にげうまメモ

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19/04/05 National Hunt Racing

*Aintree Soft (Good to Soft in places)

Top Novices' Hurdle (G1) 2m103y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-04-05/aintree/518059/betway-top-novices-hurdle-grade-1

先日の雨で馬場はSoft表示なのだが、特に雨が降ることもなく、馬場はそのまま良化が進んでいたようだ。レースは前半から積極的にFelix Desjyが飛ばす展開。少しずつAramonが接近してくるが、Felix Desjyの逃げ足は最後まで衰えず、最後は1馬身半ほどAramonを凌いで勝利した。Itchy Feetは4着まで。

Felix DesjyはPunchestownのMoscow Flyer Novice Hurdle (G2)を勝利した馬で、Supreme Novices' Hurdle (G1)では前半から行きたがって走りスタミナを浪費した挙句、最後の障害をミスして5着まで着順を落としている。だいぶ気性的に前向きな馬のようだが、どうにも飛越には怪しさが残っており、今回は前半から積極的に進めることでリラックスして馬を走らせたJack Kennedy騎手の好騎乗もあった。特に第4障害で踏み切り位置のミスにより後肢を引っ掛けているのだが、そこから立て直してさらにペースを上げていく騎乗は達人芸の域である。どうやら来シーズンはChaseに行くとのことで、もう少しこのスピードに乗せた飛越技術が上がってくればよいのだが。Future Champions Novice Hurdle (G1)の勝ち馬Aramonは惜しい2着だが、どちらかというとこの馬は前半から激しく脚を使わされるよりも、馬群が密集してレースが進行し、この馬の爆発力を生かす展開の方が合っているだろう。重馬場は良さそうなタイプではない印象であり、できればもう少し馬場は乾いた状態でやりたかった。前走のSupreme Novices' Hurdle (G1)でもいまいち条件が合わなかったところもあり、今後の巻き返しが期待される。Itchy Feetは終始もたもたと走っており、最後はじわじわと伸び4着まで食い込んできていた。だいぶズブいところがあるのか、いずれにせよ距離延長で良くなる可能性を秘めている。

 

Mildmay Novices' Chase (G1) 3m210y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-04-05/aintree/518060/betway-mildmay-novices-chase-grade-1

Top Ville Benが逃げる展開も、好位からレースを進めたLostintranslationがほぼ持ったままで抜け出すと、軽く気合をつけただけで後続に6馬身差をつける圧勝。2着には人気のTopofthegamesが入った。

LostintranslationはJLT Novices' Chase (G1)、Scilly Isles Novices' Chase (G1)と、いずれも瞬発力に優れたDefi Du Seuilに屈する形の2着に入っていた。その前もやはり瞬発力のあるLa Bague Au Roiに屈するようなレースを続けており、要するにスピード能力は高いものの、どちらかというと伸びやかな飛越を武器にロングスパートを掛ける方が合っているタイプなのだろう。Aintree競馬場はMersey Novices' Hurdle (G1)にてBlack Opの2着に入っている辺り、コース適性も高いようだ。Aintree競馬場は坂の多いCheltenhamやChepstowなどとは異なり、とにかく終始平坦なコースであり、ある程度自力で加速が出来ること、上り坂で踏ん張るパワーよりも加速したスピードをストライドの持続能力のような形でスムーズに維持するような能力を要求されるコースであり、この馬のようなタイプにはうってつけの舞台であった。Robbie Power騎手のこの馬に対する評価は非常に高いようで、前走の評価通りに距離延長でパフォーマンスを上げてきたのも面白い内容である。

RSA Chase (G1)を勝利したTopofthegamesは2着まで。この馬はLostintranslationとは真逆のCheltenham競馬場に高度に適応したタイプで、自力で加速がかけられないために、(大柄な馬体と)下り坂による加速が必要である。ただし上り坂を踏ん張るパワーには長けた馬で、前走も馬群の内側で我慢しながらも、下り坂を利して加速する馬群と同時に加速をかけ、直線の坂において違いを見せることでSantini以下を下してきた。おそらくHarry Cobdon騎手は前走のCheltenhamと同様のイメージで乗ったものと思われるが、今回は坂による加速が出来ない上に、直線にも上り坂がないためにここで違いを生み出すことが出来なかった。理想的な騎乗であったとは言い難いのだが、仮に理想的な騎乗をしてもLostintranslationとの差を埋めることは厳しかっただろう。さすがに基本性能の高さで2着まで滑り込んだものの、Aintree競馬場は基本的に鬼門と考えていいかもしれない。

RSA Chase (G1)では落馬に終わるも、その直後のNovice C3で37馬身差の圧勝劇を演じてきたTop Ville Benは見せ場を作る3着。さすがにこのクラスで勝ち切るのは苦しそうだが、逃げてこの馬の飛越のリズムを作ることでレースに参加することが出来る。NavanのTen Up Novice Chase (G2)を勝ってきたChris's Dreamは案外。Crucial Roleは残念ながら予後不良とのこと。

 

JLT Chase (Melling Chase) (G1) 2m3f200y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-04-05/aintree/518061/jlt-chase-registered-as-the-melling-chase-grade-1

Woodland Operaが回避して5頭立てとなった。レースはMinが積極的に逃げる展開。Hell's Kitchenなどが好位から進めるが、残り3障害辺りからMinが後続を突き放すと、そのまま20馬身差をつける圧勝。2着にはPolitologueが上がった。Waiting Patiently、Hell's Kitchenと続いた。

衝撃的なレースである。MinはこれでG1は4勝目(+1位入線降着)なのだが、今までのパフォーマンスは何だったのだろうかと疑問が出てくるようなレースであった。Minは好位から進めつつ、その運動神経の高さを生かした強烈な爆発力を生かしたレースをしていたのだが、どうにも気性的に前向きすぎる部分があり、持ったままで進出してきたはいいものの追ってから案外であったり、馬群の中で我慢しているうちに消耗していたりというレースも見られていた。おそらく騎手の手応えとは裏腹に馬が全力を出して走ってしまうようなエピファネイアに似たようなタイプなのだろう。今回はWoodland Operaの回避により逃げたいタイプがいなくなったのだが、Ruby Walshがあえてハナに行かせることで馬をリラックスして走らせ、この馬の高いスピード能力と爆発力を存分に引き出した結果だろう。気性的に前向きすぎるだけに距離的には20fまでが精々だと思うのだが、ここまでなにかとAltiorには屈していたアイルランドの強豪の新たな可能性を開くレースであったことは間違いない。

昨年の勝ち馬Politologueは2着まで頑張った。いくら何でも勝ち馬のスピード能力が高すぎるだけに、早々からエンジン全開で走ることを要求され、結果的に最後はかなり苦しくなっている。むしろレース後に鼻出血が見つかったとのことで、どちらかというとストライドの持続力を生かすこの馬にとっては、やや今後が心配な結果となってしまった。Waiting Patientlyは3着まで踏ん張ったが、どうにもここまでのスピードにはついて行けないようで、あくまでペースが落ち着いたときに浮上してくる20fの馬という評価だろう。24fを走れるのであれば可能性が開けるのだが。上り馬Hell's Kitchenはこの馬の出来ることはやり切っての4着。

 

Topham Chase (National) (G3) 2m5f19y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-04-05/aintree/518062/randox-health-topham-handicap-chase-grade-3-national-course

積極的に運んだCadmiumが勝利。やや離れてSub Lieutenant、Doitforthevillageと続いた。Forest de Aiglesは最終障害の辺りまで勝ち馬を捉えるかという位置にいたのだが、おそらく最終障害の数歩手前からか、残念ながら気の毒なことになってしまった。

 

Doom Bar Sefton Novices' Hurdle (G1) 3m149y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-04-05/aintree/518063/doom-bar-sefton-novices-hurdle-grade-1

Kingsplace、Lisnagar Oscarなどがハナに行くもレースはひたすら密集して進行。この馬群をぶち抜いて出てきたChampがEmitomに3馬身差をつけて勝利した。

ChampはBallymore Novices' Hurdle (G1)にて2着のある馬。このレース自体、外々から加速をつけて行く王道の競馬を行っており、その内側をうまくすり抜けてきたCity Islandに足元を掬われたという印象で、内容的にはほぼ勝ちに等しいものである。その前もChallow Novices' Hurdle (G1)勝ちなど、かなり機動力の点では素晴らしい物を見せており、今回もその性能通りのレースを見せた。相当狭いところを抜けてくる機動力はここでは卓越しており、距離延長にも対応したことは高く評価できる。ただしメンバー的にはこれまでのレースと比べるとだいぶ落ちるということは注意しておいた方がいいかもしれない。