*Pardubice
128. Velká pardubická s Českou pojišťovnou
Stcc - cena L - 6+ - 6900 m - 5 000 000 Kč
表はゼッケン番号、馬名(生産国、年齢)、騎手、斤量、調教師という順(なぜか行を追加できないので)。Delight My Fireだけが牝馬なので斤量は68.0kg。
1 | Mileryt (POL), 11 | Mach Ján, MVDr. | 70.0 | Mach Ján, MVDr. |
2 | Nikas,13 | ž. Andrew Glassonbury | 70.0 | Urbánek Luboš |
3 | Zarif (IRE), 11 | ž. Raffaele Romano | 70.0 | Váňa st. Josef |
4 | Hegnus, 10 | ž. Marek Stromský | 70.0 | Holčák Radek |
5 | Theophilos (FR), 8 | Patrick Boekhout | 70.0 | Váňa st. Josef |
6 | Bridgeur (FR), 7 | ž. Jaroslav Myška | 70.0 | Myšková Štěpánka |
7 | Vajgaros, 7 | ž. Leighton Aspell | 70.0 | Brečka Jaroslav |
8 | Ter Mill, 12 | Jan Odložil | 70.0 | Novák Antonín |
9 | Tzigane Du Berlais (FR), 7 | ž. Jan Faltejsek | 70.0 | Tůma Pavel |
10 | Templář, 11 |
ž. Thomas Boyer | 70.0 | Novák Antonín |
11 | Stretton, 8 | ž. Thomas Garner | 70.0 | Olehla Čestmír, MVDr. |
12 | Vicody (FR), 9 | ž. Josef Bartoš | 70.0 | Popelka Stanislav |
13 | Kasim, 13 | ž. Martin Liška | 70.0 | Kejzlar Přemek |
14 | Vandual (SVK), 10 | ž. Lukáš Matuský | 70.0 | Kabelková Hana |
15 | Ribelino (FR), 10 | ž. James Best | 70.0 | Kovář Stanislav |
16 | Sztorm (POL), 9 | ž. Marcel Novák | 70.0 | Wroblewski Grzegorz |
17 | Ange Guardian (GER), 10 | ž. Jiří Kousek | 70.0 | Váňa st. Josef |
18 | Delight My Fire (FR), 8 | ž. Niklas Lovén | 68.0 | Bodlák Radim |
19 | No Time To Lose (GB), 9 | ž. Josef Váňa ml. | 70.0 | Váňa st. Josef |
20 | Artistmontot (FR), 8 | Ondřej Velek | 70.0 | Žalud Radek |
21 | Pareto, 11 | Sertash Ferhanov | 70.0 | Poles Pavel |
22 | Universe of Gracie (GER), 13 | Lukáš Sloup | 70.0 | Popelka Stanislav |
チェコ競馬及びVelká Pardubickáに関する詳細は下記リンクから。チェコ競馬に関する情報の入手先や、中継サイトのリンクもあるので遊んでみてください。Countryの項のCzech Republic、またはPrinciple RacesのVelká Pardubickáのページをご覧ください。
1. Mileryt / Mach Ján, MVDr. / Mach Ján, MVDr.
https://www.pedigreequery.com/mileryt
せっかくなので血統表も貼り付けてみるテスト。わたしは血統は素人なので、詳しい人は話のタネにでもしてください。間違ってんぞバカヤローその他のご意見はツイッター(@_virgos2g)にお願いします。
Milerytは見ればわかるようにポーランドの土着牝系出身の馬。父系のSnow KidはIndian Ridge、Clarion、Tourbillonに連なる系統で、同馬は世界的にも珍しいHerod系の出身。そのSnow Kidの代表産駒となるのがこのMilerytである。当然既に去勢され父系の存続には寄与しないのだが。
同馬は2歳時からポーランド平地で活躍し、Nagroda Mokotowska (LR A)など2勝を上げている。しかし2010年のČeské Derbyでは大敗、その後は障害に転向し、Bratislava競馬場(スロバキア)、2018年現在競馬は開催されていないBenešov競馬場、Kolesa競馬場(参考レース参照)などで下級条件戦を勝利している。しかし前走のIII. kvalifikace (Stcc NL)では全くレースについて行くことが出来ず、一頭後方でぽつねんと追走した結果、勝ち馬No Time To Loseから40秒近く離されたシンガリに終わっている。いくらなんでもここで好走することは全くといっていいほど考えにくい。ググるとイケメンの獣医師が出てくる、調教師兼騎手であるMVDr. Ján Mach師にとっては唯一の管理馬であり、11歳と年齢も重ねていることを考えると、おそらく記念出走的な意味合いが強い馬だろう。
参考レース:Cena Společnosti STŘECHMONT pana Josefa Kárníka (Stcc kat. V) 1着
2. Nikas / ž. Andrew Glassonbury / Urbánek Luboš
https://www.pedigreequery.com/nikas
Tourbillonに連なる系統でもさらに希少なTornado系らしい。父はチェコの障害馬Scaterで、Velká cena Synthesia、Velká cena města Pardubiceなどを勝利している。NikasはそのScaterの代表産駒となる。当然去勢されているが。
Nikasは2015年のVelká Pardubickáにて1位入線を果たすも、その後禁止薬物が検出されたことで失格になった馬。再起をかけて挑んだ2016年はTaxisにて落馬、2017年は途中棄権となっている。もともと強靭な精神力と持久力を武器に、ハイペースを追走するタフネスを前面に出して戦ってきた馬だが、そのキャリアピークは2011年から2016年であり、ここ数年はパフォーマンスの低下が著しく、後方でなんとかレースについて行くのが精一杯という戦績である。そもそも昨年の段階で引退という話であり、意外と馬が元気なので現役を続行したという経緯もあるのだが、さすがに往年のスピードはすでに失われているというのが現状なのだろう。ここで勝てばドラマになるのだが、近走成績から考えるといくら何でも厳しい。騎手のAndrew Glassonburyはイギリスでライアンムーア親父ことGary Moore調教師の下で騎乗しており、最近は病気や故障した馬を支援するプロジェクトを始めている人なのだが、Pardubiceでは2016年に一度騎乗したきりであり、さすがにコース経験の乏しさは強調しづらいとことがある。
参考:Velká pardubická s Českou pojišťovnou (Stcc L) 1位入線失格
3. Zarif / ž. Raffaele Romano / Váňa st. Josef
https://www.pedigreequery.com/zarif3
父Observatoryは、イギリスの名馬Twice Overを出した馬といえば日本のファンにもなじみがあるだろう。血統的にはあまり障害馬らしさは感じず、同馬はアイルランド時代は平地を走って未勝利に終わっている。しかし、戦績としてはまさにチェコ障害における大ベテランといったところ。主要レースとしては、2015年のII. Kvalifikace、2017年のI. Kvalifikaceを勝利しており、Velká pardubickáは勝てないまでも2014年は6着、2015年は2着(3位入線)、2016年は3着、2017年は4着と、非常に安定した成績を残している。前走のCena Peruána (Stcc II. kat)では一頭ずば抜けて巧みな飛越を見せ、73kgのトップハンデを背負いながら、イギリスの名手Leighton Aspellの技術を武器に迫ってきたVernois以下の後続を完封している。2012年以降は一度も落馬がない飛越技術は大いに魅力。ある程度好位置から自在に動くことが可能な脚質も安定しており、展開への対応力も高い。文句なしに有力馬の一頭であり、今年も例年通り勝負圏内に入ってくることが大いに期待される。鞍上にはイタリアの名手Raffaele Romanoを配してきた。イタリア国内ではトップジョッキーの一人なのだが、いまいちPardubiceでの経験は乏しい部分があり、むしろ不安材料としてはこの辺り。
参考:Cena Peruána (Stcc II. kat) 1着
4. Hegnus / ž. Marek Stromský / Holčák Radek
https://www.pedigreequery.com/hegnus
父MagnusでググるとDanehillのAUS産の馬が出てくるのだが、こちらはRibot、Tom Rolfe、さらにはHoist the Flagからなる父系の出身である。Japeはアメリカ産だが産駒はポーランドやチェコで走っており、血統的にはこの地域の地元血統となるのだろう。
Hegnus自身は2015年にIV. Kvalifikace、さらにVelká pardubickáの日の準メインとなるCena Labe (Stcc L)を勝利して一気に名を上げた馬。今年はII. KvalifikaceにてAnge Guardianの2着に入ると、明らかな叩き台と思われるCena DENÍKU PRÁVO (Stcc II. kat)を勝利してここに挑んできた。同レースではゆったりと逃げたとはいえ随所にコース形態を熟知した飛越を見せており、10歳となった現在、この馬もまたチェコ障害馬として円熟期に達しつつあるのだろう。最後は5着と、どうにも勝負には加わることが出来なかった2016年のVelká pardubickáよりも上の着順が期待される一頭。鞍上にはチェコの名手Marek Stromskýを配してきた。Velká pardubickáは1位入線かと思いきや走路を間違えていて失格になったり、1位入線かと思いきや乗っていた馬から禁止薬物が検出されて失格になったり、何かと縁がない人。そろそろここらで決めて欲しい。
参考:Cena Labe (Stcc L) 1着
5. Theophilos / Patrick Boekhout / Váňa st. Josef
https://www.pedigreequery.com/theophilos
Elusive City産駒は日本でも走っており、最近ではアネモネSにも出走したイルーシヴグレイスが有名だろうか。Elusive Cityはアイルランドで繋養されているようだが、産駒を見てもアイルランドの重賞にちょくちょく名前を見かけるElusive Ivyが目立つくらいで、特に有力な障害馬がいるわけでもなさそうだ。Theophilos自身はもともとは短距離(~4000m)のCross Countryで走っていた馬。今年からVelká pardubickáを目指す路線に本格的に参入してきたようだ。今年のI. kvalifikaceはやや前から離れた4着と敗れるも、III. kvalifikaceではNo Time To Loseを追い詰める2着とパフォーマンスを上げている。8歳と比較的若い上り馬という扱いでよいだろう。課題は初の距離。どちらかというとスピードを武器にして戦ってきている馬だけに、距離的な不安材料はどうにも拭いきれない。鞍上のPatrick Boekhoutとは2016以来のコンビとなる。その際はPardubice初挑戦ということもあったのか、落馬に終わっているが、今回は果たして。
参考:Prvomájová steeplechase města Lysá nad Labem (Stcc I. kat)1着
6. Bridgeur / ž. Jaroslav Myška / Myšková Štěpánka
https://www.pedigreequery.com/bridgeur
父VendangeurはGalileo、Sadler's Wells、Nothern Dancerの直系。代表産駒としては、イギリスのMerseyrail Manigesto Novices' Chase (G1)を制したArzalが目立つのみで、あまり活躍馬は多くはないようだ。
Bridgeurは未勝利馬だが、昨年のVelká pardubickáでは前半から果敢に引っ張って見せ場を作り、フランスのUrgent De Gregaineに交わされたのちは先頭集団から脱落したものの、最後まで走り切り7着に入っている。どうやら集中力に課題があるもののダラダラと走り続けるタイプの馬のようで、この類の馬は往々にして飛越のリズムを作り出すために前半から飛ばしていくことが多く、結果的に過度のハイペースを作り出す可能性がある。その一例が昨年のVelká pardubickáなのだろう。前半から慎重に運んだ今年2回のKvalifikaceはいずれもいいところなく敗れているが、もしかすると今年もまた前半から飛ばしていく可能性がある。特にVelká pardubickáは完走が目標となるKvalifikaceと異なり、第4障害にTaxis Ditchが待ち受けるためスタート直後はかなりハイペースで進行する。鞍上に乗りなれたJaroslav Myškaを配してきたのも不気味。展開を大きく変えるとしたらこの馬だろう。
参考:EURO EQUUS IV. kvalifikace na 127. Velkou pardubickou s Českou pojišťovnou (Stcc NL) 2着(レースは2時間16分くらいから)
7. Vajgaros / ž. Leighton Aspell / Brečka Jaroslav
https://www.pedigreequery.com/vajgaros
ソウルスターリングで知られているStacelitaを出したMunsunの孫というと少しは馴染みがあるだろうか。Tamerlane系ということで父系はドイツ色が強いのだが、母系はチェコ地元の血統であり、父Rosesturmもまたチェコ・スロバキアで走った馬である。
Vajgaros自身は5歳限定レースであるCena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice, a.s. – Cena Jana Kašpara (Stcc NL)の勝ち馬。スロバキア調教馬だが主にPardubiceにてレース経験を積んでいる。7歳となった今年はII. kvalifikaceにて6着に入り出走権を得た。とはいえ5000メートルを超えたレースではあまり良績がなく、今年のII. kvalifikaceでも先頭から7秒近く離された結果に終わっており、さすがにいきなりここで好走することは考えにくい。
一方で、鞍上にはPineau De Re、Many Cloudsで英Grand National (G3)を勝利しているイギリスの名手Leighton Aspellを配してきた。Brečka Jaroslav調教師(兼騎手)はスロバキアの名伯楽で、どうやらLeighton Aspellとは交流があるらしく、スロバキアやイタリアでは何度かBrečka Jaroslavの馬にLeighton Aspellが騎乗することを見かける。Leighton Aspellにとってはこれが初のVelká pardubická参戦となる。騎乗技術に関しては世界一流のものを持っている人だけに、非常に楽しみなチャレンジである。
参考:Cena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice, a.s. – Cena Jana Kašpara (Stcc NL) 1着
8. Ter Mill / Jan Odložil / Novák Antonín
https://www.pedigreequery.com/ter+mill
一部牝系が空欄になっている。1986年生まれのMill Reefの孫。チェコのデータベースに登録されている産駒を見ても、父Mill Pondはすでに種牡馬を引退していると考えるのが妥当なのだが、代表産駒としては2000年台前半にチェコ障害において活躍したKedonが挙げられるだろう。
Ter Millは真っ白な馬体が目立つ馬。イメージとしてはイギリスのSmad Placeに似ており、緩慢な動きをしつつもワンペースでだらだらと先行するタイプである。あまりスピードはないため勝ち味には遅いのだが、このクラスでも安定して走るだけの力は持っている。今年はII. KvalifikaceにてAnge Guardianの3着に入ってここに挑んできており、それなりに調子はいいようだ。しかし、スピードの遅いワンペース型であるだけに、ペースが流れるとあっさりと苦しくなる可能性がある。また、どうにも動きが緩慢なだけに飛越にポカも多く、展開さえハマれば入着くらいまではあるにせよ、一発逆転勝利の可能性まではなかなか考えにくいというのが現状だろう。
参考:Cena města Pardubic (Stcc II. kat) 1着
9. Tzigane Du Berlais / ž. Jan Faltejsek / Tůma Pavel
https://www.pedigreequery.com/tzigane+du+berlais
父はPoligloteで、同じくSadler's Wellsの直仔であるKing's Theatre、Milan、Oscar、さらにはKayf Taraをはじめこの辺りの血統は欧州障害競馬ファンにはお馴染みの血統だろう。PoligloteはJLT Melling Chase (G1)、Tingle Creek Chase (G1)を勝利したPolitologueが代表産駒で知られる。名前も似ているし。
Tzigane Du Berlaisは7歳と若い馬で、Velká pardubickáはこれが初参戦となる。昨年に下級条件戦を2連勝して調子を上げると、続くCena Labe (Stcc L)ではVicodyの2着に入っている。本格的にVelká pardubickáを目指す路線に参入してきた今年は、初戦のI. Kvalifikaceでは途中でトラブルがあったのか途中棄権に終わっているが、IV. KvalifikaceではAnge Guardianの2着。実力的にはここで通用してもおかしくはないものを持っている馬である。3戦続けてJan Faltejsekを配してきたというのもかなり勝負気配を感じる。課題は当然初距離。
参考:Cena Peruána (Stcc II. kat.) 1着
10. Templář / ž. Thomas Boyer / Novák Antonín
https://www.pedigreequery.com/templar11
父系としてはLorenzaccioを経たClarionの系統で、AhonooraでもLuthierでもなく、チェコに輸出されたと考えられるLorencioの子孫である。父のVaraderoはチェコで走った馬だが、目立った成績はなく、1997年のVelká pardubickáも走っているが落馬に終わっているようだ。チェコのデータベースにすら産駒は合計4頭しか引っかからないのだが、Most競馬場を中心に、キャリアにおいて障害を13勝したAlberto、Netolice競馬場のCena Jihočeského krajeを勝利したCinderellaという牝馬、そしてこのTemplářというなかなか濃ゆいメンバーを送り出しており、Cinderellaを経て血統が繋がっているのかもしれない。
Templářは2016年のII. Kvalifikaceの勝ち馬。とはいえそこまでSteeplechase Cross Countryは未勝利であり、同レースもまた人気馬が落馬に終わった結果という側面があった。実際、その後はさほど良績を残すことが出来ていない。Velká pardubickáはこれまでに2回出走しており、2016年は7着、2017年はTaxisにて落馬に終わっている。今年は2走していずれも勝ち馬からはかなり離れた敗戦に終わっており、少なくとも驚きの激走を見せた2016年のII. Kvalifikaceよりも調子がいいということはないだろう。鞍上のThomas Boyerとは2014年以来のコンビとなる。
11. Stretton / ž. Thomas Garner / Olehla Čestmír, MVDr.
https://www.pedigreequery.com/stretton2
父のHouse Rulesはアメリカ産馬。2008年のVelká cena města Pardubic - XVI.ročník - I.kvalifikace na Velká pardubická s Českou pojišťovnou (Stcc NL)を制し、この時期のチェコ障害路線を沸かせたAmant Grisをはじめ、チェコ競馬における活躍馬を送り出している。現役なのはこのStrettonと平地で息の長い活躍をしているLafrancoなる馬しかいないようだが、Socr Houseなど後継種牡馬も存在するようだ。
Stretton自身は5歳限定戦である2015年のCena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice, a.s. - Cena Jana Kašpara (Stcc NL)の勝ち馬。同レースにおいて4着だったAl Bustanがその後イタリアを中心にSteeplechaseにて無双するのだが、当時はそのAl Bustanの覚醒前の話である。とはいえStrettonはAl Bustanの暴れっぷりに比べるとパフォーマンスとしてはかなり低調で、ようやく前走のCena Arnošta z Pardubic (Stcc II. kat)にて久しぶりの勝利を挙げている。上のクラスにおいても何度か走っているが、いずれも勝負圏内からはやや脱落した格好に終わっており、いきなりここでパフォーマンスを上げるのは考えにくい。鞍上のThomas Garnerはイタリア、イギリスなどでも経験のある人だが、PardubiceのCross Countryの経験は乏しく、この辺りも不安材料だろう。
参考:Cena Arnošta z Pardubic – podporovaná Dopravním podnikem města Pardubic, a.s. (Stcc II. kat) 1着
12. Vicody / ž. Josef Bartoš / Popelka Stanislav
https://www.pedigreequery.com/vicody
フランス産馬。Singspielの孫ということで、この辺りになると日本競馬ファンにはかなり馴染みがあるかもしれない。父のSecret SingerはイギリスのVolnay De Thaixが目立つ程度でさほど活躍馬を出しているわけではないのだが、最近Epi Sacreなる馬がAuteuilのListedを含む4連勝を飾っており、これが代表産駒に浮上する可能性はある。Vicodyは2017年のCena Labe (Stcc L)の勝ち馬であり、おそらくSecret Singerの子としては一番の出世頭といっていいだろう。
上述のように同馬はVelká pardubickáの日の準メインとなるCena Labe (Stcc L)の勝ち馬。6900メートルの長距離となるVelká pardubickáと異なり、Cena Labeは5200メートルと距離はさほど極端に長いわけではなく、また超高難易度のTaxis Ditchも使用しないため、比較的経験の浅い若い馬や、Velká pardubickáを目指すほどではないが比較的長距離戦が得意な馬が出走する傾向がある。2017年はフランスからArt And Coを迎えて行われた一戦だが、そのArt And Coを含め後続を完封したVicodyのパフォーマンスは素晴らしいものがあった。前走のIV. Kvalifikaceでもここでも最有力の一頭であるAnge Guardianと差のないレースをしている。連下候補ではあるものの一発逆転まであり得る一頭。鞍上にもチェコのトップジョッキーJosef Bartošを確保しており、勝負気配も高い。
参考:Cena Labe (Stcc L) 1着
13. Kasim / ž. Martin Liška / Kejzlar Přemek
https://www.pedigreequery.com/kasim3
Hegnusと同じくMagnusの産駒。母系はチェコ産馬が連なり、Hegnusと同じようにチェコにおける土着血統の馬という理解でよいだろう。
Kasimは今年で13歳となる大ベテラン。Velká pardubickáに関してはこれが5回目の参戦となる。2013年からこの路線には参戦しており、そこから精力的に走り続けてもはや5年目。Kvalifikaceも2回の勝利がある。好位からレースを運ぶことが出来る安定感は魅力だが、Velká pardubickáは2013年にOrphee Des Blinsが後続を7秒ぶっちぎって勝利した際の4着が最高で、その後も勝ち負けには加わることが出来ていない。特に、2016年にI. Kvalifikaceを勝ってからはパフォーマンスを落とし続けているのは、さすがに年齢的な部分があるのだろう。今年はIII. Kvalifikaceにて4着に入っての参戦となるが、同レースでも勝利したNo Time To Loseからは11秒近く遅れている。近走成績からはやや厳しいと言わざるを得ないか。3走続けてMartin Liškaを確保できたのはプラスだが。
14. Vandual / ž. Lukáš Matuský / Kabelková Hana
https://www.pedigreequery.com/vandual
スロバキア産馬。Dancing BraveやWhite Muzzleの系統でお馴染みのLyphardの孫で、カナダにて3回ものSovereign Awardsを獲得した名馬Rainbows for Lifeの産駒である。Rainbows For Lifeはチェコやスロバキアで種牡馬として大成功を収めており、1999年のチェコダービー・スロバキアダービーを制したRay of Lightをはじめ、Heretic、Monolitなどの後継種牡馬を送り出すことに成功しているようだ。しかし、なんといってもRainbow Of Lifeの代表産駒は、2007、2008とVelká pardubickáを連覇した名牝Sixteenだろう。Rainbow Of Lifeの産駒はまだわずかに現役馬が残っており、Vaundualの他にSixteenの全弟Sixtysevenなどがいる。
Vandualは2015年のCena Komerční banky (Stcc II. kat)の勝ち星はあるのだが、同レース自体は圧倒的人気を背負っていたRabit Wellがやらかしてしまった棚ぼた感は否めない。2016年の5月から2年近い休養を挟んで、今年の5月に復帰し、2回のKvalifikaceに出走しているが、いずれも勝負に加わるには至っていない。6月のCena Arnošta z Pardubic (Stcc II. kat)ではここにも出走しているStrettonの2着はあるものの、Stretton自身がここでは相手関係に不安を抱えている馬であることから、戦績としては強調するところは少ないだろう。ここで勝負圏内に入るにはもうワンパンチ欲しいのだが。
参考:Cena Komerční banky (Stcc II. kat) 1着
15. Ribelino / ž. James Best / Kovář Stanislav
https://www.pedigreequery.com/ribelino2
フランス産馬。父Truth or Dareは、昨年のVelká pardubickáにて途中から逃げたBridgeurを制して果敢に前に出ていき、あわやのシーンを作り出して2着に入ったフランスのUrgent De Gregaineを送り出している。平地ではあまり活躍馬を出しておらず、Truth or Dareの代表産駒としては前述のUrgent De Gragaineと、このRebelinoが挙げられるだろう。
Rebelinoは2015年のVelká pardubickáの勝ち馬。とはいえ、同レースは1位入線のNikasが禁止薬物の検出により失格になった結果であり、実のところRebelinoは2位入線である。しかし2016年以降は、気性の問題なのか何か体質的に問題があるのかは不明だが、全くと言っていいほど2015年当時の素晴らしいパフォーマンスを取り戻すことが出来ていない。今年のII. Kvalifikaceでこそ権利は取ったが、後方でなんとかついて行くのが精一杯といった内容であり、勝ち負けに加わることはできていない。現状のパフォーマンスから考えればむしろ出てきたのが不思議なくらいだろう。James Bestはイギリスの障害騎手。Pardubiceはこれが初めての挑戦となる。
参考:Cena společnosti AUTO IN, s.r.o. (Stcc II. kat) 1着
16. Sztorm / ž. Marcel Novák / Wroblewski Grzegorz
https://www.pedigreequery.com/sztorm
ポーランド産馬。父Enjoy Planはアメリカ産馬だが、現在はチェコで繋養されているらしい。Enjoy Planは種牡馬としては、2003~2007年のイタリア障害にて活躍し、Gran Premio Merano (G1)、Grande Steeplechase Di Milano (G1)を勝利したKoloradoを送り出している。現役馬の中ではSztormがその代表格といったところで、特に他に障害競馬で一流どころと戦っている馬は存在しない。母系はポーランドにおいて脈々と続いている血統である。
Sztormはほとんどがポーランドで走ってきた馬。チェコ国内での勝ち鞍はSlušovice競馬場で33. Mercedes-Benz Velká slušovická steeplechase (Stcc I. kat)を勝った程度。しかし昨年のGrande Steeplechase D'Europa (G1)では、フランスから参戦した快速牝馬Stylineに対して2着と好走。Stylineはその優れた運動能力を武器に早いテンポの飛越で圧倒するタイプの馬で、Stylineのペースについて行くことが出来たのは、当時のイタリア最強馬MazhilisとこのSztormだけであった。どうやらこの経験がSztormにとって良かったようで、今年に入ってからはポーランドWroclawにて、ポーランド最大の障害競走Wielka Wrocławskaを含む3連勝を上げている。現時点では文句なしにポーランド障害競馬における最強馬と言っていいだろう。
Sztormは緩いペースで開始されるWroclawのSteeplechaseにおいて、途中から一気のスパートで後続を突き放すレースを得意としている。Wroclawのコースは比較的小型でコーナーが多く、どちらかというと器用なレース運びが要求されるレースとなる。Pardubiceのように大型で道中からスピードを要求される競馬場にはあまり経験がなく、2015年以来の参戦となるここにおいて、どこまで対応できるのかは未知数である。とはいえ、ここ3戦ほどのレースがこの馬の大きな成長を感じさせるものであったこともまた事実である。鞍上に乗りなれたMarcel Novákを確保できたことも大きい。
参考:Wielka Wrocławska 1着、Grande Steeplechase D'Europa (G1) 2着
17. Ange Guardian / ž. Jiří Kousek / Váňa st. Josef
https://www.pedigreequery.com/ange+guardian
ドイツ産馬。父のBanyumanikの産駒はどちらかというと平地の方が出走は多いようだが、さほど活躍馬は見当たらない。障害でもイギリスにて計8勝を上げたBoccianiが目立つ程度である。チェコにおける現役馬はAnge Guardianしか存在しない。
Ange Guardianはとにかく顔がいい。もともとはLysá nad Labem競馬場で勝ち上がっていた馬なのだが、2016年のVelká pardubickáでは逃げたCharme Lookを追い詰める2着に入る。2017年はさほど結果が出なかったが、今年に入ってのKvalifikaceは5月のI. Kvalifikaceが2着、その後の2戦はいずれも勝利と調子を上げてきている。後方から捲り上げていく戦法を取る馬なのだが、そのレースも安定感が増してきており、現状では最有力の一頭だろう。前走騎乗したJiří Kousekを確保できたことも大きい。課題としては、今年はやや勝負気配の薄い馬を含む22頭という多頭数になってしまったことだろうか。後方から進めるタイプなだけに、重複落馬や馬群を捌くリスクが上がる点が懸念される。また、平地のスピードに関しては、よく障害馬にいるスプリントをかけた際のフォームがバラバラになるタイプで(イギリスのMight Biteを見てみよう)、いかんせん脚が遅いところがあり、あまり大事に乗りすぎると取りこぼすおそれがある。また、今年に入ってからすでにKvalifikaceを3戦もしており、やや使い過ぎの感も否めない。
参考:Cena města Pardubic II.kval. Na VP - Memoriál Mjr M.Svobody (Stcc NL) 1着
18. Delight My Fire / ž. Niklas Lovén / Bodlák Radim
https://www.pedigreequery.com/delight+my+fire2
フランス産の牝馬。父のWay of Lightはかつて日本でも繋養されており(2005年の種付けを最後に輸出)、2004年の小倉2歳Sに出走したニホンピロザブラウなどを輩出している。産駒のニホンピロザブラウ、ブルーポラリスなどは日本の障害戦にも出走しており、不思議な縁もあるというものだ。輸出先のフランスをはじめ、イギリスやチェコなどでも産駒が走っている気配はさっぱりであり、Delight My Fireが代表産駒になるのだろう。
Delight My Fireは2015年及び2017年のWielka Wrocławska、2016年のCena Labe (Stcc L)などを勝利しているチェコの名牝。チェコ調教馬にはPardubice専門で走る馬と、国外を渡り歩く馬がいるのだが、この馬は後者であり、ポーランドを中心に、イタリア、フランス、さらにはイギリスのCheltenham競馬場にも参戦している。どちらかというと低い飛越を生かしてスピードをもって先行させたときに強さを発揮する馬で、基本的には行きたがるくらいの勢いがある方が馬の状態としては良いようだ。昨年のVelká pardubickáでは不良馬場の中にも関わらず先頭集団に食らいつき、最後は3着まで健闘している。しかし今年に入っての4戦はいずれも往年の精彩を欠いたレースを続けており、特に得意とするはずのポーランドWroclawでも大敗している点は気がかりな材料だろう。前走のIV Kvalifikaceでも勝ち負けには加わることが出来ないまま4着と敗れている。潜在能力としてはトップクラスの馬だが、やはり近況を鑑みると不安材料の方が大きい。鞍上にはスウェーデンの名手でこの馬の主戦騎手であるNiklas Lovénを確保してきた。
参考:Cena společnosti VCES a.s. - Cena Labe (Stcc L) 1着
19. No Time To Lose / ž. Josef Váňa ml. / Váňa st. Josef
https://www.pedigreequery.com/no+time+to+lose2
父Authorizedは日本でもバンデをはじめ産駒がかなり走っており、それなりに馴染みはあるのではないだろうか。平地での成功はいわずもがな、障害におても今年のGrand National (G3)を制したTiger Roll、アイルランドHurdleにてG1を8勝し、稀代の怪物Faugheenに初めて土をつけた名馬Nichols Canyonなどを送り出している。
No Time To LoseはもともとはイギリスでAWを走っていた馬で、2013年からチェコに移籍。2016年には5歳以上の中距離戦であるCena Vltavy (Stcc NL)にて後続に4秒差をつける圧勝劇を演じると、2017年からVelká pardubickáを目指す路線へと参入。2回のkvalifikaceにて連続で2着に入ると、昨年のVelká pardubickáでは、一旦は後続に大きな差をつけたフランスのUrgent De Gragaineをゴール前で差し切り、ついにチェコ障害競馬における頂点へと登り詰めている。
この馬自身はどちらかというと中段からレースを進める馬だが、その武器は安定した飛越技術と強靭なロングスパート能力だろう。特に馬場が渋った際に発揮されるパワーには特筆すべきものがあり、馬場を掴むような重心の低い走りはアイルランドによくいる重馬場巧者を彷彿とさせる。どのような展開になっても安定して浮上してくるパフォーマンスは高い実力の証であり、ここでも文句なしに最有力の一頭である。今年は2回のkvalifikaceに参戦し、III. kvalifikaceではやや手綱を動かしながらも最後はTheophilosを差し切り勝利を挙げているように、馬の状態という面でも大きな心配はない。鞍上は昨年のJan KratochvílがケガのためJosef Váňa ml.に乗り替わっているが、Josef Váňa ml.もまたチェコ障害におけるトップジョッキーであり、その辺りの不安はあまりないだろう。懸念は大事に乗りすぎた時の取りこぼしだろうか。また、前走でややエンジンがかかるまでに時間がかかった点は気がかりといえば気がかり。
参考:127. Velká pardubická s Českou pojišťovnou (Stcc L) 1着
20. Artistmontot / Ondřej Velek / Žalud Radek
https://www.pedigreequery.com/artistmontot
Hyperion、Alibhai、さらにはTraffic Judgeと連なる父系の出身馬。父のDom Alcoはフランスで障害も走っていた馬のようだ。種牡馬としては、フランスではPrix Maurice Gillois Grand Steeplechase Des 4 Ans (G1)にてSo Frenchの5着に入ったBob And Coを筆頭に、前述のArt And Coなどを輩出している。しかしこの馬の種牡馬としての本領はむしろイギリスにあるようで、何と言ってもその代表産駒は2012年のGrand National (G3)にて、Sunnyhillboyとの死闘を制したNeptune Collongeだろう。他にもKing George VI Chase (G1)の勝ち馬Silviniaco Conti、World Hurdle (G1)の勝ち馬Grand Crus、Henry VIII Novices' Chase (G1)の勝ち馬Al Ferofなど、活躍馬は枚挙に暇がない。ちなみに今年のCena Labe (Stcc L)にてフランスから参戦を表明しているUnbrin De L'IsleもDom Alcoの産駒である。
さて、父方の実績は素晴らしいArtistmontotだが、チェコ国内では未勝利である。どうも緩いペースでだらだらと走るタイプであり、距離を伸ばしてパフォーマンスを上げてきた経緯がある。しかし前走のIII. kvalifikaceでは距離延長という追い風もあったのだが、結果的に前とは16秒近く離された5着に終わっており、さすがにこのクラスでどうこうということは考えにくいだろう。前に行ってどこまで先頭集団に食らいついていけるかといったところ。もっとも、少なくとも前走よりもさらに距離が延びるのは歓迎材料だが。また、2016年から2年近く休養しており、復帰後はさほど結果を残すことが出来ていないのも気がかりな材料。鞍上のOndřej Velekとは前走に続いてのコンビとなるが、Ondřej Velek自身もここ2年ほどは勝ち星がない。
21. Pareto / Sertash Ferhanov / Poles Pavel
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前述のRainbows for Lifeの産駒。以前はイタリアのMeranoにも挑戦していたのだが、さほど結果を残すことはできず、近走はSlušovice競馬場やLysá nad Labem競馬場、さらにはポーランドを中心に出走を続けている。どちらかというと小回りの競馬場で器用な飛越技術と機動力を武器に戦うタイプ。実はVelká pardubickáはこれで5回目の挑戦になるというベテランである。しかしVelká pardubickáはどの年でも良績を残すことはできておらず、さすがに相手関係という面で厳しいだろう。今年は3戦していずれも2着と調子はいいようだが、例年に比べて何か大きく変わったという印象はない。むしろこの後のSlušovice競馬場で行われるVelká slušovická steeplechaseに出走するのであれば強く推したい馬なのだが。
参考:Velká slušovická steeplechase - Cena Zlínského kraje (Stch I. kat) 1着
22. Universe Of Gracie / Lukáš Sloup / Popelka Stanislav
https://www.pedigreequery.com/universe+of+gracie
日本でもお馴染みのPentireの産駒。マイネルデスポット、クラフトワーク辺りが有名だろうか。Pentireは平地種牡馬としての成功は言うまでもないが、障害馬としてはフランスにてListed勝ちのあるRag Tigerや、オーストラリアで2009年頃にGrand National SteeplechaseやCrisp Steeplechase、Hiskens Steeplechaseを勝利した名馬Pentifficを送り出している。Pentifficは実はまだまだイギリスで現役らしく、2018年の5月に行われたCheltenham競馬場のTimico Mixed Open Gold Cup Final Hunters' Chaseでは3着に健闘しているようだ。いまは廃止されたMoonee Valley競馬場の障害コースを知っている馬がイギリスで走っているという事実には感動を禁じ得ない。2009年のGrand Annual Steeplechaseの勝ち馬Sir PentireもまたPentireの産駒であり、ニュージーランドでも2015年のGreat Northern Hurdleの勝ち馬Gagarinを出している。Universe of Gracieはチェコで走っている数少ないPentire産駒の一頭。
Universe of Gracieは今年で13歳となる大ベテラン。2015年のVelká pardubickáでは前半から激しく引っ張り、結果3着に好走している。Velká pardubickáはこれで5回目の出走となるのだが、ここ最近はどうにも気性的に競馬をやめる部分があるようで、あっさり飛越のリズムを崩すとそのままずるずるとフェードアウトしていくというレースが目立つ。今年のI. kvalifikaceでなんとか完走して権利を取ったのだが、近走の成績からはいくら何でも厳しいというのが現状だろう。前々走のCena DENÍKU PRÁVO (Stcc II. kat)でもIrish Bankの上で立ち往生してそのまま競馬をやめている。往年の力があれば勝負圏内だろうが、さすがにいきなり変わってくるとも考えにくい。鞍上のLukáš Sloupとは初コンビ。2年ほど勝ち星からは見放されているが、すでに騎手は長くやっているベテランであり、技術面での心配はないだろう。