にげうまメモ

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20/01/18 National Hunt Racing

*Ascot Heavy (Soft in places)

Juvenile Hurdle (C3) 1m7f152y

https://www.attheraces.com/racecard/Ascot/18-January-2020/1240

残り3障害辺りから先頭に立ったGoshenがそのまま後続を引き離し11馬身差の楽勝。2着には追い込んだNordanoが入った。

GoshenはこれでHurdleは3戦3勝とした。いずれも同世代相手の下級条件戦だが、その全てで大楽勝の内容であり、その素質の高さが伺える。Hurdleに転戦する前は平地の長距離戦でも3連勝を飾っており、フラットのスピードも高いのだろう。飛越としてはやや粗削りな部分が残っていた他、前半から行きたがって走る部分があり、今後の向上が必要と思われる。

 

Bet365 Mares' Hurdle (G2) 2m7f118y

https://www.attheraces.com/racecard/Ascot/18-January-2020/1350

途中から先頭に立ったMagic of Lightがそのまま後続を突き放し快勝。Papaganaは3着に終わった。

Magic of Lightは昨年のGrand National (G3)の2着馬。Lismullen Hurdle (G2)はさすがに相手が強くBacardysの3着に終わっていたが、NewburyのMares' Chase (Listed)では勝利しており、調子のよさを見せていた。さすがに飛越技術は高く、重馬場を苦にしないパワーを持ち合わせており、パワーのあるストライドの持続性能という意味ではここではモノが違った。おそらく牝馬限定戦をもう一度使ってからGrand National (G3)という選択肢になるだろう。昨年はThe Chairにて大きなミスがあり、最後はTiger Rollの飛越技術に屈したものの、今年は更なる向上が期待される。

 

Clarence House Chase (G1) 2m167y

www.youtube.comhttps://www.attheraces.com/racecard/Ascot/18-January-2020/1535

Un De SceauxとDefi Du Seuilの対決ということで注目が集まっていた。例によってUn De Sceauxが飛ばす展開も、これをぴったりとDefi Du Seuilがついていく。残り2障害辺りから加速を掛けたDefi Du SeuilがUn De Sceauxを突き放し、最後は持ったままで勝利した。2着にはUn De Sceaux。4馬身ほど離れた3着には圧倒的最低人気のMarracudjaが入った。

Defi Du SeuilはTingle Creek Chase (G1)から連勝とした。飛越技術の問題でややペースがゆったりと進行する20fを使っていた昨シーズンと比べ、明らかに飛越技術が向上した今シーズンはもともとのスピード能力も相まって、現役トップクラスのハイペースを刻むUn De Sceauxのペースにも対応することが可能となっている。内容的には見ての通り完勝であり、どうにも順調さを欠いているAltiorと比べても、Queen Mother Champion Chase (G1)における最有力候補と考えていいだろう。Un De SceauxはSandownからのコース替わりで雪辱が期待されたが、今回はやや分の悪い敗戦となった。とはいえ12歳にしてこのパフォーマンスはやはり称賛されるべきものである。Ryanair Chase (G1)だと距離的な問題でどうにも乗り方には注文が付くので、相手が強力ではあるもののQueen Mother Champion Chase (G1)に向かってほしい。Marracudjaは全く人気がなかったが、かえってUn De Sceauxが作り出すペースが良かったようだ。Novice ChaseでAltiorと共に走った古豪で、当時からかなり引っかかって前に行くレースを見せていた馬。その後は長らくハンデ戦を中心に使われていたが、かえってこのような厳しいペースで進行するレースの方が良かったのではないだろうか。

 

*Haydock Heavy

Patrick Coyne Memorial Altcar Novices' Chase (G2) 2m3f203y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2020-01-18/haydock/560470/patrick-coyne-memorial-altcar-novices-chase-grade-2

Joke Dancerが前に行くも、どうにも飛越がおぼつかず後退。代わってSam BrownとKnight In Dubaiが引っ張る展開になるが、残り2障害辺りでKnight In Dubaiを競り落としたSam BrownがKnight In Dubaiに15馬身差をつける快勝。Windsor Avenueは残り2障害で落馬に終わった。

Sam BrownはChaseは2戦2勝とした。いずれも大差の圧勝ということで期待される馬だが、前走はLingfiieldのC4ということで、メンバー的にはやや怪しい部分はある。Hurdleでも2戦1勝とあまり経験はなく、途中に750日の休養を挟んでいる辺り、なにか故障でもあったのだろうか。とはいえ2着のKnight In DubaiはHurdleの重賞クラスでも戦える馬だけに、このパフォーマンスはそれなりに注意しておかなければならないだろう。

 

Supreme Trial Rossington Main Novices' Hurdle (G2) 1m7f144y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2020-01-18/haydock/560471/sky-bet-supreme-trial-rossington-main-novices-hurdle-grade-2

Thebannerkingrebelが淡々と逃げる展開も、最終障害をこえてEdwardstoneが接近。しかしフラットの部分で一気に追い上げてきたStolen Silverがゴール直前でこれらを差し切り勝利した。Edwardstone、Thebannerkingrebelと続いた。

Stolen SilverはHurdleは2勝目とした。見ての通りどうにも飛越は怪しい部分が残っており、障害部分で加速が掛けきれないというところが残っている。最後の伸び脚は急であったが、やはり平地のスピードが持て囃されるどこぞの国とは異なり、平地のスピードで勝負がつくほどこの世界は甘くない。今後に向けては飛越技術の向上が欲しいところ。Edwardstoneは自身のレースはした。Listed勝ちのあるThebannerkingrebelは最後Edwardstoneが内に切れ込んできたために進路が狭くなる部分があった。

 

Peter Marsh Handicap Chase (G2) 3m1f125y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2020-01-18/haydock/560472/peter-marsh-handicap-chase-grade-2-limited-handicap

先頭集団を進んだVintage Cloudsが残り2障害辺りから後続を突き放すと、そのまま後続に7馬身差をつける快勝。Definitly Redが2着に追いこんできた。

Vintage Cloudsは10歳にして重賞初勝利とした。今シーズンは年々悪化しているズブさが目立っていたり、明らかにGrand National (G3)で落馬した影響かAintreeのNational Fenceには拒否感を示していたりと課題の方が目についていたのだが、このレースでは自身の持つ良さを見せてくれた。Danny Cook騎手が障害の手前から加速を掛けていくことで、障害飛越のミスに起因するスピードのロスを最小限にしている。とにかくこの馬はズブい上に素早い動きができないため、障害飛越でのミスによるスピードのロスと再加速までに必要な時間が大きいのだが、それを最小限にすることで、この馬のもつスピードの持続力を生かし切る素晴らしい騎乗であった。レース運びを見ていると、やはりGrand National (G3)には向かわない方がいいだろう。Definitly Redは年齢を重ねてだいぶスピードに衰えが出ているようで、さすがにG1クラスでどうこうということはなさそうなのだが、このようなレースではやはり見せ場を作ることが出来る。この馬自身National Fenceへの経験はあるため、おそらく今後はGrand Nationalという路線だろう。

 

New One Unibet Hurdle (G2) 1m7f144y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2020-01-18/haydock/560473/new-one-unibet-hurdle-registered-as-the-champion-hurdle-trial-hurdle-grade-2

The New OneがHaydock競馬場に来ていたようだ。レースは例によってCornerstone Ladが逃げる展開だが、これにぴったりとPentland Hillsがついて行く。最終障害を越えて満を持してPentland Hillsが抜け出しを図るも、ゴール直前で強襲してきたBallyandyがこれを捉え勝利した。アイルランドのDarassoは遅れた。

Haydock競馬場はやたらと直線が長いので、元気よく抜け出したはいいもののゴールが遠くて最後脚が上がり、後ろの方でうごうごしていた馬がゴール手前で復活してくるというシーンがよくあるのだが、このレースは単にSam Twiston-Davies騎手の仕掛け遅れである(ちなみに、前述のNovice HurdleはEdwardstoneの脚が上がっているわけではなく、単にStolen Silverの飛越がヘタクソなだけである)。Ballyandyは2016年のChampion Bumper (G1)の勝ち馬だが、その後はBetfair Hurdle (G3)勝ちのみにとどまっており、これが久々の重賞勝利となる。一瞬のキレというよりはとにかく長く脚を使い続けるタイプのステイヤーで、とはいえ意外と距離は持たない上にChaseの障害には対応できないので、一瞬のスピードを持つ16fの馬たちを相手にするとどうにも分が悪いのだが、Haydock競馬場のようにスピードの持続力が要求される競馬場はやはり合っているようだ。とにかく強気に馬を動かしていって良さを発揮するように思うのだが、今回はPentland Hillsの使える脚が短いということもあってなんとか間に合わせることが出来た。Pentland Hillsは持ったままでCornerstone Ladを交わしにかかったが、やはりスプリントを掛けることが出来る距離は短いようで、これ以上ペースが上がると道中だけで消耗が大きくなる感がある。Fighting Fifth Hurdle (G1)で大波乱を演出したCornerstone Ladは自分のレースはした。Fighting Fifth Hurdle (G1)自体が相当うまくいった方であり、本来であればこのくらいだろう。このようなタイプは自身のレースをめげずに続けていくしかない。

 

*Taunton Heavy

Weatherbys Portman Cup Chase (C2) 3m4f85y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2020-01-18/taunton/560493/weatherbys-portman-cup-chase

例によってDaklondikeが発馬拒否。Regal FlowとYala Enkiが並んで逃げるも、途中からRegal Flowを競り落としたYala EnkiがそのままRock The Kasbah以下を抑えて勝利した。

Yala EnkiはWelsh Grand National (G3)にて3着からの転戦であったが、さすがに不良馬場の超長距離戦でペースを握らせたら相当しぶといところがある。BetVictor Handicap Chase (G3)にてCogryの2着に入っていた古豪Rock The Kasbah以下を完封した走りはこの馬の調子のよさを物語るものであり、転厩して馬の状態も上がってきているような感もある。おそらくGrand National (G3)という選択肢と思われるが、楽しみな存在となるだろう。昨年の勝ち馬Royal Vacationはどうにも集中力に課題があるような走りであった。