にげうまメモ

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18/09/29 Italy Racing / Crystal Cup

*Merano Terreno Buono

Panathlon Club - Memorial Carlo Biffi Euro 13.000 TRIO 3000m

per cavalli di 4 anni ed oltre (Siepi - VENDERE - FANTINI)

https://www.youtube.com/watch?v=6AWHCFAZrQI&feature=youtu.be

なんてことはないClaimingなのだが。レースは逃げたJankinにぴったりとついて行ったChicagoが快勝。2着には追い上げたSpin A Discが入った。

ChicagoはGran Corsa Siepi Di Milano (G1)を最低人気で勝利した馬。とはいえスローで逃げてそのまま押し切ったという内容で、さすがにそこまでうまくいくことはなかなかなく、昨年はPardubiceのCross Countryに挑戦するも結果を残せずにいた。ここは昨年のGran Corsa Siepi Di Merano (G1)から1年ぶりの出走であり、さすがにこのメンバーであれば力は上だったようだが、やはり9歳という年齢も加味すると伸びしろという面では疑問が残る。飛越技術自体は高いものがあるので、Steeplechaseに挑戦するのも選択肢の一つかもしれない。

 

LXIV Gran Corsa Siepi Di Merano Euuro 70.000 TRIO 4000m

per cavalli di 5 anni ed oltre (Siepi - Gruppo I - Fantini)

https://www.youtube.com/watch?v=6Nd2--hJCgs&feature=youtu.be

アスペクト比が微妙なのだがイタリアクオリティということで。Siepiとしてはイタリア最大のレース。

フランスのTaupin Rochelaisが先頭を伺うも、例によってこれを叩いてBrog Deasがハナに。そのままBrog Deasが軽快に引っ張る。後半から進出したAztekは最終障害にて逃げるBrog Deasに並びかけると、追いかけてきたTaupin Rochelaisを凌いで勝利した。Brog Deas、Champ De Batailleと続いた。

スロバキアのBrog Deasは速いテンポを刻んで逃げるタイプの馬だが、前に馬を置いてレースをすることを特に苦手としており、前に馬がいた場合は必ず行きたがってハナを叩く悪癖がある。Taupin RochelaisはWaregemのSteeplechaseにて尋常ならざる強さを発揮する馬だが、大跳びのストライドからワンペースで走ることを得意としており、今回も例によって自分のペースを刻もうと試みている。これにBrog Deasが競り掛けて行ったため、やはりペースとしてはかなり早くなり、その厳しい流れを追走した上に勝負所からのスパートを要求されるハイレベルなレースとなった。Aztekはチェコ調教馬。母国の平地ではSt LegerやCena Reiffaisen Bank Internationalにて2着のある馬で、Křišťálový pohár města Pardubic (Proutky NL)勝ちもある。平地では中長距離における一流馬であり、このクラスの馬が障害転向することなど日本ではまず考えられないのだが、それが普通に起こり得るのがチェコという国である。これでドイツのHurdleを含めて3連勝。特に前走のAzienda Di Soggiorno di MeranoではCondizionataとはいえBrog Deas、Champ De Bataille、Kifaayaなどを完封しており、その実力は確かなものであった。平地のスピードはもちろんのこと、飛越技術も安定していた。小頭数ながらメンバー的には非常に強力な馬が集まっていたここにおいて、内容的には完勝であり、しばらくはイタリアSiepiにおける主役級の馬と考えてよいだろう。

フランスのTaupin Rochelaisは安定した走りを見せた。ただし勝負所で前をカットされる場面があり、ストライドの大きさと表裏一体であるこの馬のエンジンの掛かりの遅さが致命的なものとなった。また、やはり障害としてもより大型のものの方が、この馬のストライドの大きな飛越技術を生かすことができるだろう。ただしWaregemの単純なコースとは異なり、MeranoのSteeplechaseはどうにもコーナーが多く、この馬に向いているとは考えにくい。Cross Countryをこなすことが出来ればPardubiceでもよいのだが、11歳という年齢を考えるとこれ以上を望むのはやや厳しいかもしれない。

スロバキアのBrog Deasは3着まで。イタリアではG1を3勝している名馬であるが、やはりフラットのスピードの面で前の2頭とは見劣った。しかし9歳となった現在でも他馬を圧倒する飛越のテンポの早さは健在であり、ハナにさえ行くことができれば見せ場を作ることはできる。チェコのChamp De Batailleは勝負所の機動力で前とは見劣った。フランスのCross Wayも動けず。フランスではSteeplechaseを走っている馬であり、イタリアのSiepiはやや障害が小型に過ぎるかもしれない。WaregemではHurdleで勝ち星を上げているが、WaregemのHurdleはMeranoに比べると大型のものである。

 

Premio Delle Nazioni - Memorial Rocca Euro 40.000 TRIO 6000m

per cavalli di 5 anni ed oltre (Cross-Country - GRUPPO II - G.R.-AMAZZONI-FANTINI)

https://www.youtube.com/watch?v=3Pt8VXnm1mA&feature=youtu.be

欧州Cross Country SeriesにおけるMeranoの一戦。

Silver TangoとStar Rochelaisが並んで逃げる展開。これを追いかけてBilly Silver。All About Cossio、連覇を狙うBrise De Kerserは後方から。第2障害でLost Monarckが落馬。レースは淡々と進行するも、Oxer GrandeにてStar Rochelais、Brise De Kerserの2頭が落馬。さらに3連続障害にてCatalaunian Fields、Silver Tangoの2頭が脱落。残ったBilly SilverとAll About CossioのマッチレースはAll About Cossioに軍配が上がった。

このレースは昨年は11頭中5頭が完走、一昨年は7頭中2頭が完走。今年も7頭中完走は2頭と、完走率という指標だけであれば近年世界的に見ても最も厳しいレースの一つに数えられるかもしれない。もっとも、競争中止といっても途中棄権や落馬などその要因は色々あるので、一概に結論付けることは困難であり、ましてや海外障害競馬によくある頭の悪い短絡的な見出しのように、完走率5割の過酷なレースといってもなにが過酷なのか、その国の競馬の体系も含めてよくよく考える必要があるのは事実なのだが。このレースに関しては、ここ3年ほどの落馬率(途中棄権ではない)に関しては、かなり特筆すべきものがある印象である。

All About CossioはこれでMeranoのCross CountryはGrand Steeplechase Di Roma (G3)を含めて3連勝とした。去年は落馬に終わった借りを返したことになる。もともとはSteeplechaseで走ってきた馬だが、どうにも平地のスピードに難があり、結果的にペースがSteeplechaseよりも落ち着く長距離Cross Countryへの転向が上手くいったようだ。さすがにCross Countryにて長い馬で飛越も安定していた。ライバルと目される馬がほとんど落馬したのは事実だが、このコースに関しては障害を最後までこなす技術が重要になるということだろう。やや大跳びでスピードに乗るまでに時間がかかるため、最後はBilly Silverを捉えるのに苦労はした。タイプとしてはCorse Specialistの多いフランスよりもチェコのCross Countryの方が向くかもしれない。

Billy Silverは格下ながら好走した。Cross Countryは実は経験のある馬で、Martalin、Ara Gold、Armanなどが覇を競った2015年辺りのCross Country路線の生き残りである。全くスピードのない馬で、これが距離が短縮した場合や、急激なペースアップを必要とされると厳しいのだが、有力馬の落馬が相次いだ結果としてほぼラストだけの競馬となったのはこの馬にとって幸いしただろう。

その他。連覇を狙ったフランスのBrise De KerserはOxer Grandeにて踏切位置を間違える形での落馬。その後映っていなかったので、何とか無事であるとよいのだが。フランスのStar Rochelaisも同じ障害にて落馬。いずれにせよ、Oxer GrandeはMeranoのSteeplechaseにおいては最大級の難所であり、フランスのCross Country Specialistにとっても厳しい障害ということだろう。イタリアのLost Monarckは凡ミス。Catalaunian FieldsとSilver Tangoは3連続障害で落馬。あの障害に関しては2つ目から3つ目あたりで馬が嫌になっているのをよく見る。