にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

20/02/16 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/02/10-16

今週のイギリス・アイルランド障害競馬ですが、先週のStorm Ciaraに引き続き、今週もStorm Dennisの影響で馬場が水没し、ほとんどの競馬開催が中止になりました。コースが水浸しになっている写真が良く回ってきますが、こういうのを見るたびに雨の多い日本の気候で、毎週のように競馬開催のあるハードな条件に耐えうる日本の馬場整備技術の高さを感じます。個人的に、極端に勝ち時計の出る走りやすい馬場はどうにもレースが単調で馬がひ弱に見えるので好きではないのですが、これほどまでに磨き上げられた馬場整備技術は日本が世界に誇るべきものでしょう。

 

2/15(土)

Ascot(UK)Soft(Heavy in places)

Sodexo Reynoldstown Novices' Chase (G2) 2m7f180y (Replay)

1. Copperhead J: Jonjo O'Neill Jr. T: Colin Tizzard

2. Two For Gold J: David Bass T: Kim Bailey

PU Sam Brown J: Aiden Coleman T: Anthony Honeyball

PU Pym J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

残り2障害から抜け出したCopperheadが快勝。騎手のJonjo O'Neill Jrは先週のNative Riverに続き重賞制覇となった。Jonjo O'Neillはイギリスで実力のある調教師だが、息子のJonjo O'Neill Jr.はイギリスのトップトレーナーの一人であるColin Tizzard厩舎でも有力馬を任されているように、目下非常に勢いのある若手として注目すべき騎手だろう。Copperheadはここまで重賞クラスでの実績はないのだが、C3クラスで経験馬相手のハンデ戦でトップハンデを背負って連勝していた。一瞬のスピードというよりは持久力を生かすタイプのようで、Noviceクラスよりもハンデ戦を使った方がいいかもしれない。WarwickにてG2を早め先頭から推し切ったTwo For Goldは最後脚が上がって2着。勝ち馬とは5lbの斤量差も影響したか。人気となっていたSam Brown、Pymはいずれも勝負所から遅れ、残り4障害地点で途中棄権となった。

 

Keltbray Swinley Chase (Listed) 2m7f180y (Replay)

1. Ballyoptic J: Sam Twiston-Davies T: Niegal Twiston-Davies

2. Valtor J: Daryl Jacob T: Nicky Henderson

3. Regal Encore J: Richie Mclernon T: Anthony Honeyball

トップハンデのBallyopticが貫禄の勝利を見せた。Grand Nationalには出走順19番目で登録があり、National Fence自体には経験のある馬。Betfair Chase (G1)、Becher Chase (G3)はいまいちであったが、今シーズンはCharlie Hall Chase (G2)を勝利するなど、10歳になってキャリアハイの活躍を見せている。Grand Nationalでは第27障害で落馬に終わった昨年の巻き返しを期待したい。11歳のValtorは得意のAscotであったが、勝ち馬には肉薄できず2着に終わった。どうやらCross Countryという選択肢もあるようで、飛越技術自体は高い馬なので次に期待したい。12歳のRegal Encoreは前走のListed勝ちから引き続いての好走で、Ascot巧者ぶりを見せつけた。Grand Nationalには2回挑んでいずれも完走を果たしており、今年は出走順65番目と出走はかなり厳しそうだが、なんとか滑り込んで欲しい。

 

Ascot Chase (G1) 2m5f8y (Replay)

1. Riders Onthe Storm J: Sam Twiston-Davies T: Niegal Twiston-Davies

2. Janika J: Daryl Jacob T: Nicky Henderson

F. Cyrname J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

F. Traffic Fluide J: Joshua Moore T: Gary Moore

例によってCyrnameが逃げる展開も、残り3障害辺りから好位にいたRiders OnThe Stormが接近し、一方のCyrnameは手応えが悪くなり後退。さらに後方にいたTraffic Fluideが接近してくるも、最終障害でTraffic Fluideが落馬。そのまま残ったRiders OnThe StormがJanikaを振り切って勝利した。Cyrnameは最終障害で落馬。

圧倒的人気を背負っていたCyrnameだが、どうやら重馬場でノドの問題が顕著に出てしまったらしい。今シーズンの初頭にWind Surgeryを行っており、その後の活躍を見る限り特段懸念はないかと思っていたのだが、どうやらノドの持病とは慢性的に付き合わなければいけないというのが現状なのだろう。落馬後しばらく立ち上がれずに心配されたが、これは疲労して落馬した馬にありがちなパターンで、特段の故障はなかったとのこと。今シーズンはこれ以降は全休とするらしく、次のシーズンの復帰を楽しみに待ちたいところ。勝ったRiders OnThe Stormはアイルランドからイギリスへの移籍後、AscotにてC2のハンデ戦を含む3連勝。アイルランドではさっぱりいいところはなかった馬だが、イギリスに来て馬が変わっているような部分がある。ただし、今回はCyrnameのトラブルがあったこと、さらに469日ぶりのTraffic Fluideに詰め寄られた上に同馬の落馬に助けられた部分は大きく、あまり次につながるレースとは言い難いだろう。JanikaはHaldon Gold Cup (G2)の勝ち馬だが、同レース自体メンバー的にはいまいちで、その後の成績が示す通りこのクラスではどうにも厳しそうだ。Traffic Fluideは心底もったいない場面での落馬に終わったが、勝っていたら伝説になっていた。

 

Haydock(UK)Heavy(Soft in places)

Rendlesham Hurdle (G2) 3m68y (Replay)

1. Emiton J: Gavin Sheehan T: Warren Greatrex

2. Donna's Diamond J: Sean Quinlan T: Chris Grant

3. One Night In Milan J: Craig Nichol T: Keith Dalgleish

4. West Approach J: Robbie Power T: Colin Tizzard

5. Clyne J: Adam Wedge T: Evan Williams

PU The Worlds End J: Adrian Heskin T: Tom George

The Worlds Endが例によって逃げる展開であったが、残り3障害辺りから早々に後退。代わって抜け出してきたEmitonがDonna's Diamond、One Night In Milanを振り切って勝利した。EmitonはDoom Bar Sefton Novices' Hurdle (G1)にてChampの2着のある馬で、前走のRelkeel Hurdle (G2)では良いところなく沈んでいたが、今回は巻き返しを見せた。休み明けは走らないタイプと言うことだろうか。Donna's Diamondは休み明けでさっぱり人気がなかったが、実はこのレースの2018年の勝ち馬ということで、ひたすらストライドが持続するようなタイプであり、見たところやや特殊なHaydockのコースは得意としているようだ。West Approachはおそらく一叩きと思われるが、最後は脚の上がったOne Night In Milanを猛追しており、走ったり走らなかったりするタイプなだけに、レースとしてはこれで十分だろう。The Worlds Endは今回は前半からDonna's Diamondに煽られたりと、どうにも行きっぷりが悪かった。

 

Juvenile Hurdle (C2) (4yo) 1m7f144y (Replay)

2. Rockadenn J: Adrien Merienne T: Julien Merienne

Cagnes-Sur-MerにてSteeplechaseのListedを含む4連勝を上げたフランス調教馬Rockadennが出走していたが、最終障害を越えて勝ったSir Psychoに突き放され2着に終わった。飛越技術はここでは抜けていたが、最後は単にスピードの違いか。フランスSteeplechaseに戻って期待したい。

 

Grand National Trial Handicap Chase (G3) 3m4f97y (Replay)

1. Smooth Stepper J: Harry Bannister T: Alex Hales

3. Yala Enki J: Bryony Frost T: Paul Nicholls

5. Vintage Clouds J: Leighton Aspell T: Mrs Sue Smith

PU Elegant Escape J: Robbie Power T: Colin Tizzard

PU One For Arthur J: Darel Fox T: Miss Lucinda Russell

何頭かGrand Nationalを目指す馬が出ていたのだが、勝ったのは最低人気のSmooth Stepper。Grand Nationalへの登録はなく、ここまでの実績といってもC2クラスの勝ち星が精々という11歳馬もなると、重馬場巧者と一気の斤量減が味方したとはいえ、さすがに人気にはなりにくいところがある。Bryony FrostのYala Enkiは好位を走るも3着まで。11st7lbを背負って、10st台の馬が上位を占める中でのこの走りは上々だろう。Vintage Cloudsはここまで手綱を取っていたDanny Cook騎手からLeighton Aspell騎手に代わったが、この人も上手い人だけにこのままGrand Nationalに向かうとしてもあまり心配はしていない。例によって反応の悪さを見せており、おそらく今回はあまり本気度は高くなかったことを考えるとこれで十分である。むしろGrand NationalにおいてはNational Fenceへの対応が鍵となるだろう。Elegant EscapeはWind Surgery明けであったが、飛越にバタつき途中棄権。比較的当たりの強いRobbie Power騎手とはどうにも手が合っていないように感じる。再度のGrand National戴冠を目指すOne For Arthurは心房細動の影響で途中棄権に終わった。腱の故障もあった馬で今シーズンは調子がよいという話も出ていたのだが、今回のトラブルを受けてGrand Nationalの出走は流動的とのことである。

 

Handicap Hurdle (C2) 3m58y

3. Kilbricken Storm J: Robbie Power T: Colin Tizzard

5. Unowhatimeanharry J: Jonathan Burke T: Harry Fry

2018年のAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G1)の勝ち馬Kilbriken Stormが出走していたが、特に良いところなく3着に終わった。一度はChaseに転向するもFfos LasのC3を辛勝するのみに留まり、その後はHurdleの重賞クラスでも厳しそうな辺り、おそらくこの辺りが主戦場になるのだろう。2016-17に一時代を築いたUnowhatimeanharryもクラスを落としてここに出走していたのだが、こちらも特に見せ場は作れなかった。昨年の5月にはPunchestownのChampion Stayers Hurdle (G1)を勝利して気を吐いていたのだが、今シーズンは未勝利であり、さすがに12歳という年齢的なところも出ているかもしれない。

 

Albert Bartlett Prestige Novices' Hurdle (G2) 3m58y (Replay)

1. Rameses de Teillee J: David Noonan T: David Pipe

Ramses de TeilleeがKalookiを抑えて勝利した。2018年のWelsh Grand NationalにてElegant Escapeの2着のある馬で、今シーズンはどういうわけかNovice Hurdleを走り、重賞を2連勝と調子を上げている。ストライドの持続力という意味では素晴らしいものをもっている馬。Grand Nationalにも出走登録があり、現在は斤量順で41番目と現実的な位置につけている。残り2障害で途中棄権に終わった昨年のGrand Nationalよりもパフォーマンスの向上が期待できそうだ。

 

Gowran Park(IRE)Heavy

〇 Maiden Hurdle (4yo) 2m (Replay)

1. Saint D'Oroux J: Davy Russell T: Gordon Elliott

超絶不良馬場で始まったGowran Parkの第一レースは人気のSaint D'Orouxがそのまま圧勝。FairyhouseのJuvenile Hurdle (G3)でCerberusの4着に入った実績があり、今回は重馬場で差がつきやすいコンディションであったとはいえ、引き続き重賞クラスでの活躍が期待される。

 

Red Mills Trial Hurdle (G3) 2m (Replay)

1. Cilaos Emery J: Paul Townend T: Willie Mullins

2. Darasso J: Mark Walsh T: Joseph O'Brien

残り3障害辺りからスムーズに先頭に立ったCilaos EmeryがそのままDarasso以下を突き放し快勝。昨シーズンのRyanair Hurdle (G1)の2着馬で、今シーズンはChaseを走りKerry Group Hilly Way Chase (G2)を快勝するなど活躍を見せていたが、前走のDublin Chase (G1)では落馬に終わっていた。Champion Hurdle (G1)という話も出ているようだが、今回のメンバー的にはよくわからない部分が大きく、現時点では未知数といったところ。Darassoは2018年にフランスから移籍してきた馬で、HurdleでもChaseでも重賞クラスの能力を持った馬なのだが、どうにもレース選択が謎でどこを目指しているのか掴みにくいところがある。

 

Red Mills Chase (G2) 2m4f (Replay)

1. Chris's Dream J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead

2. Shattered Love J: Mark Walsh T: Gordon Elliott

4. Death Duty J: Davy Russell T: Gordon Elliott

PU Real Steel J: Paul Townend T: Willie Mullins

雨が強く降ってきた影響で殆どレースが見えない。レースは前半から気分よく進めたChris's DreamがShattered Loveを抑えて勝利した。Chris's Dream自身は前走のTroytown Handicap Chase (Grade B)から連勝だが、ここまでの悪条件だと適性としか言いようがない。Shattered LoveはさかのぼればCheltennhamのJLT Novices' Chase (G1)勝ちがある馬で、比較的坂の多い競馬場と重馬場を得意とするところがある。G1クラスのスピードを要求されると厳しいようだが、今回は重馬場も味方した。Death Dutyは得意の不良馬場だったが直線で苦しくなり後退。久しぶりのChaseということで飛越はいまいちだったが、やはり長期休養の影響は大きそうだ。Real Steelは人気になっていたが、終始後方からやる気なく追走し、早々に馬群から脱落して途中棄権に終わった。

 

京都(日本)稍重

障害4歳以上未勝利 2910m
1. ビッグスモーキー J: 白浜雄造 T: 清水久詞
番手から進めたビッグスモーキーが6馬身差の勝利。平地では全日本2歳優駿にも駒を進めた馬で、芝では良績はないものの、ダートでは重賞クラスで入着の実績もある。障害は4戦目での勝ち上がりとなった。
 
2/16(日)

Navan(IRE)Heavy

Ladbrokes Ireland Boyne Hurdle (G2) 2m5f(Replay

1. Cracking Smart J: Davy Russell T: Gordon Elliott

2. Penhill J: Paul Townend T: Willie Mullins

3. Bachasson J: Danny Mullins T: Willie Mullins

5. Tiger Roll J: Keith Donoghue T: Gordon Elliott

7. Killultagh Vic J: Rachael Blackmore T: Willie Mullins

8. Magic of Light J: Robbie Power T: Mrs Jessica Harrington

今シーズンは初頭に一頓挫あり、やや始動が遅れたTiger Rollの今シーズン復帰戦。後方からスムーズに追走し残り2障害辺りでは一気に好位まで取り付くレースを見せるも、そこから伸びを欠き5着に終わった。とはいえ明らかにここが大目標ではないメンバーがほとんどで、馬場と天候の影響も加わって非常に慎重なレースとなったここにおいて、これだけ前向きなレースを見せることが出来れば復帰戦としては十分だろう。次はCheltennhamのGlenfarclas Cross Countryで期待したい。Magic of Lightはなぜここを使ってきたのかはいまいち謎だが、前走の素晴らしい内容を考えれば、明らかに苦手なタイプのレースとなった以上、さほど悲観するような走りでもないように思う。勝ったのはCracking Smartで、2018年のLawlor's of Naas Novice Hurdle (G1)にてNext Destinationの2着がある馬。その後はChaseを使ったりと長いスランプに陥っていたが、久々の好走となった。

 

〇 Navanracecourse.ie Handicap Hurdle 2m7f20y(Replay

1. Seskinane J: Phillip Enright T: Brian McMahon

14歳馬Seskinaneが勝利。重賞クラスの活躍は2014年にSurehaul Mercedes-Benz Novice Hurdle (G3)にてDon Poliの3着に入った程度だが、その後も元気にここまで現役を続けている。これがこの馬にとって、2018年の4月以来の5勝目となった。

 

Ten Up Novice Chase (G2) 3m(Replay

1. Captain Cj J: Conor Maxwell T: Dermot McLoughlin

3. Speak Easy J: Mark Walsh T: Joseph O'Brien

好位から進めたCaptain Cjが快勝。Chaseは初勝利だが、前走ではPunchestownのIrish Daily Mirror Novice Hurdle (G1)を勝利し、今シーズン期待のNovice Chase候補であるMinella Indoの2着に入っていた。人気を集めたSpeak Easyは3着に終わった。

 

Pisa(ITA) Tempo Bello - Terreno L.Pesante

Neni Da Zara per cavalli di 4 anni (Steeple-Chase - GRUPPO III - FANTINI) 3500m(Replay

1. Kolsche Jung J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

2. L'Imperdibile J: Raffaele Romano T: Raffaele Romano

3. Brienne Di Tarth J: Gabriele Agus T: Raffaele Romano

3番手から進めたKolsche Jungが7馬身差の快勝。これで前走のListedから連勝とした。元々はドイツ調教馬で平地競争を走っていたようだが、これでチェコに移籍してからはPisaの障害を使って3戦2勝と来ている。地元のL'Imperdibile、Brienne Di Tarthが続いた。

 

Criterium D'Inverno per cavalli di 4 anni (Siepi - GRUPPO II - FANTINI) 3500m(Replay

1. First of All J: Jan Faltejsek T: Pavel Tuma

2. Watch Tomorrow J: Raffaele Romano T: Raffaele Romano

3. Kid Tango J: Felix de Giles T: Raffaele Romano

チェコのFirst of AllがイタリアのWatch Tommorowを凌いで勝利した。これでPardubiceのCena společnosti BOHEMIA SEKT, s.r o. - Zlatá spona tříletých (Proutky I. kat)の2着を除けば5戦4勝と、この世代では随一の力量を誇る馬で、同レースにて8馬身突き放されたBenjaminとの再戦が期待される。Watch Tommorowは前走のCondizionataに続き、またしても2着となった。イタリアのKid TangoはフランスのFelix De Gilesを鞍上に据えてきたが、離れた3着に終わった。

 

Gran Corsa Siepi Nazionale per cavalli di 5 anni ed oltre (Siepi - GRUPPO I - FANTINI) 4000m(Replay

1. Beau Saonois J: Jan Kratochvil T: Josef Vana Jr

2. Anaking J: Jan Faltejsek T: Pavel Tuma

3. Capivari J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

4. Chaparral Prince J: Dominik Pastuszka T: Paolo Favero

5. Leonardo Da Vinci J: Raffaele Romano T: Raffaele Romano

6. Saint Julian J: Gabriele Agus T: Raffaele Romano

Capivariが逃げる展開も、残り3障害辺りからBeau Saonoisが先頭に。満を持して残り2障害辺りからAnakingが仕掛けて前を追いかけるも、ぎりぎりこれを凌いでBeau Saonoisが勝利した。3着にはCapivariが入った。イタリア勢は4着のChaparral Princeが再先着となった。

Beau SaonoisはこれでGran Corsa Siepi Di Pisa (G3)から連勝とした。フランスでは8戦して4勝を上げた馬で、2019年9月のClaimingにて勝利し、チェコへと移籍していた。移籍初戦となったPisaのSteeplechaseでは落馬に終わっていたが、Siepiではさすがに能力の高さを見せている。5歳とまだ若く、今後が楽しみな一頭である。2016年のGran Corsa Siepi di Milano (G1)勝ちを含むチェコのベテランAnakingは勿体ない2着。昨年秋のPardubiceのStříbrná trofej podporovaná sázkovou kanceláří BETINO (Stch NL)では8馬身差の圧勝を見せていたように終いの破壊力は素晴らしいものがあり、その後はAngersのPrix Region de Pays de la Loireでも勝利しているように調子は良さそうなのだが、今回は少々大事に乗りすぎた感もある。CapivariはさかのぼればフランスのPrix Renaud du Vivier (G1)の勝ち馬で、ここにいるのが不思議なくらいなのだが、2018年にチェコに移籍してからは重賞未勝利、Condizionataを2勝にとどまっている。もっとも、今回のレースを見る限りでは、乗り方一つでチャンスはあるだろう。

 

京都(日本)重

障害4歳以上オープン 3170m
1. ケイティクレバー J: 平澤健治 T: 杉山晴紀
2. ブレスアロット J: 石神深一 T: 高柳瑞樹
10. メイショウオトコギ J: 西谷誠 T: 飯田祐史
低い飛越でするすると逃げたミュートエアーであったが、2周目に入ってペースアップしてからは飛越が乱れて後退。好位にいたケイティクレバーがそのまま抜け出して勝利した。ケイティクレバーは平地では芝のオープンクラスまで駒を進めた馬で、朝日杯FS皐月賞への出走歴もある。これで障害は3戦2勝とした。ブレスアロットも平地のダート戦線で活躍した馬で、オープンクラスは2戦目であったが進境のあるレースであった。11歳馬メイショウオトコギはオープン勝ちのあるベテランで2番人気に押されていたが、勝負所から後退、さらに最終障害で大きなミスがあり、そこからはほぼ諦めていた。
 
その他

Tiger Roll and Delta Work head weights for 2020 Randox Health Grand National (Jockey Club)

Grand Nationalの斤量が発表になった。3連覇がかかるTiger RollがDelta Workと並んでトップハンデのようだが、比較的伏兵程度の下馬評であったとはいえ、この冬にIrish Gold Cup (G1)とSavills Chase (G1)と連勝し、アイルランド24f Chaseではトップクラスのパフォーマンスを見せたDelta Workに並ぶ斤量とは、Tiger Rollに対しては相当な高評価が下されたといっていいだろう。ただし、Delta WorkはPunchestownに向かうことが想定され、Grand Nationalに対する本気度は微妙なところがあるため、Tiger Rollが実質的には抜けたトップハンデと言ってよいと考えられる。Tiger Rollは非常に小柄な馬だけに、この斤量は数字以上に厳しいと考えられ、もちろん3連覇を目指す姿は見たいものの、出走を取りやめるということもある意味では合理的な判断だと思う。その後出走するというニュースが出たのだが、どうだろうか。

ちなみに、すっかり白くなった2012年の勝ち馬Neptune Collongesも会場に来ていたそうで、このように過去の勝ち馬がいつまでもファンと共にあり続けることが、イギリス・アイルランドで障害競馬が平地競争以上に広く愛される所以なのだろう。

なお、フランスのCross Country SpecialistのDisco D'Authieの登録もあったものの、出走順は102番目と絶望的な位置。フランスのDalko Moriviereも69番目と出走には厳しく、今年も出走馬はイギリス・アイルランド調教馬のみになると考えられる。仮にオジュウチョウサンが出走登録をするとしたら、どれくらいの斤量が与えられるのか考えるのも面白い。

NaasにてOpera Hat Mares Chase (Listed)を勝利したCut The Mustardのブリーダー兼元オーナーであるGeorge Vergette氏が先週の火曜日にうつ病により亡くなったとのこと。あまり日本では話題にならないのだが、この業界の精神疾患の問題はけっこう深刻である。
どうやら本当にMight BiteはCross Countryに行くらしい。同厩舎のValtorも同様で。Nicky Henderson厩舎からCross Countryを走る馬はあまり知らないのだが、とりあえずValtorの場合は右回り専門という部分があり、左周りのCheltennhamではどうしようもないところがあること、飛越自体はフランスSteeplechaseでやれる技術を持っているだけに、Cross Countryへの挑戦は興味深いものである。
BHAの引退馬を追跡するシステムがトレーサビリティ向上を目的として改良されたとの話。
Footpadがアメリカに移籍するとの話。詳細は明らかになっていないが、アメリカ障害競走を走るものと想定される。Arkle Challenge Trophy (G1)を含むNovice Chaseでのパフォーマンスは素晴らしかったのだが、その後はいまいちぱっとせず。アメリカ障害競走にはアイルランド調教馬が大挙して遠征して結果を残している上に、元々イギリスやアイルランドで走っていた障害馬が活躍している。
詳細は書かれていないのだが、どうやらHamburg競馬場のSeejagdrennen(いわゆる池の中を泳ぐ障害競走)がなくなるらしい。昨年は出走馬はたったの5頭、さらに馬の死亡事故もあったということで(空馬がラチに激突したことによるものだが)、ただでさえ経済状態が宜しくない上に動物愛護の面からも問題視されたのかもしれない。昨年設置されたBad Harzburg競馬場のGerman Grand Nationalもなくなるとのことで、2019年は年間たった15レースと、歴代最低レース数を更新したドイツ障害競馬はいよいよ廃止の岐路に立たされそうだ。