にげうまメモ

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19/05/11 Japanese Racing

*Kyoto Firm

Kyoto High Jump (JG2) 3930m

9歳馬のタマモプラネットが圧倒的人気に押されていた。その他、オープンクラスの常連のアズマタックン、上り馬キークラッカーなど。

レースは例によってタマモプラネットが大逃げを打つ展開。ウインレーベンが一頭ポツンと2番手で追走、その後ろにシゲルヒノクニ、ピエナクルーズなど。早々に制御を欠いていたキークラッカーは最後方から。京都名物の三段飛びにてメイショウゴウキが落馬。タマモプラネットは軽快に飛ばすも、最終障害を越えると一気に後続が殺到。その筆頭にいたシゲルヒノクニがピエナクルーズ、メイショウタンヅツの追い上げを凌いで勝利した。タマモプラネットは4着。

タマモプラネットは日本障害競走において主体となる3200m程度の距離で良績を残してきた馬で、京都ジャンプステークス(JG3)、牛若丸ジャンプステークスと連勝していたのはいいものの、いずれも3170mという距離であった。本来惰性で押し切るようなタイプの逃げ馬ではなく、勝気な気性でスピードに任せてぶっ飛ばすというタイプの逃げ馬であり、9歳とだいぶ年齢を重ねたここでもそれは変わっていない。以前は暴走気味に逃げては失速するなど制御に苦労する面があったのだが、ここのところはようやくこの馬自身のペースを掴んできたらしく、3200m程度の距離であればある程度好きに走らせても最後までスタミナが持つようになっては来ている。しかし一気の距離延長となったこのレースにおいて、本来惰性で粘り切るようなタイプの馬ではなく、しかも腕力で馬を持たせるパワーもない騎手が、馬の好きなように走らせるという戦法は、見ごたえこそあれどさすがに失策であったと言わざるを得ないだろう。飛越技術自体はさほど悪い物を持っている馬ではないのだが、ほぼ馬が好きなように走っている前半は踏み切り位置が大きく乱れており、特にスタンド手前の1号障害では大きなミスもあった。ポーランドチェコ障害競走にて後続に15秒近い差をつける大逃げを打ったことすらある暴走馬Trimですら抑えようと何とか頑張っている。抑えきれないのならば行かせてしまえというのは平地競争的な思想の強い日本障害競馬にありがちな展開であり、それ自体必ずしも間違いではないのだ、が。

レースとしてはほぼタマモプラネットの自爆なのでなんとも難しいのだが、シゲルヒノクニは一気の距離延長ながらパフォーマンスを上げてきた。タマモプラネットを除けばメンバーとしては通常のオープンクラスであり、JG2クラスとは言い難いところがあるのだが、タマモプラネットを除けば飛越自体はこの中では安定したものを見せており、後続の中では早めに前を追いかけに行く植野騎手の仕掛けのタイミングも見事であった。ピエナクルーズはシゲルヒノクニとは対照的に最終障害を越えてからスパートを掛けているのだが、空馬の対処にやや苦労したところがあり、この辺りはレース運びの彩だろう。三段飛びで後肢をぶつけるようなところがあったが、あればBanquetteにてよく見られるタイプのミスである。PauのCross Countryといった京都競馬場よりもはるかに巨大なBanquetteが連続するコースであれば致命的なミスに繋がるものなのだが、日本ではさほど気にする必要はないだろう。

メイショウタンヅツはやや追い負ける形の3着。飛越もいまいちなところが散見された。未勝利を勝ったばかりの馬であり、これからの飛越技術の向上が必要だろう。対抗角として期待されたアズマタックンは終始飛越が安定せず、頑張って2番手集団にはつけていたが、そこからのスパートには参加できず。ウインレーベンはポジション自体は良かったのだが、飛越はどうにも拙いものがあった。あの飛越では脚が上がるのも仕方がない。キークラッカーは早々から制御を欠いており、今回はレースになっていなかった。メイショウゴウキは3段飛びの着地にて後肢を落とす格好での落馬。日本の騎手は頑張ってしがみつくということをせずバランスが崩れたらあっさり転がり落ちるため、あのようなミスは致命傷になる。