にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

20/04/26 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/04/20-26

今週も引き続き日本競馬は無観客開催、オーストラリアなどの一部を除き、殆どの競馬開催国では競馬が行われない週となりました。個人的に自宅勤務ということで通勤が免除されたため、身体的にも精神的にもものすごく元気ですが、本来はSandownのJump FinalやPunchestown Festiavalが予定されていた時期、競馬開催がないと寂しいですね。一方で、ヨーロッパやオセアニアなどからはちらほらと競馬再開に向けた話題が出てきました。

 

競馬開催情報

Proposed programme for a return to racing (LOVERACING.NZ)

ニュージーランド競馬から競馬開催日程の修正版が発表された。競馬は7月1日から再開される見込みで、障害競走の開催は北島のみに限られている。これに伴い、Riccarton ParkのGrand Nationalを始め、南島の競走はキャンセルされる見込みである。

Crystal Cup Series 2020 Update (Crystal Cup)

残念ながら今年のCrystal Cupは中止となった。Crystal Cup指定競争全体の開催が中止となったわけではないのだが、現時点でフランスの競走の幾つかと、Belgium Grand Nationalは中止が決定されている。

Coronavirus pandemic: Galway Festival to be run behind closed doors (RacingTV)

今年のアイルランドGalway Festivalは無観客開催となった。アイルランド政府が8月末まで大規模集会の開催の禁止したことによるもの。Galway Plateを中心とした夏の祭典は現時点では予定通り7月末の開催を予定している。

Coronavirus pandemic: France Galop in ‘constructive’ dialogue with authorities (RacingTV)

3月中旬から競馬開催を中止しているフランス競馬の再開時期は未定だが、無観客開催ながらも来月から再開する可能性があるようだ。来月にはAuteuilでフランス障害競馬の主要競走が予定されており、なんとかそれまでには再開して欲しいところである。

→ 〇 French authorities outline strict conditions as they target racing return (At the races)

続報が出ましたね。5月11日に競馬の再開を目指すということです。

4月25日(土曜)から5月31日(日曜)までの中央競馬の開催等について (JRA)

先週中山グランドジャンプが無観客開催で実施された日本競馬だが、引き続き5月末までの競馬開催は無観客開催として実施することになった。この時期は春の平地G1シーズンだが、影響を受ける障害競走としては京都ハイジャンプとなる。

Ипподром Краснодарский (facebook)

ロシアKrasnodar競馬場のシーズン最初の開催が4月18日に行われたそうだ。無観客開催とはいえ予定通り競馬開催はあるらしい。この日は平地競争だけであったが、5月16日の開催には障害競走が予定されている。まだYoutubeチャンネルに動画が上がっておらず心配である。

 

4/25(土)

福島(日本)良

〇 障害4歳以上オープン 3380m

1. マイネルレオーネ J: 平沢健治 T: 清水久詞

2. カポラヴォーロ J: 五十嵐雄祐 T: 堀井雅広

3. クオンタムシフト J: 北沢伸也 T: 牧田和弥

8. トラキアンコード J: 石神深一 T: 武市康男

13. ルグランフリソン J: 白浜雄造 T: 中竹和也

グリーンウォールを越えたあたりから少しずつ動いたマイネルレオーネが3コーナー辺りで先頭に立つと、そのまま後続を突き放して快勝とした。マイネルレオーネはこれで障害は未勝利戦に続く2勝目。オープンの特別戦では少々荷が重いようだが、このクラスであれば比較的安定した成績を残している。やや飛越が低いところがあるようで、良績は中京や新潟が多く、グリーンウォールを除けばハードル障害のみが設置されている福島のコースは向いているのだろう。カポラヴォーロはやや離された2着であったが、明らかに踏み遅れての敗戦。次はもう少し積極的な競馬を期待したい。未勝利戦を勝ったばかりのクオンタムシフトは好位で頑張った。やや飛越の面で怪しいところが残っており、年齢やキャリアを考えると明らかにこれからの馬だろう。昨年の京都ジャンプステークスの3着のあるトラキアンコードは中段から進めるも、さっぱり見せ場を作れずに終わった。人気を背負ったルグランフリソンは前半引っかかっていたが、どうやらレース後に鼻出血が見つかったらしい。

 

〇 障害4歳以上未勝利 2770m

1. ウインスラーヴァ J: 上野翔 T: 上原博之

2. マイネルサージュ J: 五十嵐雄祐 T: 鹿戸雄一

3. フォイヤーヴェルク J: 森一馬 T: 池江泰寿

レースは人気のモルゲンロートが逃げる展開だが、3コーナーの辺りから前に出たウインスラーヴァがマイネルサージュを抑えて勝利した。ウインスラーヴァは障害は4戦目での初勝利。平地では2勝クラスまで上がるもそこで頭打ちになった馬だが、飛越自体は上位勢の中では一枚抜けており、完成度の高さという面で上回っていた。マイネルサージュは好位から運ぶも2着まで。平地ではオープン勝ちや七夕賞 (G2)にてメドウラークの2着など頑張ってきた馬だが、今年の3月から障害に転向し、これが3戦目であった。飛越は低くスピードに乗せたものを見せていたが、どうにも残り2障害地点をはじめとしてミスが目立っており、これが最終的な勝ち馬との差に繋がったように見える。デビュー前は素質馬として大きな評判を集めたフォイヤーヴェルクは、これが障害初戦であったが、後方からじわじわ押し上げて3着に入った。まだ馬が飛越に迷いがあるような印象で、飛越動作が不安定でミスが多く認められた。これを使って変わってくるだろう。ただし、平地では緩すぎるストライドで大成できなかった馬だけに、障害を使ってある程度パワーが付いてくることを期待したい。

 

4/26(日)

福島(日本)良

〇 障害4歳以上未勝利 2770m

1. リボンナイト J: 田村太雅 T: 村山明

4. ダノンキングダム J: 高田潤 T: 安田隆行

好位をうまく立ち回ってきたリボンナイトがケイアイネイビーを抑えて勝利した。リボンナイトはこれが障害11戦目での嬉しい勝ち上がりで、田村騎手とのコンビでここまで障害2着5回、3着2回と惜しい競馬を続けていただけに、喜びもひとしおだろう。中央の平地ではさっぱりいいところはなく、名古屋及び笠松で勝利を上げてきた馬であり、さすがに立ち回りの上手さは際立っていたが、オープンクラスのスピードへの対応が課題となるだろう。前走はミライヘノツバサが勝利したダイヤモンドSに出ていたダノンキングダムはこれが障害初戦であったが、中段から脚を伸ばすも離れた4着に終わった。

 

その他

UK government defend allowing Cheltenham to go ahead (RTE)

コロナウイルス感染症の拡大の傾向が認められる中、Cheltenham Festivalを開催したことが物議を醸しているようだが、当該判断に関する英国政府の見解。

Races to be capped at 12 runners with senior riders only under resumption plans (Racing post)

競馬の再開を目指すイギリス競馬だが、BHAは事故リスクの軽減のために出走馬や騎乗可能な騎手の制限を計画しているようだ。イギリスの国民保健サービス(National Health Service)はコロナウイルス感染症の影響で大きな負担となっている。

Ruby Walsh: Horse racing in Japan is so different – I had to interview twice to get a licence! (Paddypower)

2012年の日本でBlackstairmountainの騎乗に関するRuby Walshの記事。ペガサスジャンプステークスとグランドジャンプで、それぞれ別個に2回も面接があったとか、JRAが遠征費用を出さなくなったせいで遠征費の負担が厳しかったとか書かれている。ただでさえ日本障害競馬は斤量が障害競馬開催国の中では突出して軽いため、国外の一流障害騎手にとっては体重がネックになる上に、この時期には各国で主要開催が集中しており、それなりのリターンがないと海外陣営にとって遠征に踏み切るのは厳しいと考える。当該レースを国際招待競走から外したことはJRAの大きな失策である。また、この一節は日本障害競馬のレース構成を考察する上でなかなか興味深い言及である。

>The jockeys didn’t make any manoeuvres during the race. The race started and they got a position but they stayed where they were until the three-furlong marker, then they started making a move. But I moved through the race to get that much closer to the front, while the runner-up was quite a long way back.