にげうまメモ

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19/07/27 Japanese Racing

*Kokura Firm

Kokura Summer Jump (JG3) 3390m

上り馬メイショウダッサイが圧倒的な人気を集めていた。対抗馬としてタマモプラネット。その他中京で未勝利戦を圧勝してきたボナパルト、葦毛のシークレットパスなど。

例によってタマモプラネットが逃げる展開も、バンケットを下る辺りで故障があったようで競争中止。代わってメイショウダッサイが逃げると、そのまま追いかけてきたアグリッパーバイオを抑えて勝利した。後方から追い上げたメイショウタンヅツが3着。ボナパルト、シークレットパスは着順を落とした。

タマモプラネットは若干距離不安があったのか人気を落としていたらしいが、そこできっちりとメイショウダッサイを押してくる日本の競馬ファンはさすがといったところである。タマモプラネットは右肩跛行であったようで、今日は最初から行きっぷりが悪かった辺り、馬も何かしら感づいていたのかもしれない。メイショウダッサイはこれで2連勝とした。小倉では未勝利勝ちがあるように経験はあり、その後も阪神、京都、中山、東京と結果を残しているのだが、それ以上にここ数戦で一気に馬が変わってきた感がある。若干飛越に関しては怪しい部分は残っていたが、修正可能な範囲であり問題はないだろう。飛越において馬が自信を持って飛んでいる雰囲気があり、この馬のスピード能力をフルに生かすことが出来ていた。昨年3着のアグリッパーバイオも見せ場を作った。小倉も得意としている西谷騎手との手も合うようだ。未勝利戦を圧勝してきたボナパルトは案外であったが、さすがに新潟の置き障害から小倉の障害となると、さすがに不安が残るものがある。ここを使って良くなってくることを期待したい。シークレットパスは積極的に前を追いかけていたが、最後は苦しくなり後退。

 

【その他】

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小倉サマージャンプの2015年の勝ち馬で、その後も2017年、2018年と惜しい2着に入っていたアップトゥデイトの引退が発表された。引退レースとなった2018年の中山大障害では明らかな騎乗ミスにより落馬に終わり、結果的に当時の故障から復帰することなく引退となったのは非常に残念な結末ではあるのだが、相次ぐチャンピオンホースの離脱により主役不在の危機的状況に陥っていた日本障害競馬界において、長期に渡り絶対的な地位を築き上げることで、その人気の復興において大きな役割を果たした馬であることは間違いない。その後現れた歴史的な名障害馬であるオジュウチョウサンとの対決に勝利することはなかったものの、2017年の中山大障害で魅せたような一見オーバーペース気味の逃亡劇により、圧倒的なスピードと持続力を発揮した際にはオジュウチョウサン以下の馬に対してその影をも踏ませることすらなく、その存在感は2015年の中山大障害以降は重賞3勝のみに留まったという戦績以上のものがある。大柄で緩慢な馬体から繰り出される強靭なストライドの持続力は、父クロフネのそれを思い起こさせるほどの現役屈指のものがあり、若干障害手前でブレーキを掛ける面こそ最後まで解消されなかったものの、その強靭なパワーとスピードの持続力、そして飛越技術の高さは、フジノオー以降ただの一頭も海外遠征を敢行していない日本障害競走において現れた「本格的な」障害馬のそれであった。オーバーペース気味で引っ張りながらも飛越のリズムを強引に作り出していくような、一見玉砕的なまでの大逃げこそ、この馬の性質をフルに引き出すことが出来る正攻法の戦い方であり、このストライド持続能力と飛越技術は欧州・オセアニア障害競走においても通用する可能性を感じさせるものであった。オジュウチョウサンの欧州障害競走への挑戦は競馬ファンの間で度々話題になるものだが、その実オジュウチョウサンよりも海外障害競走において活躍する可能性を秘めていたのはこの馬であったように感じる。

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