にげうまメモ

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20/02/01 National Hunt Racing

*Sandown Soft (Heavy in places)

Scilly Isles Novices' Chase (G1) 2m4f10y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2020-02-01/sandown/562388/betway-scilly-isles-novices-chase-grade-1

アイルランドからLaurinaが参戦して話題になっていた。レースはGood Boy Bobbyが逃げる展開だが、残り2障害辺りから進出してきたItchy FeetがMidnight Shadowを抑えて勝利した。後続は大きく遅れた。Laurinaは勝負所から手ごたえが怪しくなり馬群から脱落、最終障害手前で途中棄権に終わった。

Itchy FeetはChaseは2戦2勝とした。HurdleではSupreme Novices' Hurdle (G1)にてKlassical Dreamの3着のある程度で目立った実績はないのだが、同レース自体早々に抜け出したKlassical Dreamを相手に完全に仕掛け遅れた格好で追いこんできており、タフなレースになった際のこの馬のロングスパート能力を示すものであった。ちなみにその後のAintreeのTop Novices' Hurdle (G1)は案の定大した見せ場なくFelix Desjyの4着に敗れている。ここでのMidnight Shadowを突き放す際のギアの掛かり方を見ると、やはり全体が苦しくなってきた勝負所からもう一段階ギアを上げることをもったタフな馬といった印象で、昨シーズンまでの16f戦を使っていたよりも20f戦になってこの馬の良さを出してきたといったところだろう。メンバー的にはさほど強力ではなかったものの、今後が楽しみになる勝ち方であった。この路線はアイルランドに強力なメンバーがいることから、Cheltenhamではそれらとの戦いとなることが想定される。むしろ距離延長により更なる可能性が開けるかもしれない。アイルランドのLaurinaは人気になっていたものの、やはり前走から引き続き馬が障害を怖がって飛んでいるようなところがあり、これではいくら能力の高い馬とはいえどうしようもない。Hurdleに戻した方がいいだろう。HurdleであればG1の1つは軽く勝てるクラスの馬である。

 

*Leopardstown Yielding to Soft

Nathaniel Lacy & Partners Solicitors '50,000 Cheltenham Bonus For Stable Staff' Novice Hurdle (G1) 2m6f

https://www.sportinglife.com/racing/results/2020-02-01/leopardstown/560418/nathaniel-lacy-and-partners-solicitors-50000-cheltenham-bonus-for-stable-staff-novice-hurdle-grade-1

実に名前の長いレースである。レースはRachael BlackmoreのCobbler's Wayが淡々と逃げる展開だが、好位にいたLonghouse Poetがじわじわとプレッシャーをかけていく。さらに最終コーナーを回ってLatest Exhibitionが進出。激しい3頭のたたき合いからLatest Exhibitionが抜け出し勝利した。2着には一旦はLonghouse Poetに交わされて外に切り替えてきたCobbler's Wayが復活していたようだ。

Latest ExhibitionはNavan Novice Hurdle (G2)から連勝とした。さすがに11月のFor Auction Novice Hurdle (G3)は勝ったAbacadarasが強かったようだが、その後Moscow Flyer Novice Hurdle (G2)を勝利するAndy Dufresneを下したNavanのパフォーマンスはなかなか素晴らしいものがある。Rachael Blackmoreのペース配分は後続の馬にとっては実に動きにくいものであるのだが、それを勝ち切った能力の高さは評価できるもの。Rachael BlackmoreのCobbler's Wayは最後外に切り替えるロスはあったものの、最後まで脚を伸ばして2着に来た。Jamie Codd騎手のLonghouse Poetはどちらかというとこのクラスでは格下の馬なのだが、この馬の持てる脚を使い切る形で3着に食い込んだ。Jamie Codd騎手自身アマチュア騎手なのだが、アマチュア騎手ですらこのように馬の持てる脚を使い切る果敢な騎乗を見せるのがアイルランド障害競馬という場所である。Fury Roadは人気になっていたが最後伸びきれず4着。Lawlor's of Naas Novice Hurdle (G1)にてEnvoi Allenの2着に入っていたElixir D'Ainayはどうにも引っかかって走る部分があった。距離は20fくらいの方がいいだろう。

 

Dublin Chase (G1) 2m1f

https://www.sportinglife.com/racing/results/2020-02-01/leopardstown/560419/ladbrokes-dublin-chase-grade-1


Racing TVの動画のタイトルが間違っているのだが、よくあることなので気にしてはいけない。前半からOrnuaとMinが激しく引っ張る展開。好位からChacun Pour Soi。早々にOrnuaはついて行けなくなり後退。代わってMinが引っ張るも、残り2障害辺りからこれに並びかけたChacun Pour Soiが前に出ると、食い下がるMinを抑えて勝利した。3着以下は大きく遅れた。

Ordinary Worldはギアを上げるとやたらと唸るような手応えで進出してくる馬で、その分前半は慎重に乗ることが多いのだが、慎重に乗った結果、スタート直後から爆走しているOrnuaとMinのペースについて行けず、Davy Russell騎手が慌てて馬を動かそうとするも時すでに遅し、早々に途中棄権に終わっている。さらに前半ゆったりと進めて後半に掛けたCastlegrace Paddyもまた最後脚が上がり、前半爆走して早々に脚が上がったOrnuaにすら交わされている。前半から強烈なペースで進行し、最後まで極端なタイムロスが生じなかったことを物語る展開である。Chacun Pour Soiはアイルランド移籍後4戦3勝とした。ハイペースを追走するスピード能力、驚異的な身体能力を誇るMinの飛越について行く伸びのある飛越に、加速を掛けるべきところで一気に加速を掛けてくる機動力と、持っているものは理想的な16f Chase馬のそれである。Defi Du Seuil、Altiorとはややタイプが異なっており、どちらかというとSprinter Sacreに性能は近いような感もあるのだが、Queen Mother Champion Chaseにてこれらとの対戦が実現することが非常に楽しみになるレースであった。3連覇を狙ったMinはさすがに良いレースはしたのだが、できれば前半は無理なく進みたかった感もある。20fも走ることが出来るのだが、どちらかというと16fの方がレースはしやすいだろう。また、当たりの強いRobbie Power騎手と手が合っているかと言われるとやや微妙かもしれない。Ornuaは乱ペースに巻き込まれたが3着まで頑張った。スピードが生きる競馬場であればチャンスはあるだろう。Castlegrace PaddyのBrian Cooper騎手もよい判断を見せたのだが、さすがに相手が強かった。なぜかG1クラスを走っている馬だが、Listed~G2であれば大いに威張れる能力を持った馬である。Duc Des Genievresはかえってこのようなペースの方がレースはしやすそうだが、馬場はもっと渋った方がよさそうだ。

 

Arkle Novice Chase (G1) 2m1f

https://www.sportinglife.com/racing/results/2020-02-01/leopardstown/560420/ersg-arkle-novice-chase-grade-1

Fakir D'Oudariesが馬場を嫌って取り消し。レースはCash Backが淡々と逃げるも、これの残り2障害から迫ったNotebookがゴール直前でこれを抑えて勝利した。3着以下は遅れた。

NotebookはChase転向後4戦4勝とした。Racing Post Novice Chase (G1)からG1は2勝目となる。比較的パワフルな走りを見せる馬だが良馬場にも対応するスピードも持ち合わせているようで、飛越やレース運びの上手さなど、この時期のNovice馬としては完成度の高さが目立つ一頭である。Cheltenhamでもレース運び一つで十分に勝ち負けになると思われる。Cash Backはここまでのレース運びを見るとやや引っかかって行くタイプのようだが、ここでは上手くリラックスして走ることが出来ていた。Notebookとの差は殆どないだろう。MelonはChase転向後とりあえずBeginners Chaseで1勝をあげているのだが、とりあえず今日のような良馬場では少々苦しいようだ。良馬場ではどうしようもないタイプなだけに、Chaseにこだわる必要もないように思うのだが。

 

Irish Champion Hurdle (G1) 2m

https://www.sportinglife.com/racing/results/2020-02-01/leopardstown/560421/pci-irish-champion-hurdle-grade-1

 例によってHoneysuckleが人気になっていた。レースはPetit Mouchoirが逃げる展開。Honeysuckleは好位から。そのまま残り2障害辺りから先頭に代わるも、ここからPetit Mouchoirが抵抗し、最終障害を越えたところで先頭を奪い返す。しかしここからHoneysuckleが抵抗し、外から追いこんできたDarver Starを凌ぎ切ったところがゴール。3着にPetit Mouchoirが入った。4着にSupasundae。

Honeysuckleは7戦無敗とした。Hatton's Grace Hurdle (G1)ではBacardys以下を圧倒する走りを見せていたのだが、とりあえず16fに距離を短縮しても勝ち切ったことは評価できる内容。ただし走りを見るとピッチ走法に近く、加速力とスピードに優れたタイプのようで、20fでややゆったりと運んだ方がレースはしやすいだろう。CheltenhamではChampion Hurdle (G1)ということで期待したいところだが、さらなるスピードの持続力と、Cheltenhamの上り坂を駆け上がるパワーを求められると未知数のところがあるのは注意しておきたい。Petit Mouchoirは後続を封じるような上手い逃げを打った。2017年の10月から勝ち星から遠ざかっている馬だが、そろそろ大仕事をやってのける可能性を秘めている。Darver Starは驚きの2着に入った。実はNoviceの身であり、夏場のHurdle競走を5連勝していた馬なのだが、Royal Bond Novice Hurdle (G1)ではEnvoi Allenの3着に敗れていた。経歴から考えると普通にここでは足りないのだが、最後までHoneysuckleを追い詰まる走りは大したものである。Champion Hurdle (G1)にも登録があるようで、この馬の次の走りを楽しみにしたい。Supasundaeの走りはまさに休み明けといったところで、最後まで脚をじわじわと伸ばして4着。Cheltenhamの方が競馬場としてはこの馬に向いていることは明らかであり、とりあえず次走に期待したい。