にげうまメモ

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20/03/11 National Hunt Racing - Cheltenham Festival -

Cheltenham Soft

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Cheltenham Festival二日目、Ladies Day。Queen Mother Champion Chaseがメインレースのこの日は、場内には着飾ったおばはんマダムがちらほら歩いていて華やかな雰囲気に包まれる。ただしAintreeのGrand National Meetingと異なり、やはり3月のイギリスは寒いので露出は少なめである。もっとも、露出されたところであんまり嬉しくないのだが。

なお、WHOが新型コロナウイルス感染症パンデミックと宣言したことで、この日の観客数は56943人と、昨年の59209人から減少したそうだ。

 

 

Ballymore Novices' Hurdle (G1) 2m5f (Replay)

1. Envoi Allen J: Davy Russell T: Gordon Elliott

2. Easywork J: Rachael Blackmore T: Gordon Elliott

3. The Big Gataway J: Paul Townend T: Willie Mullins

4. The Big Breakaway J: Robbie Power T: Colin Tizzard

6. Mossy Fen J: Sam Twiston-Davies T: Nigel Twiston-Davies

7. Sporting John J: Barry Geraghty T: Phillip Hobbs

9. Decore Irlandais J: Mr Noel McParlan T: Noel Kelly

スタート直後からShakem Up'arryがやや引っかかり気味に逃げる展開だが、第3障害を越えてやや落ち着いたShakem Up'arryに代わり、Paul Townend騎手のThe Big Gatawayが先頭に。そのままEasyworkと共に少しずつペースを上げつつ、勝負所から一気に加速して後続を引き離す。しかし残り2障害辺りからじわじわと接近したEnvoi Allenが最終障害で前に出ると、追いすがるEasyworkを4馬身ほど引き離して勝利した。The Big Gatawayが3着に入った。

Envoi AllenはこれでG1は4勝目、Hurdleは4戦無敗とした。その勝利の中にはChampion Bumper (G1)の他、Royal Bond Novice Hurdle (G1)、Lawlor's of Naas Novice Hurdle (G1)も含まれており、今シーズンのNovice Hurdleにおいて最も有力な一頭として目されている。その評判の高さは戦前にはChampion Hurdleという選択肢も浮上した程であり、ここでもその下馬評通りの走りを見せてくれた。道中では若干狭いところに入ってはいるのだが、バテたMossy Fenを難なく捌くと、下り坂で加速して逃げ込みを図るCheltenham競馬場で理想的なペース配分で先行したThe Big GatawayとEasyworkをきっちり捉えきるパフォーマンスは、ここではモノが一枚上手であったとしか言いようがない。前の2頭があそこまで完璧なレース運びをしなかった場合、余裕で10馬身程度は千切っていたと思わせるレース振りであった。次のシーズンはChase転向という噂もあり、今からどのような走りを見せるのか楽しみである。

Chanelle Pharma Novice Hurdle (G1)にてAsterion Forlongeの2着に入っていたEasyworkは完璧なレース運びで2着に入った。前走もAsterion Forlongeからはだいぶ離された敗戦で、Asterion Forlongeは昨日わりとしょうもない競馬をしての敗戦であったことも含めて、この馬もここでは厳しいだろうというのが下馬評であったのだが、そのような馬でもこれだけEnvoi Allenに食い下がるのだから、これがRachael Blackmoreの騎乗の妙である。Naasの未勝利戦を圧勝してきたばかりのThe Big GatawayもまたPaul Townend騎手の好騎乗もあり、3着まで踏ん張った。とはいえこの2頭はさすがにハマった感が強く、おそらく次が正念場になるだろう。

イギリス調教馬で再先着となったのがThe Big Breakaway。NewburyのC4を圧勝してきた馬で、中段から脚を伸ばすも前には迫れずの4着に終わった。さすがに前の2頭が完璧なレース運びをしたということ、Envoi Allenがあまりにも別格過ぎたということであり、決して悲観する内容ではないだろう。イギリス調教馬でEnvoi Allenの対抗角と思われていたSporting Johnは、勝負所から脱落しそのまま7着と敗れた。PTPで長く走ってきたDecor Irlandaisは後方から進め、そのまま進出できずに終わったが、この馬はスピードに優れたタイプというよりは飛越技術に秀でたタイプで、Novice Hurdle向きの性能ではないように思える。

 

RSA Insurance Novices' Chase (G1) 3m80y (Replay)

1. Champ J: Barry Geraghty T: Nicky Henderson

2. Minella Indo J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead

3. Allaho J: Paul Townend T: Willie Mullins

4. Battleoverdoyen J: Davy Russell T: Gordon Elliott

6. Slate House J: Robbie Power T: Colin Tizzard

F Copperhead J: Harry Cobdon T: Colin Tizzard

F Easy Game J: Danny Mullins T: Willie Mullins

PU Pym J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

レースはMinella IndoとAllahoの2頭が引っ張る展開。そのまま2頭で後続を突き放して逃げると、勝負所からはやや苦しくなった後続を尻目に差を広げ、直線では2頭のマッチレースに。しかし一旦は遅れていたChampが最終障害を越えて追い上げると、最後はMinella IndoとAllahoの間を割って差し切り勝利した。Minella Indo、Allahoと続いた。Battleoverdoyenはかなり離された4着に終わった。

Minella IndoとAllahoの鞍上はそれぞれRachael BlackmoreとPaul Townendであり、第1レースでEnvoi Allen以外を完封する完璧な先行策を見せたアイルランドの天才騎手二人である。その二人が第1レースの溜め逃げとは打って変わって、ここでは前半から激しく引っ張り、さらに下り坂を利して加速を掛けるという、比較的セーフティーに運ぶことの多い24f Novice Chaseでは珍しいくらいの激しい消耗戦に持ち込んでいる。最後は2頭とも完全に脚が上がり、これを騎手の腕力で何とかゴールまで辛抱させるという状態になっているが、このようにタイムロスを覚悟してまで消耗戦に持ち込むことは、イギリス・アイルランド障害競馬で戦うことが出来る高い持久力を持った馬の能力を最大限に引き出す戦術の1つである。このように、レース展開や馬の性質に合わせて変幻自在のペース配分を生み出すことが出来る上に、ハイペースを維持するための馬の飛越のリズムを作りだし、さらに馬がバテたところでも最後まで馬を動かすことが出来る強靭な腕力と体力を誇るのが、イギリス・アイルランド障害競馬における一流騎手なのである。

ChampはChaseは落馬を除けば無敗とした。昨シーズンのNovice HurdleにてChallow Novice Hurdle (G1)、Doom Bar Sefton Novices' Hurdle (G1)を勝っている馬で、ChaseでもBerkshire Novice’ Chase (G2)にて驚異的な瞬発力を見せて勝ってきている。ピッチ走法で加速力に優れたタイプだが、いまいち飛越に難があるのと下り坂の恩恵を受けられるタイプではないため、ここでも勝負所でMinella IndoとAllahoの2頭には引き離されているのだが、脚が上がって完全にタイムロスが生じた前の2頭を持ち前の瞬発力で捉えきることが出来た。ただし、やはりCheltenhamで戦う上ではこのようなロスは今後も発生することが想定され、昨シーズンのHurdleでもCheltenhamで取りこぼしているように、競馬場のコース形態には注意した方がいいタイプかもしれない。

アイルランドのAllahoとMinella Indoは積極的な競馬で見せ場を作った。この2頭は昨シーズンのPunchestownのIrish Daily Mirro Novice Hurdle (G1)でも1、2着に入っていたり(勝ったのはMinella Indo)、CheltenhamのAlbert Bartlett Novice' Hudle (G1)でも1、3着だったり(勝ったのはMinella Indo)、ClonmelのSurehaul Mercedes-Benz Novices Hurdle (G3)でも1、2着だったり(勝ったのはAllaho)、とにかくなにかと仲が良いのだが、ここでも仲良く前半からぶっ飛ばして持ち前の持久力を生かすレースを見せた。いずれもChase3戦目でBeginners Chaseを勝ったばかりで、最後はきっちり2頭とも脚が上がるというところまでお揃いなのはもはや笑うしかないのだが、Chase3戦目でここまで厳しいレースを作りだすことが出来るというのは明らかに能力の証である。今回は残念ながら仲良し2頭の間をChampに割られたが、またPunchestownあたりで仲良く走ることを楽しみにしたい。

Neville Hotels Novice Chase (G1)の勝ち馬Battleoverdoyenは24fに戻してきたが、下り坂で加速しきれず4着に終わった。Cheltenhamは昨シーズンのBallymore Novices' Hurdle (G1)でも大敗しているようにどうにも合わない可能性があるのだが、連続でここまで大敗するとやや心配なところである。KemptonのKauto Star Nocvices' Chase (G1)の勝ち馬Slate Houseはさっぱり見せ場を作れず。同レースは水準的にはかなり微妙だった可能性もあるのだが、前走のCotswold Chase (G2)も経験馬相手とはいえ途中棄権に終わっており、2回のWind Surgeryを行っている馬だけに、ノドの状態が心配である。Sodexo Reynoldstown Novices' Chase (G2)をぶっちぎってきたCopperhead、Flogas Novice Chase (G1)でFaugheenを追い詰めたEasy Gameは、いずれも脚が上がって最終障害で落馬となった。少なくともEasy Gameに関しては距離の問題だろう。Pymは序盤から追走に苦労し、早々に途中棄権となった。この馬はもう少しゆったりと走らせた方がいいような感もあり、National Hunt Challenge Cup (G2)の方が良かったのかもしれない。

 

Coral Cup Handicap Hurdle (G3) 2m5f (Replay)

1. Dame De Compagnie J: Barry Geraghty T: Nicky Henderson

中団からするすると馬群を抜けてきたDame De Compagnieが、Black Tears以下を2馬身ほど抑ええて勝利した。同馬は前走の牝馬限定C2から連勝となるが、ここまでどちらかというと牝馬限定戦で結果を残してきた馬である。距離的には16fよりもゆったりと運ぶことのできる20fの方がいいようだ。それにしても、Barry Geraghty騎手の馬群を割ってくる進路どりの上手さには感動すら覚える。

 

Queen Mother Champion Chase (G1) 1m7f199y (Replay)


1. Politologue J: Harry Skelton T: Paul Nicholls

2. Dynamite Dollars J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

3. Bun Doran J: Jonathan Burke T: Tom George

4. Defi Du Seuil J: Barry Geraghty T: Philip Hobbs

5. Sceau Royal J: Daryl Jacob T: Alan King

本日のメインレース。なのだが、3連覇を目指すイギリス稀代の名馬Altiorはトラブルで回避、アイルランドの強力な新星Chacun Pour Soiも直前で回避、さらにその前にもアイルランドの古豪Un De Sceauxもここへの出走を予定していたのだが故障で引退と、かなり寂しいメンバーとなってしまった。いかんせんここまで想定メンバーが強力だと、そもそも他の馬が避けるためあまり出走馬が揃わないということもあり、結果として5頭立てという小頭数となってしまった。

レースは前半から葦毛のPolitologueが引っ張る展開。圧倒的人気を背負ったDefi Du Seuilは中段から進めるも、どうにも勝負所での反応が鈍く、前に取りつくことが出来ない。そのまま元気いっぱい引っ張り、勝負所から後続を突き放したPolitologueがDynamite Dollarsに9馬身差をつけて勝利した。Defi Du SeuilはBun Doranを追い詰めるも、4着に終わった。

Politologueは昨年の2着馬で、Queen Mother Champion Chase自体はこれが3回目の挑戦にして嬉しい勝利となった。20fくらいまでは守備範囲としている馬で、比較的パワフルなストライドから生み出されるスピードの持続性能を武器としている。性質的に24fでも良さそうな感はあるのだが、案外体力的に24fは持たないらしく、この馬のパワフルなスピードを活かすにあたっては16fから20fの方がいいのだろう。一方でいかんせん瞬間的なスピード能力という部分には欠けるため、圧倒的なスピード能力とその持続性能を有するAltiorを相手にするとどうにも旗色が悪く、今シーズンも強力な瞬発力を有するDefi Du Seuil相手にここ2走は敗戦を喫していたのだが、それでも勇気をもってここでもこの馬の競馬に徹し、やるべきことを愚直にやり切るということの大切さを教えてくれる勝利であった。2着のDynamite DollarsはNovice上りの馬で、NewburyのGame Spirit Chase (G2)ではAltiorに完敗しており、ここからどうこうということもなさそうだが、それでも9歳のここまでひたすら真面目に走り続けたこの馬にとって、ここで一つの大きな勲章を手にすることとなった。

Defi Du Seuilは案外な敗戦となった。今シーズンはTingle Creek Chase (G1)、Clarence House Chase (G1)と連勝しており、特にこの2走で下してきたアイルランドの古豪Un De Sceauxを相手に、Clarence House Chase (G1)ではTingle Creek Chase (G1)と比較してパフォーマンスを上げてくるという成長ぶりを見せていた。Cheltenham自体も昨シーズンのJLT Novices' Chase (G1)にてLostintranslationを下す勝利を挙げており、特別苦手とするコースではない。重馬場における追走能力という面でも、前走ではPolitologueよりも強力なペースを作りだすUn De Sceauxのペースに難なくついて行っており、ここでいきなり問題となるようなこともないだろう。不可解な敗戦である。考えられるのは一旦レース間隔をあけたことによる調整ミスくらいだろう。

 

Glenfarclas Cross Country Chase (C2) 3m6f37y (Replay)

1. Easysland J: Jonathan Plouganou T: David Cottin

2. Tiger Roll J: Keith Donoghue T: Gordon Elliott

3. Out Sam J: Mr Jamie Codd T: Gordon Elliott

4. Diesel D'allier J: Charlie Deutsch T: Emmanuel Clayeux

5. Urgent De Gregaine J: Felix de Giles T: Emmanuel Clayeux

6. Outlander J: James Bowen T: Richard Spencer

7. Might Bite J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

PU Arlequin D'Allier J: Mr Derek O'Connor T: Emmanuel Clayeux

PU Josies Orders J: Mark Walsh T: Enda Bolger

PU Kingswell Theatre T: Tom Scudamore T: Michael Scudamore

U Yanworth J: Darragh O'Keeffe T: Enda Bolger

Racing TVがYoutubeに動画を上げていないのでEquidiaで代替してみるテスト。フルのレース映像はリンク先で。Grand National3連覇を目指すTiger Rollが出走することで話題になっていた。同馬はここまでCheltenham Festivalは2014年のTriumph Hurdle (G1)、2017年のNational Hunt Challenge Cup (G2)、さらに2018年、2019年とGlenfarclas Cross Countryを連覇しており、なんと5度目のCheltenham Festival勝利を目指すということになる。Cheltenham Festivalは一つ勝っただけでもFestival Winnerとして関係者が大喜びしているように大変な名誉なのだが。Tiger Rollの大目標はもちろんGrand Nationalと思われるが、元々はCross Countryで頭角を現してきた馬で、とりあえず回ってくれば十分であった前走のBoyne Hurdle (G2)とは違って本気度も高かろうということもあり、圧倒的な一番人気になっていた。一方で、ここのところCheltenhamのCross Countryで大暴れしているフランス調教馬としては、近年稀に見るほどの強力なメンバーが集まっており、その筆頭格は、Grand Cross De Pau Reverdy、Grand Steeplechase Cross Country De Compiegne、さらに12月のイギリスのGlenfarclas Cross Countryなどを連勝してきたEasyslandであった。

レースはフランスのArlequin D'Allierが引っ張る展開。Tiger Roll、Easyslandはいずれも好位から進める。第20障害辺りからEasyslandが先頭に立つと、そのまま後続を振り切りにかかる。唯一ついてきたのがTiger Rollだが、Tiger Rollは残り2障害辺りから苦しくなると、そのままEasyslandは後続に17馬身差をつけて圧勝した。2着にはTiger Rollが入った。3着以下は大きく遅れたが、最後にアイルランドのOut Samが上がったようだ。

Easyslandはこれで昨年1月のPauから7連勝とした。当時はほぼ暴走気味にぶっ飛ばし、そのままスピードに任せて押し切るというフランス障害ではあり得ないほどの粗削りなレース運びであったのだが、昨年12月のGlenfarclas Cross Country辺りからはそのような部分は影を潜め、やや行きたがって走る部分は残っているものの、常識的なレース運びができるようになってきている。以前は連続で落馬するなど飛越にも怪しいところはあったのだが、今回はTimberでミスはあったもののそれ以外では特に問題もなく、フランスCross Country Horseらしい高い飛越技術を身につけてきている。フランス国内での実績が示す通り、現時点でフランスCross Countryにおける最強馬であり、ここでアイルランドの伝説的名馬であるTiger Rollすらも圧倒するパフォーマンスは、もはや現在の欧州Cross Countryにおける最強馬とすら考えられる。今年はここまでCrystal Cupは2勝しており、次走はAnjou-Loire Challengeなどが考えられるのだが、個人的にはVelká Pardubickáで見てみたいところである。

一方のTiger Rollはさすがの走りを見せた。今回はEasyslandが規格外過ぎたが、この馬もまた規格外の馬であり、3着以下は昨年と同様に圧倒している。関係者はどうやら馬場を問題視しているようで、Grand Nationalは馬場が悪ければ走らないと主張しているそうだ。もともと集中力に課題のある馬で、2年前のGrand Nationalもそれが原因でPleasant Companyにゴール前に急追されているところがあるのだが、おそらく馬場が悪くなると集中力が切れた時のロスが大きくなるリスクがあるのだろう。Grand Nationalの3連覇に向けて、このレースを踏まえて不安材料が増えるということはなさそうなのだが、今後のAintreeの馬場状態には注意しておいた方がよさそうだ。

アイルランドのOut Samは最後3着に追い上げた。昨年12月のGlenfarclas Cross CountryではEasyslandから13馬身遅れるも3着に入り、アイルランド調教馬再先着を果たしており、Cross Countryに対する適性はありそうだ。11歳と年齢は重ねており、さすがにスピード能力という点では苦しそうなのだが、スタミナという面では良いものを持っており、スピードが要求されない場面ではもう少し頑張ってくれるだろう。Bankへの適性は不明だが、PunchestownのLa Touche Cupなどでも面白そうな予感。昨年11月のGlenfarclas Cross Countryを勝利したDiesel D'allierは4着に入った。フランスのCross Countryでの実績が示す通りEasysland相手にはだいぶ分が悪いのだが、CheltenhamのCross Country自体は比較的向いているような感もある。12歳となったフランスのUrgent De Gregaineはいつも通りするすると上がっていくレースであったが、最後は遅れ5着に終わった。相変わらずの飛越の上手さとリズムの良さ、スペースがあれば的確にそこを突いて行く技術は素晴らしいのだが、Velká Pardubickáでも直線No Time To Loseに差し切られているように、平地の脚が遅いのはもはやご愛敬だろう。

アイルランド調教馬で、現在はイギリスRichard Spencer厩舎にいるOutlanderはイギリス調教馬再先着を果たした。さかのぼればJNwine.com Champion Chase (G1)、Lexus Chase (G1)、Flogas Novice Chase (G1)とG1を3勝しているアイルランドの名馬なのだが、12歳となった現在すでにその面影は残っていない。2019年のGrand Nationalにおいて、Grand Nationalに登録のある状態で競売に掛けられており、元馬主のGigginstownも見限ったような部分もある。今シーズンは2戦とも大敗していたのだが、今回は前々で元気よく運び、最後はスピードの面で遅れるも6着まで踏ん張っている。これがCross Country初参戦であったことを考えると、素晴らしい健闘と言えるだろう。イギリスのMight Biteはもともと24f Chase路線で主役級の活躍を見せていた馬なのだが、今回がまさかのCross Country初参戦であった。しかしやはり大柄な馬で飛越が大きすぎるきらいがあり、3着争いにも迫ることが出来ず大敗に終わった。ここのところの不調は気性的な部分が大きいようにも思えるのだが、少なくともCross Countryにおける細かい飛越技術という点では、この馬の持っている性質とは相反するものだろう。PauのCross Country SpecialistであるArlequin D'Allierは元気よく引っ張るも、第20障害辺りで捕まりそのまま途中棄権、Josies Orders、Kingswell Theatreなどのこの路線の常連もいいところなく途中棄権、Yanworthは好位から進めるも、途中で躓いて落馬に終わった。