてはC3 Novice戦があるのみだが、Welsh Grand National (G3)では1番人気を背負って4着に来ている。超長距離ハンデ戦で活躍したVintage Starの弟で、兄を超える活躍をここまでは見せている。とにかく馬場が悪くなった際でも、最後までバテずにひたすら長い距離を走ることのできるマラソンランナー。ただし俊敏な動きはできないため、だいたい勝負所で置いて行かれるか、前に入られて馬群をさばけずに試合終了するというレースが続いている。一気の距離延長は明らかにプラス材料であり、多少渋ることが予想される馬場も合っているだろう。一方で緩慢な動きをする馬だけに、40頭の多頭数の中でポジションを確保できるかどうかは怪しく、National Fenceに戸惑うようであればあっさり脱落する可能性もある。ここのところのレースではズブいところを見せているのも不安材料。

 

Wounded Warrior | Noel Meade 10st1lb

Woodlands Park 100 Club Novice Chase (G2)を圧勝したのが大きなタイトル。Growise Champion Novice Chase (G1)でもValseur Lidoの2着に入り、Senior Chaseでも期待されたが、2015-16シーズンは順調に使えず、2016年の11月に復帰してからは全く冴えないレースが続いている。2017年のGrand Nationalにも挑戦したがいいところはなく途中棄権。10st1lbで出走してくる馬ではないのだが、さすがに近走の成績からは厳しいだろう。

 

General Principle | Gordon Elliott 10st1lb

Hugh McMahon Memorial Novice Chase (G3)を勝った馬なのだが、今シーズンは水煙が上がるくらいの超絶不良馬場となったIrish Grand National (Grade A)を僅差で勝利してきた。ただしこれ自体、最終障害で盛大にヨレたBellshillの動きで外の馬が不利を受け、代わって馬群の中にいたGeneral Principleのスペースが空き、そこに飛び込んでの勝利という背景もある。やや勝ち味に遅い馬で、加速がつくまでに時間がかかること、おそらくFairyhouseほどの不良馬場にはならない点を考えると、ここで有力視できるかどうかはやや微妙なところ。また、ほぼ全馬が歩くくらいの厳しいレースを経てのこことなると、いくらハードなスケジュールをこなすアイルランド調教馬とはいえ、疲労の面がやや心配。

 

Vic De Touzaine | Venetia Williams 10st1lb

Splash of Ginge | Nigel Twiston-Davies 10st0lb

Bonny Kate | Noel Meade 10st0lb

Cogry | Nigel Twiston-Davies 10st0lb

Sir Mangan | Dan Skelton 10st0lb

Mysteree | Michael Scudamore 10st0lb