にげうまメモ

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18/09/09 New Zealand Racing

*Auckland RC @ Te Aroha Heavy10

Coca-Cola Steeplechase 0-1 Win STP 3500m

https://loveracing.nz/RaceInfo/47244/1/Race-Detail.aspx

Great Northern Dayなのだが、Ellerslie競馬場が改装中のためTe Aroha競馬場で行われた。Heavy11かと思いきや、天気がよくHeavy10まで復活していたようだ。

Caballo NoirとFast Catchが逃げる展開。早々にアメリカ帰りのMichael Mitchellを乗せたSuffice to Sayが落馬。一度は馬群から離れて行った空馬だが、2周目の入り口から馬群に合流、障害手前を横切ることで、空馬にぶつかったCaballo Noirが内側につり出され、さらにFast Catchが落馬するアクシデント。代わって先頭に立ったWindermere Ladが逃げ込みを図るも、ゴール手前でMagic Wonderがこれを捉えて勝利した。

いきなり波乱の多いレースとなってしまったが、落馬した人馬は特に問題はなかったようだ。Magic Wonderはこれで未勝利戦から2連勝とした。3500メートルとSTPとしては短距離であり、ある程度ペースの流れるレースであった。レースを見る限り距離にはある程度融通は利きそうだが、それでもやはり距離延長に関しては未知数といったところだろう。飛越としては低く安定したものを見せており、これが最後の一押しに繋がった部分もありそうだ。2着のWindermere Ladは積極的に運んだが、最後は脚が上がっての2着。このくらい走ることが出来ればMDNはすぐ勝てるようにも思うのだが。

 

Diet Coke Steeplechase 0-1 Win STP 3500m

https://loveracing.nz/RaceInfo/47244/2/Race-Detail.aspx

こっちはダイエットコーラである。

例によってThat's How It Goesが先頭を伺うも、Delacroix、Ray's Legacyなどが絡んでいく。さらにスタンド前あたりで後方からまくってきたCrikey Cronが先頭に立つ。2周目の途中から脱落したCrikey Cronに代わってDelacroixが先頭に立つと、そのままThe Arabian Dukeを抑えて勝利した。

やはり短距離、Heavy10という馬場もあり、コカ・コーラと同じようにある程度出入りの激しいレースとなってる。DelacroixはこれがSTP初勝利。HurdleではRST OPNクラスで活躍した馬で、平地の重賞に出走した経歴も持っている。さすがにGrand National Steeplechaseでは荷が重かったようだが、自己条件に戻って勝利を挙げた。ある程度スピードを要求されるこの条件は合っているようで、このペースを追走し最後まで踏ん張った持久力はさすがのものがある。ただしPJRクラスでは天井にぶつかっている感があるだけに、今後はRST OPNクラスが主な活躍の場となるだろう。The Arabian Dukeは最後勝ち馬に突き放されての2着。勝負所の障害で大きなミスがあり、そこから立て直すことが出来なかったといった格好だろう。対抗角That's How It Goesはあっさり沈んだのだが、どうやら激しく前が入れ替わる展開は合ってないようだ。

 

Schweppes Great Northern Hurdle OPN HDL 4200m

https://loveracing.nz/RaceInfo/47244/4/Race-Detail.aspx

ニュージーランドHurdle最大のレース。人気は今年のGrand National Hurdlesを勝利したJackfrostから。さらにフランスとオーストラリアで平地G1を2勝し、未勝利を勝利して挑んできたGallanteなど。

人気薄のBanbury Ladが引っかかり気味に飛ばす展開。好位からLaekeeper、Gallante。その後ろにSecond Innings。Jackfrost、Zedeedudadeeko、Hesalljazzなどは後方から。Banbury Ladは軽快に飛ばすが、2周目あたりから脚色が怪しくなる。代わってGallante、Laekeeperが進出し、そのまま先頭に。さらに最終コーナーを回って差を詰めてきたSecond Inningsが先頭に立ち押し切りを図るも、さらに後方から追い上げてきたJackfrostがSecond Inningsをゴール前交わして勝利した。3着はLaekeepr、4着にGallante。

勝ち時計は5分5秒53と、昨年よりも1分ほど早い時計となっている。このような長距離戦は通常慎重な立ち上がりから前半はスローで流れることが多いのだが、今年はBanbury Ladが暴走気味に飛ばすことで前半からかなりペースが流れている。さて、JackfrostはGrand National HurdlesからPJRは連勝とした。どうやらGrand National Hurdlesは距離延長が吉と出たような形の勝利であり、今回も最後はほぼ飛越の形も作れていなかったSecond Inningsと異なり、後方から強烈なロングスパートをかけつつも最後まで脚を伸ばすことが出来ていた。文句なしにニュージーランド障害のチャンピオンといってよいだろう。Grand National Hurdles3着のSecond Inningsは見せ場を作った。最後は完全に脚が上がり、何とか障害飛越にまで持って行っている状態での入線であり、このような究極の勝負になるのがニュージーランド障害の特色なのだが、それでも2着まで踏ん張った実力は確かなものがある。

前々で動いたLaekeeprは3着まで。この馬自身引っかかって走る部分があり、前走はその矯正のためなのか強引のEmilly Farrが抑える騎乗をしていたのだが、今回はBanbury Ladが暴走気味に逃げたことがよかったのだろうか。しかし、やはり距離としてはもう少し短い方がいいのだろう。Gallanteは障害は未勝利勝ちのみの実績ながら、この厳しいレースで4着まで頑張った。脚が上がってから数ハロン全力で走らなければいけない障害競走と異なり、平地競争ではそこまでのレースになることは少ないため、やはりこの馬も脚が上がってからの踏ん張りという面で前の馬とは見劣った。とはいえさすがはフランスとオーストラリアで平地G1を勝利してきた実力馬、その片鱗は十二分に見せることが出来た。この馬の性能を考えればできればもう少し慎重に乗った方がよかったのかもしれないが、ここはアメリカで実績を残してきたニュージーランド出身の騎手で、Gallanteのためにわざわざアメリカから参戦したMichel Mitchellの気概を買うべきだろう。

Kipkeinoはさほど動けず。ここまでペースが上がると厳しいか。昨年の勝ち馬Zedeedudadeekoは明らかにオーバーペースだろう。Heavy11以下の重馬場にならないと厳しい面がある。Banbury LadはRSTクラスであれば十分勝負になる馬なのだが、いくらなんでもPJRの長距離戦であのレースは通用しない。むしろ通用したらバケモノの類である。

それにしても、競馬主要国の平地G1となると意識高くメディアやSNS含めなにかと話題になるのだが、Gallanteほどの馬の話がそういった連中から一言たりともも言及されないのはなぜなのか、甚だ不思議である。

 

Irvines Great Northern Steeplechase OPN STP 6300m

https://loveracing.nz/RaceInfo/47244/7/Race-Detail.aspx

Steeplechaseとしてはニュージーランド最大のものだが、昨年の勝ち馬Wise Men Sayの不在などがありやや小粒なメンバーとなった。人気は上り馬Perry Masonから。

例によってThenamesbondが逃げる展開。これをStagehand、Chocolate Fishなどが追いかける。レースは淡々と進行し、3周目からStagehandがプレッシャーをかけ、さらにこれにShamalが接近。最終コーナーから一気にスパートし後続を振り切りにかかったPerry Masonだが、これについていったChocolate Fishがゴール前でこれを捉え、4馬身差で勝利した。Perry Mason、Shamalと続いた。

道中3回のEllerslie Hillの上り下りがあるEllerslieのコースとは異なり、Te Arohaは平坦なコースと単純な生垣障害が連続する条件に設定されている。そのためThenamesbondのように淡々と同じようなペースを刻むタイプには適したコースとなっており、実況中でもThenamesbondのこのコースにおける良績について言及されている。勝ったChocolate FishはSTP自体はこれが2勝目なのだが、とにかく崩れずにPJRでも好走してきた馬。ある程度フラットのスピードは持った馬なのだが、どうにも勝負所での機動力が欠ける場面があり、これが惜敗続きの結果に繋がっている。今回はShamalやPerry Masonなど機動力を持った馬がいたのだが、さすがのニュージーランド障害における最長距離ということもあり、これらの馬が機動力を生かして動ききれなかった部分があったような印象。結果的にこの馬のエンジンの掛かりの遅さがカバーされることになった。かえって長距離になって良さを生かすことが出来たタイプだろう。ただし今後65kgから斤量が増加することを考えると、相変わらず勝負所で置いて行かれる懸念は残る。

上り馬Perry Masonは好走した。Pakuranga Hunt Cupを制して挑んできた勢いは本物であったが、一気の2000mの距離延長が最後は堪えたかもしれない。とはいえ安定したレース運びはさらなる活躍を期待させるものだろう。Grand National Steeplechaseの勝ち馬Shamalは前々につけられるようになってから戦績が向上しており、今回もその通りのレースを見せた。コーナーで動いたところで後ろを振り切りたかったのだが、これは距離と斤量だろう。Course SpecialistのThenamesbondはさすがにここまで一気に脚を使えるメンバーがそろっていると厳しかった印象。