にげうまメモ

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19/05/01 National Hunt Racing

*Punchestown Yielding

Irish Daily Mirror Novice Hurdle (G1) 3m

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-05-01/punchestown/522641/irish-daily-mirror-novice-hurdle-grade-1

早々にCommender of FleetとDefi Bleuの2頭が途中棄権するアクシデント。ゆったりと逃げた人気のAllahoだが、残り2障害辺りからこれに並びかけたMinella IndoがAllahoとの叩き合いを制して勝利した。

Rachael Blackmoreは今年29になる女性騎手だが、今シーズンはトータルで600戦以上騎乗し、90勝近い勝利を挙げるというキャリアハイのシーズンとなった。勝ったMinella IndoはこれでCheltenhamのAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G1)から連勝とした。PunchestownはCheltenhamと同様に残り数障害地点から一気の下り坂が存在しており、この辺りの加速がうまくいった可能性はあるのだが、それ以上に単勝50倍での勝利となったAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G1)がフロックではないことを見せるレースであった。ただし、やや加速においてはズブいように見える部分もあり、来シーズンはChase転向という話も出ているようだ。Allahoは例によって惜しい2着。

 

Punchestown Gold Cup (G1) 3m120y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-05-01/punchestown/522642/coral-punchestown-gold-cup-grade-1

KemboyとDefinitly Redが並んで逃げる展開。少しずつギアを上げたDefinitly Redだが、勝負所からやや手ごたえが悪くなりKemboyが抜け出しにかかる。これを追いかけてAl Boum Photoがじわじわと迫るが、KemboyがAl Boum Photoを振り切って勝利した。3着以下は大きく離れた。

Kemboyはこれで前走のBowl Chase (G1)に続いて連勝、今シーズンはG1は3勝目と躍進のシーズンとした。以前はかなり気性的に難しいところがあり、さらに飛越に関してもポカが多かったりと問題のある馬だったのだが、だいぶそのような悪癖も解消されている。ただし道中もやや前向きに走りすぎる面があり、おそらく来シーズンの課題はこの辺りになるだろう。Bowl Chase (G1)やSavills Chase (G1)ではスローで流れるところを一気の加速力で後続を置き去りにして勝ってきていたのだが、ここではじわじわとDefinitly Redからプレッシャーを掛けられるところ、最後までAl Boum Photoを凌ぎ切った内容はこの馬の進歩を感じさせる内容である。ただしPunchestownのゴール前には坂がなく、残り数障害地点の下り坂兼カーブを利して加速が出来るため、ゴール前に急坂のあるCheltenhamでも同様に踏ん張り切れるかどうかはわからない。

Cheltenham Gold Cup (G1)を勝利したAl Boum Photoは力を見せた。元々瞬間的なスピード能力は高い馬だが、Cheltenhamでは手ごたえが悪くなったMight Biteをどかす器用さを見せていた上に、特異なストライド持続能力を持つAnibale Flyを凌ぎ切るしぶとさを見せており、ここでもその機動力はKemboyのスパートについて行ったことが示している。最後までKemboyに肉薄する走りは条件替わりによる逆転の可能性を感じさせるものだろう。この2頭の走りは来シーズンも注目したい。

それにしても、Cheltenham Gold Cup組でも、パワーとストライドのAnibale FlyやHaydockの主であるBristol De Mai、さらにKing George VI Chase (G1)で一躍有名になったClan Des Obeauxとタレント揃いな上に、RSA Chase (G1)にはCheltenhamの上り坂を得意とするTopofthegames、スピードのあるSantini、さらにMildmay Novices' Chase (G1)を圧勝したロングスパート能力の高いLostintranslation、昨日のDooley Insurance Group Champion Novice Chase (G1)を圧勝したDelta Workなど、Noviceクラスも非常に多様な個性派が揃っている。加えて、16f Chase路線から稀代の名障害馬Altiorが距離延長を試みるようで、来シーズンのこの路線は非常に華やかなメンバーになりそうだ。

昨年の勝ち馬Bellshillは最後失速し4着。できればもう少し馬場は渋った方が良かったかもしれないが、どうにも前走のCheltenham Gold Cup (G1)でも途中棄権に終わっていたりと、流れがいまいちよくないのが気になるところ。Definitly Redは積極的に運んだが最後は失速。どちらかというとG2クラスの緩い流れの方が向く馬で、ここまで厳しい競馬となるとどうにも一歩遅れる印象がある。The Storytellerは後ろの方でこっそり走っていたのだが、BellshillやDefinitly Redなどが失速してきたのを利して3着まで浮上していたらしい。

なお、Kemboyに騎乗していたRuby Walshはこのレースの直後に引退を発表した。この人の残した偉大な功績を語るにはこの記事の余白は小さすぎる。昨シーズンの途中で2回ほど大きな怪我に見舞われており、今シーズンは復帰するもだいぶ乗鞍を制限していたようだ。ここのところはRacing TVの広告塔になっていたりしたのだが、今後はメディア関連の仕事をするとのこと。