にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

19/10/12 Czech Racing - Velká Pardubická Result

*Pardubice 3.5 (dobrá / Good)

129. Velká Pardubická se Slavia pojišťovnou

Steeplechase crosscountry L - 6900 m, cena, 6letí a starší 5.000.000 Kč

 

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写真はVelká Pardubickáのパドックに混じっていたOrphee Des Blins。チェコ語のアナウンスで全く聞き取れなかった中になぜか"Orphee Des Blins!"みたいな単語が聞こえて、妙にわちゃわちゃした高齢の馬が出てきたなぁと思ったら、まさかのOrphee Des Blins。まごうことなきあのOrphee Des Blins。目を見るとやはり高齢馬のそれですが、むしろこれから走るんじゃないかくらい元気いっぱいで周回していました。

 

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twitterで散々呟いていた通り、今年は現地に行っていました。実はVelká Pardubickáの前日にもPardubice競馬場の開催はあって("Překážkové dostihy"というProutky及びSteeplechaseのレースが行われる開催)、土曜日にも競馬場に行くために前々日の金曜日からPardubiceの街に滞在しているという豪華日程でした。Velká Pardubickáに合わせて開催されるPardubiceのお祭りで夕暮れの街を眺めながら散々ビールを飲んだり、街中をうろうろと観光したり、現地の友人に色々と案内していただいたりと、わりとVelká Pardubickáを街中の雰囲気まで含めて満喫してきたりしました。チェコという国はチェコ語が超絶難しかったり日本ではあまり知られていなかったりと、なにかとハードルが高いのですが、一度行くとまた行きたくなる国ですね。レース以外の話は下記のホームページのコラムで書きます。年内には。ニュージーランド旅行記も書かねばならないので許してください。

出走馬の話は以下の記事で。その他のレースの話は別の記事で書きます。

 

前評判としては、連覇を狙うTzigane Du Berlaisが人気の中心になっていた。これに続くのが上がり馬Theophilos。やや遅れて同じく上り馬のTalent、今年3戦3勝と波に乗る11歳馬Ange Guardian、イタリアGran Premio Merano (G1)の勝ち馬で、昨年からPardubiceのCross Countryに参戦しているMazhilis、昨年ポーランドSteeplechaseを席巻したSztorm。Charlie Mann調教師が送り込んできた2014年のLambro以来のイギリス調教馬Rathlin Roseはその後の評価であった。

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2018年の勝ち馬Tzigane Du BerlaisとJan Faltejsek騎手。Jan Faltejsek騎手はチェコ・イタリア障害競馬ではトップジョッキーに数えられる名手である。

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TheophilosとJosef Bartoš騎手。Josef Bartoš騎手もチェコのトップジョッキーである。

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2015年の勝ち馬(2位入線)RebelinoとAndrew Glassonbury騎手。

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紅一点Delight Miy FireとSertash Ferhanov騎手。今年からVelká Pardubickáに関してはゼッケンに馬番だけでなく、名前も記載するようになったらしい。日本の競馬では当たり前のことなのだが、海外障害競馬ではかなり珍しい。

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今年の9月にフランスから移籍して話題になったBeau RochelaisとAlexandre Orain騎手。ただしやはりフランスでの実績を鑑みて、前評判としてはさほど高くなかったようだ。

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よくよく見るとうっすら流星のあるKrocoleonとLukáš Sloup騎手。Jockey Clubのホームページを見ると、"ž"という記号のついていない騎手だが、要するに若手騎手らしい。

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おそらく逃げると思われるBridgeurとJaroslav Myška騎手。深いブリンカーが目立つ馬。

 

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むしろ出走馬より元気なんじゃないかというくらいのOrphee Des Blinsを先頭に本馬場入場。馬番号順に並んで一頭一頭紹介される。あちらの中継を見ている人にはお馴染みの光景だろう。

 

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あちらではわりとよくある障害飛越を行う返し馬。障害飛越に対する心理的ハードルが高い日本競馬ファンにはだいぶ驚かれるようだが。ちなみに使用する障害は非常に平易なものである。

 

レースはよくあるFalse Startから。スターターのおばはんが"Ne! Ne! Ne!"と叫んでいるが要するに"No! No! No!"という意味。とりあえず出てくるのはPlayerとStretton。逃げると思われたBridgeurはやや出遅れたのか中段から。第3障害のMalý vodní příkop(Small water jump)までは全馬見事にクリアする。

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Velký Taxisův příkop(Taxis Jump)に向かう各馬。競馬場の歓声もひときわ大きくなる。

最難関の第4障害Velký Taxisův příkop(Taxis Jump)にてRebelino、Beau Rochelais、Mahony、さらに昨年の勝ち馬Tzigane Du Berlaisの4頭が落馬。さらに第5障害のIrská lavice (Irish Bank)では一頭馬群から離れて進んでいたBridgeurが障害に一気に突っ込んでいくと、そのまま位置を上げて先頭集団に。第6障害のPopkovický skok(railed hedge with ditch)にて後方にいたDelight My Fireがやや凝集した馬群に突っかかる形で落馬。第6障害で内に斜飛したBridgeurが先頭に代わる。これを追いかけてPlayer、Stretton、Talent。やや遅れてVandual、Rathlin Rose、Mazhilis、Zarif、Theophilos、Chicname De Cotteなどといった隊列。例によってAnge Guardianは後方から進める。ちなみにレース映像において、Pardubice競馬場に特有の2連続障害であるMalé zahrádky(small gardens, double railed hedge)の後くらいにゼッケンが外れた状態で映っているのはMahonyである。

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Irská lavice(Irish Bank)を越える各馬。一番左にいる、障害の頂上においても重心をぐっと下げて、障害に突っ込むように障害飛越を試みている馬がBridgeurである。慣れない馬にとって、Velká Pardubickáの激しいペースでIrská lavice(Irish Bank)を越えることは非常に難易度が高いのだが(下級条件戦では非常にゆっくりとこの障害を越える光景を見ることが出来る)、今年はここでのアクシデントは特になし。

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Bridgeurはそのまま緩めずに引っ張り、馬群はやや長くなる。中盤の生垣障害で後方にいたTemplářがややミスをした以外は特に大きなアクシデントもなく、淡々とレースは進行する。Ange Guardianはこの辺りで絡んできた空馬の処理もあり、相変わらず最後方からレースを進める。スタンド前のDropにて後方にいたAnge Guardianが小さなミスをし、やや馬群から数馬身ほど置かれるもすぐに立て直す。

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スタンド前のDropを越える各馬。

Hadí příkop(snake ditch, water jump - jump down)とVelký vodní příkop(big water jump)を越えた、Malý Taxisův příkop(small taxis jump)の辺りから、番手にいたStrettonがBridgeurに並びかけるも、Bridgeurはこれに抵抗し、その後の2連続障害であるVelké zahrádky(gardens, double railed hedge)を越えたあたりでは再度単騎逃げの格好になる。番手にいたVandualはやや後退し、代わってRathlin Roseが前に出てくる。Suchý příkop (za lesem)(Dry ditch)にて後方にいたKrocoleonがミス、競争中止。この辺りから後方にいたAnge Guardianが数頭交わして進出を開始。さらに中段にいたTheophilosも一気に前へと進出し、馬群はやや脱落したDulcar de Sivola、Templářなどを残して密集する形となる。

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先頭を進むBridgeurは抵抗を試みるも、Havlův skok(Havel's Jump)の着地にて大きなミスをすると、立て直すのに手間取り後方へと脱落、そのままSteeplechase Courseに入る辺りで競争中止。代わって先頭に立ったのがStrettonで、これにRathlin Roseが接近。しかしその後のSteeplechaseを越えたあたりから内をすくって出てきたTheophilosが先頭に代わると、じわじわとStrettonを振り切りにかかる。さらに追いかけてきたのがChicname De Cotte、Ange Guardian、Mazhilis。イギリスのRathlin Roseは脱落。しかしStrettonはさらに抵抗すると、最終障害を越えてTheophilosを交わして先頭に。さらに内からChicname De Cotteが忍び寄る。しかしここから再度抵抗したTheophilosがStretton、Chicname De Cotteを抑えると、約1馬身ほどの差をつけてStrettonに勝利した。3着にChicname De Cotte。やや遅れた4着にMazhilis。Ange Guardianは5着まで。イギリスのRathlin Roseは大健闘の6着。その他Vandual、Dulcar De Sivola、Sztorm、Zarif、Templářが完走した馬である。

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f:id:virgos2g:20191019175647j:plainTheophilosの鞍上のJosef Bartoš騎手の形相を見よ。これがダービー馬すら障害競走を走るチェコという国の最高峰、Velká Pardubickáを勝つという意味である。

 

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イギリス調教馬Rathlin RoseのJames Best騎手に祝福されるJosef Bartoš騎手。

逃げたBridgeurはいわゆるワンペース型の逃げ馬で、どうにも集中力に課題があるのか深いブリンカーをつけているのだが、最近は気性面での成長があるのか、以前のように集中力の問題をカバーするために玉砕的なペースで飛ばす必要はなくなっている。今回はスタートこそFalse Startの影響で出遅れたものの、馬群全体が障害飛越のために激しいペースで進行するVelký Taxisův příkop(Taxis Jump)までは強引にハナを主張せず中段でリラックスして走らせつつ、ペースの落ちるIrská lavice(Irish Bank)の辺りから持ち前の Irská laviceへの対応力を生かして前に進出し、例の如く先頭を奪うという技ありのレース運びを見せた。とはいえそこからはいつもの通りのBridgeurのレースであり、淡々と進めつつもペースを落とし切らずに引っ張るという展開である。Bridgeurは最近では前半無理に飛ばさず、後半のSteeplechase Courseに入る手前辺りからペースアップを試みるような戦術を展開しており、これは前走のIII. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase (Stcc NL)にて見せたものである。従って、Bridgeurに騎乗していたJaroslav Myška騎手としては、おそらく大きなミスをしたHavlův skok(Havel's Jump)の辺りから極限まで馬の体力を絞り出すようなペースアップを試みたかったのだろうが、そこまでのレース運びの結果として、Havlův skok(Havel's Jump)の辺りまでは比較的各馬とも体力が温存され、そこからどこまでペースアップをすることができるかという勝負になっている。

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勝ったTheophilosは9歳にして初のVelká Pardubická参戦であり、2017年の段階ではどちらかというと4000メートルクラスのレースで結果を出していただけに一気の距離延長に不安があったのだが、今回はそれを払拭する勝利を見せた。今年の6月には3300メートルのČervnová cross country Válečníka(Stcc I. kat.)にてMedicの2着に入っており、当時のメンバーはちょうど前のレースのPoplerův memoriál skupiny Profireal Group(Stcc NL)を勝利したTiara Manをはじめ、現時点のチェコCross Countryの3000メートルクラスの路線を代表するメンバーが揃っていた。3000メートルクラスでは長距離路線とは異なるペースでレースが進行するのだが、現時点でも同レースに対応できるスピード能力の高さはここでも光るものがあった。Bridgeurの作りだしたペースにより、レース運びの上手さと機動力がモノをいうレースとなったということもあるのだが、レースが全体的に動きを見せ始めたVelký anglický skok(big english jump - ditch and hedge)の辺りからするすると前に取りついて行く機動力と安定感は、この馬にとっての大きな武器なのだろう。戦前こそ距離不安も囁かれていたのだが、IV. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)からパフォーマンスを上げたことは、むしろこの距離への適性を物語るものである。

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Strettonは昨年のVelká Pardubickáの3着馬であるものの、どうにも今年に入ってからはいまいちな戦績ということもあり、やや人気を落としていたようだ。とはいえ昨年もコンビを組んだThomas Garner騎手を背に、終始Bridgeurの番手で張り続ける堂々たるレース振りを見せた。最後はTheophilosの抵抗に屈したものの、一旦はスピード能力で勝るTheophilosが抜け出したところを最終障害の飛越一発で交わし去り、直線に入るところではあわや勝利かという場面まで作りだしている。明らかに距離が伸びれば伸びるほど良いタイプである。おそらく来年のkvalifikaceでも好位から進めていまいち伸びきれずというレースをするのだろうが、本番では侮ってはいけない一頭である。走法を見ていると明らかにステイヤーのそれであり、特別早い脚はなさそうなので、自らペースを刻むか、番手でもより強気に馬を動かしていっても面白いかもしれない。

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正直なところ1ミリも来ると思っていなかったのが3着のChicname De Cotte。現地のモニターは小さくてどうにも現状認識がついて行かないのだが、ゴールした直後くらいまでMahonyだと思っていてびっくりした。Jockey Clubの人気順でも最低人気である。もともとフランスではPauのCross Countryを主戦場としていた馬だが、Pauは冬場に行われるため馬場が悪いことが多く、かつBanquetteをはじめややトリッキーな障害が多いため、Pardubiceへの外挿性というとどうにも疑問が残る部分があった。チェコに移籍後のPardubiceではどうにも飛越のリズムが悪く、Pauとは異なるタイプの障害に対して十分に対応できていないようなレース振りが目立っていた。今回もIrská lavice(Irish Bank)の対応はどうにもいまいちであったのだが、そこからはJordan Duchene騎手がMalý Taxisův příkop(small taxis jump)の直後をはじめ、随所で気合をつけて馬を動かしていくことでPardubiceの障害にも対応していた。Bridgeurが緩めずに引っ張ったためかえって飛越のリズムを掴むことができたこと、また本来距離もこれくらいあった方がいいのだろう。7歳とさほど年齢を重ねているわけではないのだが、もしかするとかなりズブいタイプの馬なのかもしれない。Malý Taxisův příkop(small taxis jump)の辺りでは後方に置かれながらも、そこからかなり長いスパートをかけて3着まで追い上げてきている。このレース振りから考えれば、人気はなかったにも関わらず3着に来た結果はフロックでもなんでもない。もともとはPauのGrand Cross de Pau (Listed)にも参戦するくらいのポテンシャルを持った馬。ここ2戦のパフォーマンスはフランス時代から考えれば大いに悲しいものであったのだが、来年が非常に楽しみになるレース振りであった。

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MazhilisはStrettonの一枚後ろで張り続けて4着に入った。ちょうど馬群が密集を始めたVelký anglický skok(big english jump - ditch and hedge)でミスして位置を下げ、Steeplechase Courseの辺りでバテて下がってきたRathlin Roseを捌くのに苦労したのが勿体なかった。レース運び次第では勝負圏内に加わる可能性があっただろう。PardubiceのCross Countryに戻してから延々と惜敗が続いているように、どうにもフラットのスピード能力という点ではいまいちのようで、今回も前述の不利を跳ね返せずに終わった。とはいえGran Premio Merano (G1)の5000メートルから6900メートルと大きく距離延長があったにもかかわらず、最後までバテずに脚を伸ばしており、10歳となった今年もそのタフネスぶりをいかんなく見せてくれた。やや年齢は重ねているが、もう一度大きな仕事をやってのけるだけのポテンシャルを持った馬。いずれにせよ、この馬もStrettonと同様に、超長距離戦において強気に前に出していった方がいいタイプの馬だと思われる。

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今年に入ってから3戦3勝で挑んできたAnge Guardianは5着に終わった。Dropで小さなミスをしたり、後方で空馬に絡まれたりとリズムを乱すようなアクシデントが色々あったのだが、やはり余裕を持って全体が一斉に動き出すようなレース展開となると、この馬にとってはどうにも動きにくいというところがある。フラットのスピード能力としてはだいぶ微妙なところがあるので、最終障害を越える辺りにはレース運びの上手さを生かして先頭に立っておきたかったのだが、今回はレース展開がそれを許さなかった。最後力一杯追いこんできたMazhilisと比べると、やはり後方から動ききろうとした分か、ゴール手前では脚が鈍ったようにも見える。11歳という年齢もあり、来年はどこまでやれるのかはわからないのだが、少なくとも今年に入ってのこれまでの3戦で見せた安定感は素晴らしいものがあるため、なんとか来年も再チャレンジして欲しいところである。

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イギリスから参戦したRathlin Roseは6着まで。Steeplechase Courseに入るところまでは先頭集団に食らいついており、レース内容としては大健闘といったところだろう。そこからはさすがにバテたようだが、初のPardubiceの障害、というか初のCross Countryにも関わらずこれだけ戦えたことは、この馬の障害への対応力を伺わせる一戦であった。James Best騎手はPardubice初参戦にも関わらず、好位集団でレースを進めるという勇気のあるレース運びを見せた。David Pipe調教師をはじめ、陣営にとっては非常に収穫のある一戦だったのではないだろうか。なんとかこれを機に、イギリス調教馬のPardubice参戦が増えて欲しいものである。

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イギリスのGrand National (G3)勝利騎手Leighton Aspellを擁したTalentは、道中好位で進めていたものの最後遅れ7着。この馬もこれがVelká Pardubickáは初参戦で、どうにも距離不安があっただけに、Bridgeurのペースに付き合わず中段から進めた方がパフォーマンスを上げた可能性がある。また、前走は1年以上の休養明けでの勝利であっただけに、二走ボケが生じていた可能性も考えられる。いずれにせよ、故障で長く休養していた馬だけに、来年はなんとか無事に行ってもらいたいものである。

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その他。Vandualは前半こそ好位を進むも、じわじわと脱落し8着。昨年のVelká Pardubickáも同じ8着で、さすがにどうこうということはなさそうだ。Dulcar De Sivolaも後方から進み、特に見せ場は作れずに大敗。馬群が密集した辺りで勝負に加われなかった辺り、ここではどうにも厳しそうだ。昨年はポーランドSteeplechaseで他馬を圧倒してきたSztormはやや追走に苦労するところがあった。ポーランド時代のこの馬の武器は強力な機動力であったのだが、今回はいまいちそれを発揮することなく終わっている辺り、今回はペースも距離も厳しかったと考えるべきだろう。12歳馬コンビのZarifとTemplářはいずれも完走を果たすも、それぞれ11着、12着と大敗した。特にZarifはレース運びの上手さと機動力については現役屈指のものを持っていた馬であり、今年のような展開であれば大いにチャンスがあったのだが、残念ながらSteeplechase Courseに入る辺りにはすでに脱落していた。全盛期から考えれば非常に残念なパフォーマンスである。今年に入ってからのレース振りからも想像できるように、そろそろ年齢的なものが出ているのだろう。Templářは後方から追走し、特に見せ場はなし。もともとこのクラスでは厳しいものがあり、年齢的なものを考えればこの程度だろう。むしろ長く戦ってきたこの馬にとって、これが一つの勲章になったのではないだろうか。

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競争中止したBridgeurは歩いて帰ってきた。落馬した中ではやはり勿体なかったのがBridgeurで、おそらくSteeplechase Course以降のスピード能力という点では上位のTheophilosらと比較すると見劣った可能性は高いものの、ここ2年と比較してレース振りに進展が見られたこの馬のパフォーマンスは最後まで見ていたかった。未だに勝ち星を上げることが出来ていないが、なんとかどこかでいいことがあって欲しい。Beau Rochelais、Mahony、Rebelino、及びTzigane De BerlaisはVelký Taxisův příkop(Taxis Jump)にて落馬。Delight My Fireは昨年に引き続きPopkovický skok(railed hedge with ditch)にて落馬。Cheltenhamに参戦したときのもCanal Turnのレプリカで落馬しており、もともと飛越が低い馬ということもあるのか、どうにもこのタイプの大型の障害と直角カーブの組み合わせというタイプは苦手にしているようだ。Playerはいまいちどこで落馬したのか謎だが、おそらく障害ではなく Velký vodní příkop(big water jump)の手前のカーブかと思われる。KrocoleonはSuchý příkop(Dry ditch)の直後に競争中止。残念ながら予後不良とのことで、昨年のVelký Taxisův příkop(Taxis Jump)におけるVicodyに続く事故となってしまった。

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Dulcar De SivolaとJosef Borč騎手。

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SztormとMarek Stromský騎手。Marek Stromský騎手はなかなかこのレースに縁がない。

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古豪ZarifとThomas Boyer騎手。この馬にとってこれが6回目のVelká Pardubickáであった。

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TemplářとMartin Liška騎手。勝ち馬からは18秒近く遅れるも完走を果たした。

 

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レース後。なんか勝った馬の如く夕日を浴びているが、実は7着のTalentである。

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勝った馬はこちら。

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表彰式。どうやら2着以下の騎手も呼ばれるようで、7着のLeighton Aspellまで来ていた。さすがに表彰式は大賑わいで、最前列まで行くのは厳しそうであった。400ミリレンズを持ち上げて写真を撮るのはなかなかにつらい。