にげうまメモ

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18/12/01 National Hunt Racing

*Newbury Soft (Good to Soft in places)

John Francome Novices' Chase (G2) 2m7f86y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2018-12-01/newbury/498649/ladbrokes-john-francome-novices-chase-grade-2

Rocky's Treasureが引っ張る展開も、最終障害を越えて抜け出してきたSantiniがRocky's Treasureを抑えて勝利した。Kilbricken Stormは大敗。

SantiniはAintreeにてSefton Novices' Hurdle (G1)を勝った馬で、Chaseはこれが初参戦となる。飛越にミスはあったものの、Chase初戦としては許容範囲であり、24fのNovice戦らしい緩い流れからの瞬発力勝負では強さを見せた。馬場に張り付くような特徴的な走法を見せる馬だが、このようなタイプはSoft以下の重馬場の方が力を発揮することが多く、良馬場でのスピード勝負にはどこまで対応できるかは疑問が残る。3連勝で挑んできたRocky's Treasureはさすがの飛越の慣れを見せた。勝ち馬とはスピード能力の差だろう。Kilbricken Stormはそもそも飛越にスムーズさを欠いた。

 

Ladbrokes Trophy Chase (G3) 3m1f214y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2018-12-01/newbury/498653/ladbrokes-trophy-chase-grade-3-handicap

もともとはHennessy Gold Cupとして行われていたレース。元のレース名の方がなんとなく好きなのだが、変わってしまったものは仕方がない。

The Young Masterが押して先頭を伺うもついて行けず。Dingo Dollar、Thomas Patrick、Elegant Escapeなどが引っ張る展開。残り3障害辺りまではDingo Dollarが引っ張るが、ここから抜け出してきたSizing TennesseeがElegant Escapeを突き放して勝利した。3着にはDingo Dollarが残った。

Sizing TennesseeはこれでFontwellのC2から連勝とした。2016-17シーズンはNovice Chaseを走るも勝ち星を挙げるには至らず、2017-18シーズンにてようやくC2の25f戦にて逃げて勝利を挙げることが出来た馬。Novice戦は基本的にどの馬も飛越技術に不安があり、飛越の練習といった側面もあるため、ペースが緩み残り数障害からの瞬発力勝負となりやすい。障害馬にしては大柄な馬体を持ち、緩慢で伸びのあるストライドを見せ、やや瞬発力勝負においては分が悪い同馬にとっては明らかに不利な条件であり、それによって惜敗に終わることが多かったようだ。また、緩慢なストライドであることにより飛越をミスした際のリカバリーが効かず、落馬に終わることも少なからずあったようだ。一方で、序盤から激しいペースで引っ張るここは、おそらく同馬にとってはNovice戦よりも自分のリズムで走ることが出来る舞台であるのだろう。今回は終始飛越にミスがなく、さらに最後まで全く脚が止まらずに加速を続けたパフォーマンスは非常に高いレベルにあるものである。Welsh Grand National (G3)を目指すのであれば本命クラスに評価できる馬。24f Chase路線において同厩舎Native Riverとの兼ね合いもあるのだが、Native Riverはズブいところがあるために出していく戦法を取っているため、おそらく大きな問題にはならないと考えられる。

Novice上りのElegant Escapeは見せ場を作った。勝ち馬とは7st差があったとはいえ、苦しくなってきたところで一気に突き放されてしまった辺り、だいぶ力差を感じるものである。ただし前走自分のペースで運んだThomas Patrickをねじ伏せた高い持久力はここでも見せており、もう少し斤量が楽になればチャンスはあるだろう。Dingo Dollarはさほど実績のない馬だが3着まで踏ん張った。このようなハンデ戦は自分のリズムで運ぶことが非常に重要であり、そのため前半から主導権争いが激化しやすいのだが、それを突破した馬として注意すべきだろう。West Approachは相変わらず走ったり走らなかったりしている。Ms Parfoisは最後脱落する形の敗戦。20f程度の方がよいかもしれない。Black Corton、Thomas Patrickは自身のリズムとレースのそれが合わず大敗。The Young Masterはレースについて行けず。Americanは最初から走る気がなかったようだ。ちなみにはっきり主張して逃げるタイプのGo Conquerはスクラッチだったのだが、勝負になったかはさておき、同馬が出走していたら展開はさらに激化していた可能性がある。

 

*Newcastle Soft (Good to Soft in places)

Fighting Fifth Hurdle (G1) 2m98y

http://www.attheraces.com/racecard/Newcastle/1-December-2018/1405

SamcroとBuveur D'Airの対決ということで注目が集まっていた。そのSamcroが逃げてBuveur D'Airが追いかける展開だが、残り3障害くらいからBuveur D'AirがSamcroにぴったりとつけて行き、最終障害を越えるとあっさりSamcroを突き放して勝利した。後続は大きく遅れた。

Buveur D'AirはこれでG1は7勝目とした。National Hunt Flatはともかくとして、Hurdleは12戦11勝。唯一の敗戦はSupreme Novices' Hurdle (G1)でAltiorに負けたものである。どちらかというとSoftよりも良馬場にて圧倒的な瞬発力を生かして勝ちを収めるタイプの馬で、比較的小柄ながらも俊敏に動く馬体をフルに生かし、障害は飛越するというよりも跨ぐという形で突破するような特徴を持つ。このようなタイプは往々にして馬場が重くなると持ち前の器用な飛越が難しくなり、また瞬発力を殺されるため苦労することが多く、実際にHeavyで行われた今年のChampion Hurdle (G1)もパワー馬Melonに僅差まで迫られている。2回ほどChaseにも挑戦して勝利しているが、飛越のタイプを見ると明らかにHurdle向きだろう。今回はSoft以上のHurdle戦であればしばらくは無双すると思われるパフォーマンスであった。とりあえず、現時点でこの馬を同じ条件で負かすにはAltiorを連れてくるくらいしか思いつかない。

Samcroは自分のレースをしたが勝ち馬の瞬発力とはかなりの差があったようだ。ただしNovice時代には若干の怪しさがあった飛越もかなり向上しており、これまでのパフォーマンスを見る限りでは16fよりも20f以上の方が強さを発揮するようにも思えるため、さほど悲観するような敗戦ではないだろう。むしろこれを機に路線変更が検討されるのであれば、改めて天下を取れる馬として注意しなければいけない存在である。Supreme Novices' Hurdle (G1)の勝ち馬Summerville Boyは前について行ったが、最後は脱落しての敗戦。前とはかなりの力差がありそうだ。また、この馬自身Heavy程度には馬場が重くならないとだめだろう。Deloitte Novice Hurdle (G1)を勝ったBleu Et Rougeは残念ながら予後不良とのこと。