にげうまメモ

障害競馬の個人用メモ ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

19/03/15 National Hunt Racing - Cheltenham Festival -

*Cheltenham Good to Soft

f:id:virgos2g:20190316115243j:plain

Cheltenmham Festival最終日、Gold Cup Day。どうやら入場者数は4日連続で過去最多を記録したらしいのだが、あんまり混みすぎると人権がなくなるのがちと微妙なところである。ちなみに写真はArkle像。一見超格好いいのだが、だいたいレースが始まる頃にはこの辺りでビールを飲んでいるおっさんがテーブル代わりに使うせいで、ビールの空きグラスがしこたま足元には置かれるようになる。ちなみにこの日は微妙にドレスコードが普段よりもうるさいので注意。

Sportinglifeの埋め込み映像があんまりうまく動かないので、適宜Youtubeの公式映像を張り付けておきます。ただ、少々ショッキングな事故があった部分はカットされているようで。

 

JBC Triumph Hurdle (G1) 2m179y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-03-15/cheltenham/508349/jcb-triumph-hurdle-grade-1

時折冷たい雨が降っていたようだが本降りにはならず、レースがGood to Softで行われた。人気はアイルランドにSir Erecから。レースはQuel Destinが逃げる展開。Sir Erecは好位から進めるも、第4障害の飛越直後に故障を発生し途中棄権。そのままQuel Destinが逃げるも、最終コーナーを回ってCoeur Sublimeが抜け出しを図る。しかし内から忍び寄ったPentland HillsがCoeur Sublimeを抑えて勝利した。離れた3着にGardens Of Babylonが入った。

Pentland HillsはHurdleはこれが2戦目。Plumptonの未勝利戦から連勝としたが、幾ら何でも全く出走馬の層の厚さで差のあるPlumptonの未勝利戦を勝った程度ではここでは人気にはならない。Quel Destinは逃げて勝ってきた馬で、今回もさほど厳しいペースを刻んではいないのだが、かえって平地で走ってきたPentland Hillsにとっては勝負所から急激にペースがあがるような、平地のスピードが要求される展開は向いたということだろうか。2着のCoeur SublimeもDown Royalの平場を勝ってきた程度であり、なんとも難解な結果である。Coeur SublimeはうまくDavy Russell騎手が立ち回ったという部分はありそうだが。Tattersalls Ireland Spring Juvenile Hurdle (G1)にてSir Erecの2着に入っていたGardens Of Babylonは馬群を縫うように追い上げてきての3着。Quel Destinはこの荒れ馬場に苦労した可能性がある。Sir Erecの故障は中間挫跖があったり、レース直前に落鉄があったりとなんともcontroversialなのだが、挫跖の影響はないことがBHAから公式に発表されている。おそらく着地に失敗した結果だろう。それにしても、Long Distance Cup (G2)にてStradivariusの3着もあり、Tattersalls Ireland Spring Juvenile Hurdle (G1)勝ちもある馬であり、未去勢のCamelot産駒ということで、障害馬としても種牡馬としても、様々な可能性を秘めた馬なのだが、非常に残念な結果となってしまった。

 

Randox Health Country Handicap Hurdle (G3) 2m179y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-03-15/cheltenham/508350/randox-health-county-handicap-hurdle-grade-3

後方の内から進めたChi'tibelloがWe Have A Dreamの追い上げを凌いで勝利した。3着以下にはCountister、Whiskey Sourと続いた。Dank Skelton調教師はこのレースは昨年のMohaayedから連勝とした。ここ4年では2016年のSuperb Storyでも勝利しており、よほど相性がいいのだろうか。Chi'tibello自身はこれが初の重賞勝利としたが、もともとはG2クラスでもThe New Oneに迫る走りを見せるなどそこそこやれそうな感触のあった馬。今シーズンの序盤はノドの影響があったのか精彩を欠いていたが、どうやらWind Surgeryが良い方向に出たようだ。昨シーズンJuvenile HurdleでG1を2勝したWe Have A Dreamは進境をうかがわせる2着。Juvenile Hurdleで活躍した馬はその後Seniorクラスで苦労することが多いのだが、ようやくクラスに目途をつける走りを見せた。Whiskey Sourはどうにも踏み遅れての4着。今年のRuby Walshは初戦こそ素晴らしい騎乗を見せたものの、どうにもその後は勝負勘が冴えない。

 

Albert Bartlett Novices' Hurdle (G1) 2m7f213y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-03-15/cheltenham/508351/albert-bartlett-novices-hurdle-grade-1-registered-as-the-spa-novices-hurdle

下馬評としてはどうにも混戦模様といったところで、いちおうLeopadstownのDublin Festivalで22fのG1を勝ってきたCommander of Fleetが人気になっていた。対するはイギリスのBallymore Novices' Hurdle (G2)の勝ち馬で、ここまで2戦2勝で来ているPtP出身のBirchdale。なお、Dorrells Pierjiに騎乗するNoel Fehily騎手はこれがCheltenham Festivalは最後の騎乗とのことで、レース前には拍手でパドックに迎えられる一幕があった。

Rockpoint、Derrinrossなどが並んで逃げる展開も、馬群は密集して進行。人気のCommander of Fleet、Birchdaleなどは好位から。2周目に入ってTom ScudamoreがRockpointが促してペースを上げにかかるも、馬群は相変わらず密集して進む。残り4障害辺りから外をふらふらと走っていたMinella Indoが先頭に代わると、そのまま抜け出し、追いかけてきたCommander of Fleetを凌いで勝利した。3着にはAllaho。

昨日のBryony Frostに次ぎ、この日はRachael BlackomoreがCheltenham FestivalのG1制覇を決めた。アイルランドでは常に重賞戦線に顔を出してくる名手なのだが、ここで単勝51倍の馬を持ってくるのだから恐れ入る。Minella IndoはこれがHurdle初勝利で、もともとはPtP出身の馬。初戦の未勝利戦は中段から進めてレースにならなかったようだが、レース振りを見ていると好位で気分よく走らせるほうが良いのだろう。良馬場で行われた前走こそスピードの違いでAllahoとは4馬身差がついていたようで、Good to Soft表示とはいえ最終日で荒れた馬場も向いた可能性がある。ややCheltenhamの特殊な形態を利したような印象もあるため、次走のパフォーマンスには注意しておきたい。Commander of Fleetはパワフルな走りでMinella Indoに迫ったが、終始気分よく立ち回ったMinella Indoには最後まで肉薄することはできなかった。走法を見る限りではもう少し馬場が渋った方が良さを発揮するかもしれない。前走Clonmel競馬場のSurehaul Mercedes-benz Novice Hurlde (G3)にてMinella Indoを下してきたAllahoはスピード能力は高いようだが、どうにも直線を向いてから馬場に脚を取られているようにも見えた。この馬は良馬場の方が良かったように思える。人気の一角Birchdaleは距離面の不安を感じさせるような負け方であった。

 

Cheltenham Gold Cup (G1) 3m2f70y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-03-15/cheltenham/508352/magners-cheltenham-gold-cup-chase-grade-1

https://www.youtube.com/watch?v=P3Ut4HwGJhM

本日のメインレース。とはいえ昨年の1、2着馬Native RiverとMight Biteが今シーズンに入っては精彩を欠いていたり、King George VI Chaseは人気薄のClan Des Obeauxが制したり、Betfair Chase (G1)はHaydock競馬場でだけは尋常ならざる強さを発揮するBristol De Maiが制していたり、アイルランドのG1戦線もやるたびに勝ち馬が代わったりと、どうにも主役と思しき馬が現れないというのが現状であった。結果として押し出されるように昨年のRSA Chase (G1)にてインパクトのある勝ち方を見せたPresenting Percyが人気にはなっていた。

Native Riverがスタート直後から出ムチを使って促していくも全く動かず。Might Biteが引っ張り、好位からInvitation Only、Definitly Redと続く。第一障害で狭いところに入ってしまったKemboyが落馬。第5障害のOpen Ditchを中心にInvitation OnlyやBellshillがミスを繰り返す。何度かミスを下Bellshillは早々にRuby Walshが途中棄権。Invitation Onlyは第10障害にて落馬し、これに躓いたDefinitly Redも落馬。2周目からようやく行き脚がついたNative Riverが先頭に代わり、Might Biteがこれにぴったりとついて行く。しかし昨年のように後続を振り切るには至らず、Al Boum Photo、Bristol De Maiなどを中心に後続が殺到。最終コーナーで手ごたえが悪くなったMight Biteをどかして出てきたAl Boum Photoが直線を向いて抜け出すと、追いかけてきたAnibale Flyを凌ぎ切って勝利した。3着にはBristol De Mai。Native River、Clan Des Obeauxと続いた。Presenting Percyは大敗。Might Biteは途中棄権。

馬場はCheltenham Festival4日目のためにかなり荒れているのだが、昨年のようなSoftな馬場というわけではなく、あくまでGood to Softの状態から穴が開いた馬場と考えた方がいいだろう。逃げたNative Riverはどちらかというと強靭なパワーを生かしたバネのある飛越を見せる馬であり、良馬場よりもSoft程度の馬場でこそ力を発揮する。また、昨年に比べて馬がズブくなっているようで、Richard Johnosnほどの馬を動かせる人が促しても全く進んでいかない。このようにペースがやや落ち着いた上に、残り3障害地点がInvitation Onlyの落馬のためにバイパスされることで、結果的にここで一気に馬群が密集するという事象が発生している。

Al Boum PhotoはRyanair Gold Cup Novice Chase (G1)にてShattered Loveを下してきた馬だが、CheltenhamのRSA Chase (G1)では落馬、Growise Champion Novice Chase (G1)では鞍上のPaul Townendの判断ミスによる謎の逸走と、いまいち不運に見舞われることが多かった。もともと瞬間的な機動力を持った馬で、残り3障害地点の迂回のために馬群が密集したところから、脚が上がったMight Biteをどかして出てくる器用さを見せていた。重馬場でも実績がある馬だが、今回の相手関係を見る限りではこの馬場はこの馬に味方したものと思われる。展開が味方した可能性も高いのだが、まだ7歳と若いNovice上りの馬がここで勝利したことは今後に向けて価値のあるものだろう。それにしても、Willie Mullins調教師はついにCheltenham Gold Cupは初勝利、Paul Townend騎手はGrowise Champion Novice Chase (G1)では散々叩かれたAl Boum Photoでの勝利ということで、非常に感慨深いレースとなった。なお、この後はAuteuilのGrand Steeplechase de Paris (G1)に向かうとのことで、この馬が今期2戦しかこなしていないことを考えると、ここまでフレッシュで調子のよい馬がAuteuilで走ることは非常に楽しみな挑戦である。

昨年はNative Riverの3着、Grand NationalでもTiger Rollの4着に入ったAnibale Flyは見せ場を作った。ゆったりとした高い飛越が特徴的で、ややトップスピードという面では微妙なところがあったのだが、今シーズンは16fのKerry Group Hilly Way Chase (G2)、20fのRed Mills Chase (G2)を使ったことがこの馬のハイペースに対する追走能力を向上させ、かなり良い方向に出ているように見える。ストライドを伸ばして走るタイプなだけに馬群に突っ込んでしまったのはもったいない場面であったが、最後までAl Boum Photoを追い上げる脚を見せていたのは特筆すべきパフォーマンスだろう。高いスピードの持続力を持った強靭なステイヤータイプである。Haydock競馬場では異様な強さを発揮するBristol De MaiはCheltenham競馬場にも関わらず珍しく見せ場を作ったが、馬場が良いためにトップスピードの不足によりハナに行くことが難しい序盤は無理をせず、外々でこの馬のストライドの持続力を生かす競馬をしたのは正解であった。最後は固い馬場での加速力の違いで3着に屈したが、馬場状態次第ではHaydock競馬場以外でも逆転の目があることを示したことはこの馬にとって有意義な結果である。

昨年の勝ち馬Native Riverは4着まで。脚は上がっていないように見えるのだが、今年に入って妙にズブいところを見せているのはやはり気がかりな材料。今シーズンの乾いた天候もこの馬向きではないだろう。9歳とイギリス障害馬としては円熟に域に入っているのだが、まだ老け込むような年齢ではない。再起を期待したい。King George VI Chase (G1)を人気薄で制し、今年の台風の目となっていたClan Des Obeauxは案外な5着。特に最後はやや苦しくなってしまったことは残念な内容であった。この展開であれば見せ場を作って欲しかったのだが、Kemptonの平坦なコースとは違い、Cheltenhamのタフなコースが堪えたのだろうか。

Welsh Grand National (G3)を勝利したElegant Escapeは最後遅れ6着まで。ここに入るとどうにもトップスピードの面では微妙であり、馬場も硬すぎるきらいがあった。今シーズンすでに5戦目とレースを使っており、その疲れもあったかもしれない。人気を背負ったPresenting Percyは全く走らなかったが、さすがにHurdleを1走のみしていきなりここにぶつけてくるのは普通に考えれば無理がある。荒れ馬場で飛越のリズムを崩した可能性もあるだろう。Might Biteは途中棄権に終わったが、平地の脚が要求される場面はこの馬にとっては堪えたか。Wind Surgery明けということで一変していることを期待したのだが、残念な結果に終わってしまった。勝負所の障害がバイパスされていなければ展開は変わったかもしれないが、どうにも今シーズンは早々に馬が諦める場面が多いのが気になる。Thistlecrackは前半から飛越にミスが目立ち、荒れた馬場への対処に手間取ったようだ。紅一点のShattered Loveは24fは長いようだ。パワーのある馬だけにCheltenham競馬場は合っているのだが、残念な結果となった。Yala Enkiは地味に最後まで脚を伸ばしており、当然実績的に考えればここでは格下の存在、スピード能力の面では全く足りないようだが、持ち前のしぶとさを垣間見ることが出来た。自己条件に戻れば面白い存在になるだろう。Invitation Onlyは残念ながら助からなかったとのこと。

 

St. James's Place Foxhunter Challenge Cup Open Hunters' Chase (C2) 3m2f70y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-03-15/cheltenham/508353/st-jamess-place-foxhunter-challenge-cup-open-hunters-chase

マチュア騎手限定戦だが、やはりここに賭けてくる情熱は並々ならぬものがあり、非常に白熱した激しい競馬が展開されている。滅茶苦茶面白いので興味のある人は是非。勝ったのはHazel Hill。Point to Point RacingからHunters' Chaseに移行してからはこれで4連勝であり、Mr Alex Edwardsとの手も合っているようだ。この国の障害競走は、G1のような晴れ舞台とは遠いところにも謎の強さを持った馬が存在しているから素晴らしい。かつてはAscot Chase (G1)にてCue Cardの2着に入ったShantou Flyerはもったいない2着。直線空馬に絡まれた分の着差かと思われるが、2回もAintreeのGrand Nationalに挑戦した馬のしぶとさを垣間見ることが出来た。

 

Johnny Henderson Grand Annual Challenge Cup Handicap Chase (G3) 2m62y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-03-15/cheltenham/508355/johnny-henderson-grand-annual-challenge-cup-handicap-chase-grade-3

途中から先頭に立った12歳馬のCroco Bayが勝利。単勝は66倍の大荒れとなった。Croco Bayは日本でもお馴染みCroco Rougeの産駒で、重賞は初勝利。ここまでC2辺りのハンデ戦を主に使ってきた馬で、あまり重賞クラスでは好走歴がないのだが、勇気をもって出していったKielan Woods騎手の騎乗に応える勝利であった。ちなみにKielan Woods騎手は鞭の使いすぎで制裁を受けたとのこと。この鞭のルールはいい加減ばかばかしい上に非科学的なのでやめた方がいい。

 

Martin Pipe Conditional Jockeys' Handicap Hurdle (C2) 2m4f56y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-03-15/cheltenham/508354/martin-pipe-conditional-jockeys-handicap-hurdle

後方から進めたEarly Doorsが勝利した。最終日の第一レースでSir Erecの事故があったJoseph O'Brien調教師にとっては嬉しい勝利となった。Early DoorsはアイルランドではG3勝ちのある馬だが、どうもG1クラスとなると厳しいようで、おそらくこのようなハンデ戦が活躍の舞台となるものと思われるが、11st10lbのトップハンデを背負って勝利したことは非常に価値ある内容だろう。